佐久間宣行さんが2023年6月7日放送のニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』の中で爆笑問題のYouTubeチャンネルのコントに出演した際の模様を紹介。収録している最中、自身の新たな力が目覚めた話をしていました。
(佐久間宣行)先週の末ぐらいから配信されてるんですけど。爆笑問題のYouTubeに呼ばれまして。それがもう、2月ぐらいかな? NHKスペシャルを収録した時に太田さんと指原さんと僕がゲストで。あと黒柳徹子さんがゲストという、謎のNHKスペシャルがあったんですけど。それの待ち時間の時に太田さんに急に「佐久間、YouTubeでコントやってるから、出てよ」って言われて。で、その時に急に言われたし、直接言われたから「ああ、まあまあ、スケジュールさえ合えば……」って言ったんだけど。そんなの、太田さんが気まぐれで言ったんだと思って。だって俺にコントをやらせるなんて、おかしいじゃん? 普通に考えたら。
それで忘れていたんだけど、その1月後か2月後ぐらいに本当にそのYouTubeを作っている制作会社の方からオファーが来て。「まあ、『いい』って言っちゃったしな……」と思ったんだけど、なかなかスケジュールが合わなくて。結局、5月までスケジュールが合わなくて。5月にスケジュールが合うっていうことで「本当かな? でも、トークみたいなもんだろうな」と思ってたの。
そしたら、撮影の数日前にコント台本が送られてきたの。それを見たら7、8ページしっかりあった上に、しっかりコントのキャラクターで。俺、「後藤舌(ごとうたん)」っていうキャラクターで。敏腕プロデューサー・後藤舌。ゴッドタンでね。で、すげえ嫌なプロデューサーみたいで。太田さんとか田中さんが演じる制作会社の人たちと、なんか丁々発止やるっていう。で、めちゃくちゃボケたりすることになっていて。
「いやいや、無理よ! 俺、芝居……ドラマもほぼやったことないのに、コントを爆笑問題とやるなんて、絶対無理だよ!」と思って。で、その……罠じゃん? 「太田さん、この設定、本当に納得しているの? スタッフが勝手に台本を作って送ってきて……太田さんはこれを見てるのかな?」って思ったんだけど。でも、それが送られてきた時点でこれ、覚えなきゃいけないでしょう?
で、もう1回、他の爆笑問題のYouTubeのコントを見てみたら、結構みんなちゃんと入れてるんだよ。しっかりコントをやってるから。「っていうことは、入れなきゃいけない……うーわ、これ、めんどくせえ」と思って。で、よく見たら、2本送られてきていて。10ページ近い台本が2本、送られてきていて。2本のセリフを覚えなきゃいけない。しかも両方とも、ちゃんとセリフがあって。「マジかよ!」って。それが土曜日、収録だったんだけど。俺、『オールナイトフジコ』の生放送が終わって、家に帰ってくるじゃん? 3時半ぐらいに。
で、そこから覚え始めてさ。やっぱり3、4時間かかるからさ。だって10ページが2本ぐらいあるから。それを必死に覚えながら、心の中で思ったの。「俺、タレントにこんなことをやらせていたんだな」って我有。ゴッドタンとかでもあるじゃん? コント系の企画。で、本は平気で遅れるのよ。でも俺たちからすると「こっちはこだわってんだよ。こだわってちょっと修正しちゃっているから、遅れる時だってあるよ。面白ければいいだろう?」って。もう、絶対遅れちゃダメ! 全然覚えらんない(笑)。全然覚えられないんだよ。
でも、なんとか覚えて。「覚えたかな?」ぐらいの感じ。「やっぱり無理だな。覚えられないな。でも、多少爆笑さんのコントを見てると、アドリブが多いから大丈夫かな?」なんていう風に思いながら行ったの。当日、土曜の午後に制作会社に。その制作会社のスタジオで収録するっていうから。で、入ったら、「おう、佐久間」って挨拶されたのが元日本テレビの菅さん。ガースー。『ガキの使い』『さんま御殿』の。「えっ、プロデューサー、菅さんがやってんの?」って思って。で、日本テレビをお辞めになっているから、やっているのかなって。
「えっ、爆笑問題のコント番組、菅さんがやってんの?」って思って、途端に緊張してきて。菅さん、大先輩だからさ。で、「楽屋、こっちだから」って言われて入ったら、太田さんとか田中さんとか、あとは爆笑の事務所のタイタンの芸人さんとかがいらっしゃって。太田さんが「おお、佐久間。お前、忙しいのによく来てくれたな」って言いながら。「お前、よく来たな」みたいなことを言われて「お前が呼んだんだろう?」って思いながら(笑)。
で、太田さんが雑談を……気を遣ってくれているのか、わかんないけど。雑談なんだけど。雑談ベースで言ってることがもう本当にこのラジオでもしゃべれないようなことばっかり、俺に投げてくるわけよ。で、そういうのもありながら、太田さんと話しているんだけども。心の中では「誰か、助けてくれ!」みたいな。だけど田中さん、全然しゃべってくれないんだよ(笑)。田中さん、全然入ってくれない。そんなことを思いながらしゃべっていて。
で、「本読みを軽くして。それですぐに本番です」ってなって。本読みになるっていうことだったんだけど、「書いた作家がもうすぐ来るから。ちょっと遅れてるから、待ちましょうか」ってなって。本読みっていうのは、コントの前に1回、みんなで座りながらコント台本を読み合わせて。それで受けるところとか、受けないところを確認して。修正する時はそこで修正するみたいな。「じゃあ、ここはこうしましょう」みたいな感じなんだけど。
で、それを軽くやるんだけど、まだ作家が来てないからっていうことで。ちょっと遅れてるっていうことで。「おい、爆笑問題を待たせているんじゃないよ?」って思うじゃない。その作家さんにさ。で、「10分ぐらい遅れる」っていうから「爆笑もよく待つな?」って思って。それで待っていて。心の中ではさ、「俺が言いましょうか? 爆笑さんをこんなに待たせて……ガツンと言いますよ!」と思っていたら、その遅れてきた作家。「すいません、すいません!」って言って入ってきたのが鈴木おさむさんでさ。フハハハハハハハハッ!
「ああ、ああ!」みたいな。鈴木おさむさんが来てさ。「えっ、これ、おさむさんが書いているの?」「ああ、この台本ね、僕が書いたんですよ」っつって(笑)。「これ、どういうメンバーでやってんの? 菅さんがプロデューサーで、コント台本が鈴木おさむに書いていて……」って。その2本あるコント台本の1本目が鈴木おさむさんが書いていて。2本目が、挨拶されたんだけど、秋葉さんっていう『爆笑問題カーボーイ』とかにもたまに来ている、爆笑さんの座付きの、すごいベテランの作家さんでさ。「えっ、すごいメンバーでやってますね!」っていうのと……おさむさんって、Netflixのドラマとか、いろいろ書いてるじゃん?
「このコント、書いたのはわかりますけど……収録に来るんですね? YouTubeですよ、これ?」っていう(笑)。いや、さすがに俺のYouTubeでも、その担当作家とか、収録には普通来ないよ? でも、来ているのよ。でさ、そんなことを1個もあのYouTubeの中で触れてないから、見ている分には知らないわけ。まあ、それはかっこいいんだけど。で、おさむさんが「ちょっと読み合わせしてもらって。なんかあったら修正するんで」って(笑)。「おさむさんに、修正?」っていう(笑)。それで「すげえ豪華なメンバーだな」と思いながら、本読みで軽く合わせて。でも、軽く合わせるだけなの。やっぱりベテランだし。やりすぎると、本番で受けなくなるから。
豪華すぎるメンツで制作するYouTube
(佐久間宣行)だからもう、本当に俺のために軽くやってくれてるぐらいな感じなんだけど。その時点でちょくちょく俺が、なんかコントのセリフとかを言うたびに太田さんが「まあ、でもお前は出たがりだからな」とか、軽いじりをするわけ。「あんたが呼んでるんだろ?」みたいなことを言ってるんだけど。俺はもう、太田さんに思っていたから、言っちゃったんだけど。
「太田さん、俺、テンパってるから。セリフが多すぎるから。俺、できない。できる自信がないから太田さん、ちゃんとやらせてください。頼むから。なんだったら、アドリブとか言わないで欲しい。もう無理だから」って(笑)。「セリフ多くないっすか?」って言っちゃったの。おさむさんとかにも。で、本番が始まるっていうことで、フロアの方に移って。それで制作会社だからフロアのホワイトボードがあるんだけども。そこにもう「港に別れを告げろ、ヨーソロー」って書いてあって。それで俺のことをいじっているのよ。
それはいいんだけど……誰がわかるんだよ?(笑)。ここに急に書いて……って思いながら。それで、始まって。コントを……爆笑さんたちが制作会社で困ってる。「どういう風に番組を作ろうか?」っていう時に「まあ、敏腕プロデューサーを呼んでいるから」っていうことで、振り込まれて俺が登場するんだよ。で、俺も直前まで悩んだ。なんか「敏腕プロデューサーで嫌なやつ」ってキャラクターだから。「どーもー!」みたいな感じ入ってくるっていう風に台本ではなっているんだけども。ちっちゃく「ああ、どうもどうも……」みたいな入り方にするのかって悩んで。
でも、本当にこれだけはわかってるんだよ。スタッフが前に出るっていう時にはやり切らないと、滑るっていう。スタッフがいじられた時は、もう絶対に全力でやらないとダメっていうのだけはセオリーだから。「どうもーっ! 後藤舌でーす!」って入ったの。全然受けねえのよ。フハハハハハハハハッ! 「あれ?」っていう(笑)。
「怖っ!」って思って。まあ、俺もこれが受けるとは思わなかったけど。別に後藤舌っていうキャラクターで受けるって思わないんだけど。全然受けないから、俺の言い方がたぶん悪いんだろうなって思いながら、始まったのよ。で、始まって結局……細かいところは動画を見てほしいからあれだけど。俺とプロデューサーが制作会社の困ってる企画をプレゼンするっていうことで。太田さんと田中さんが「こういう企画、どうだ?」って言ってくるんだけども、それが全部パクリみたいな感じで。俺が「それは、やってます」みたいなやり取りをして。そういうコントの流れがあって。
で、最後の方、そのぐらいの時からもう太田さんが「こいつは本当、何でもやってるからよ。会社辞めて、Netflix、作りやがって。Netflixを作ったと思ったらよ、『Netflixを作りました』って自分のラジオでしゃべりやがってよ。お前はよ」って。「Netflixを作って、自分のラジオでしゃべって何が悪いんだよ?」って思ったけど(笑)。それは、会社を辞めたらNetflixで番組も作りたいし。まあ「出たがり」っていうのはわかるのよ。でも「Netflixを作りやがって、自分のラジオでしゃべりやがって」って、それは告知だしさ(笑)。
あと、この人、全部聞いているんだよ。「千鳥とか、呼んでよ」っつって。全部聞いていて。「怖っ!」って思って。で、その後、俺がコントのオチに向かうようなブロックになるじゃん? そのへんから、ちょっと変なことが起き始めて。オチの方で俺がパクリ企画を逆に言って「ダメだよ!」みたいなので終わるのかと思ったら、俺がそのパクリ企画を言った瞬間ぐらいから太田さんがパクリを認めて。「その企画もいいじゃん。お前、パクリ野郎だから」って言い始めて。全然、最初の予定のやり取りと違って。
「お前、パクリ野郎だもんな」って言い始めて。もうしょうがないから俺も「俺はパクッたことなんかねえよ。俺はお前、テレビ界で鬼才って言われてるんだよ!」「出た! こいつがそういうことを言うのが嫌いだわー。自分で言うんだ、こいつ。最悪なんだよ。冗談なんだよ。あと『オールナイトフジコ』とかやりやがってよ!」とかって。全部アドリブ。聞いたことないアドリブで。爆笑問題の太田さん。超一流芸人が目の前で俺をアドリブでディスり始めて。
「うーわ! これ、どうしたらいいんだ?」ってなって。もちろん、面白いんだよ。めちゃくちゃ面白いし。「秋元康とのオールナイトニッポンでもお前、媚売りやがってよ」って。「全部聞くなよ……」って思いながらも。でも「これはもう、行くしかない。行かないと、変な感じになるから……」と思って。「聞くな、お前は! 俺はあんたを好きなままでいたいから、俺に関わるものを全て、見ないでほしいし、聞かないでほしい。触れないでほしい!」っていう風に言ったの。それを言ったぐらいから、俺さ、信じてもらえるかどうかわからないけども。俺、スタッフを怒鳴ったこともないし、キレて誰かと喧嘩とかもしたことないから。そのぐらいでさ、もう口喧嘩に挑むのが怖かったわけ。
でも、その口喧嘩に挑んだぐらいから「あれ? 俺、心の中にいくらでも悪口が浮かんでいる……?」っていう風に気づいて。「お前な、ずっと働いてたスタッフは別だけどな。40代の俺らぐらいのプロデューサーはな、お前のことを本当に使いづらいタレントだと思ってるぞ?」って……(笑)。いや、スラッと出てきて。そしたら、太田さんもこたえた顔をしたんだけども。なにより撮っているスタッフが本当に笑うのよ。フハハハハハハハハッ!
本当に笑うの! 「うわっ、本当に笑うなー」と思って、しゃべり始めたの。そしたらもう全然、すげえ出てくるのよ。「なんなんだろう?」って。まあ、俺が元々爆笑問題のことを好きだから。爆笑問題のことを知ってるっていうのもあるにしても……「なんで俺、こんなになんで口喧嘩の言葉が思い浮かぶんだろう?」って思っていて。そしたら俺さ、自分のYouTubeでこの1年半ぐらいさ、みりちゃむとかギャルと口喧嘩していたじゃん? それが、いつの間にかトレーニングになっていたんだよ。
あれが今、俺の血肉になって……「あの時、女子大生とか女子高生にぼろくそに言われてきたのでトレーニングされていたおかげで今、俺は太田さんに立ち向かえている。俺は、精神と時の部屋にいたんだ! 浮かぶ、浮かぶぞ! 俺は、太田の悪口が言えるぞっ!」って思って(笑)。そこからもうさ、どんどん言えるのよ。
いつの間にか、スラスラ悪口が言えるようになっていた
(佐久間宣行)もう、『ベスト・キッド』だよ(笑)。「あんたな、言いすぎてる割にちょっとディスられたら、へこむのをやめろ。その顔。それ、ダセえんだよ。あと、太田光代社長に言われたら、へこむだろう? 選挙特番の時に炎上して、へこむだろう? 最終的には……」「へこまねえよ!」「へこんでるじゃねえかよ! お前のこと、使いたい若手プロデューサーなんか、いねえぞ?」っつって(笑)。
もう、なんか思ってるんだか、思ってないんだか、わかんないことまでスラスラ、いつの間にか出てくるようになってきて。もう本当、みりちゃむ先生のおかげで(笑)。それで正面を見たら、鈴木おさむさんも菅さんも、爆笑してんだよ。「お前ら、わかってこれ、呼んだな? これが見たくて呼んだんだろう? なにが『佐久間、コントやろう』だよ? 全然、口喧嘩じゃねえかよ!」と思って。そうやってバーッと盛り上がって。最後の方で田中さんが「後藤さん、あの、コントに戻しましょう」って言って。
でも俺、その時はもうかかっちゃっているからさ。「どうやって戻すんだよ!」って田中さんにも悪口を言って(笑)。関係ねえ田中さんにも(笑)。で、それで受けたから「カット! OK!」ってなった瞬間、俺はそのプロデューサー陣にも「なにがOKなんだ!」っつっちゃった(笑)。もう全方位に悪口を言って。そしたら最後、太田さんが楽屋に戻ってきて。「佐久間、盛り上がったな」っつって(笑)。「『盛り上ったな』じゃねえよ!」っていう(笑)。太田さん、ご機嫌だったよ?(笑)。
「鬼才プロデューサーとガチ喧嘩!?」爆笑問題のコント #59
<書き起こしおわり>