鳥嶋和彦と堀井雄二『ファミコン神拳』を語る

（堀井雄二）『ジャンプ放送局』をやりながら、『ファミコン神拳』ね。『ファミコン神拳』をやって。

（鳥嶋和彦）これがね、ファミコンの撮影が大変なんだよ。まずね、その裏技っていうのがハガキで来るわけよ。それが全部、本当かどうか、検証しなきゃいけない。

（堀井雄二）画面は止まらないんで、撮る時にリセットボタンを押すのね。で、そのリセットのタイミングを間違うとまた頭からやり直しになるから。大変だったね。

（榎本一夫）そうだったね！

（鳥嶋和彦）で、僕と堀井さんはアクションゲームが苦手だから。「得意なやつを呼ぼう」ってなって。それで宮岡くんを呼んで。

（土居孝幸）なるほど。で、宮岡くんの友達のキム皇が来て。

（榎本一夫）それで「ここだ！」っていうところでバッと押して。「今、撮って！」って。

（堀井雄二）ビデオプリンターもまだなかったんだよね。

（鳥嶋和彦）後から出てきたんだよね。

（堀井雄二）それが出てきて楽になったんだけど。

（鳥嶋和彦）それはもう、僕とか堀井さんが『ファミコン神拳』からどいて、次の世代に渡す時だよね。

（中略）

（Naz Chris）一番大変だったのとか、覚えてます？　何を撮る時……どの奥義を撮る時が？

（鳥嶋和彦）マリオでしょう。

（堀井雄二）マリオだね、マリオ。

（鳥嶋和彦）百裂拳とか。

（Naz Chris）無限増殖？

（鳥嶋和彦）カメ蹴り百裂拳とかね。

（堀井雄二）楽なのはキンタマリオが楽だったよ（笑）。上に行ってね、コインのところにしゃがむとそう見える、みたいなね（笑）。

（Naz Chris）1-2の上あたりみたいな（笑）。

（鳥嶋和彦）だってまず（投稿の裏技が）本当にそれがそうなのか？って検証しなきゃいけないからね。検証した上で今度、これを再現しなきゃいけないっていう。だってあの時はここにある『ファミコン神拳』の……これも「ゲームの本が売れてるから、やろう」ってことになって。そしたらもう編集部の隣の会議室というか、スペースを確保して、そこにゲーム機を置いて。そうすると僕は同じフロアだからいちいち上ったり降りたりしなくていいから。だいたい、ほとんど会社に住んでるようなもんだよ。堀井さんと朝昼晩、3食食べてたよ（笑）。

（堀井雄二）ねえ。すごい会っていたよね（笑）。

（Naz Chris）ちなみにあのチビフラワー……チビマリオなのにフラワーのマリオになるやつ、あるじゃないですか。

（堀井雄二）うん？　そんな裏技、あったっけ？

（Naz Chris）ああ、あれは奥義じゃないんだ？　マジですか？　マリオって、キノコで大きくなるじゃないですか。でも、チビのままでもファイアマリオになるっていう。あれ、奥義じゃないんだ？

（鳥嶋和彦）そんなの、あったっけ？

（Naz Chris）ありますよ。あるある。

（堀井雄二）それ、バグ技？　じゃなくて？

（Naz Chris）ああ、それは違うんだ。百烈拳とキンタマリオと……。

（土居孝幸）それは宮岡くんに聞かないとわかんないですよ。

（堀井雄二）それは不死身のあれかな？　星を取ったやつじゃなくて？

（Naz Chris）じゃなくってですね。チビのままでフラワーを……火を出せるっていう。

（堀井雄二）あったような気がしないでもないな。

（堀井雄二）この時はもう喧嘩しまくりでしょう？

（鳥嶋和彦）この時はもう喧嘩しまくりだからね。まあね。

（土居孝幸）メーカーとはどの辺りから仲良くなったんですか？

（鳥嶋和彦）いや、ずっと仲良くないよ。

（堀井雄二）辛口の採点、していたからね。

（榎本一夫）ああ、忖度しない採点だったから。

（堀井雄二）ソフトをちゃんと買ってやっていたんで。

（鳥嶋和彦）だからちゃんとこの特集……『ファミコン神拳』を始める時、俺にオーダーを出してきた副編に「広告にクレームが来るけど、全部はねつけてくれ」って言ったのよ。そうじゃないとライターの堀井さんを守れないから。それで実際、クレームが来て、はねのけた。ところが、あれを単行本にする時に技を載っけるじゃん？　そうすると、それはまた別なのね。利益が発生するから。それは弁護士に聞いたりしても「それはちょっと先方の許諾とお金の支払いも必要かもしれない」っていうんで。その時には編集長と一緒にナムコまで謝りに行ったね。

（Naz Chris）そうか。これ、10年前なんですね。このミシンのまとめ的な。

（堀井雄二）それ、おまけにCDをつけなかったっけ？　なんか、そういうのもあったような……。

（鳥嶋和彦）さっき、土居くんにも言われたけども。この秘孔を突く人差し指を僕、何回もダメ出ししたらしいんだよ。

（Naz Chris）ああ、これですね。

（土居孝幸）袋とじのところのこのポーズね。

（Naz Chris）特にゆう帝がやるやつ。

（土居孝幸）「小さい」とか何回も言われて。どんどんどんどん大きくしていって。