町山智浩 ラスベガス球体型アリーナ「スフィア」でのU2ライブを語る

町山智浩 ラスベガス球体型アリーナ「スフィア」でのU2ライブを語る こねくと

町山智浩さんが2023年10月3日放送のTBSラジオ『こねくと』の中でラスベガスにオープンしたばかりの球体形アリーナ「スフィア」に行った際の模様をレポート。総工費3400億円の会場で見たU2のライブについて、話していました。

(町山智浩)いやー、こっち、0時ですよ。

(でか美ちゃん)1時間遅いスタートになり。コーナーもごそっとずれてますんで。

(石山蓮華)本当に大変夜分遅くにありがとうございます。

(町山智浩)いえいえ。僕ね、前にね、この前の番組だったんですけど。1回、居眠りして。

(石山蓮華)たまむすびで。伝説の回ですね(笑)。

(でか美ちゃん)知ってます(笑)。

(町山智浩)それはね、こういう状態でコンピューターの準備してたんですけど、そのまま寝ました。寝落ち。

(でか美ちゃん)そうか。「そのまま」っていうのがまた切ないですよね(笑)。

(石山蓮華)準備はしっかりしてたのに(笑)。

(町山智浩)してたのに。こうやっているうちに、寝ちゃって。

(石山蓮華)やっぱりね、お疲れの時は……。

(町山智浩)もう、おじいちゃんだからね、夜が早いんですよ。朝も早いし。

(石山蓮華)ちなみに普段は町山さん、何時ぐらいに寝てらっしゃるんですか?

(町山智浩)10時ぐらいには寝ていますね。

(でか美ちゃん)じゃあ、2時間起きておくっていうね。しかも、オンの状態で。

(町山智浩)そうなんですよね。テンションが上がるかどうか、すごい心配です。

(石山蓮華)じゃあちょっとね、町山さんがこちら、テンションが上がっていたんじゃないかなと思われる情報がTwitter改め、Xに載ってましたけど。スフィアっていう、ラスベガスにオープンした球型の劇場に行かれたんですね?

(町山智浩)はいはい。ラスベガスにね、この間、金曜日にオープンした……スフィアっていうのは「球体」っていう意味ですね。で、高さが112mの球形の劇場なんですよ。それが。でね、中……球体の内側は全部、LEDのスクリーンになっていて。なんていうの? 『鏡地獄』っていう江戸川乱歩の小説が昔、あって。鏡の内側も全部鏡張りにして、中に入ったらどうなるか?っていう小説なんですけどね。それみたいなんですけど。ただ、大きさがすごいんですよ。高さ112mですからね。で、中はスクリーンがね、1万5000平方メートルのLEDスクリーンなんですよ。

高さ112m、1万5000平方メートルのLEDスクリーン

(でか美ちゃん)すごい。私、結構これ、こけら落としをU2がやって話題になっていて。いろんな人がXにアップしてる映像を見たんですけど。ちょっとすごすぎて、怖いぐらいですよね。内側が。

(町山智浩)そうですね。ちょっと気持ち悪くなる感じで。

(石山蓮華)じゃあ、もう全面、見えるところ全部に映像が動いてるってことですか?

(町山智浩)そうそう。視界全部が……頭の上の方というか、背後ぐらいからね。球体だから。それからもう足元まで全部、両端もね、全部映像に覆われるんですけど。

(でか美ちゃん)全面演出だ。

(町山智浩)そうそう。でもそれだけじゃなくてね。すごいのはその映像自体の、そのひとつひとつのLEDが映している映像がですね、16Kなんですよ。

(石山蓮華)16K?

(町山智浩)16K。4Kでも「すげえ!」とか思うんですけど。16Kだから、実物と何も変わらないんですよ。

(でか美ちゃん)うわっ! 私、その映像を見た時に中が球体なのは、LEDでそういう錯覚をしているのかと思ったら、もう完全に球体で。外側の演出もすごいですもんね?

(町山智浩)そうです。外観にもLEDを埋め込んであって。その球体の外側も、いろんな映像を映すんですよ。地球とか、月面とか、あとかわいいニコちゃんマークとかを映したりで。あとはバスケットボールの形になったりとかしていて。

建物外側にもLED

(町山智浩)で、内側の方はね、さっき言った16Kって……だから、なんだよ? いい4Kテレビの4倍っていう。で、もう拡大しても髪の毛が1本1本見えるぐらいのね、ものすごい緻密な映像で。しかも普通のテレビとかビデオとかの映像って、だいたい1秒間に30コマなんですよ。で、映画は24コマなんだけど、ここは60コマなんですよ。だから単位時間の情報量もすごく大きくて。これね、ショースキャンというシステムでね。今まで何回か、ハリウッドでは試していたんですよ。実は。僕、それも見たことあるんですけど、それはね、あんまり良くなかったの。あのね、映画の撮影現場に行ったこと、あります?

(石山蓮華)あります。小規模なものだったら。

(町山智浩)撮影現場に行くと、映画を撮影をしてるなって感じなんだけど、それが実際にできた映画と比べて見たこと、あります?

(石山蓮華)あります、あります。

(町山智浩)実際に出来た映画の方が、ドラマチックで美しいでしょう?

(石山蓮華)そうですね。色味も違いますし。照明もうまく効いていて。全然違いますね。

(町山智浩)そうなんですよ。ところが、60コマになっちゃうと本当にその撮影現場に行ってる感じがするんですよ。

(でか美ちゃん)ああ、リアルすぎるんですね?

(町山智浩)そう。リアルすぎて逆に迫力がないんだけれども。その辺の問題をね、すごく解決していて。すごかったのは途中で砂漠を……要するに、ラスベガスって外は全部砂漠なんですけど。ラスベガスのその建物が最初、バーッと映るんです。全面に。で、「これは外にあるカメラでリアルタイムで外を撮っているのかな?」って思うんですけど。そうすると、そのラスベガスのビルが全部、解体されていくんですよ。

(でか美ちゃん)おおーっ! ちょっとぞっとする……。

(石山蓮華)特撮映画みたいですね。

(町山智浩)そうそう。

(でか美ちゃん)なんか、下手したらパニックが起きそうなぐらいに(笑)。

(町山智浩)で、「うわっ、ラスベガスがなくなっちゃうの?」って思って。それで見ていると砂漠に戻って。本当に、なんていうか、屋外で見てるみたいな感じになるんです。超リアルな。

(でか美ちゃん)もう、あれだ。絶対に雨とか機材の心配とかがない状態で、野外ライブができますよね。もはや。

(町山智浩)そうそう。屋内なのに野外ライブと同じっていうね。あとね、球体劇場で、これだけデカいと……直径がだから、100m以上でしょう? デカいところでライブとか見たことがある人だったらわかると思うんですけど。遠くのスピーカーの音は、後から来るんですよ。

(でか美ちゃん)反響が、結構ね。

(町山智浩)エコーを起こしちゃうんですよね。近いスピーカーの音の後に遠いスピーカーの音が来て。音がだぶって聞こえて、聞き取りにくいんですけど。このスフィアはね、一切それがないなんですよ。

(でか美ちゃん)えっ、なんで?

スフィアの音響システム

(町山智浩)まず、全体のスクリーンの裏側にスピーカーが全部仕掛けてあって。たとえば鳥が飛んでいく映像があったりすると、その鳥が動くごとにスピーカーの音自体が動いていくっていうシステムになっていて。

(でか美ちゃん)映画のドルビーシネマみたいですね。

(町山智浩)ドルビーシネマみたいなんですけど、ドルビーシネマ上下の感覚はないんですよ。左右だけなんです。でもここは上下左右、全部あって。しかもそれを補正するのに、各シートのところにもスピーカーが付いているんですよ。で、反響がないようになっていて、スクリーンが全部、網目になっていて。音を全部、吸収しちゃうんですよ。

(でか美ちゃん)すごい! めっちゃ行ってみたいなー。

(町山智浩)すごいですよ、これ。

(石山蓮華)じゃあ、見切れ席という概念みたいのが、もう全くないってことですか?

(町山智浩)まあちょっとね、見にくい席はあるんですけど。見やすい席はめちゃくちゃ高くてね。プレミアとか、いろいろついてね30万ぐらいになっていたみたいですけども。僕は早めに買ったんで結構、安めだったんですけど。すごい早めに買ったんで。実はね、カリフォルニア州からこの間、「インフレ補助金」っていうのが出たんですよ。それで行ったんですよ。

(でか美ちゃん)ああ、Xにもちょっと書かれていましたね。

(町山智浩)そう。1人20万円以上、いきなりお金が送られてきたんで。

(石山蓮華)結構大きいですね。

(町山智浩)そう。夫婦でね、40万円以上。だから「これは臨時収入だから、行くか!」ってなって、行きました。

カリフォルニア州のインフレ補助金で見に行く

(でか美ちゃん)でもこれ、この会場はいつ、元が取れるんだろう?って思っちゃう(笑)。すごいですよね。お金もかかっていて。

(石山蓮華)1席30万の公演をたくさんたくさんやったら……。

(町山智浩)いや、その値段はプレミアついてるやつだから。転売でね。

(でか美ちゃん)もっとお得な席とか普通の席もあるのか。

(町山智浩)そうそう。これね、ロンドンにももう1個、作るらしいんですよ。で、これね、その映像を作る会社っていうのがあるわけですよ。でもそれって、普通のコンピュータ画面では作れないわけですよ。だから、ちっちゃい球体のスタジオがあって、そこで作ってるんですよ。

(でか美ちゃん)面白い!

(石山蓮華)なかなか日本には来なさそうですね。

(でか美ちゃん)でも音楽も発展したら、いろんな発展をして。また映画も発展していくのかもしれないしね。

(町山智浩)そうですね。ここでプロレスとかやったら、すごいだろうなって。要するに、実際にライブでU2が演奏してるところもカメラで映して。それも拡大して見せるんで。本当にその辺にボノがいるみたいな感じにもなるんですよね。

(石山蓮華)見てみたいですね。

すぐその辺にボノがいる感覚になる

(町山智浩)これはすごかったですね。お金は結構、あれだったんですけど(笑)。価値はあると思ったんですね。総工費は23億ドルっていうんですけど。これはね、すごい金額ですよね。

(でか美ちゃん)日本円だと3400億円!

(石山蓮華)国家予算レベルですね。

(町山智浩)すごい……もう万博レベルですね。もっとか?

(でか美ちゃん)今はまだ私たち、ハンカチをくわえて「スフィア、行ってみたいな」しか言えないんで。日本でも見れる映画を紹介していただいていいですか?(笑)。

(石山蓮華)お願いします(笑)。

(町山智浩)わかりました。いいつなぎですね! うまいなー、プロだなー!

(石山蓮華)でか美プロですよ!

(でか美ちゃん)町山さんにまでいじられたら、恥ずかしくて仕方ないですよ(笑)。

(町山智浩)俺なんか、もう何十年もラジオをやっているけど全然うまくならないんで(笑)。

(でか美ちゃん)そんなことはないですよ(笑)。

(町山智浩)寝過ごしたりしてますけどね(笑)。

<書き起こしおわり>

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