菊地成孔 第14回 東京JAZZバックステージを語る

菊地成孔 第14回 東京JAZZバックステージを語る 菊地成孔の粋な夜電波

菊地成孔さんがTBSラジオ『粋な夜電波』の中で第14回東京JAZZのバックステージの模様をトーク。『すごい面白いことが毎年起きる』という東京JAZZあるあるを披露されていました。

生放送スタンバイ中。

Posted by 株式会社ビュロー菊地(菊地成孔) on 2015年9月5日

(菊地成孔)そんなわけでね、東京JAZZ、出たんですよね。東京JAZZはね、私の、フジロックに出て、本番前に小便がしたくなったんでトイレに駆けこんだら、変な小さい女とバーン!って正面衝突して。『誰だ、こいつ?』って思ったらビョークだったっていう話がみなさんお好きっていうか、ウケる系の話のひとつなんですけど。

菊地成孔が語る FUJI ROCKのトイレでぶつかった小さい女性の正体
菊地成孔さんがDOMMUNE『JAZZ DOMMUNE17』の中で、出演したFUJI ROCKで急いでトイレに行った際に偶然ぶつかってしまった小さい女性の話をしていました。 (菊地成孔)だから脈々とパンキッシュっていうのが、何も別にロンドン...

私の持ちネタっていうか、事実なんですけどね。これね。東京JAZZはね、東京JAZZあるあるがあるんですよ。すごい面白いことが毎年起こるんですよね。あそこね、そもそもね、NHKもからんでいるし。誰でも知っている超一流ホテルのブッフェがフードコートなの。蝶ネクタイの老紳士ですよ。が、何人かいるスペースで食事はもう全部銀製ですから。結構ナイフもフォークも重かったりして。

で、まあ東京JAZZあるあるっていうのは、そこで意外なメンツが一緒に飯を食っているってことがから巻き起こされる騒動のことなんですけど(笑)。私がね、リチャード・スペイヴンと沖野(修也)さんと3人で飯食ってたんですよ。で、そこまでは普通のことね。うん。まあまあ、リチャード・スペイヴンと仲良くなって、私のCDあげたり、向こうのももらったりして。ほいで、飯食ってたら、もう後ろからやってきたね、なんかずいぶん背のデカい猫背の黒人の老人が来たなと思ったら、ジャック・ディジョネットでですね(笑)。

レジェンド ジャック・ディジョネット

こっから先はごめんなさい。ジャズのこと詳しくない方にはぜんぜん面白くないと思うんですけど。まあ、ディジョネットが後ろに来たのね。で、まあ特にドラマーであるリチャード・スペイヴンなんかはもう、飯の味なんかわからなくなりますよね。表情としては、『嫌』っていう感じの表情になりましたよね(笑)。まず、リチャードが。『嫌だな』っていう(笑)。でも、急にね、席を立つのも失礼じゃないですか。レジェンドですからね。マイルス・デイヴィスグループ、キース・ジャレット・トリオ。あの伝説のグループを支えたリズムですからね。ジャックは。

で、ディジョネットが飯食っていて。で、沖野さんもね、これはぜんぜん悪口にならないと思うんで言っちゃいますけども、まあ、ミーハーなんですよ。特にリアルジャズ。演奏する。ジャズDJの方っていうのは演奏家をすごい神格化するんで。私もすごい上げてくださるんですけど。『そんな、大したもんじゃないですよ』って思うんですけど。まあまあ、私はともかく、ディジョネットなんてもうジャズミュージシャンの間だって神格化されているわけですから。で、私、ちっちゃい声で『Legend comes』って言ったらあの・・・(笑)。リチャードもうこんななって、もう飯食いたくねえみたいになってたんですけど。

沖野さんがもう、ソワソワしだして。そしたらね、ディジョネットが、英語でですけどね。もちろんね。『この自分が取ったブッフェの皿を、ここじゃなくて自分の控室で食っていいか?』っていうようなことを、その誰でも知っている一流ホテルの方に言ったんですよ。したら、その方が『うっ・・・』てなったの。まあ、一応自分はね、ホテルから出向で来ているその空間がブッフェ空間ですからね。っていうのもあると思うんですけど。まあ、それ以上にその方が、彼がレジェンダリーなジャズドラマー、ジャック・ディジョネットだってことを知っていたかどうかが問題だと思うんですよね。やっぱりね。

知らなかったんだと思うんですよね。その、知ってたら一も二もないですよ。即、持っていってください!っていう話だと思うんですけど。まあ、なんて言うか、存じあげないっていうか。こういう仕事だけども、ジャズなんて聞かない人は聞かないですからね。まあ、言ってみりゃあ単なる1人の黒人のおじいさんですから。ほいで、ちょっとたじろいでたの。したら、まあまあ、これはヤバい!ってことになって、まず最初に立ち上がったのが沖野さんで。『私がお運びしましょう』っつって、沖野さんがナイフとフォークと、あとお盆を持ってジャック・ディジョネットの皿を持って(笑)。

ほいで、『部屋までお連れします』っつって。みんながもうね、すごい勢いで言葉にできない・・・放送では言えない、なんつったらいいんですかね?召使いね。柔らかく言ってね。もうジャック・ディジョネットの召使いみたいになっちゃって。みんなで。で、私とリチャードはテーブルに座ったままそれを苦笑しながら見てたんですけど。その後は元quasimodeの平戸(祐介)くんね。京都ジャズセクステットのピアノなんですけど。彼も後からそこに合流して。

んで、もうひと目見ればわかりますよね。とにかくジャックが自分で好きなようにいろいろ肉とかさ、魚とか盛るわけじゃないですか。ブッフェだから。で、その盛った皿を持って部屋に行きたいと思ってウロウロしてるわけ。ほんでそれを、後ろにくっついてもう、子分みたいに(笑)。んで、日本のジャズメンがね、だからquasimodeの平戸くんと・・・まあ平戸くんは沖野さんに命令されたんだけど。『平戸くん!ミスターディジョネットが部屋に料理をご所望だから!』っつって(笑)。『ご所望!?』って思ったんですけど(笑)。

で、『おおっ!』っつって平戸くんも急いで、こう持って。で、ディジョネットは『いいよいいよ、そんな、自分で持っていくよ。俺は食っていいか許可がほしかっただけだ』って言ったんですけど、平戸くんが『いえいえいえ』っつって。もう後ろにこうやって、頭を。もう、捧げ銃っていう感じでですね。捧げ銃はダメか?捧げ銃は戦争ですね(笑)。こんななってね、もう、召使いみたいになってね。ええ。面白かったですけど。まあ、それはふざけてやってるんですよ。もちろんね。で、その間私、動画回していましたんで。どっかにアップしようかな?と思うんですけど(笑)。すんごい面白かったですけどね。はい。

<書き起こしおわり>

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