石山蓮華とでか美ちゃん『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』を語る

町山智浩『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』を語る こねくと

石山蓮華さんとでか美ちゃんさんが2024年3月26日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』について話していました。

(石山蓮華)先週は女性の人工妊娠中絶を手助けする団体を描いた作品『コール・ジェーン』をご紹介いただきました。私、石山も、でか美ちゃんも、見てまいりました。

(町山智浩)どうでしたか?

(石山蓮華)私は、なんか骨太に燃える女たちを映画で見られて、すごいよかったなって。人をコミュニティーに入れ込んでいく時の描写っていうのがすごく明るく、それでいて、かっこよくて。よかったなという印象でした。

(でか美ちゃん)私も蓮華ちゃんと同じような思いとか。あとはその時代背景とか、そうするしかなかったっていう部分もありつつ。その、危ないは危ないじゃないですか。この中で描かれていることって。

(町山智浩)まあ、違法ですからね。1973年以前はアメリカでは人工中絶が禁止されていたので、犯罪になるんですね。

(でか美ちゃん)だからその、闇ルートみたいな感じで。そうするしかなくてっていう部分がその、仕方ない、そこにしか助けを求められないっていうもの自体があるからこの『コール・ジェーン』が存在したっていうのはわかった上で。まあ今の時代もいろいろと変わってきてるとは思うんですけど。すごい、なんだろうな? 最近、私がこう考えてることというか。女性の連帯とか、みんなで戦っていこうっていうのもすごい大事だけど。その戦っていった先に、戦わなくていい社会というものを目指しているわけだから。なんか連帯推奨っぽくなるのはちょっと嫌だなとかは思ったりもしたんですけど。でもその上で、そういうことも考えさせられるぐらいの議題の映画なんだけども、音楽がすごいよくて。全然、ポップに見れるというか。

(町山智浩)はいはい。1968年当時のヒット曲が流れるんですね。

(でか美ちゃん)蓮華ちゃんとか私が感想を言ったり、町山さんの先週の解説を聞いた上で、「結構重たい映画かも?」と思うかもなんですけど。全然、そんなのが鑑賞後に残る感じではないから。もちろんすごい素敵な、素晴らしい議題の作品だけど。なんか、軽く見に行っていいとは思いますね。

(町山智浩)そうですね。この『コール・ジェーン』っていう映画がすごく明るいトーンなのは、そうやって人工中絶禁止に対して女性たちの闇ネットワークというか、地下ネットワークで戦っていくんですけど。1973年にやっと憲法でその中絶の権利が女性の権利として認められるというハッピーエンドが最後に来るからなんですね。それに向かって、みんなが戦ってるんで。ただ、アメリカでは2022年に連邦最高裁が再び「中絶は女性の権利ではない」という判決を出しちゃったので、現在では各地でまた禁止になって。この映画の時代、『コール・ジェーン』の時代に戻っちゃったんですよ。

(石山蓮華)そう思うとあのラスト、すごく明るく晴れやかなトーンで描かれていたんですけど。またちょっと、苦々しい気持ちになってしまいました。

『コール・ジェーン』の時代に戻ってしまったアメリカ

(町山智浩)そうなんです。で、このジェーンと呼ばれる女性支援団体はまた復活して。現在はもうなんとかしてその困っている女性というか、実際には少女たちが多いんですけれども。妊娠で困ってる少女たちに郵便で中絶薬を送ったりする形で支援をしてるんですけどね。この映画を作った時はまだ、アメリカはおかしくなかったんで。スタッフはそんなことになるとは予測をしなかったと思うんですけれども。今現在のアメリカを示す映画になっていますね。

(石山蓮華)本当に社会って、よくも悪くも数年であっという間に変わっちゃうんですね。

(町山智浩)変わるんですね。怖いなと思いますね。はい。

<書き起こしおわり>

町山智浩『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』を語る
町山智浩さんが2024年3月19日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』について話していました。
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