宇内梨沙『ファイナルファンタジー16』を語る

宇内梨沙『ファイナルファンタジー16』を語る アフター6ジャンクション

(宇内梨沙)すごくシームレスに感じられて。その理由のひとつに私、今回感じたのが、最近のゲーム、オープンワールドものが多いじゃないですか。でもフィールドって自由に移動できれば移動できるほど、すごくゲーム的になってくるというか。自分寄りになってきちゃうじゃないですか。でも、今回のファイナルファンタジーってオープンワールドじゃなくて、選んだエリアに飛んで、そのエリアを探索するっていうシステムで。そのおかげで、あんまり歩かないんですよ。だから自由時間がそんなにない分、その冷めさせる時間を短くしている。でもそれで「自由とか低くてな」っていう風には……。

(宇多丸)やられてる感でもなく?

(宇内梨沙)でもない。

(宇多丸)散漫になるわけでもなく、でも一本道をやらされているという感じでもなく?

(宇内梨沙)そう。それはかなりストーリーの引き付ける力が強いっていうのもあると思うんですけど。その辺のバランスをどうやってやったのかっていうのは、すごく吉田さんに聞いてみたいなっていう風に思いました。私はマップがひとつ、大きいんじゃないかなっていう風にプレイしていて感じたんですけど。だからね、止まらないんですよ。で、吉田さんは「今回はストーリーに全振りした」っていう風に言っているんですけども。

それだけ、シナリオがもう怒涛の展開。海外のドラマとかって、すごいじゃないですか。「次を見たい! 次のシーズンを見たい!」って。あの感じをゲームで味わってる感じですね。「次の話を見たい! 次も見たい! この先、どうなるんだ? あそこに行くと、どうなってしまうんだ?」とか。「このキャラクター、どうなっちゃうんだろう?とか。

(宇多丸)引っ張りが。「じゃあ、次の行くところまで行ってみようかな」っていう気持ちにさせるような引っ張りが。

(宇内梨沙)で、なによりキャラクターの魅力もすごい。今回、ムービーシーンで上手にキャラクターを紹介しているなと思いますね。どうしても自分でプレイすると、キャラクターの人となりって、なんか自分が動かしているから自分寄りになってきちゃうんですけど。ムービーでそのキャラクターに過去、何があったのかとか。今、どうしてそんな立場になってしまってるのかとかを紹介するので、もうめちゃくちゃ好きになっちゃうんですよ。味方も敵も。

(宇多丸)ああ、そうなんだ。でも、そんなね短い時間で感情移入をさせるように?

(宇内梨沙)少なくとも6時間で登場してくる人物、めちゃくちゃ全員魅力的。これ、映像作品ではよくあるじゃないですか。出てくるやつ、全員好きみたいな。それがゲームで感じられてるのがなんか、すごく新鮮なんですよ。なんか「NPCですね」とか「敵キャラですね」みたいな。

(宇多丸)とか、記号的だな、みたいなさ。

(宇内梨沙)そうそう! そうじゃなくて、すごく丁寧にキャラクターを描くから、みんな好きになっちゃうから。だからみんなの続きが気になっちゃう。

(宇多丸)システム的にはRPGですよね?

(宇内梨沙)RPGですね。で、昔は選択して「戦う」とか「魔法」とか自分で選んでターン制バトルだったんですけど。ある時から、FFってアクションRPGになって。もう即時的に自分で攻撃していくんですけれども。「ストーリーに全振りした」って言うわりにバトルも面白いんですよ。

(宇多丸)要するにゲーム性としても、ちゃんと面白い?

バトルも面白い

(宇内梨沙)ゲーム性としても面白い。で、そのバトルがまた、映像。ムービーとプレイの引き継ぎの時に冷めさせない大きな要因になっていて。もうプレイが攻撃するだけじゃなくて、もうめちゃくちゃ光の演出とかでビッカビカになって。なんか脳へ送ってくる信号がすごいんですよ。ただ連打してるだけじゃなくって、いろんなアビリティとかもあるんで。戦略性もある。だから、アクションゲームが好きな人にとっても物足りなくない。で、召喚獣を切り替えたりできるので。

その召喚獣ごとの火だったり、風だったり、いろんな能力があるんで、また演出が変わってくるし。あと最後、フィニッシュを入れる時に、自動的にモーションを変えてくれたりして。それがまたかっこいいフィニッシュになったりするんですよ。その辺がすごく、そのムービーからシームレスに興ざめさせないバトル展開にさせてくれるんで。バトルもめっちゃ面白い!

(宇多丸)それもだから、やっぱりjスペックの進化をちゃんとうまくFFらしいシステムに落とし込んでるっていうのかな? かもしれないですね。

(宇内梨沙)そうですね、なんか、これまではどうしても……それこそ15はオープンワールドという挑戦的なものでしたけど。やっぱりオープンワールドになればなるほど、どうしてもストーリーが間延びしちゃう。次に行くまでに、だいぶ時間がかかるじゃないですか。

(宇多丸)ストーリーそのものはあるけれども……っていうことですね。でもあれはだからどっちかっていうと、旅全体全体みたいなテーマでしたけどね。

(宇内梨沙)旅全体を楽しむものでしたけども。私は改めて、物語のゲームが好きなんだなっていうのを16で触れて、感じました。で、物語のゲームっていうのすごく強く感じたのがやっぱり10だったので。同じく16は……。

(宇多丸)だから要するに「これを待っていた!」っていうのが16なんだね。

(宇内梨沙)これを待っていた!

(宇多丸)今、何時間ぐらいなんですか?

(宇内梨沙)今、6時間なんですけども。

(宇多丸)総プレイ時間、どのぐらいとかってまだ出てないもんね? さすがにね。

(宇内梨沙)そんなに長くないんじゃないかなって思います。この展開が続いたら、プレイヤーがみんな最後、カラッカラに乾燥しちゃうんじゃないかなって。もう椅子の上でみんな、干からびちゃうんじゃないかなと思うんで。

(宇多丸)真っ白な灰になってる可能性が。へー!

(宇内梨沙)それぐらいシナリオがいい。

(宇多丸)でもまずは最初の2時間だけでも、もうつかみがすごいっていう。今のを聞いたらね。それでやめられる人はいないっていう話、これはファーストインプレッションとしては最高のあれじゃない?

(宇内梨沙)どんな展開で引き込まれたのかはネタバレになるで言わないですけど。まあダークファンタジーで、復讐の物語。そんな感じ。で、血がめちゃくちゃ出てくる。

(宇多丸)これ、ちなみにレーティングは?

(宇内梨沙)レーティング、ありそうですよ。もはや。あそこまでだったら。もうね、大人のFFなんですよ。全然子供っぽくない。ちょっとセクシーなシーンもあったりとか、本当に大人向けの展開になっております。

(宇多丸)なんか話聞いてると僕、行けそうじゃない?

宇多丸でも楽しめそうなFF16

(宇内梨沙)行ける! 本当に、吉田さんもおっしゃってたんですけど。最近、ゲームをみんなする時にどうしても、どんどん眉間にしわが寄っていく。欠点を探したりとか、「自分はここに合わないな」って、どうしても評論家目線でみんな見てくるようになっちゃったけど。「1回、それを忘れてゲームを楽しんでほしい」っていう話が私、すごく胸に刺さって。

私自身もYouTubeを始めたりとか、こうやってお仕事でお話させてもらう機会が増えて、なんかちょっとレビュアー目線になってきちゃった時がやっぱりあったんですけど。1回、それを忘れて。学校が終わって、急いで帰ってきてランドセルを玄関にぶん投げてプレイステーションを起動してたあの時の気持ちを思い出そうよ!っていう感じでプレイさせてくれます。

(宇多丸)させてくれる?

(宇内梨沙)させてくれる! 大人になっても。

(宇多丸)ああ、レーティングはちなみに17歳以上だそうです。まあ、大人向けだよね。ということで、ちょっとお時間が来てしまいました。ちなみにシリーズをやったことなくても大丈夫?

(宇内梨沙)シリーズをやったことなくても大丈夫です。でも特にドット絵時代のFFをやってた人たちはこんな風に最新の映像技術でクリスタル、そして召喚獣の物語を見せてくれるんだって鳥肌が立っちゃうと思うんで、ぜひやってほしい。

(宇多丸)改めまして『ファイナルファンタジーXVI』。プレイステーション5ソフトとして通常版、税込9900円で発売中ということで。

(宇内梨沙)たまんねえ。グシャグシャになる。体験版がたぶんグシャグシャになるところまでやらせてくれると思うんですよ。無料でやらせてもらえるんで。だからそれがまず、太っ腹!

(宇多丸)でもさ、それは吸引力に自信があるからじゃない?

(宇内梨沙)そう。絶対買うから! 体験版やったら、覚悟した方がいいです。絶対買う!

(宇多丸)フハハハハハハハハッ! ありがとうございました。『ファイナルファンタジーXVI』、宇内梨沙さんの最速レビューでした!

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<書き起こしおわり>

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