でか美ちゃんさんが2024年2月20日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『カラーパープル』について町山智浩さんと話していました。
(石山蓮華)それで、でか美ちゃんは?
(でか美ちゃん)そうなんです。私はですね、『ボーはおそれている』はちょっと、週末の楽しみに置いてまして。『カラーパープル』を今朝、東京の坂本龍一さんが音響を監修した……めちゃめちゃいい音で見ようと思って、行ってきたんですけど。めっちゃ良かったですね! あんなに壮絶な、悲しくて、苦難で、それこそ理不尽な差別を生まれ持った属性だけでっていう物語を、ここまで明るくミュージカルで描き切るって、とんでもないなって思いましたね。
(町山智浩)うんうん。
(でか美ちゃん)だからこそ、私は勉強不足で。どこからが文化盗用なんだろう? とか、よく考えるんですけど。なんか、ブラックミュージックの生まれた瞬間っていうものを考えながら楽しまなきゃいけないというか。そういうのはすごく思いましたね。著名なアーティストさんも、「これ、ちょっと文化盗用なんじゃないかな?」って思う場面とかが私はあるので。そうそう。そういうのとか、すごく考えながら見ちゃいました。でも、とにかく見やすいですね。
(町山智浩)楽しいんですよね。僕がすごくよかったのは、彼らが酒場を作るでしょう? あれをJuke Jointって呼んでるんですよ。「Juke」っていうのは黒人の、アフリカの言葉で「邪悪」っていう意味なんですよ。
(でか美ちゃん)へー! ジュークボックスとか、よく聞くけど。
(町山智浩)そこから来たんですよ。語源があるんですよ。で、教会で聖なる音楽を聞くんだけど。夜はJuke Jointでブルースとか、なんか楽しい音楽を聞くというね。はっきり言うとセックス的な音楽を聞くっていうのがアフリカ系の人の二重構造になっていて、裏表になってるんですよ。その二つが……教会でのゴスペルのシーンもありましたね? で、夜のブルースがあって。それが合体したのが、ロックンロールなんですよ。
(でか美ちゃん)へー!
ゴスペルとブルースが合体してロックンロールに
(町山智浩)で、エルヴィス・プレスリーは両方に行っていたんです。昼は教会に行き……日曜日は。で、聖なる音楽を聞き。夜はJuke Jointでみだらなブルースとかを聞いていて。その二つが合体して、プレスリーのロックンロールを作っていくんですよ。だからすごくね、『カラーパープル』っていう映画はいわゆるポップミュージックっていうものがどうして生まれたのか?っていうのを2時間ぐらいでサラッと見せてしまうところがすごいなと思いますね。
(でか美ちゃん)ちょっとだけ気になったのが、そのシュグっていうね、歌手。そしてかつ、ちょっと魔性の女性的な方が抜群に歌もうまくて、美人で。で、それに対して主人公は「お前は不細工で歌も上手くないんだ」みたいな言われ方をするんですけども。当たり前にミュージカル映画だから、みんなが抜群に歌が上手くて。シュグが抜群に歌が上手いっていうのがちょっとね、かすんじゃうっていうかね。そんな気はしたけども。でも、めちゃめちゃ見ていて楽しくて。あっという間の2時間20分でした。
(町山智浩)で、最後がまた泣けるんですよね。
(でか美ちゃん)そう! 泣けました!
(町山智浩)あの悪い悪い悪い夫もね。
(でか美ちゃん)そうなんですよ。すごく救いのある物語だったんで。なんなら『ボーはおそれている』の後に見たら、ちょうどいいかもしれない。
(町山智浩)解毒剤ですね。
(石山蓮華)『ボーはおそれている』は本当に嫌な気持ちになるのでね。『ボーはおそれている』と『カラーパープル』、両方とも映画館で公開中なので。2本立てで見てもいいかもしれませんね。
<書き起こしおわり>