安住紳一郎 小田原 三の丸小学校とういろう本店を語る

安住紳一郎 小田原 三の丸小学校とういろう本店を語る 安住紳一郎の日曜天国

TBSラジオ『安住紳一郎の日曜天国』が2015年フランチャイズタウンの小田原市から公開放送。その中で安住紳一郎さんが小田原市の見どころとして、公開放送の会場の三の丸小学校やういろう本店を紹介していました。

(安住紳一郎)大変このあたりは湯河原や熱海と並んで保養地として昔から人気のところであります。そしてここの三の丸小学校ですけども、みなさん、見ましたか?見事な小学校ですね。小田原市民のみなさんの自慢のひとつだそうですけども。

(中澤有美子)ねえ。まるでお城。

(安住紳一郎)ちょうど小田原の駅、東口を出まして、錦通入り口の交差点を右に、南に曲がりまして。お堀端通りをまっすぐ来ますと、お堀端と言うぐらいですからちょうど右手に小田原城が見えて、二の丸が見えて、学び橋ですか?赤い橋が見えまして。二の丸のお堀が切れるところに道路が一本ありまして。それを挟んで三の丸ということで、そこに小学校があるわけですね。

小田原 三の丸小学校

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)もともとは、城内に小学校があったらしいんですけどもこの三の丸に移ってきたということでございますけども。その三の丸小学校の体育館をお借りしてますが、もう校舎がね、普通に多聞櫓みたいになって。白い壁で瓦屋根が乗っていて。見ました?入り口のところ。小さいながらも水濠が掘ってありますよね?

(中澤有美子)ふーん。

(安住紳一郎)そして、1メートル50ぐらいの塀があって。白壁で瓦が乗っていて。見ました?壁に穴が空いてましたでしょ?ねえ。

(中澤有美子)はあ。

(安住紳一郎)あれ、お城詳しい方ならお分かりになりますよね?あれ、工事現場の中がどういう風になっているのかを見る窓じゃありませんよ。あれ、銃眼といってですね、敵が攻めてきた時に内側の兵士がその穴越しに鉄砲で相手を射つっていう、銃眼の空いた塀を備えている小学校ですよ!

(中澤有美子)(笑)。ないですねー!

(安住紳一郎)ものすごい危機管理!

(中澤有美子)(笑)。あ、現役なんですかね?

(安住紳一郎)いや、わかりませんけど。で、そこに行きますとね、あそこのういろうの本店がありますでしょ?ういろうの本店もね、天守閣に負けないぐらいの建物がありまして。もう、ほとんどまたあれですよね。ういろうの本館とこの三の丸小学校で大阪から誰か来た時には、もう小田原市民は立てこもるつもりですよ。そこに!

小田原 ういろう本店

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)少し籠城できると思いますよね。『今度こそは!』なんて言ってね。『やってやるぞ!』なんていう感じになりますよね?素晴らしい小学校で。

(中澤有美子)本当に素晴らしいですね。

(安住紳一郎)プールもあるらしいんですけども。小田原市の小学校の中で珍しくて。そのプール授業があるっていうんで小田原のこの三の丸小学校に転校したいっていう子供も多いらしいんですけども。私、その話を聞いたら、もうあれですね。城マニアですから、それは水泳の授業のためじゃなくて、籠城をした時の水の備えじゃないか?って、それぐらいまで思ってます。

(中澤有美子)(笑)。はあ・・・

(観客)(笑)

(安住紳一郎)小田原の紹介、間違ってますかね?

(観客)(拍手)

(安住紳一郎)ういろうの話、出ましたけど。ちょうどみなさんの体育館の後ろ側ですね。もう30メートルも行きますと、そこに国道1号ですから、東海道が走ってまして。そして、ういろうの本店がありますもんね。

(中澤有美子)あのういろうですね。

(安住紳一郎)ええ。当然、電車とか車のない時代は東海道。街道っていいますと、もう情報、文化、流通の中心地ですから。そこの真横にあるってことはいかにここの小田原という街が東京ができる前は最先端都市だったか?っていうことがわかるわけですよね。うん。

(中澤有美子)(笑)

(安住紳一郎)あの、『外郎(ういろう)売り』っていう歌舞伎の演目があるんですけども。ご存知の方、多いと思いますけども。早口言葉がたくさん散りばめられているんで、演劇部とか放送部に入った1年生なんかはそれを呪文のようにやらされるんですけども。

(中澤有美子)やらされる。

(安住紳一郎)私も放送局に就職して2年目ぐらいまで、『外郎売り』をずーっとやらされてまして。それで、少し覚えてるんですけども。その『外郎売り』って二代目の市川團十郎ですからね。いまから300年前に書いた歌舞伎のセリフですよね。そのセリフ通りに街並みが残っていてびっくりしましたね。『青物町を登りへおいでなさるれば、欄干橋虎屋藤衛門』っていうセリフがあるんですが、私、さっきそこを歩いたら、本当に青物町っていう交差点があって。

(中澤有美子)ええ。

(安住紳一郎)そっからこう、上方の方に歩いて行ったら欄干橋っていう地名があって。そこで右を向いたら、ういろう屋があるんですよ。ええっ!?と思いましたよ。びっくりしました。300年前に書かれたセリフ通りの街がそのまま残っているという。

(中澤有美子)ゾクゾクしますね。

(安住紳一郎)びっくりしましたね。ちょうどね、いま青物町は第一興商のビルが建ってましたけど。なんかね、時代を感じながらも歩いてきました。

(中澤有美子)カラオケとかのね(笑)。はい。へー。

(安住紳一郎)で、ういろう屋に行ってみたんですけども。小田原の方はね、ご存知かもしれませんけども。何が驚いたって、ういろう屋さんの社長さんの名前。『外郎』っていうんですよ。

(中澤有美子)えっ?苗字が?

(安住紳一郎)苗字が『外郎』っていうんですよ。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)いまの社長さん、外郎武さん。びっくりしますよね?サンドイッチ伯爵に会ったみたいな感じね。

(中澤有美子)(笑)。本当だ!

(安住紳一郎)『外郎さんっていうんですか!?』っていう。

(中澤有美子)本当だー!

(安住紳一郎)なんでも、500年前に京都から来たらしいんです。『500年前に来ました』っていうんですよ?びっくりしましたよね。『3ヶ月前に有楽町に引っ越しました』みたいな感じじゃありませんからね。『500年前に京都から着たんですけど。うちは』なんて言って。

(中澤有美子)えー。

(安住紳一郎)外郎さんがいるんですよ。

(中澤有美子)そうですかー。

(安住紳一郎)ういろうって言うとね、ちょっとあんまり詳しくない方は名古屋のういろうとか、伊勢のういろうの、あの羊羹のイメージがありますけども。小田原のういろうは知ってらっしゃいますよね?薬なんですよね。あの、仁丹みたいな銀色のちっちゃい丸薬で。『万病即効在る事神の如し』って言われてまして、なんでも効くらしいんですけども。腹痛とか、食中毒とか、咳とか、喉がれとか。とにかくなんでも効く、日本最古の薬って言われてるんですけど。それを小田原では売ってるんですね。

(中澤有美子)丸薬なんですか?

(安住紳一郎)丸薬なんです。正しくは透頂香っていうんですけど。で、誤解されがちなのはういろうの説明、難しいんですけども。あの、もともと外郎ご一家は京都にいたらしいんですよ。先ほども話、ありましたよね。京都にいて、その透頂香っていう薬を作っていた名家で。しかも、お客さんが来た時にお菓子を振る舞うという能力もあったんで、お菓子も作っていた。

(中澤有美子)ああー。

(安住紳一郎)それで、薬とお菓子を作っていたんだけども、そのうち、(北条)早雲公が小田原で街づくりをしますよって言った時に、『小田原の人たちの健康のために、ぜひ、外郎さん、薬の作り方と一緒に小田原に来てください』って言って来たのが500年前。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)それで、薬の作り方を持ってきたので、京都の方ではお菓子の作り方しか残っていない。

(中澤有美子)ああ、運んじゃったから?

(安住紳一郎)それで、京都とか名古屋とか山口の方では羊羹のようなういろうがそのままあちこちのお菓子になって残っているんですね。でも、薬の作り方だけは小田原に持ってきたんですよ。だから、その透頂香っていう外郎さんが作る日本最古の薬を買おうとすると、ここの小田原本店だけでしか買えないの。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)さらに驚くのは、お菓子の作り方も当然知っているので、小田原本店では薬とお菓子の両方が買える。

(中澤有美子)買える。両方買える。

(安住紳一郎)両方買えるの。で、薬屋さんなので、『ういろう薬局』っていうのが正しい名前らしいんですね。で、透頂香しか売ってないのかな?と思ったら、普通にストナとかユンケルドリンクとか。普通に売ってるの。市販薬が。

(中澤有美子)ああー。そう。時代に、ちゃんと。ね。

(安住紳一郎)薬局なんだって。ねえ。私、それで驚いちゃって。

(中澤有美子)本当ですね。並んだ感じでういろうが?

(安住紳一郎)透頂香がいちばん奥にあるんですけども。その周りに、普通の現代の市販薬が売られている。で、その横にはお菓子コーナーがある。

(中澤有美子)(笑)。見てみなきゃ。

(安住紳一郎)ちょっとね、見てみると面白いよね。でも、それぐらいところどころに歴史が散りばめられているという小田原なんですよね。ぜひ街を、みなさんこの後ご覧になってみてはいかがでしょうか?

(中澤有美子)はい。

(安住紳一郎)提灯とか。あと、ちょうどみなさんの後ろ側ですけども。もう少し、200メートルぐらい行きますと相模湾が広がってますが。その前に蒲鉾屋さんとかね。

(中澤有美子)そうですよね。

(安住紳一郎)恐ろしいぐらい有名な蒲鉾屋さんが軒を並べてますから。ものすごい競争してるんだろうな!みたいな。

(中澤有美子)そうでしょうね。感じます。

(安住紳一郎)ぜひ、小田原市内を観光していっていただきたいと思います。

<書き起こしおわり>

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