町山智浩『水俣曼荼羅』を語る

町山智浩『水俣曼荼羅』を語る たまむすび

町山智浩さんが2021年11月16日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で原一男監督のドキュメンタリー映画『水俣曼荼羅』を紹介していました。

(町山智浩)今日はですね、6時間半の映画を紹介します。

(赤江珠緒)いや、6時間半って……今、山ちゃんと「そもそもそんなに長い間、映画館にいたことがない」って。

(町山智浩)えっ、そうですか? 僕は、そうですね。小学校5、6年の頃は映画を見に行って、その映画が好きだ……映画を見に行く時は封切日の土曜日の朝の一番から行くんですけど。その映画が好きだと、その日の夜の最終回が終わる10時ぐらいまでずっと映画館にいましたよ。

(赤江珠緒)すごいな、町山さん! あと何本立てとかでね、何本も見たいりとかね。昔はね。

(町山智浩)昔はね、入れ替えがなかったんですよ。だからずっといっぱなしでいいんですよ。だからお弁当を持っていって、ずっといましたよね。5回ぐらい連続で見てました。あと、昔はオールナイトがあったからね。5本立てとか見てましたよね。

(赤江珠緒)5本立て!(笑)。

(町山智浩)はい。そうですよ。朝、出ると明るくなってるんですよ。9時ぐらいから始まって。それで見てましたね。で、これは6時間半ですよ。あ、映画のタイトルを言うの、忘れちゃった。『水俣曼荼羅』というタイトルの映画で。11月27日から公開なんですが。これは、水俣病についての映画ですね。1950年代から熊本県でですね、チッソという工場がプラスチックとかを作る時に出てくる有機水銀を海に流していて。それがお魚の中で蓄積されて、その魚を食べた人たちの体に手足のしびれとか……ひどくなると胎児性で、お母さんのお腹の中にいた赤ちゃんとかはもう、歩くこともできない。しゃべることもできないという、非常に重度の障害を持って生まれてくるという事件がありまして。

それこそ1万人ぐらいの人たちが被害を訴えるといういうことがあったんですが。それが現在も続いているんですね。で、これね、撮影だけで20年ぐらいかけてますね。この映画はね。で、テーマは水俣病って、その1万人以上の人が「私は水俣病です」と申請してるんですけど、国に認定されてる人はそんなに多くなくて。2000人かなんかぐらいしかいないんですよ。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)で、それ以外の人たちは「ニセ水俣病」というようなことを言われてちゃったりするんですよ。で、それはどうしてそうなったのか?っていうことで、この認定されてない人たちが認定を勝ち取ろうとする戦いをずっと追っているのがこの『水俣曼荼羅』という映画なんですけれども。これね、まあすごく科学的な話になっちゃうんですけども。ずっと「有機水銀が体の中で神経とかをおかして、手足がしびれたりする」って言われてたんですけども。「そうじゃない」という学説が出てくるんですよ。この映画の中で。

それは「実は大脳の大脳皮質の部分、中枢神経の部分を水俣の人たちは破壊されてしまって。だから、その感覚が鈍くなるというようなことが起こる。手足のしびれとかは手足がしびれているんじゃなくて、脳の、その大脳の方の問題なんだ」っていう新たな学説を唱える先生が熊本大学医学部の教授で浴野(えきの)教授という人が出てくるですね。解剖の先生なんですけども。そこから「手足がしびれているっていうだけの人も、実は水俣病なんだ」っていうことになるわけですよ。そうすると。脳の状況を見れば……CTスキャンとかMRとかで見れば。そうすると認定患者が増えていっちゃうんですよ。それだと。

で、そうするとそれに対して賠償しなきゃならなくちゃならなくなるんで。その人数、1万人以上の人に対して。だから、国とか県とかはそれを認めたくないということで戦いになっていくわけですよ。その医学的な脳説。大脳皮質説と、それを認めない県とか国とかチッソとの戦いということになりますね。この映画の基本的なストーリーはね。

(赤江珠緒)そうですね。うん。

(町山智浩)それで、監督は原一男監督という人で。この人は世界的なドキュメンタリーの巨匠で。現在、76歳かな? 元々は田原総一朗さんと一緒にテレビを作ってた人なんですけども。

(赤江珠緒)それはまた、すごそう。

原一男監督作品

(町山智浩)すごそうですよね(笑)。で、1972年にですね、『さようならCP』というドキュメンタリーで世界的に注目されるですね。「CP」っていうのは脳性麻痺のことなんですけども。で、脳性麻痺の人たち、あまり人目につかないように生活してた人たちをこの原一男監督は表に引きずり出すですよ。で、「そんなの、別に恥ずかしいことじゃないんだ。自分が悪いわけじゃないんだから」って言って。

で、その人たちがカメラに撮られるということによって自分を解放していって。もう人がいっぱい歩いてる町の中に出ていって、自分たちのことを訴えるっていう映画が非常に強烈な映画で。『さようならCP』という作品なんですね。これで世界的に注目されて。あと、その次に撮った『極私的エロス 恋歌1974』っていう1974年の映画はこれ、原監督の元彼女が別の男の赤ちゃんを自宅で1人で出産する姿。それを原監督が撮ったという強烈な映画なんですよね。

(赤江珠緒)ええっ!

(町山智浩)で、全世界的に、興行的にも大当たりした衝撃作が1987年の『ゆきゆきて、神軍』で。これは太平洋戦争中にニューギニア戦線に出ていた奥崎謙三という人がですね、そこであった非常に残虐な事件を調査していくんですね。で、まあ日本兵たちが飢餓のあまり、仲間とかを殺して食べていた事実であるとか、部下を上官が射殺するとか、いろんな酷い事件があって。奥崎謙三さんもその部隊にいた人なんですけども。それを追求していくのをずっと追っかけるですよ。原一男監督が。

ところが、そのうちの奥崎謙三さんは拳銃を持って、その上官を射殺しに行くという展開になっていくんですよ。で、息子さんを逆に撃っちゃって、殺人未遂で逮捕されてるっていうすごい強烈な映画ですよ。それが『ゆきゆきて、神軍』という、そういうのを撮ってきた人が原一男監督ですね。で、その人が水俣病について6時間半の映画を撮ったって聞くと、「これは重いだろう」と思いませんか?

(赤江珠緒)しかも20年もかけていってね。

(町山智浩)そう。これ、テーマも重いし、時間も長いし。「これを見るの?」って思わない?

(赤江珠緒)思いますね。

(山里亮太)さすがに。

(町山智浩)「キツくね?」って思うんですよね。これね。

(赤江珠緒)ちょっとすさまじいものになってるんではないかと。

(町山智浩)「金、くれるんだったら見るよ」っていう人もいるだろうかもしれないですね。6時間半ですよ。水俣病について6時間半ですよ。この映画はね、すごく元気な映画でね。見てて楽しい時とか、笑う時とか、いっぱいある映画なんですよ。

(赤江・山里)ええっ?

(町山智浩)全く飽きないんですよ。

(山里亮太)6時間半?

(町山智浩)これね、出てくる人たちは水俣病の患者さんたちなんですけども。まずね、出てくる人がみんな元気。病気ですよ? 水俣病ですよ? 「元気って、おかしいだろ?」って思ったでしょう? これね、70過ぎた生駒さんっていう人が出てくるんですね。この人は15歳で魚を食べたために水俣病が発病してしまって。手足がしびれて、もうぶるぶるぶるぶる震え続けて。しゃべることもなかなか難しい人なんですけども。この人がすごいのは、自分の意志の力でものすごく頑張って、普通に働いて。30何年働いて、子供2人を育て上げて。定年まで勤め上げて、今は自分で船を買ったのかな? それで、漁船で働いているという、ものすごいポジティブな人なんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)で、この生駒さんって明るいの。もう明るくて、楽しくて。そういう人なんですよ。患者なんですけども。本当に重い障害が出ていることが後で分かってくるんですけども。それを、なんていうか、明るさと強い意志で乗り切ってしまうっていう人なんですよ。で、こういう人が次々と出てくるんですね。たとえば2009年に「210万円をあげるから、認定とかを求めないでくれ」っていう和解案を患者さんたちは提示されるんですね。で、その210万円をかなりの人を受け取って、認定されないままその訴えを取り下げるっていうことが起こるんですね。

で、その時にですね、90歳の川上さんという人が「こんなものでは妥協できない!」って言って戦い続けるんですよ。で、その時にね、撮影をしている原一男監督の声が聞こえるんですけど。すげえ嬉しそうに「いやー、戦うんですね。よかったですね! 僕もみんなが和解しちゃったから、本当悔しかったんですよ!」っていう原監督の声が聞こえてくるんですけど。これね、前に紹介した『ボストン市庁舎』っていう映画。あれ、4時間半ありましたが。あれの監督のフレデリック・ワイズマンは全く自分の気配を消して。インタビューもしないで、その彼が撮ってるっていうことを完全に消して撮る人なんですよね。

町山智浩『ボストン市庁舎』を語る
町山智浩さんが2021年10月26日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中でフレデリック・ワイズマン監督の映画『ボストン市庁舎』を紹介していました。

(町山智浩)でも原一男監督はものすごく、もう声が聞こえてくるんですよ。バンバン。で、原監督のこの元気さというか、それがすごくよくわかるのはその有機水銀を水俣の海では今、どうしてるのか? それは全部、海底から有機水銀を吸い上げて、陸上にあげて、その上に土を盛って埋め立てちゃっているんですね。で、海岸のところに、そのすごい危険な有機水銀を全部埋めて、その海岸にあたる部分のところには金属の板を水深10メートルぐらいのところまで立てて。それで海にそれが流れ出さないようにしてるんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)ただ、それはものすごく危険ですよね? 金属が腐食したりするからね。で、それを原監督は自分でタンクを背負って水中撮影……ずっとその海底まで撮影しに行くんですよ。

(赤江珠緒)えっ、自分で潜って?

出てくる人たちが皆、元気でポジティブ

(町山智浩)76歳ですよ? なんて元気なんだ、この人はって思ったんですよ。すごいなと思ってね。でね、出てくる人がみんなね、原監督は元気だからなのか、原監督が元気な人が大好きなのか、ちょっとあれなんですけども。みんなね、非常にポジティブなんですよ。でね、すごく重度の障害を持った坂本さんという人が出てるんですね。坂本しのぶさんって人。現在65歳なんですけど。女性でね。で、ものすごく重くて、ほとんどちゃんとしゃべれないんですよ。何を言ってるかも普通に聞き取れないし。その体もすごく変形してしまっているんですけども。

彼女がそのチッソとか県とか戦う時に一番、前面に出てくるんですよ。で、彼らと戦う時に一番前に出ていって、その権利を訴えるっていう女性がいるんですね。で、彼女は結構ドキュメンタリーとか、いろんなのに出てるんで結構有名な人なんですけども。その坂本しのぶさんはですね、今まですごくいろんな人たち、たくさんの人たち、男性たちを次々に好きになる……なんていうか、恋多き女性なんですよ。

(赤江珠緒)うんうんうん。

(町山智浩)で、彼女の周りに支援団体の人とか、いっぱいいるじゃないですか。そういう人たちが次々とこの映画にも出てくるんですけども。まあ結構いい男なんですけど。どれも。すぐに惚れちゃう人なんですね。元気なんですよ。彼女も。で、この脳の研究をしていて。実は水俣病というものは脳に直接、障害を与えるんだっていうことを探求している、その浴野教授。彼もものすごい元気なんですよ。で、「実際の水俣秒患者の脳を解剖したい」っていうのが彼の気持ちなんですね。「それで証明したいんだ。脳がやられるという、恐ろしいことなんだ。水俣病というのは」と。で、やっと患者の方が亡くなる時にですね、「私の脳を検体します。解剖して皆さんの認定を広げるために役立ててください」っていうことで、彼に託すんですよ。脳みそをね。亡くなった時に。すると、その脳をもらって、箱に入れて電車に乗る浴野教授がもうね、「わくわくする!」みたいな感じなんですよ。

(赤江珠緒)なんかちょっと状況と……そうか。そういう感じになるのか。

(町山智浩)「ときめく!」みたいな感じなんですよ。でね、それがやっぱりちょっとできなくなったりするんですけども。その後ね、また新しく水俣病患者の前田さんという方がやっぱり出てきて。「私の脳を研究に使って、他の患者さんたちを助けてください」って言うシーンがあるんですね。すると、その場で。「私の脳を預けます」って言ったその本人の前で、その浴野教授は「いやー、楽しみですねー!」って言うんですよ。

(赤江珠緒)ええーっ!

(町山智浩)すごいですよ。「いやー、あなたの脳を解剖するの、楽しみだ!」って言うんですよ。

(赤江珠緒)まあ、心から本当に思ってらっしゃることだし。だけど……そうか。

(町山智浩)でも、研究者ってそういうものですよね。でも、この人はいいことをするためにやってるわけですよ。もちろん。他の患者の人たちを救うためなんですけど。もう超嬉しそうでね。もう出てくる人がみんなね、元気なんですよ。すごく。そこがね、面白いんですけど。でね、さっき言ったすごく精神の力で、意志の力でその障害を克服している生駒さんっていう人のところにちゃんと……さっき「子供が2人いる」って言ったんですけど。お嫁さんが来るんですね。でも、昔は水俣病っていうのはすごく誤解があったり、差別があったり、偏見があってね。「病気が移る」とか言われていて、人が近寄らなかったりしたんですよ。でも、そこにお嫁さんが来てくれたんですよ。だから「自分が結婚できるとは思わなかったから、本当に嬉しかった」みたいな話をするんですけど。そうするとね、原監督はそのインタビューの最中にね、「で、初夜はどうでした? 初夜は?」って聞くんですよ。

(赤江珠緒)そこ? そこを聞いていく?

(町山智浩)もう、俺も爆笑しましたけどね。本当に(笑)。「なんなんだ、この映画は?」と思いましたけど。すると、その生駒さんは「いや、そんな……もうね、初めて女の人と一緒に寝るんだから。緊張してそんな……そんな気持ちになりませんよ」とか言うと「そんなの、嘘でしょう?」とか言うんですよ。原監督は。「女の人が体をくっつけて横に寝ているんですよ? 本当に緊張して?」とかって言っていて。「なんなんだ、このやり取りは?」っていうね(笑)。

(赤江珠緒)ちょっと想像したのと、違う(笑)。

(山里亮太)20年かけて撮っているから、そういうのを許される時も?(笑)。

監督自身の人柄がにじみ出ている

(町山智浩)そう。で、これ、原監督のこの人懐っこさみたいなものがすごく、この映画の前面に出てくるんですよ。明るさ、ポジティブな原監督自身の人柄が本当に映画にじみ出ていて。僕も何回かお会いしたんですけども、本当にそういう人なんですよ。本当に元気な人なんですよ。だから『さようならCP』っていう、さっき言った脳性麻痺の人の映画もそうなんですけども。『さようならCP』もその彼に撮られているうちに「俺も表に出ていくぜ!」っていう風になってくんですよね。撮られている人が。その面白さがまず、あるんですよね。だから元気になるっていう感じがあるんですよ。

でね、もうひとつはね、その原監督の興味が「初夜はどうでした?」っていうので。「じゃあもうお子さんも大きくなったことだし、もう1回、新婚旅行に行きましょう!」って言って、その生駒さん夫婦を新婚旅行に連れて行くんですよ。そこがすごく、原監督のもうひとつのテーマで。愛、恋愛みたいなものをものすごくね……他の人がやっぱり、水俣病ということになると、その病気の大変さみたいなことばっかりになるんですけど。でも、そうじゃなくて原さんは「で、愛の方はどうなっているの?」って聞いていくんですよ。そこがね、すごくこの監督独特のところでね。

さっき言った坂本しのぶさんっていうの方。非常にメディアにもよく出てくる人なんですよ。でも、「本当は恋多き女性だ」みたいなところを原さんが掴むとですね、「今までどういう人が好きになりました?」「こういう人と、こういう人とこういう人と……」「じゃあ、それ全部、会いに行こうよ!」っていうので、彼女が今まで好きになった男性のところに全部、会いに行くんですよ(笑)。

(赤江珠緒)その発想がね、だからその偏見とか差別とかじゃなくても、そこまで全ての人にフラットな状況で感情を持てるっていうのはすごいですね。原さんね。

(町山智浩)すごいんですよ。それで、行くでしょう? すると、彼氏がやっぱり困った感じなんですけど。そうすると原監督は「でも彼女の気持ちに気付いていたでしょう?」とか言うんですよ。

(赤江珠緒)そんな、小学生じゃないんだから(笑)。

(町山智浩)これ、困るよね? で、次々に会いに行くんですよ。これもすごいですけど。で、また坂本さんっていう人は非常にロマンチックな人で。恋の歌、ラブソングを作ったりしてるんですけども。それがまた非常に泣ける歌でね。「私もいつか、1人でアパートに住んでみたいな」とか。要するに彼女、介護なしには生きられない人なんで。「私は今まで、いっぱいいろんな人を好きになったけれども、1回も実りませんでした」みたいな歌を歌うんですけども。

そのへんのね、普通のドキュメンタリーとかで突っ込まない、その愛とか恋に原監督はぐいぐい突っ込んで行くんですよ。あとね、イサヤマさんという女性がいて。この人はものすごく重くて。ほとんど動けないんですよ。ただ、ディズニーが好きで。ディズニーのアニメとかをずっと、たくさん見てるんですね。この人が。で、そこで原監督は「ディズニーの一体なにが好きなの?」って聞くと彼女が『シンデレラ』っていうんですね。で、「『シンデレラ』のどこがいいの?」って聞くと、「王子様が来て結婚してくれるから」って言うんですよ。

あと、さっきの川上さんっていう「最後まで戦い抜く」って言っていた90歳の端に患者さんにね、「なんで戦うんですか?」って聞くと「女房も水俣病で亡くなったんです。実は私と彼女は駆け落ち同然で結婚して。あのカミさんに愛されなければ、私という人生はなかった。彼女のために戦うんです」って言うんですよ。だからね、これは全部愛の話なんですねよ。さっきの浴野教授もそうだけれども。とにかく脳を解剖するのが好きでしょうがないっていうね。だからこれ、何かを好きな人たちのものすごいエネルギーとかパワーとか、そういったものに原さんはすごく吸い寄せられていく人なんですね。だからこの映画は水俣病についての映画でもあるんですけれども、これはすごく人間讃歌で。「人間って素晴らしい」っていう映画でもあるんですね。

ただね、水俣病っていうのは水俣だけで起こってることだと思ったら大間違いで。有機水銀は今、世界中に広がってますからね。お子さんを妊娠された方だったらわかるんですけど。魚、食べれないんですよね。子供ができると。だからこれは全ての人にとっての問題でもあるので。有機水銀の問題というのは。だから、そういうでも非常に全ての人が見るべき映画だろうと思いますね。

(赤江珠緒)ねえ。6時間半を超えるのも、それはもうやむなしっていう濃厚な映画ですね。これは。

(町山智浩)はい。でもやっぱり人って素晴らしいなっていうね。本当に原一男監督の人柄がよく出た映画だと思いました。

(赤江珠緒)『水俣曼荼羅』は11月27日から渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開です。6時間30分だけに、お値段も少しは高めにはなってるんですね。前売りが3600円。当日3900円となっております。

(町山智浩)はい。途中で2回、休憩があります。おしっこしないとならないからね(笑)。

(赤江珠緒)はい(笑)。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)どうもでした。

『水俣曼荼羅』予告編

<書き起こしおわり>

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