町山智浩 アメリカ国内の東京五輪・テレビ視聴率低迷と開会式への反応を語る

町山智浩 アメリカ国内の東京五輪・テレビ視聴率低迷と開会式への反応を語る たまむすび

町山智浩さんが2021年7月27日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中でアメリカ国内の東京オリンピックへの反応を紹介。オリンピックのテレビ視聴率の低迷や、開会式に対する反応について話していました。

(赤江珠緒)町山さんはアメリカにいらっしゃるということで。ちょっとこのオリンピックも開幕しましたが。アメリカではどんな報道をされているのか、なんていうのも教えていただけますか?

(町山智浩)はい。僕、すごい見てますよ。スケボーとか、見てましたよ。雄斗くんと椛ちゃんね。嫌になっちゃうね。孫みたいな感じですよね(笑)。

(赤江珠緒)ねえ。本当、本当(笑)。

(山里亮太)13歳ですもんね。椛選手は。

(赤江珠緒)アメリカではスケボーもプロとして、すごい成立するんですね。

(町山智浩)アメリカのスケボーはだってものすごい産業ですからね。だって堀米雄斗くんとか、年収20億円とか。なんかすごいんでしょう?

(赤江珠緒)ねえ。アメリカにお家を作ってスケボー場とかもアメリカにあってっていうね。

(町山智浩)そう。だから日本はね、あそこまでストリートスケートボードってそんなに流行ってないけど。これで日本が強いっていうことでね、日本中の子供たちがいろんなところでストリートスケボーをしてめちゃくちゃになると面白いですね。はい(笑)。

(山里亮太)そこら中の階段の手すりがボロボロになっていくっていう(笑)。

(町山智浩)ボロボロになると思いますね。はい。で、文句を言われたら「オリンピックに出るんだ!」って言えばいいんですね(笑)。

(山里亮太)多かったもん、あの日。スケボーやっている子。

(町山智浩)ねえ。でもあれ、今回が初めてだからまだルールが変わっていくだろうと思いますけども。ヘルメットをしてないのは怖いですね。

(赤江珠緒)やっぱりヘルメットはいりますね。うん。

(町山智浩)あれ、規定がないみたいで。してもしなくてもいいみたいですけどね。うん。ちょっとあれ、怖かったですね。あと、大坂なおみさんが敗退しちゃったのも……これは結構、アメリカでのテレビの視聴率に影響があるでしょうね。

(赤江珠緒)ああ、そうか。

(町山智浩)相当あると思いますよ。今回の東京オリンピック、NBCのテレビの視聴率が低くて結構問題になってるんですよ。

(赤江珠緒)NBCで放送してるんですね。オリンピック放送を。

(町山智浩)NBC以外では放送してないんです。

(赤江珠緒)NBC独占?

低視聴率が問題に

(町山智浩)完全に独占なんですよ。まあ、民放の中で一番古くて。世界一、古いテレビ局ですけどね。NBCっていうのは。そこが全ての試合を……NBCっていろんなチャンネルがあるんですけども。NBCだけでやっているんですね。有料だったりね。で、NBCが出しているお金がIOC、国際オリンピック委員会の収益の73パーセントですって?

(赤江珠緒)ああ、だからか。

(町山智浩)そう。だから全てNBCの思う通りにやるっていうことで。だから7月に夏の大会をやるっていうのも、9月になるとアメリカはフットボールが始まっちゃうからね。

(赤江珠緒)これは本当、納得できないんですよね。現地のいい時にやらないっていうのがね。

(町山智浩)やらないですよね。でも、お金を一番出してるのはNBCだからしょうがないということもあるんですけど。そのNBCがお金を今後、出せるかどうかわからないんですよ。

(赤江珠緒)と、言いますと?

(町山智浩)視聴率が下がっているから。

(赤江珠緒)そうなんだ。

(山里亮太)そんなに下がったんですか?

(町山智浩)38パーセント、下がったって。2016年に比べて。

(赤江珠緒)あらーっ!

(町山智浩)で、その理由っていうのは「東京オリンピックだから」っていうことではないんですよね。アメリカではテレビを持ってる人自体が減ってるんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)テレビのモニターは持ってるけれども、テレビ放送を受信していないっていう人が多いんですよ。

(赤江珠緒)そうなんですか!

(町山智浩)インターネットがあるから。だからNetflixとか配信とかを見るためにテレビモニターを使ってるけれども、いわゆるテレビ放送を受信していないっていう人がすごく増えてて。特に20代ではテレビ放送を受信している人は34パーセントしかいないんですよ。アメリカって。

(赤江珠緒)うわーっ。

(町山智浩)いないんですよ。つまり、自分がなにかを見たい時に自由に見れないから。テレビって時間が決まっていて、そこで見るじゃないですか。もう完全メディアとしては時代遅れなんですよ。

(赤江珠緒)そうなのかー。そうなると、じゃあNBCが今まで通り、オリンピックにお金を払うということができなくなっていくかもしれない?

(町山智浩)はい。ただ、さっき言ったみたいにNBCはネットとかもやってるから。それで広告を売ったりするっていうことにもなってくるんですけども。ただ、やっぱりそのテレビの方の広告料が減るのはどうしようもないんですよね。で、今まで12億ドル稼いでたらしいんですよ。広告を売って。オリンピックの1回の大会でね。それで、IOCから独占放送権を買ってたんですけども。それがどこまで続くか?っていう。だからビジネスモデル的にね、もう今アメリカは……日本もそうじゃないかな? テレビの広告費って広告業界全体での割合がずっとトップだったんですね。ところが、もう今はトップじゃないんですよ。今、インターネット系広告がトップで。

テレビの広告って結局、実際に広告を出して、それが売り上げに繋がってるかどうかが全然わからないんでね。トラッキングできないから。でも、そのネットの広告って、その広告をクリックした人がいて。そこから商品を買ったりすることがわかるような仕組みだから。非常にマーケティングしやすいし、お金を出した方も確実だから、そっちに行っちゃうんですね。テレビの方はどうしても、広告を出したけども、それがじゃあいくらの売り上げにつながったのかっていうのは誰にもわからないんですよ。まあ、アンケートを取るぐらいですよね。そんなものに金を出せるのか?っていうことで、すごくテレビの広告料って減ってきているんですよ。どんどんどんどん。

(赤江珠緒)そうですか。じゃあ、あんまり見られていないんですね。

(町山智浩)そうなんです。この状況でNBCがこのオリンピックにお金を出し続けることがいつまでできるのか?っていうね。

(山里亮太)これ、NBCがあんまり出せなくなったとしたら、今、我々が感じている「こんな時間になんでやるんだろう?」とか「こんな時期になぜやるんだろう?」っていう、そういうのが解消されて。理想の時期に理想の場所で理想の時間でっていう風に戻ったりするんですかね?

(町山智浩)NBCの独占がこれほどIOCにとって強いものでなくなれば、まあいい時期にできるようになるかもしれませんが。すでに地球温暖化が進んできたことによって、7月に北半球で夏のオリンピックをやるのは、本当にどこでやっても……それこそ、北欧とかでやっても最近は北欧も猛暑ですからね。北半球で7月にオリンピック、できないですよ。もう。で、南半球でやるとしても、今までやったのはブラジルとか、あとはオーストラリアのあたりで。はっきり言って、お金があるところでしかやってないんですよね。アフリカでやってないんですよ。

(赤江珠緒)そうか。そうだな。うん。

(町山智浩)でもね、アフリカって7月、涼しいんですよ。

(赤江珠緒)そうですね。もっと乾燥をしていてね。日本に来て、みんなびっくりしたりということもありますもんね。

(町山智浩)アフリカでやればいいんですけどね。でも、儲からないからやらないんですね。

(赤江珠緒)ちょっと商業的なオリンピックの意味合いみたいなのが変わってくるかもしれない。ただ単に、お金がなくなるかもしれない。

(町山智浩)テレビ第一の社会ってものが終わりつつあるので、まあお金の構造は変えざるをえないですよね。

(山里亮太)これ、開会式ってそっちではどういう風に映ったんですか? 数字はすごい下がったっていう風におっしゃっていましたけども。

開会式に対する反応

(町山智浩)開会式はね、非常に地味だったので。NBCテレビの方がこういう風に言ってましたね。「今、いろいろなことがあるので。大震災もあったし、コロナもあるので、ハッピーすぎないように気を遣った開会式ですね」っていう風にコメントされてましたね。

(赤江珠緒)すごく言葉を選んでくれた感じですね。

(町山智浩)お祭騒ぎにならないように気をつけている感をアメリカも感じていたみたいですけども。でも、開会式に予算がどのぐらい掛かったかを知ったら、アメリカ人もびっくりだと思うんですよね。

(赤江珠緒)そうですね……。

(町山智浩)開会式に165億円をかけたとか言ってますけども。そしたら、開会式の総合演出担当だった佐々木さんっていう人が「実は10億円しかからかけちゃダメと言われていた」っていう風に言っちゃっているんですよね。

(赤江珠緒)それは、どうしてそんなに差があるんだ?

(町山智浩)その差額の155億円ってどこに行っちゃったんだ?っていうのはね、このオリンピックがどんなに成功して、アスリートたちがいくら金メダルを取ったとしても、やっぱり誰かが追求しなきゃいけないことだと思いますよ。

(赤江珠緒)そこはおかしいね。

(町山智浩)どこに行っちゃったのよ?っていうね。

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(赤江珠緒)たしかに。その使ったお金の使途みたいなのは知りたいところですね。

(町山智浩)そうなんですよ。僕ね、オリンピックにいくらお金を使ったとしても全然構わないと思っているんですよ。だって、公共事業だから。それは日本の……。

(赤江珠緒)日本の国をPRするっていうところ、ありますもんね。

(町山智浩)でも、そのお金がどこに行っているのかが全然わからないっていうのは問題ですよね。

(赤江珠緒)それは問題だ。そうか。

(町山智浩)ねえ。だって、出てきたダンサーの人たちも人数が少なかったしね。それで、オリンピック史上最大ぐらいのオリンピック開会式の予算だったんでしょう? それはどこに行ったのか?って追求すべきだと思いますけどね。

(赤江珠緒)本当、そうだよな。うん。

(町山智浩)ただ、僕ね、開会式で一番の問題だったと思って、アメリカでも問題だと言われていたのは、バッハ会長の超長い演説ですよ。

(赤江珠緒)うん!

(町山智浩)もう本当に長くて。選手もヘタってたんですけど。アメリカでもインターネットとかで「Bach Long(バッハ、長すぎる)」っていうのが飛び交っていてね。でも、森喜朗さんが「女性の話は長い」なんてことを言っていましたけども。「男の話、長いだろ?」っていうことですよね。

(山里亮太)それを体現したのかな? そういうメッセージだったのかな?

「Bach Long」

(町山智浩)ねえ。本当にもう、バッハの演説が本当に長くて。「早くやめてくれ!」って思ったから天皇陛下がサッとご起立された時は本当に「やったーっ!」と思いましたね。もう超いいタイミングで。「はい、終わり」っていう感じでご起立されたので。

(赤江珠緒)トータルで長かったからね。何時に終わるんだ?っていう感じでしたもんね。

(町山智浩)そこでまた菅さんがね、天皇陛下がご起立されているのにボーッと座っていたりして。それが全世界に放送されてるっていうのもなかなかすごかったですね。

(山里亮太)いい情報を聞きたかったですね。いろいろとね。

(町山智浩)なかなかすごかったです。

(赤江珠緒)開会式のことはみんな、語るといろいろ……ということになりますもんね。

(赤江珠緒)それじゃあ、映画に行きましょうか。今日は……。

(町山智浩)それで僕、開会式の時に僕は歌がね、なんでジョン・レノンの『Imagine』なんだろう?って思ったんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そこはね。それはみんな思いましたね。

(町山智浩)アメリカ人も知ってる歌なら、『上を向いて歩こう』っていう曲があって。

(赤江珠緒)ああ、そうね。『Sukiyaki』。

(町山智浩)アメリカのカラオケとかにもあって。アメリカ人でも知っている歌なのに、なんで『上を向いて歩こう』をやらないのかな?っていう風に言っていたら、娘から「そんな古い歌は知らないよ」って言われて(笑)。

(赤江珠緒)そうかー(笑)。でも、『Imagine』はなんで?っていうね。

(山里亮太)意味があるのかな?

(町山智浩)まあ、僕は言っていることが古すぎる今、怒られててね。本当にもう娘から残骸のような扱いを受けているんですけども(笑)。

(赤江珠緒)アハハハハハハハハッ!

<書き起こしおわり>

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