宇多丸 いとうせいこうとの読売新聞での対談を語る

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宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』の中で、2016年8月3日の読売新聞夕刊に掲載予定のいとうせいこうさんとの対談について話していました。



(宇多丸)ということで、しかも今年はアルバムの制作みたいなのをやっているはずなんだけど……まあ絶賛煮詰まり中で。例によってなんだけどね。いつものことなんだけど、絶賛煮詰まり中で。「ええっ、もう7月? いよいよマズいぞ、これは!」みたいなね、ムードになってきている昨今でございます(笑)。まあ、でもその間いろいろね、KIRINJIさんとの『The Great Journey』というライムスターのフィーチャリング曲が。あれですよね? TBSラジオの来週の推薦曲にも選ばれております。そういうのをやったりとか。

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あと、発表になっていますけども、いとうせいこうさん。いろいろ文筆活動とかもやられていますけども、僕にとってはある意味、ヒップホップに傾倒していく最大のきっかけになった1人というかね。もちろん、ラッパーでもありますし。という、いとうせいこうさんの『建設的』というアルバムがございまして。この1986年にリリースされたアルバムのトリビュート盤が今年、出るということで。『再建設的』というのがね。で、それに様々なアーティストがトリビュート曲を……まあ、『建設的』というアルバム自体は別にラップアルバムではなくて。それ以外にも、カントリーあり、パンク調ありで、いろんな音楽のパロディー的な要素が入ったアルバムなんだけど。その中にいくつかラップ曲があって。

で、そうだ。でも僕らが選んだ曲は『建設的』の中の曲じゃねーんだ。『噂だけの世紀末』というね、1989年にアルバムとしてはリリースされた『MESS/AGE』というのがありまして。ここに入っている曲。

いとうせいこう『噂だけの世紀末』



曲としては、いとうさんがその前からライブで何度もやっていて。僕はむしろライブバージョンの方をテレビで。フジテレビの深夜に昔、『FMTV』という番組がやっておりまして。藤原ヒロシさんと高木完さんがコーナーを持っていたりなんかして。



あとね、それこそ川勝(正幸)さんとか、押切慎一さんとか、えのきどいちろうさんとか、そういう人たちがみんな参加していたような素晴らしい番組がやっていて。それの録画でいとうさんがその『噂だけの世紀末』のライブバージョンをやったのをもう繰り返し見ていてですね。

いとうせいこう『噂だけの世紀末』ライブバージョン



なので今回、カバーするにあたっても、もちろん歌詞は打ち出して練習をするんですけど。『MESS/AGE』のバージョンと、僕が見たのはたぶん87年とかのライブなんですけど。その2年間の間に歌詞がちょっと変わっているところがあるんだけど。それ以外のところはやっぱりもう完全に空で歌える自分に気づく。だから覚えているっていう意識はなかったんだけど、歌ってみて、「あれ、待てよ。俺、全部覚えているわ、これ」っていう。本当に門前の小僧(習わぬ経を読む)なんていうね、そういう感じですよ。で、そんなカバーをしたりなんかしてっていうことですね。で、それは9月21日に発売という。

あの、いとうせいこうさんと対談をしましてね。読売新聞に8月3日の夕刊にいとうせいこうさんと今回のトリビュートアルバムに関してというか、対談をいたしまして。それも読売新聞に載りますので。ちなみに、その対談の中身はむちゃくちゃ盛り上がっちゃって。なので、たぶんポップスタイルのWEB版の方に完全版という形で、また2万字。前ね、掟ポルシェさんと一緒にブレイクしたての頃のPerfumeの対談が完全版ということで2万字載ってというのがありましたけど。


それ級の2万字フルサイズ対談がそっちに載ったりすると思うので。みなさん、そちらも併せてご覧いただければと思います。本当にね、すごい面白い話ですよ。いとうさんと僕になるとやっぱりね、話がどんどん突っ込んだ方向に行くっていうかですね。なにしろ僕はいとうさんの何に影響を受けたか?っていうと、やっぱりあれですよね。もちろん一ラッパーとしてテクニカルな部分っていうのも当然あるんだけど。それ以上にやっぱりその、「理論的啓蒙」ですよね。

なにしろね。特に大きかったのは、あれは1986年になるのかな? いとうせいこうさんと近田春夫さんがミュージック・マガジンで対談をしているわけですよ。ちょうどランDMC(Run-D.M.C.)とかが『Walk This Way』でワーッと盛り上がり始めて。で、いとうさんとかタイニー・パンクス。さっき言った藤原ヒロシさんと高木完さんとか。と、近田春夫さんとか。一斉に「これからはヒップホップだ!」ってワーッて盛り上がり……日本でもラップが。ブレイクダンスはその前から流行っていたんですけど、ラップっていうのが盛り上がり始めた時期で。

で、その時にミュージック・マガジンに載ったいとうさんと近田さんの対談がまあ面白い。ねえ。だって当代随一の論客2人が寄ってたかってさ、「いやー、いままでの文化はダサいでしょ。これからはどう考えてもヒップホップでしょ」みたいなことを寄ってたかって言うわけですよ。そんなもん私、17才ですから。コロッ! ですよね。洗脳ですよね。はっきり言って(笑)。「そりゃそうだ! そりゃそうだよ、そうだ、その通り!」っていう感じで。これにやっぱり啓蒙というか、影響を受けてしまったのが大きかったですね。その後、自分で日本語ラップっていう方に。実際にやる側に傾倒していくには、また何個かフェイズがあったりするんですけど。でも「やっぱりヒップホップだな!」っていう風に……それまでもブラックミュージック、ダンスミュージック、クラブミュージック全体に好きだったんですけど、「自分はヒップホップだ」っていう風に完全に思い立ったのはその近田・いとう対談だというね。

で、まあ「そこから影響を受けてこういうことを思って……」みたいな話もしていますし。あと、「そもそもラップとは? ラップ的な歌唱、歌唱表現、詩的表現とは何か?」みたいな。そういう、本当にいとうさんと話すとだいたい原理的な話というかね。いとうさんは常に、やっぱり原理、原理、原理で考えて。もう1回、原理に戻って考えなおす、考えなおす、考えなおす……で革新をしてきた人ですから。で、いとうさんがいま何を考えているか? みたいなこととか。それを僕が茶化したりとかですね。まあ、僕のことをいとうさんが茶化したりとか。そういうの込みの非常に面白い対談となっておりますので、ぜひご覧いただきたいと思います。

<書き起こしおわり>

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