野沢雅子と森下孝三『ドラゴンボールZ』悟空の元気玉・引き伸ばしを語る

野沢雅子と森下孝三『ドラゴンボールZ』悟空の元気玉・引き伸ばしを語る TOKYO M.A.A.D SPIN

野沢雅子さんと森下孝三さんが2023年9月25日放送のJ-WAVE『ゆう坊&マシリトのKosoKoso放送局』でアニメ『ドラゴンボールZ』で悟空が元気玉を溜めてから実際に撃つまで数週間、引き伸ばした話をしていました。

(森下孝三)でも野沢さんなんか、一番休めたのは蛇の道だよね(笑)。

(野沢雅子)そうそうそう!(笑)。

(森下孝三)あれは延々とやったんだから。3ヶ月ぐらいかな?

(野沢雅子)だってただ乗っているだけだし。

(Naz Chris)そうだ(笑)。

(野沢雅子)それで私、言ったんですよ。「ねえ、ちょっと。悟空、どうしちゃったのよ? ただ乗っちゃってるだけで。それなりに私、気持ちにはなってますけど。だけどさ、もうちょっと悟空なんだから、動いてほしいな」って(笑)。

(鳥嶋和彦)でもね、あれは僕は鳥山さんの絵コンテを見た時に仰天しましたよ。主人公を殺して。で、頭の上に輪っかがついていて(笑)。

(野沢雅子)そう。輪っかがついてて。びっくりしましたよ!

(鳥嶋和彦)これはね、やっぱり彼じゃないと書かないコンテだなって。

(野沢雅子)驚きましたもん!

(森下孝三)本当にびっくりしました。

(Naz Chris)そんな驚かれたんですか?

(野沢雅子)「ええっ? 悟空、死んじゃったの?」って言ったら、次のカットで輪っかをつけてでてくるから(笑)。「はーっ!」って。それでまたびっくり(笑)。

(鳥嶋和彦)いや、だからいとも簡単にセオリーをひっくり返すわけですよ。だから編集部の人間に言われたことがあるんです。「鳥嶋くんさ、『ドラゴンボール』、面白いんだけどさ、いい加減にしてくれないか? 今までのセオリーが全部壊されていくと、すごくやりにくいんだけど」って言われて。主人公が死ぬっていう。

(野沢雅子)主人公が死ぬなんて、ありえないですからね。アニメでは。

(森下孝三)で、死ぬとは思わなかったけど、あの蛇の道をね、ずっと走っていくじゃない? で、「蛇の道、ずっと走っていくんだけど、それじゃ持たないから」っていうことで先生に頼んだら、ピッコロが免許を取りに行くっつって(笑)。そういうのをインサートしてさ。ピッコロの話を入れて(笑)。

(鳥嶋和彦)ああ、そう?

悟空&ピッコロ免許取得エピソード

(森下孝三)で、ヤムチャは野球の選手になるんだよね? で、鳥嶋さんがそういう原稿を持ってきて。「森下さん、こういうの、入れられる?」って。で、その間に悟空をずっと走らせて。ねえ。

(Naz Chris)天女みたいな……地獄のどこかに行くのもありましたよね? 誘惑されて、お風呂に入りに行くっていう。

(鳥嶋和彦)だからあの頃は本当に申し訳ないけれども。そういう意味ではアニメの方々や声優さんにはずいぶんとご迷惑をおかけしてて。やっぱりね、戦闘が続くとNazさんが言うようにね、それをちゃんとやろうとすると、あっという間に終わっちゃうから。

(森下孝三)1分もあれば終わっちゃうからね。

(野沢雅子)そう。本当に。

(Naz Chris)見ている方としては「まだ続くのか? 来週まで、さらに1週間、待たなきゃいけないのか」って思ってましたもんね。

(森下孝三)それが一番すごかったのはね、元気玉だね。「オラに元気をくれ!」ってこうやってやっていたでしょう? あれ、2ヶ月ぐらいやったんだよ。

(鳥嶋和彦)えっ、2ヶ月?

(森下孝三)10本ぐらいやったんじゃないか?

(野沢雅子)そうなんですよ。

(鳥嶋和彦)元気玉の元気を集めるのに2ヶ月ぐらいって、8週やったっていうこと?(笑)。

(森下孝三)8週はオーバーかもしれないけども。でも、かなりやったよね。

(野沢雅子)かなりやりましたよ。

実際には3週(92話~94話)かかった元気玉チャージ

(森下孝三)それでね、あの頃は視聴率が一番すごかったんだよね。。それで八奈見さんが「次回こそ、いよいよ……」とか言うんだよ(笑)。

(鳥嶋和彦)アハハハハハハハハッ!

(野沢雅子)「なにがあるんだろう?」みたいな言い方をするじゃないですか(笑)。

(鳥嶋和彦)で、3週、4週経っても元気玉が完成しない?

(森下孝三)完成しない(笑)。

(野沢雅子)もう毎週、これだけだからね、楽っていえば役者に取っては楽なんですけどもね。「はーっ!」って言っているだけだから。

(森下孝三)絵の方も楽なんですよ。同じ絵がずっとだから(笑)。

(野沢雅子)みんな楽で(笑)。

(鳥嶋和彦)だけど、それが一番視聴率がよかった?

(森下孝三)伸びていて。で、そこまで引っ張ると子供たちが塾に行けなくなっちゃって。あれ、放送が7時からだったでしょう?

(Naz Chris)水曜日の7時でした。

(森下孝三)だから子供たち、水曜日7時は塾に行けないの。行っちゃったらさ、元気玉を投げられちゃうじゃない?

(野沢雅子)なにがあるか、わからないからね。

子供たちが塾に行けなくなる

(森下孝三)元気が溜まって、元気玉が投げられちゃうかもわからないでしょう? それで、塾がガラガラになっちゃったっていう。

(鳥嶋和彦)そうだね。自分が塾に行っている間に投げられちゃったら、それまで見てきたものが無になるもんね。

(森下孝三)で、あの頃はビデオもDVDもないわけよ。もう二度と見れないから、「これは見なきゃ!」っていうんで。20何%の視聴率だったね。

(野沢雅子)で、一言「ええっ?」っていうことを入れるじゃないですか。なにか、ちらっと言って終わりだから。で、見ている人は「なんだろう?」って思うじゃない? だからまた次の週も見るんですよ(笑)。

(森下孝三)そう。次週に。

(鳥嶋和彦)そうか。視聴率が立ち直ったっていう話はわかっていたけれども、そこが最高視聴率だったとは今日まで知らなかったな。

(森下孝三)あのへんで見ていた子供たちって今、どのぐらいになっているんだろう? 40歳ぐらい?

(鳥嶋和彦)そうでしょうね。30歳、40歳とか。オンタイムで見ていたのは。

(森下孝三)一番いいのはさ、まとめて見れないじゃない? 1話、見逃したら終わりだっていう。

(鳥嶋和彦)だから、やっぱり見てる方もその時、そこにいて見なきゃいけないっていうので、気構えとか緊張感がよかったんだね。いつでも見られるっていうわけじゃないから。

(森下孝三)いつでも見られたら、みんな早回しになりそうでしょう?

(野沢雅子)そうそう。ファンの人が言ってましたよ。「見逃すことができないんです。なにがそこで行われちゃうか、わかんないから」って。

(鳥嶋和彦)それで見逃しちゃったら、後で仲間の話に入れないから。

(野沢雅子)そうそう。入れないから。

<書き起こしおわり>

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