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町山智浩 ドナルド・トランプ大統領誕生を語る

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町山智浩さんがABCラジオ『おはようパーソナリティ道上洋三です』にニューヨークから電話出演。2016年のアメリカ大統領選挙のドナルド・トランプ勝利について話していました。


(道上洋三)何回もお伝えしていますが、アメリカの大統領選挙。昨日、投開票されまして大接戦……というか、大方の予想よりもはるかにトランプさんの方が多かったということで。シリーズで解説をしていただいております、カリフォルニア州在住のコラムニスト、映画評論家、ジャーナリスト、町山智浩さんにお電話でうかがいます。町山さん、おはようございます。

(町山智浩)おはようございます。

(道上洋三)いま、どちらですか?

(町山智浩)いま、ニューヨークにおります。

(道上洋三)ずっとご覧になっていたわけですが、結果を受けていかがでしょう?

(町山智浩)僕はニューヨークで投票の始まりから終わりまで各投票所を回って、開票が始まってからは各支援グループのパーティー……ウォッチ・パーティーと言うんですが。開票結果を見ながらパーティーをするところを回っていたんですけども。最終的には、トランプを支持するパーティーにいるところで、トランプが当確を決めていくという展開になりました。

(道上洋三)ああ、そうですか。大騒ぎだったようですね。

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大騒ぎのトランプ支持者たち

(町山智浩)すごかったですね。あまりにも興奮して、笑いながら殴り合いをしているという状態になっていましたね。

(道上洋三)そうですか(笑)。

(町山智浩)彼ら自身も、まあ全員に話を聞いたんですが。トランプ支持者たちも予測していなかったということで。彼ら、最初すごくしょんぼりした感じだったんですよ。そしたらもう、どんどん勝ち始めるので。もうみんな、酒を飲んで大暴れになりましたね。

(道上洋三)はー。何回も大統領選挙を取材してこられたと思うんですけども。いままでとはやっぱりかなり違いましたか?

(町山智浩)今回、いちばん大きく問題になっているのはですね、事前の調査ですね。いろんな会社が世論調査をしているわけですけども、それの結果がパーセンテージで出ているわけですね。トランプ支持者とヒラリー支持者。その数字と実際の投票結果が全く違ったと。

(道上洋三)そうですね。これは、「世論調査のやり方にもよる」という風に報じているところもありますが、どういうことなんでしょうか?

(町山智浩)これ、実はかなりランダムに電話をするんですね。で、「誰に投票しますか?」っていうことを聞いていくという作業を行っていくんですけども、ギリギリまで、ヒラリーさんに投票をするという人が多かったんですね。で、実際に行く時に違うっていうのは、これはアンケートに答える時と票を入れる時が違うっていうことですよね。違う行動をするということになってきますね。

(道上洋三)ということは、本音と建前っていうよりも、揺れ動いている選挙民が多かったと?

(町山智浩)と、いうことと……まあ、本音と建前もあると思うんですが。アメリカで最も選挙予想で精度が高い、外しがなかったのは「子供投票」と言われるものなんですよ。

(道上洋三)と、いうのは?

(町山智浩)これは、全米の公立学校、小中高で15万人の子供たちに「いまの大統領選挙で誰に投票するか?」というのを投票させるんですね。そうするとこれ、1940年から72年間に2回しか外れたことがないんですよ。

(道上洋三)へー! 今回は、どうだったんですか?

(町山智浩)これが、外れたんですよ。

(道上洋三)これが外れた?

(町山智浩)3回目の外れになりました。歴史上、76年間で3回目ですね。要するに、子供が正確に選挙結果を予測するのは、お父さんやお母さんが普段言っていたり行動していたりするのを見ているからなんですね。子供が。でも、今回はたぶん子供の前ではトランプ支持であることを言わなかった親が多かったということでしょう。

(道上洋三)はー。

(町山智浩)で、具体的にはトランプさんは……アメリカの学校では非常に政治的な話を先生がするんですね。非常に先生たちが話しにくい素材だったという風にうちの娘とかも言っています。

(道上洋三)というのは、どういうことですか?

(町山智浩)女性差別とか性的な部分で、明らかにわいせつな言葉が出てきてしまうと。「女性器をつかんだ」とか。それと、民族差別ですね。だから非常に学校では話しにくい素材なんで、たぶん家でも親はトランプを支持していたとしても、子供の前では話せなかったから、初めてこんなに子供投票との差が結果、開いたんではないかと思われます。

(道上洋三)日本でテレビの映像なんかで出ているトランプさんの映像っていうのは、相当そういうあんまりえげつない部分を外して報道されていたんです。アメリカでは丸のままで出ていたわけですか? もっとひどかった?

(町山智浩)いや、たとえばトランプさんが会場にいた記者の1人が身体に障害のある方だったんですね。その身体障害……麻痺している状態をからかって真似たりすると。そういうことをやっていましたけども、それは日本でも伝わったんじゃないかなと思いますけども。まあ、非常に学校や親は子供にトランプ支持を言いにくいんだけども、実際には投票したということでしょうね。

(道上洋三)それをうかがっているとね、トランプさんが大統領になるにはこの選挙結果に従って各州の選挙人がトランプさんに投票をしないといけないわけですよね。

(町山智浩)まあ、それは形だけなんですよ。選挙人というのは各州にあるんですが、その州で過半数を取った場合、その選挙人の票が自動的に全員投票をされるという形になっています。

(道上洋三)以前あったようにもう1回、投票を数え直すとか、あるいは選挙人が反乱を起こして……というようなことはもうありえないですか?

(町山智浩)今回はギリギリまで……現在もですね、開票した分に関しては得票量……得票数はヒラリーさんの方が多いんですよ。票はヒラリーさんの方が全体では、現在のところ取っている状態なんですが、今回勝ち負けを決定したのはスイング・ステートと呼ばれる激戦州なんですが。特に、スイングしていない、民主党にいつも投票をしているような州もトランプ側に倒れたんですね。そこは五大湖周辺の「ラストベルト(錆びついた地帯)」と言われる鉄鋼とか自動車とかの重工業が衰退している地域がごっそりトランプに流れたと。で、そこの部分の選挙人数が各州多いんですよ。

(道上洋三)なるほど。

ラストベルトの票がトランプに流れる

(町山智浩)ですから、全体の得票数に対して反する選挙人数をトランプが獲得するという形になりましたね。

(道上洋三)得票数はクリントンさんの方が多かったけれど、選挙人獲得数は1人でも多かったら全部取りということになるトランプさんの方が多かったと。

(町山智浩)そうなんです。だから結構、実際は僅差なんですけども。いま現在も。ただ、今回はヒラリーさんは白人の女性に非常に嫌われてしまったんだなと思いますね。女性はヒラリーさんにかなり投票をするんじゃないかと思われていたんですけども、白人女性のヒラリーさんへの投票率が低かったですね。

(道上洋三)そうですか。町山さんが最近お書きになった『さらば白人国家アメリカ』という講談社の本を拝見しているとね、アメリカの民主主義と呼ばれる制度が方向感を失っていて、正常に機能しなくなっている様子が具体的なジョークを交えながら書いてらっしゃるんですけども。その現れの一つですか?

(町山智浩)だから現在、これでアメリカ全体がこのようなラストベルトの決定によって動いてしまうという。あと、ラストベルトに住んでいる人はいわゆる非大卒の白人の人が多い地域なんですけども。ワーキングクラス(労働者階級)といわれる人たちが。で、それと、あとフロリダで動いたんですね。フロリダがトランプさん側に流れまして。で、フロリダはすごい29人という選挙人数、得点を持っているのでかなりこれは大得点だったわけですけども。フロリダは、高齢者の方が多いんですよ。

(道上洋三)ああー。

(町山智浩)で、今回、アメリカ全体で年齢によってトランプ支持とヒラリー支持がくっきりと分かれています。だいたい40才から下の人は全て、全体でヒラリー支持。で、トランプには40%以下しか入れていないんですが。40才以上になると、ほとんど全部が、50%以上がトランプさん支持という形で、40才前後を境にヒラリー支持とトランプ支持がくっきりわかれています。

(道上洋三)はー。

(町山智浩)まあ、そういう形で地域差とか年齢差、あとは人種ですね。白人がごっそりトランプという形で、とにかく白人の人たちの票が圧倒的にトランプに流れまして。白人の人口は全体で減っているんですね。だんだんだんだん減っているんですが、今回、ものすごく白人が投票に行ったんですよ。で、黒人はあんまり今回、投票に行かなかったんですね。ヒラリーさんに対してそんなに熱意がなくて。

(道上洋三)うーん……

(町山智浩)オバマさんの時はものすごい黒人は投票に行ったんですけども。それと、若者の間でヒラリーさんが人気があると言っても、若者全体での投票率がちょっと減ったんですよ。オバマさんの頃に比べると。オバマさんは若者に絶大な人気があったんですが、ヒラリーさんはあまりなかったので。で、とにかく圧倒的な白人の投票に行った投票力によってトランプさんが勝ったという計算に現在はなっています。

(道上洋三)そのお話をうかがっていると、やっぱり古き良きアメリカの共和党というのを選挙民は選んだということでしょうか?

(町山智浩)ところがですね、トランプさんは共和党の支持も受けていなかったんですよ。

(道上洋三)そうですよね(笑)。

(町山智浩)トランプさんは途中からブッシュ元大統領一家とかですね、ロムニー元大統領候補とか、マケインさんとかですね、共和党の主流メンバーの非支持をくらいまして。で、トランプ自身が「もう共和党の足かせがなくなったから、俺は共和党なんか関係なく自由にやれるぜ!」って言っちゃう状態で。共和党とは分離した形での選挙だったんですが、支持者も別に共和党とか関係ねえやという感じだったわけですね。

(道上洋三)民主党、共和党っていう図式もだんだん変わりつつあるっていうことなんですね?

(町山智浩)崩壊してしまったということでしょうね。

(道上洋三)で、そのトランプさんがTPPを離脱するとか、人工中絶を禁止するとか、移民を排斥するとか、銃を持ってもいいよと言ったり。所得税、法人税を減税するとか言ってますけども。これ、実際に軍隊も経験していない、政治も経験していないっていう人なんですけども。よほどブレーンがしっかりしていてこの選挙戦を組んだんじゃないかと私は想像するんですけども。実施にこの政策はできるものなんですかね?

(町山智浩)トランプさんの問題はブレーンがあまりいないということなんですね。経験のある顧問が現在はいないんです。で、軍事とかに関してもあまり経験者がいないんですね。国政に直接かかわったことがある人は、あまりいないんです。経済に関してもそうなんですが。だから今後、共和党がトランプさんにいい顧問を紹介するだろうとは思います。非常に危険なので。何をするかわからないので。

(道上洋三)うーん。

(町山智浩)ただ、トランプさんはいままで、現在までに自分のスタッフを次々と首にするということをしていますので。どのくらい、顧問の言うことを聞くのかわかりません。

(道上洋三)ああー。選挙中にもスタッフがコロコロ変わっているっておっしゃってましたね。

トランプの今後の政策

(町山智浩)もうどんどん首にしていって、次から次に数ヶ月ごとに変えていったので。そういった形で政権を担当するというのは非常に不安定だと思います。あと、政権を取ってすぐ最初にやるのは、おそらく減税政策だと思うんですね。大統領令を出して減税をする可能性があるんですが、トランプ氏の減税は全ての所得層に対して減税なんですよ。これは、大変な財政赤字を作り出すことになると思いますね。アメリカにとって。

(道上洋三)なるほどね。

(町山智浩)で、その分を解消するのが、日本・韓国・NATOからの軍事的な撤退という、彼が公約していることですね。「お金をくれれば日本に居続けて守ってあげるけど、お金をくれなければ撤退しちゃうよ」ということが、財政赤字を救うひとつの手段になってくるだろうなと思いますね。

(道上洋三)なるほどね。いずれにしても、内向きになるということですね。

(町山智浩)そうですね。TPPを撤廃すると言ってますからね。あと、NAFTAの撤廃ですね。メキシコ、カナダの工場を強制的にアメリカに引き戻すという風にも言っています。

(道上洋三)全部になると、大変なことになりますね。

(町山智浩)大変なことになります。それでいま、アメリカで非常に絶望的な気持ちになっているのは女性たちなんですよね。ヒラリーさんを応援していた。やっぱりセクハラ、女性差別を繰り返していたトランプをアメリカ人が選んで、初の女性候補だったヒラリーさんを選ばなかったというのは社会進出をのぞんでいる女性たちにとって非常に屈辱な結果になったと思います。

(道上洋三)泣いている人もいましたよね。

(町山智浩)はい。ミュージシャンのレディ・ガガさんはトランプ勝利が決定した瞬間に清掃社をチャーターしまして、トランプタワーに行ってメガホンで抗議していました。

(道上洋三)やっていましたね。

(町山智浩)あと、女性ミュージシャンの多く、ケイティ・ペリーさんをはじめとする女性ミュージシャンたちは自分たちのTwitterを真っ黒にして。プロフィールとかも全部消して、沈黙の抗議というのを行っています。

(道上洋三)しばらく、ちょっと目が離せない状況ですね。

(町山智浩)はい。そうですね。

(道上洋三)お疲れのところ、ありがとうございました。

(町山智浩)はい。どうもありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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