CQ NIPPS 本根誠『人間発電所』制作秘話を語る

本根誠 BUDDHA BRANDとの出会いを語る dommune

元カッティングエッジでブッダブランドの担当をしていた本根誠さんがDOMMUNE『病める無限のD.Lの世界』に出演。CQさん、NIPPSさんと『人間発電所』の制作秘話を語っていました。

(ZEN-LA-ROCK)じゃあ、その後の『FUNKY METHODIST』後にじゃあ・・・という
ところで、本根さんはどういう?

(本根誠)で、日本に仮で帰国するんだっつって。この日だったら4人が揃うって言って。石田さん(ECD)が全部段取ってくれたんですよ。あれ、レコーディング。で、この日なら4人いますよっていう日があって。『じゃあ、都立大のリンキィディンク。ツボイくんところを僕ら、押さえるから。待っています』っつったら、ちゃんと来てくれて。

(二木信)うんうん。

(本根誠)そう。それで、そこが面白いんだけど、『「FUNKY METHODIST」と「ILLSON」をもっとクリーンな音で録り直したい』って最初デブラージが言ってたんですよ。実は。『えっ、そうなんだ。それならそれでいいや』と思って。すごい好きな曲だから、『デビュー曲、いいじゃん』と思っていたら、当日になったらすごい早い時間に来てるのね。

(二木信)うんうん。

(本根誠)デブラージ、いつもそうだったんですけど。サンプリング、当然、実はするじゃないですか。で、その時ってまだ別にカッティングエッジとか、世の中、日本ってそんなにサンプリングうるさくないんだけど。でもなんか、あの人なんか礼儀正しいっていうか。なんかスタジオに来て、ディレクターの見てないところでサンプリングをやっていた。

(二木信)ああー。

(本根誠)なんかね、ほら、結構遅刻とかするじゃないですか。デブラージ。だけど、そのトラックの流し込みの時は、なんか知らないけど1人だけ早く来てた印象がある。

(二木信)それはサンプリングのライセンスをちょっと気にしてたってことですかね?

(本根誠)なんか人に見られたくない・・・

(二木信)ネタも含めて、知られたくない。

(本根誠)ネタも含めて。自慢するの逆で。なんかね、人に『これは○○のネタです』とか絶対言わなかった。

(NIPPS)あれじゃない?昔のさ、ニューヨークのDJがさ、ネタばらされないように消す。あれをかなり意識してたんじゃないかな?と思うんだけどね。

(本根誠)そんな感覚だね。俺にも『これは○○のネタです』って言ったことがないし。俺もなんかそういうの、ほら。サンプリングってマズいことだって半ばわかっているから。特に俺からも聞かないで、こうシーンとしてんだよね。最初、1時間ぐらい。

(二木信)あ、そうなんでね(笑)。

オルガンバーで受ける曲

(本根誠)するとこう、他のメンバーが来て。『おはようございます』みたいな。で、『人間発電所』。『FUNKY METHODIST』をやるつもりで俺ら、待っていたのね。そしたら、デブラージのあの交渉する時の顔、あるじゃないですか。ニコニコして、こう。『本根さん』って、こうやって来て。で、『あの、オルガンバーってすごい当たってるんでしょ?フリーソウルとか。須永辰緒さんとか、橋本徹さんとか、あのへんのおしゃれなピープルに受ける曲を思いついたんすよ。今日、それやります』って言って。

(二木信)(笑)

(本根誠)突然、『FUNKY METHODIST』のサブジェクトが発電所になっていて。もうトラックも流しこんであって。あれ、ほら。元ネタ、45回転。もう早いやつができていて。『わっ、これでも、かっこいいな!もうこれでいいや!』と思って。僕も、『これならこれでいいや』と思って。じゃあ、やってみよう!ってやったのが『人間発電所』なんだけど。もうでも、しっかりリリックとかできていたし。すぐできたから。なんか、メンバーたちの中ではもう、あれやろうって決めてたみたい。

(二木信)ああー。発電所ってすでに公に語られてることですけど、ビートをワタライ(DJ WATARAI)さんが組んだりとか。PMXさんが制作に関わっていたりとかっていう話はされてるじゃないですか。そういうのは、その場でやられてた感じだったんですか?本根さんが見ているところでとか。

(本根誠)パブさんがいたかどうかは、俺、実は覚えてない。ごめんなさい。

(二木信)あ、そうなんですね。じゃあ、もうできた状態で?

(NIPPS)なんか、あのPMセックスが・・・

(ZEN-LA-ROCK)えっ!?

(NIPPS)ごめん。言いたかっただけ。ごめん。『PMセックス』って言いたかっただけ。ごめん。

(観客)(笑)

(ZEN-LA-ROCK)すいません。いや、続けていただいて・・・

(NIPPS)・・・

(二木信)それだけっすか!?

(ZEN-LA-ROCK)終わりっすか!?マジっすか!?

(NIPPS)いや、そう。ループを組んだのがPMセックスだったんだけど。

(CQ)デブラージ、あのね、機材とか全く持ってなくて。頭の中で全部処理して。機材持ってないからPMセックスにやってもらって。こう、言った通りにやってもらって。それで、ドラムはワタさんっつって。ワタさんも当時、そんな有名じゃなかったかもしれないけど、来てもらってやってもらって。ワタさんが帰り、スーパーカブで転んじゃって。ドラムマシーンが壊れちゃったんだよね。

(二木信)そうなんすね。

(本根誠)ぜんぜん覚えてない。俺。

(CQ)SPが壊れちゃったんだよ。

(ZEN-LA-ROCK)SPをワタさんは家から持ち込んでいたってことですか?

(CQ)家から持ってきて。たぶん後ろの荷台にこう、縛りつけて帰ったら、途中で転んじゃって(笑)。

(ZEN-LA-ROCK)マジっすか!?

(CQ)いや、俺は覚えてんだよ。それでちょっと、赤字になっちゃったみたいな感じで。

(ZEN-LA-ROCK)じゃあ、その請求は後日、カッティングエッジの方に?

(本根誠)全く受けた覚え、ないけどな。ワタさんからも聞いたことない。いま、初めて聞いた。このエピソード。

(CQ)あっ、そう?ワタさん、転んじゃったんだよ。帰り。それで、『ヘルメットしててよかった』って。

(二木信)『人間発電所』、出来上がった時、本根さん的には渋谷のオルガンバーで受けるような音楽だなっていう感じはしたんですか?

(本根誠)しましたね。

(二木信)あ、しました?当時、フリーソウルとか渋谷系とかの流れって、やっぱり強かった時代ですよね。そういう匂いがあったんですか?

(本根誠)あとは、俺とかはここのメンバーさん3人より3つ、4つ上じゃないですか。だからリリックのおかしいところっていうのが本当、わかるんだよね。骨に染みるまで。なんかこう、狙っているところが。そういうのが若い人にどうやってこう、刺さるのか?って、すごいウキウキしたっていうか。楽しそうだなと思って。

(二木信)ちょっと『人間発電所』を聞いてみましょうか?『人間発電所』、お願いします。

BUDDHA BRAND『人間発電所』

(本根誠)あ、これ、最初のバージョンだよね。ここのパート(冒頭の語り部分)の人。
(CQ)吉田拓郎。

(本根誠)マスターライツのオーナーの人から電話かかってきちゃったことがあって。『知らない!知らない!』っつってガチャッ!て切っちゃった覚えがあるんだよ(笑)。

(CQ)なんだっけ?死人に口なし?思い出話。あのね、これ本当はね、これ言っていいのか知らないけど。あの、これ、本当は3人がボン!ボン!ボン!って歌っているだけなんだよね。本当は。

(ZEN-LA-ROCK)ど、ど、どういうことですか?

(CQ)だから俺が1回歌って、デミが1回歌って、デブラージが1回歌って。お終い。

(本根誠)早かった。すごい。なんかそんな印象はある。

(CQ)で、それを、俺の2つのパートに勝手に分けて。デミが『You need heart ・・・』。あそこ、フックのところはデミの単なるリリックなのね。リリックの中のやつを勝手にフックにしちゃってんのね。わかる?言ってる意味。

(ZEN-LA-ROCK)エディットしてるってことですよね。

(CQ)エディットしてるの。超。

(ZEN-LA-ROCK)本当は1ヴァースだったものが。

(CQ)本当は3人の塊を勝手に分けて。で、デミの・・・それでデミとかはたぶんニューヨークに帰国とかしちゃって、いなくなっちゃって。

(本根誠)ああ、そうね。1回帰ったよね。

(CQ)それで、こうデミのパートはみんなで歌ってっけど、本当はデミのリリックなんだよね。ここは。気づいてないけど。ここはデミのリリックの塊を勝手に分けられちゃってるんだよ。デミが(笑)。

(本根誠)サビにしたんだね。

(ZEN-LA-ROCK)じゃあデミさんは1人で録ってたんだけど、気づいたらフックになっちゃってるし、ユニゾンになっちゃってるし、みたいな。

(CQ)聞きやすくしたっていう感じなんだろうけど。

(二木信)これは、なかなか・・・

(CQ)そう。知らないでしょ?

(二木信)知らなかったです。

(CQ)そう。俺も1回歌ったやつを勝手に分けられてるだけなんだよ。

(二木信)そうなんですね。

(CQ)知らなかった?

(二木信)知らなかったです(笑)。

歌ったバースを勝手に編集される

(本根誠)でも、『聞いていいですよ』ってデブラージに言われた時には、もうこの形になってたよ。

(CQ)これ、そう。勝手に編集されてきたんだよ。

(本根誠)でもまあ、すごい速攻編集したってことだよね。

(CQ)不思議でしょ?

(ZEN-LA-ROCK)すごい作り方っすよね。けど、それって。

(CQ)まあ、デミがいなくなっちゃったっていうのも。帰国しちゃったっていうのもあるけど。たぶんヒデだけはもしかして、自分で録り直してる可能性大だけど。

(一同)(笑)

(本根誠)好きだからね。録り直すのね。

(CQ)ヒデは録り直してると思うけど。あとね、デミのフックのところにもカブせたり(笑)。ヒデはやってると思うけど。超適当。で、上手くいったんだよね。実はね。これ、売ろうとも思っていなくて、いちばん売れたんだよ。実は。

(本根誠)そうかもしれないね。

(CQ)全く売ろうと思ってなくて。ちょっと一般・・・『便所コオロギ』とか言っちゃダメでしょ?たぶん、普通だと。

(本根誠)でも、デブラージは明らかに言ってたよ。『フリーソウルを狙うんだ、僕は』みたいな。

(CQ)あ、でもそれは知ってる。俺も。

(NIPPS)それも知ってるけど。日本人が好きそうだっていうのは知ってる。そういうのは知ってるけど。

(CQ)すごいなんかいろんなクラブに行って・・・

(本根誠)リサーチしてるんだよね。

(CQ)そう。リサーチしてたな。

(二木信)どういうリサーチしてたんですか?かかっている曲とか?

(CQ)いや、だから現場でどういうフリーソウルがかかってるか?っていうか。どうも現場ではフリーソウルが流行っているらしいっていう話はしてたね。

(本根誠)まあ、それを言えば『FUNKY METHODIST』もそうだと思うよ。こう、気持ちいトラックにハードなことを言うっていう。こう、そういうなんて言うの?バランス。

<書き起こしおわり>

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