槙田紗子さんが2023年11月14日放送の『猫舌SHOWROOM 豪の部屋』に出演。PASSPO☆でのアイドル活動を終え、振付師としてセカンドキャリアを歩み、TikTokバズを連発するようになるまでのキャリア形成を話していました。
（槙田紗子）いやー、（FRUITS ZIPPERは）本当に苦労してますよね。なんか、タイミングってあるんだなってすごい思いました。人生においてのそういうタイミングって、バラバラなんだなと思って、。それはなんか、早く成功するのがいいとか、苦労した方がいいとかは、たぶんないと思うんですけど。それは自分でも思いますね。
（吉田豪）いろいろと苦労をして。
（槙田紗子）「10代はピークじゃなかったんだ」みたいな。自分でも思います。
（吉田豪）当時はいろいろと悩んだりはしたと思うんですよ。
（槙田紗子）なんか、たぶん傍から見たら、外から見たら自分がいたグループとかって結構……。
（吉田豪）オリコン1位も取ってね。
（槙田紗子）タイミングもすごい良かったし。
（吉田豪）アイドル戦国時代で目立ったグループで。
（槙田紗子）そう。あの時代にアイドルできていたのってマジでラッキーだったなって本当に思うんですけど。だし、すごい運がいいとは思うんですけど。でもなんか、そこがある意味、人から見たら華やかかもしれないですけど。自分の人生の年表でみたら、割と低いところにあるっていう。
（吉田豪）それ、めちゃくちゃ理想的ですよ（笑）。
（槙田紗子）本当ですか？ まあ、私のメンタル的なものを含めて。内面的なものを含めてですけど。
（吉田豪）セカンドキャリアでこれだけ結果出してそう言えるのって、本当に幸せだと思う。
（槙田紗子）いや、本当に幸せだと思います（笑）。
（吉田豪）収入的なものとか、いろんなものを含めてたぶん今が一番、満たされているんだと思いますけど。
（槙田紗子）そうですね。なんか……どんどん良くなってるなっていうのは思いますね。自分でも。
（吉田豪）いや、いいことですよ。バチバチのアイドル戦国時代を経験してきて、「あれは全然私のキャリアのこれぐらい」っていう（笑）。
（槙田紗子）ヤバい！ 鼻につきますね（笑）。
（吉田豪）つかないですよ。全然いいですよ。うらやましいっていうか、そうあってほしいと思うもん。
（槙田紗子）でもなんか、本当に今だから言えますけど。すごいあの時も、「私、こんなもんじゃない」とはすごい思ってました。やりながら、「こんなはずではない。私、もっといけるはず」って心のどこかで思いながら、「私はいつか爆発するんだ」って思って。
（吉田豪）「もっと売れるはずだ」とか、「人生、31ぐらいからだ」とか、なんかそんなようなことは言ってましたね。
（槙田紗子）そうなんですよ。だから私、いろんな占いで、様々な占いで、「人生のピークは30を越えてから」って出るんですね。で、「28までが苦悩の人生」って出てくるんですよ。
（吉田豪）まあ、苦悩ありましたけどね（笑）。
（槙田紗子）なんか、四柱推命とかあるじゃないですか。10年単位で見るやつとかで、だいたい「28までが地獄」みたいなのが出てくるんですよ。
（吉田豪）地獄だったのかな？（笑）。
（槙田紗子）まあ、全然そんなことはないんですけど。地獄にしては恵まれすぎですけど。なんか、占い的にはそういうのが出ているみたいな。で、だんだん……30を越えたらピークだから、そこに向けて抜けてはくるよ、みたいなのが出ていて。マジでそれだわ、みたいな。で、私、占いとかそういうのを信じすぎるタイプなんで。そういうのを見ると、「そうなんだ！」って思い込みすぎて、自分でそうしちゃうんですよ。だから、そうなったのかなとも思うんですけど（笑）。
（吉田豪）占いに寄せに行った？（笑）。
（槙田紗子）寄せに行っただけかなとも思うんですけども（笑）。
（吉田豪）30過ぎて結果が出るように頑張って？（笑）。でも、なかなか結果、ここまでは出せないんですよ。
（槙田紗子）本当ですか？ いやいや、そんなそんな、まだ全然です。まだまだです。
（吉田豪）いろんなアイドルの方々が辞めた後のセカンドキャリアを考えて、いろいろやってますよ。いろんな人たちが迷いながら、です。
（槙田紗子）だからなんか、本当に自分にしかできないことがあってよかったなって。そこがそもそもラッキーだなって。
（吉田豪）「自分にしかできない」。
（槙田紗子）それが、振り付けで。
自分にしかできない振り付け
（吉田豪）それこそ、だからPASSPO☆時代に竹中夏海先生が振り付けをやっていて。っていう環境があって、メンバー間にも振り付けできるような子がいて。それで「私にしかできないことが振り付けだ」みたいに思えたのもすごいなと思って（笑）。もう既に椅子が埋まっている感じ、するじゃないですか。
（槙田紗子）ああ、たしかに。変なところ、ポジティブなんですよね（笑）。基本が私、根暗じゃないですか。
（吉田豪）病んでた時期があるぐらいに。
（槙田紗子）でも、本当に最近、久しぶりに会った人とかに「なんかめっちゃ陽キャになってる」ってびっくりされるんですよ。
（吉田豪）今になってPASSPO☆感が出てるよって？（笑）。PASSPO☆の中の地味ポジションみたいな感じだったのが。
（槙田紗子）そう。って言われるけど、現役時代はマジで楽屋の隅っこでずっとイヤホンしてましたけど……みたいな（笑）。
（吉田豪）今になってクラスの陽キャ感が出てきた（笑）。
（槙田紗子）根は別に変わってないとは思うんですけど。なんか、人当たり的なものがちょっと明るくなったりとか。割と、なんだろう？ 適当に、楽観的に物事を考えられるようになったっていうのがあると思うんですけど。そうですね。でも、振り付け。なんか、人と同じことができないっていうのだけはわかってたので。
（吉田豪）「人と同じことができない」？
（槙田紗子）職人技みたいな。職人っぽい仕事の方がいいなと思ってたんで。なんか、振り付けって、みんなができることではないから。なんかそれを自分が割とできなくないし、「やりたい」って思えたこと自体、もうそこでラッキーだなって、めっちゃ思いますね。
（吉田豪）本人に聞くのもあれですけど……なぜ、結果を出せたんですかね？
（槙田紗子）ええっ？ いやー、真面目にやってたからじゃないですかね？（笑）。
（吉田豪）他の人たちと比べて、何を差別化して自分は作ろうかなとか考えたのかなって。
（槙田紗子）うーん……でも、やっぱり振付師っていろんなタイプがいるんですけど。ダンサー上がりの……ダンサーで、たとえばいろんなダンススクールで毎週、クラスを持っていたりとか。そういう方々は……。
（吉田豪）大手事務所の振り付けやっている人はだいたい、そういうイメージですね。
（槙田紗子）そういう感じじゃないですか。だったりとか、アイドルじゃなくてアーティスト系の振り付けって、だいたいダンサーだったりとか。広告とかも結構、ダンサーさんだったりとかするんですけど。私はそこに勝てないなってすごい思っていて。その、かっこいいダンスを生み出したり、本格派のダンスを生み出すっていうことは……。
（吉田豪）それはもう、キャリアには勝てるわけないから。
（槙田紗子）そう。今からそれを勉強しても、なんかそれをやってる人がいるのに、そこに追いつこうとする時間がもったいないなって思って。その要素を取り入れるって意味で勉強はしましたけど、そうなろうとは思わなくて。自分はやっぱり元アイドルで、アイドルとしてステージに立っていたっていう。
（吉田豪）それを武器にするべきですね。
（槙田紗子）そういうキャリアがあるから。それって逆にダンサーさんは持っていないキャリアだから。それで「自分にしかできないこと、自分にしかない観点って何だろう？」って考えた時に、演者が喜ぶ振り付けを……。
（吉田豪）「演者が喜ぶ」？
（槙田紗子）それを徹底的に。
（吉田豪）「演者が喜ぶ」ってどういうことなんですか？
（槙田紗子）「盛れる」みたいな。「えっ、私、かわいいかも？」って踊っていて思えるっていう。
（吉田豪）へー！ 振り付けでそれがあるんだ？
演者が喜ぶ振り付けを極める
（槙田紗子）そう。私は結構そこを……竹中夏海先生の振付も割とそっち寄りだったので。「これ、踊りたくない」って思うものとかなくて。「いや、この振り付けはさすがにないだろう」とか思ったことがなくて。
（吉田豪）たしかに、かわいくない振り付けとか、ありますもんね。コミカルだけど、なんか……。
（槙田紗子）そうそう。「なんでここでガニ股をするんだ？」みたいな。
（吉田豪）あるある。アイドルあるある（笑）。
（槙田紗子）なんかそれってでも、正直振付師としては、振り付けとしてはすごいいいものだなって思うものもあるんですよ。ただ、それって踊っている本人はたぶん嫌だろうな、みたいなのとかもあって。
（吉田豪）「ここを写真に撮られて拡散されるのは嫌だろうな」って。
（槙田紗子）そうそうそう！ それが、だからそのガニ股も使うポイントによってはそうなっちゃう。だから、そういうのってたぶん自分がステージに立ってたからこそ、考えられるし。なんか、アイドルからの信頼を得るためにはもう、アイドルのために振りを作ろうと思って。
（吉田豪）より、かわいく見える振り付けを考えようと？
（槙田紗子）そう。だから、なんだろうな？ ファンの人が喜ぶっていうのはそもそも、アイドル自身が楽しそうにやっていたら、ファンの人も嬉しいじゃないですか。だから、ファンの人がどうとか、事務所の人がどうとかっていうよりかは、もう本人たちが喜ぶっていう。振り入れをしていて「ええっ、かわいい！」とか、「えっ、嬉しい！ なんかこれ、楽しい！」とか、そういう声が上がる振りを作ろう、みたいなのは考えました。
（吉田豪）面白いですよね。でもたしかに、それは正解だと思いますよ。ファンは単純に、メンバーが楽しくやってくれればよしじゃないですか。そして、かわいく見えたらよしで。
（槙田紗子）そう。そういうのが伝わるじゃないですか。メンバーが嬉しいそうにやっている。楽しそうにやっているっていうのが魅力として出るから。それでファンも増えるかもしれないし。そういうのを考えたりしました（笑）。
（吉田豪）なるほど。面白いですね。
（槙田紗子）あとは、なんだろうな？ 振りを作る時……でも結構、その自分の父親が……。
（吉田豪）広告関係の方なんですよね？
（槙田紗子）そう。アートディレクターをやっているんで。「対クライアントに対して、どうアピールするか？」みたいな。
（吉田豪）それを、お父さん効果で学んでるんですか？
（槙田紗子）学びました。なんか、私がたぶん前回、豪の部屋に出た時ぐらい。本当にキャリアが全然なくって。そこでちょっとたまたま、大手の事務所さんとお仕事する機会があった時に、提出した振り付けに対して修正が来たんですけど。なんか、正直インディーズのアイドルとかって、基本は「おまかせで」なんですよ。それで、そこまでそういうスタイルでしか仕事をしてこなかったから……。
（吉田豪）「ダメ出し」っていうものがまずなかった。
（槙田紗子）もうなんか、びっくりしちゃって。すごい落ち込んじゃって。で、その時に父親に相談したら、結構いろいろ教えてもらったりとかして。
（吉田豪）広告はダメ出しが当たり前ですからね。修正して、修正して……って。
（槙田紗子）そう。当たり前。でも、そこの受け止め方だったりとか。「全部を直す必要はない」とか。そこでいろいろする教えてもらったりとかしたのが、でかかったかもしれない。だから、その「相手の意図を汲み取る」みたいなところはそれこそ、握手会とかでも鍛えられてるんで。あとは握手会以外にも、アイドルとか演者の仕事って、やっぱりその演出してる人が何をしてほしいのかとか。この人は何を言わせたいんだろうとか、そういうのをめっちゃ考えるんですよ。そういうのもめっちゃ鍛えられてるんで。まず、依頼された段階で自分に何をしてほしいのか？っていうのを分析する力は結構ある方だと思います（笑）。
（吉田豪）「握手会で鍛えられた」っていうのはオタとしても嬉しいと思いますよ。「俺たちが役に立ったんだ！」っていう（笑）。
（槙田紗子）ありがとうございます、皆さん！ 皆さんとのトークが役に立ってます。
（吉田豪）大人とのやり取りをする上で。
アイドル時代の握手会で磨かれたスキル
（槙田紗子）そうそうそうそう。でも本当に役に立ってますよ。これ、私のあの唯一の友達が元AKBの近野莉菜っていう子なんですけど。あの子も今、アパレルをやっていて。普通に会社員なんですけど。なんか、自分の入りたいブランドに入るために1回バイトをしたんですよ。で、その店舗でもう最速で売り上げ1位になったんですよ。それも、握手会で鍛えられたって言ってました。
（吉田豪）そうか！ AKBは鍛えられますよね！ そりゃ。
（槙田紗子）なんかそのお客さんとの距離感だったりとか。「この人、グイグイ行っても大丈夫」とか「この人、あんまり行かない方がいい」とか。何に困ってるとか。そういうのとかもやっぱりすぐ察知できるから。もう秒で……長年のバイトの先輩たちを秒で追い越したって言ってた（笑）。
（吉田豪）フハハハハハハハハッ！ いい話だなー。
（槙田紗子）いや、そうなんですよ。だから「マジでアイドルってすごいいい経験だったよね」っていうのは結構、2人で話します。
（吉田豪）福田花音さんも1回、アイドルを辞めた後にバイトやったら、ものすごいスピードで出世したとか言っていましたよ。たしか。
（槙田紗子）それはかなりあると思います。
（吉田豪）意外と、その鍛えられた何かを生かせば……。
（槙田紗子）そう。アイドルって、なんかオールジャンルでやれるじゃないですか。女優さんとかだったら、お芝居だけだったりするし。でも、アイドルって歌もダンスも練習もするし。ステージに立ってパフォーマンスもするし。握手会でトークもするし、バラエティも出るからトークスキルも磨かれるし。演技の仕事も……MV撮影で演技とかもあるじゃないですか。だから、アイドルをやってるだけで、浅くかもしれないけど、割とどのジャンルも触れられるっていうか。
（吉田豪）浅く全て経験して、自分に何が向いてるかを学ぶことはできる。
（槙田紗子）そうなんですよ。だからなんか、本当に全部やりたい人からしたら結構最高の仕事だし。その後、芸能で頑張っていきたい人だったら、自分の方向性を見つけられるいい経験だと思うので。
（吉田豪）そして裏方としてやっていく上でもプラスになるっていう。
（槙田紗子）そうそうそう。なんか本当にラッキーだったなって思いますね。マジで。マジで10代でアイドルやってよかった！っていうことしかないです。
（吉田豪）ダンスをやって、人との交流を学んで。
（槙田紗子）そう。だから人に教わってるから、教えることもできるし。とか。うん。皆さんのおかげです（笑）。
（吉田豪）なるほどなー。いや、勉強になる。
（槙田紗子）本当ですか？（笑）。普通に中身のある話をしてるの、笑う（笑）。
（吉田豪）してますよ。ただの酔っ払いが管巻いてるわけじゃないっていう（笑）。
（槙田紗子）本当ですよ。今日はシラフですからね（笑）。
（吉田豪）でも、そのアイドルのかわいさをいかに際立たせるか、やっていて楽しいと思わせるかの果てに、あのバズりがあったわけですよね？
（槙田紗子）そうなんですかね。でも私、分析をするのが好きなんで。それが結構でかいと思います。
（吉田豪）TikTokでバズるには何が必要だったかを考えるのが好きなわけですね？
（槙田紗子）好きですね。結構。
＜書き起こしおわり＞