町山智浩とウーマン村本 ワイドショーの芸人コメンテーターを語る

町山智浩とウーマン村本 ワイドショーの芸人コメンテーターを語る AbemaTV

町山智浩さん、丸屋九兵衛さん、斉藤充さんがAbema TV『ウーマンラッシュアワー村本大輔のX The NIGHT』に出演。アメリカのお笑いについて話す中で、日本のワイドショーのお笑い芸人コメンテーターについて話していました。

(町山智浩)だからいま、日本に帰ってきて思ったのは、昼の番組とか朝の番組とかのワイドショーで結構政治的なネタをやっている時に、お笑いの人たち、芸人さんたちが結構出ているんですよ。みんな、しかめっ面してさ、話を聞いていて。「そうですね」って。全然ギャグを言わないの。

(丸屋九兵衛)言うたれやって話ですよね。

(町山智浩)ねえ。「なんのためにいるんだ、お前ら?」って思うわけですよ。

(丸屋九兵衛)だから、アナザー・パネリスト?

(町山智浩)そう。で、「それは全く困ったもんですね」とか言って。お笑いの人なのに、なぜそこでギャグを言わないんだ!っていうね。本当にひどい!

(村本大輔)だから、求められていないんですよね。番組から。

(町山智浩)でも、言えばいいんですよ。だからこの間、見ていたのが、雨上がり決死隊の人(宮迫博之)とかが出ていて。で、政治家の人が出ていて政治的な話をしていて。(そのまんま)東さんも出ていて。東さんは結構政治的な話とギャグを絡めながら言えるんだよね。

(村本大輔)バランスがいい。

(町山智浩)バランスがいいんだけど、雨上がりの人は「うーん、うーん……」って。そこ、くだらなくてもいいから突っ込めばいいのに! なんでもいいから茶化せばいいのに。なんかさ、みんな政治的な話をしているから、それに対して詳しくない自分たちがくだらないことを言ったらいけないんだと思っているんだけど、違う! くだらないことを言うのがあなたたちに仕事!って思ったの。

(村本大輔)それね……。

(斉藤充)まあ、たぶん宮迫さんはいま、とても言える状況ではなかったと察しますけども。

なぜお笑い芸人はワイドショーでくだらないことを言わないのか?

(町山智浩)(笑)。でもね、本当にね……だからワイドショーとか全部そうですよ。芸人から司会者になった人たちもみんないて、やっぱり不倫とか芸能人の浮気ネタとかあっても、「うーん、これはよくないですね」とか。いいんだよ! もうめちゃくちゃなことを言えば!って思うの。「いやー、俺もやりてえな!」とか言えばいいのに、なんで言わないんだろう?っていうね。「みんながこういうのを叩くと、俺もやりにくくなるから困るんだよね」とか、なんで言わないんだ? なんで?

(斉藤充)いや、本当に不倫ネタはね……。

(村本大輔)なんでだと思います?

(町山智浩)いや、もうひどいよ。本当に。

(村本大輔)出ている方からすると、「そういうの、いらないから」ってことを言われたりもするわけですよ。

(斉藤充)制作側から?

(村本大輔)「そういうの、いらないから。そういうので呼ばれてないから」って。

(丸屋九兵衛)要するに、みんな同調しろってこと?

(斉藤充)そうそうそう。

(町山智浩)ベッキーとかみんな叩いていてさ。「これは許せないですね」って。「ベッキー、いいなー。俺もやりてえよ!」とかなんで言わなんだ!?

(斉藤充)(笑)

(町山智浩)なんで言わないんだ? ねえ(笑)。

(村本大輔)相当溜まってるんですね(笑)。

(町山智浩)日本に来てとにかく頭に来たのは、ワイドショーを見てて、お笑い芸人がギャグを言わないから!

(一同)(笑)

(村本大輔)町山さんの好きな山ちゃん(山里亮太)はどうですか?

(町山智浩)山ちゃんは言うけどね。でも、あの人顔が映っていたらやらないんだよね。上から言うから。

(斉藤充)影ナレでね。

(町山智浩)そうそう。あれは上手いけどね。

(村本大輔)なんやろうな? なんで、こう……。

(斉藤充)テレビはワイドショーで言うと、テレビ局では情報・報道局……だいたい情報局、報道局のどっちかですけど。分かれているところ、一緒のところ、ありますけど、だいたい情報とか報道局が作るんですね。そうすると……不倫なんか本当にだって昔、(ビート)たけしさんなんかが(フライデー)襲撃事件の記者会見でね、「僕のおねえちゃんのね……」ってあんなことを。

(町山智浩)いまもたけしさんは同じだよ。

(斉藤充)あれをちゃんとテレビでやっていたんですよ。

(丸屋九兵衛)逆にだって細川(護煕)首相が「きっとうちの親戚の家に行ったんですよね」って言いましたよね。

(村本大輔)あ、そうなんすか? 言ってましたか?

(丸屋九兵衛)細川首相が言いましたもん。「細川同士だから……」って。

(村本大輔)ああ、なるほどね(笑)。

(丸屋九兵衛)細川首相の方がよっぽど先に行っていたわけですよ。

(村本大輔)面白いことを言う時もあるんですけどね。

(斉藤充)やっぱり報道局でやっていると、なかなか言えない……まあ、さっき言った自主規制みたいなのをどうしても。要するに方や、人を断罪するいろんなことを言ってしまえば上から目線で報道って言うわけじゃないですか。そこで、その同じ局が作っている番組でそれを肯定するのか?って、そういうことをかならず言う人がいて。また、それが1件、2件ぐらいのすごい原理主義的なおかしな視聴者のクレームとかをね、ものすごく「こんなの来ました!」って大騒ぎになったりするから……。

(丸屋九兵衛)ああ、そう。3%が100%であるかのように言うね。

(斉藤充)一部のクレーマーにすごい対応してしまう。

(町山智浩)昔はだって、大正テレビ寄席って全部セックスネタだったからね。なんだったんだ?

(村本大輔)これは僕から言わせてもらうに、日本の芸人って、これ結構僕もライブで言っているんですけど、ネタをしたりするのは本当に若手の時だけで。徐々にテレビに出だすとネタをやらなくなってくる。で、徐々に賢くなっていって、CMとかに入ったりとか。使い勝手のいい……。

(町山智浩)コマーシャルね!

(斉藤充)コマーシャルがいちばんデカいですよ。

(村本大輔)もう無味無臭人間になるんですよ。芸人が。

(町山智浩)全くそう! 無味無臭人間になる。

日本の芸人は無味無臭人間になっていく

(村本大輔)日本のタレントっていうのは無味無臭が求められて、みんな無味無臭になっていって。本当は舞台があって、舞台で……それこそ、町山さんとこの前ロスでお話をした時に、ある劇場の支配人が言っていたじゃないですか。「ここに立てる芸人はどんなやつを出すか?っていうと、なにか自分の言いたいことがあるやつだ」って。

(斉藤充)「信念があるやつ。言いたいことがある」っていう。

(村本大輔)ですよね。日本っていうのはスタジオに主義主張は持ち込まなくていい。無味無臭としていちばん……。

(丸屋九兵衛)「持ち込むな」?

(村本大輔)そう。空気として上手にやることが求められているから。だからタレントさん、本当に実は舞台に立たなくなって、言いたいことを言わなくなって、すっごい上手な回すやつになりたいんですよ。

(町山智浩)あ、回す方? そう。

(村本大輔)それはやっぱり面白くないです。

(町山智浩)そう。場を回すだけの人になって、自分では面白いことを言わない人たちが多すぎるの。

(村本大輔)だって、舞台に立ってストレスを……僕の好きなアリ・ウォンなんかすっごい金を稼いですっごい有名なのに、コメディーストアに急に飛び入りで出て、笑いを取ってスッと帰っていったりとか。あんなスターが出てしゃべっていくなんて……。

(町山智浩)あの人がすごかったのは、お腹をこんなに大きくして。アリ・ウォンさんがそれこそ臨月状態で出てきて。あれ、テレビ……HBOでしたっけ? でさ、セックスネタだよ。お腹を大きくして、ずっとセックスネタのギャグを言っているんだよ?(笑)。

(村本大輔)旦那にクンニさせて、「私はいま、権力を吸い取っている。この感覚がたまらない!」とか。

(町山智浩)そうそう(笑)。いま、日本でさ、臨月の妊婦がテレビに出てセックスの話ばっかりしていたらさ、みんな怒られちゃうじゃん? でも、アメリカでは大人気なんだもん。それ。

アリ・ウォン

(村本大輔)全員、飛んでかかって止めにかかりますね。それは。

(斉藤充)女性コメディアンの方が下ネタ、キツいですよね。韓国の彼女もすごいでしょう?

(町山智浩)ああ、マーガレット・チョー。

(斉藤充)マーガレット・チョーもね(笑)。

(町山智浩)マーガレット・チョーは韓国系のコメディアンなんですけど。「本当の差別は人種とかじゃなくて、”かわいい”とか”きれい”だよね」って話をしていて。あれ、『レニー・ブルース』が元ネタみたいね。『レニー・ブルース』がそのネタをやっているんですよ。結構。だから「黒人のすごい美女と白人のブサイクだったら誰でも黒人の美女を選ぶでしょう?」みたいな話をしていて。結構言っちゃいけないことを言うっていうネタだったですね。

マーガレット・チョー

(村本大輔)本当にお話を聞いていて、町山さんに勉強させてもらって、アメリカのコメディアンの笑いにはすごい、ある程度悲しさがあるんですね。それはCMの後に。面白いけど、すっごい寂しくなるんですよね。

(町山智浩)うんうんうん。

(村本大輔)じゃあ、CMに行きましょう。

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