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AKLO アルバム解説 Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』

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ラッパーのAKLOさんがblock.fm『Inside Out』でケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)の話題のアルバム『To Pimp A Butterfly』を解説。歌詞の内容や、その背景を話していました。


(AKLO)はい、みなさん、どうもどうも。まあ今日はね、ケンドリック・ラマー特集ということでね。私、やってみましたよ。まあ、ついにね、やってきましたよ。『To Pimp A Butterfly』。まああの、サプライズリリースだったってこともあって、あっという間にみんなダウンロードしたんじゃないかな?と思うんですが。

(渡辺志保)そうだね。

(AKLO)で、俺らもニュースでね、その時に伝えましたけど。日本でも一位ね。iTunesで。

(渡辺志保)総合だもんね。しかもね。

(AKLO)総合ですよ。だから、ある意味ハイプみたいなね、状態になっていて。で、まあいざ聞いてみると、『あれっ?ちょっとコンシャスじゃない?』みたいになっている人は多いと思うんだよね。

(渡辺志保)そうね。様子が違うぞ・・・みたいな。はい。

(AKLO)その、いまヒップホップで一位!イエーッ!みたいな感じから、あれーっ?みたいに。聞いてみると、結構コンシャスな感じ。で、最近のブレックファーストクラブ(The Breakfast Club)っていうラジオのインタビューで言ってたんだけど。あんまりケンドリックはラジオヒットを意識しなかったと。今回。

(渡辺志保)わかる。

(AKLO)『より内容を伝えたかった』って語っているんですよ。ケンドリック。じゃあ、内容ってなるとね、コンシャスだし、英語だしね、少し難しい感じ、するじゃないですか。で、アルバム、和訳を探してみたけど、まあちゃんとアルバム、和訳されている日本語サイトっていうのはなくて。曲単位ではあったりするんですけど。シングルとか。

(渡辺志保)まあね。超大作ですからね。

(AKLO)だからそうなるとね、もう3週間たったけど、まだ内容が見えていないっていう状態の人が多いんじゃないかな?と思って。

(HIPHOP HYPE!の中の人)そうっすね。国内盤もまだね、だいぶ先ですし。

(渡辺志保)そうね。5.20ですからね。

(AKLO)なので、僕が頑張って宿題やってきましたよ。

(渡辺志保)いやー、素晴らしい!だって、AKLOさん今日さ、私もスタジオに来たら、もうAKLOさんいたんだけど。全曲・・・

(AKLO)全曲、和訳しました。

(渡辺志保)ユニバーサルさん、翻訳はAKLOさんから高い印税払って買い取って。

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アルバムのイメージ

(AKLO)いや、ぜひ。お待ちしております。なんですけどね、今日、全部話せないから。重要だなと思うところだけ言っていきたいと思うんだけど。まあ、今回のアルバムは前回のようにね、ストーリーがずっと続く感じではなく、曲単位でそれぞれ世界観があるんですよ。でも、全体的にだんだん絡み合っていく感じなんですよね。曲と曲が。なんとなく、全てのパズルがつながっていくような感じのアルバムになっています。

(渡辺志保)すごい。壮大だよね。それを聞くだけでもね。

(AKLO)そうなんですよ。で、まあアルバムの印象をもう一言じゃあぜんぜん表せなくて。いろんなテーマがあるんだけど。まあ、ネガティビテイーとポジティビティー。善と悪とかね。あと、差別と平和と。リアルとフェイク。ここらへんが結構大きなね、テーマになっています。

(渡辺志保)はい。

(AKLO)で、まあそんな感じなんですけど。まず1曲目から、どんな感じか?ってことで。今日もね、最初にかけましたけど。『Wesley’s Theory』ですけど。まず、さっき言ったようにウェズリー・スナイプスという俳優がいましたよね。『ブレイド』の主人公。で、彼は税金を払えなくなって、3年間、刑務所に服役していたということで。ケンドリック・ラマーはこの曲で、いかに成功する黒人を待ち受ける罠があるか?について語っています。
(渡辺志保)はい。

(AKLO)つまり、調子に乗りすぎてステレオタイプに金を使っちゃうと、そのツケが回ってきて、刑務所に入れられちゃうかもしれないっていう危険信号を出す曲なんですよ。1曲目から。だから、『イエーッ!金持ち!』っていうのの逆を行くパターンで、一発目から、『おおっ!?』みたいな。

(渡辺志保)はい。

(AKLO)で、次の曲に行くと、『For Free? (Interlude)』なんですけど。次の曲はなんか女性の声で、ひたすらケンドリックをけなすんですよ。『あんたみたいに賞味期限が切れたラッパーなんて興味が無い!』みたいなね。



(渡辺志保)痛烈ですね。

(AKLO)そう。で、このビッチみたいな役の人なんですけど。この最後の方でケンドリックが『このビッチ=アメリカだ』みたいなタネ明かしをするんだけど。つまり、ケンドリックはそんな使い捨ての駒のように使われているこのシステムはナンセンスだと。さっきの曲とつなげて、このビジネスの中でもそうだけど、このアメリカっていうシステムは黒人のアーティストとかを使い捨てみたいにして・・・

(渡辺志保)搾取しているっていう体制なんですかね。

(AKLO)そう。で、次の曲が『King Kunta』なんですよ。で、これはいきなりちょっと雰囲気が違って、すげーイケイケなんですよ。

(渡辺志保)そうですね。トラックはね、かなりファンキーなね。



(AKLO)そうそう。で、『俺はキングだ!俺はキング・クンタだ!俺はゲームをいま、引っ張っているぜ!お前らは俺が歩いていた時、どこにいたんだよ?知ったかしやがって!』みたいな。俺はキングだ、みたいな。でも、だからこそ、すごい攻撃的で。ある意味。『Control』の時みたいな攻撃性もあって。

(渡辺志保)あ、ビッグ・ショーンのね、フィーチャリングで参加した『Control』ですね。



(AKLO)で、どういう攻撃をしているか?っていうと、『まあラップは好きだけど、ゴーストライター抱えているラッパーって、いったい何が起きたんだよ?ラップゲームに。言わないようにしていたんだけど、お前らは、まるで同じ刑務所の部屋を、二段ベッドでいるかのように、バーを共有しているぜ』っていうんだけど。これ、すごい上手いこと言っていて。

(渡辺志保)バーを共有しているんですね。はい。

(AKLO)そう。『バー(Bar)』っていうのは何て言うの?鉄格子のバー。

(渡辺志保)よく、刑務所に入ることを『Behind the Bar』ってね、言ったりしますけど。刑務所の比喩表現のひとつですよね。

(AKLO)でも、そのバーの後ろで、二段ベッドの二人部屋にいるみたいな。イコール、ゴーストライター、同じやつがバーを書いているから、二人の同じ・・・

(渡辺志保)バーは英語でね、『小節』っていう意味もありますから。

(AKLO)そうなんですよ。だからそうやって言っていて。だから、『お前らみたいなゴーストライターがいるフェイク野郎は、しょうもない。俺がキングだ!』っていう曲なんですよ。これは。はい。で、次。『Institutionalized』っていうね、『収容されている』とか、まあ抜け出せない状態みたいな感じの意味なんですけど。これはね、ストーリーテリングになっていまして。いきなり。

(渡辺志保)おおー。

(AKLO)で、1番では成功した自分のキング・クンタからのイケイケ感で行くんだけど。その、『成功したぜ!しかも、地元のやつにもすげーロイヤルで。地元のやつをサポートしてるし・・・』みたいな内容なんですよ。『けど、コンプトンの仲間をBETアワードに連れて行った時に起きた出来事によって、考えさせられることがあったんだよ』って言うんですよ。

(渡辺志保)ほー、なるほど。

(AKLO)1番で。それはなにか?っていうと、2番につながるんですけど。声も変わってね。ケンドリックの声が変わって。その友達を演じながら、友達の感情をラップするんですけど。『ケンドリック!あいつら、お前の同僚なのはわかるけどさ、このピストルを大人しくさせるためには、相当の説得が必要だぜ。あの時計はテレビで見る分には構わないんだけど、いま目の前にあると、もう俺の仕事だわ』みたいな。『盗らせてくれ』みたいな。

(渡辺志保)うんうんうん。

(AKLO)つまり、もう金持ちがいっぱいアワードにいるわけですよ。でも、ケンドリックはただ友達に貴重な経験をさせたかっただけ。なのに、その友達はもう盗もうとしているみたいな。

(渡辺志保)逆手にとられちゃったっていうね。

(AKLO)そう。で、それによってケンドリックは、いくら自分が頑張っても、友達を変えることはできない。友達が自ら変わらないと。自分は無力なんだなってことを知るんですけど。まずはこの曲、ちょっとストーリーテリングになっているので。『Institutionalized』って曲を聞いて下さい。
(AKLO)はい、というわけでね、いま聞いてもらったのが『Institutionalized』っていう曲。4曲目の。で、その後、5曲目の『These Walls』っていう曲になるんだけど。この曲がね、すげーキーっていうか。『These Walls』って、『この壁が・・・』みたいなね、意味なんだけど。その壁の意味が、まさかのプッシーなんすよ。

(渡辺志保)おー。そうなんだ。

(AKLO)で、この曲の途中で何度も壁は崩壊し、洪水を起こすんですが。それはもう、想像にお任せしますけども。ただね、すげー曲がっているんですよ。このラブソングは。とっても曲がっていて。なんでか?って言うと、この一緒にいる女の子が、なんとケンドリックは実は友達が殺されまして。で、それを殺した犯人が捕まっていまして。いま、刑務所にいるんですけど。その刑務所にいる子の彼女なんですよ。その彼女とケンドリック・ラマーは一緒に寝ているんですよ。



(渡辺志保)うんうん。

(AKLO)で、それはケンドリックがその子を好きだからとかじゃなく、リベンジなんですよ。自分の友達を殺されたことに対する。

(渡辺志保)おー、なるほどね。

(AKLO)で、だんだんダークになっていくんです。ここから、話がね。で、3番になると、ウォールがもうプッシーの話じゃなくて、刑務所の中にいるそいつの壁がしゃべりだすみたいな。パラノイアな状態で。で、ケンドリックの声が聞こえるんですよ。どんなことが聞こえるか?っていうと、『お前の大好きだったあの子と俺はシャワーを浴びてるぜ』とかね、『お前のことを唯一かまっていたあの女は、有名なラッパーとファックしてんだぜ』みたいな。すげー嫌なことを言うんですよ。

(渡辺志保)はい。

(AKLO)すげー性格悪い。でも、そんな状態をさらけ出すんです。ここで。だからもう、いきなり超ダークになるんですよね。人間として。すげー暗い部分があるな、ケンドリック。大丈夫か?みたいな部分がこの曲で出てきます。で、次の曲が『u』っていう曲になるんですけど。この『u』とまあ、『i』っていう曲があったじゃないですか。

(渡辺志保)はい。ファーストシングルのね。

(AKLO)あれ、超明るくて。なんだよ、ケンドリック。こんなポジティブなのか?と。

(渡辺志保)ねえ。誰もが思ったけど。

(AKLO)言ってたんですけど。実は『u』と『i』はセットになっていて。『u』は自分のことが大嫌いなんですよ。

(渡辺志保)そうね。本当に反対なんだよね。

(AKLO)自分が愛せない。だから、反対で。『u』は自分を愛せない自分の歌で。こっからさらにダークになっていくんです。この曲は。で、この『u』に関しては、重要な2個のネガティビティーっていうか、自分がなんでこういう状態なのか?っていうのを表しているんですけど。ひとつは、さっき言った自分の友達が殺されたっていう。で、自分の友達が殺されたけど、それに対してなにもすることができなかったということで、すごいヘコんでいる。しかも、その友達がもう3回目の手術の時にも、フェイスタイムでしか会わなくって。

(渡辺志保)はい。

(AKLO)本当だったら、3回目の手術ぐらいの時はピンと来ているはずなのに・・・俺、結局友達のこと、何もできねーじゃんっていうことで、すごいヘコんでいるんです。本人はね。だから、自分のことが嫌い。で、それだけじゃなくて、実は妹がいて。妹が妊娠しちゃうんですよ。10代なのに。

(渡辺志保)うん。

(AKLO)これ全部、Based on a true storyですよ。

(渡辺志保)本当のことなんですね。

(AKLO)で、妹も妊娠したし。で、自分が10万人とかの前でコンサートして、いろいろがんばって話しても、いちばん近い存在のはずの自分の妹すら、いい道に連れていけない。そんな俺って、クソなんじゃねえか?みたいな。自分のことを大嫌いになるのが、『u』。

(渡辺志保)なるほどね。『ユー、あなたを愛することはとても複雑で難しいことなんだよ!』っていうのをもう、叫ぶように歌っている曲で。もっと言うとね、前の曲も最後のシーンは『ホテルの中で俺は叫んだんだ』っていうことで、次のこの『u』につながるっていうことで。そういう、ストーリーのスパイスもすごいなっていう風に。壮絶だなって感じてしまいましたね。

(AKLO)じゃあ、ちょっとここで『u』。聞いてみましょう。
(AKLO)はい。というわけでね、いま聞いてもらったのが『u』という曲でしたけど。

(渡辺志保)暗いねー。

(AKLO)暗いねでしょ?で、しかもこっからさらにね、ちょっと声も変わって。ちょっと酔っ払った状態で。もうホテルの中で酔っ払ってしまって、もうどうしようもなくなって。

(渡辺志保)なんだっけ?グラスがカランカランっていう音とかさ、ちょっとゲップするみたいな感じのラップとかで。

(AKLO)音とかが入っているね。

(渡辺志保)それがヴァース3ぐらいですかね。途中でハウスキーピングのおばさんも入って。『ちょっと!お部屋のクリーニングの時間なんですけど!ちょっと!』っていうね。それでも、まあケンドリックはホテルの中でこうやって、悶々としてるっていう。

(AKLO)うん。その、どうしようもないやつ感、出てますよね。そのハウスキーピングの人が来るって。

(渡辺志保)本当。『u』は聞いてびっくりしましたね。私も。

(AKLO)で、こっからどうなるんだろう?って。次の曲が『Alright』って。『大丈夫だ』という曲になるから、俺、安心したんすよ。あ、これはもうポジティブなやつが来るな。しかも、ファレルがプロデュースしてて。

(渡辺志保)ねえ。さっきもね、DEFLOさんがミックスの中でかけてましたけど。

(AKLO)と、思ったらね、この曲ね、すげー無理矢理な『Alright』なんすよ。で、ヴァースはめちゃくちゃね、自殺願望を語るんです。っていうかもう、自殺しようとしてるんですよ。



(渡辺志保)うん、うん。

(AKLO)もうヴァース的に言っていることは、『俺のプライドは下がっている状態だ。どこに行けばいいかわからない』みたいな。しかも、『俺は警察が嫌いだ。あいつらは俺らをストリートで殺したいと思っている』みたいな。『俺は足から崩れ落ちそうだ。拳銃をぶっ放してしまうかもしれない。でも、It’s gonna be all right!』みたいな。すげー気合いで。

(渡辺志保)そうなんだね。ヤケクソっぽい感じ。

(AKLO)そう。ヤケクソで、『大丈夫!』みたいな感じの。めちゃくちゃ自分を、もうどうにかして、ギリギリのところで止めている感じの曲になっていて。ここまで、結構暗いんですよ。

(渡辺志保)うーん。

(AKLO)で、こっからどうやって抜け出すのかな?みたいなね。さっきも言ったように、ネガティビティーとポジティビティーが結構大きなテーマになっているから。こっからどうやって抜け出すか?っていうと・・・

(渡辺志保)なんと。

(AKLO)なんと、ちょっと飛ばしますけど、『Momma』っていう曲がありまして。これはね、『お母さん』。じゃあ、お母さんなのか?って、全くお母さんに触れない。この曲は、実は。
(渡辺志保)うん。

(AKLO)アフリカに行く曲なんですよ。

(渡辺志保)なるほどね。

(AKLO)で、アフリカに行くことによって、なんかね、ずっと求めていたものがあるんですよ。ケンドリックは何かに満たされていない感じがするんですよ。どうしたらいいか、わかんないみたいな。で、そんな状態で、自分のルーツを探ることによって、なんかすげースッキリした感じで。

(渡辺志保)なるほど。

(AKLO)ついにケンドリック・ラマーは少し光が見え始めるんですよ。アフリカで。で、すごいいいラインだなと思ったのは、『ラップがあることは本当に神に感謝している』と。

(渡辺志保)ああ、なるほどね。『Thank God for rap』っていうところですかね。

(AKLO)『俺にプラチナムディスクをくれたってことよりも、俺をホームに戻してくれたからだ』って。アフリカに連れて行く。

(渡辺志保)ああ、なるほどね。そっか。

(AKLO)ラッパーとして成功して、いろいろプラチナムディスクとかもらったけど、それよりも、アフリカに戻れたってことが、なによりもラッパーとしてうれしいことだ、みたいな。それぐらい価値のある旅だったんですよね。

(渡辺志保)うん、うん。

(AKLO)で、ここでまあ、ある少年に出会うんですけど。その少年に『お前は洗脳冴えている。お前が知っていること全部、実は大したことない。ここで見りゃあわかるだろ?だから、本当にお前の重要な友達には、ホームに帰って来いって伝えてくれ』って子どもに言われて。

(渡辺志保)なるほどね。

(AKLO)で、ケンドリックはみんなに、ホームに戻るようにこの曲でも言っていて。まあ、自分がそこでちょっとリハビリした感じがあるんすよね。それが『Momma』っていう曲ですね。

(渡辺志保)そうか。母なるアフリカみたいな意味なんですかね。『Momma』に込められたタイトルの意味も。

(AKLO)ああ、そうそう。たぶん。母なる大地的な部分があると思います。で、次、またちょっといきなり飛ばして、『How Much a Dollar Cost』という曲があるんですけど。

(渡辺志保)『1ドルの価値を問う』ということですかね?

(AKLO)1ドルの価値を問うという。これも実はアフリカが。南アフリカか。が、ベースになっていて。これ、すっげー面白い、ストーリーテリングラップになっていて。これね・・・

(渡辺志保)ヴァース3まである曲ですよね。

(AKLO)そうそう。これね、どういう感じか?って言うと、まず、ケンドリックがアフリカでドライブしていて。で、ガソリン入れないといけないみたいな。で、入れようとしたら、ホームレスに声をかけられるんですよ。そのホームレスが『YO、たのむから10ランドくれ』(※ランドは南アフリカの通貨)みたいなことを言って。『お前のパイプに協力するつもりはない。どうせこいつ、クラックが好きなんだろ?』みたいな。『こんなやつのために、金をあげられねー』みたな感じでケンドリック・ラマーは『無理だ』みたいに断るんですよ。

(渡辺志保)うん。

(AKLO)そしたら、『たのむよ』みたいな感じで言うんですけど、ケンドリックは無視して車に乗るんですよ。で、車に乗っても、ずーっと、『なんだよ、お前』みたいな感じで見ているから、『なんでこいつは俺にキレてるんだ?ホームレス、お前、超自己中じゃね?』みたいな。『そうやって物をもらって生きていくなんて、信じらんねー!』みたいにケンドリック、ブチ切れるんですよ。

(渡辺志保)うん、うん。

(AKLO)で、そいつに『なんだよ?』みたいな感じで言って。で、『たのむよ』みたいな。で、ひたすらこのやり取りが続くんですよ。で、ケンドリックはいろいろ考えるけど、あげない理由しか思いつかないんですね。ヴァースの中で。

(渡辺志保)彼に対して、ネガティブな印象しかないってことですよね。

(AKLO)もうネガティブな。で、そのホームレスが『Exodus 14』っていう聖書のチャプターを読んだことがあるか?って最後に言うんですよ。ケンドリックに。で、ケンドリックはそれに対して、『なんだよ、こいつ?まるで俺が嫌なやつみたいに仕向けようとして。俺がちゃんと神に誓ってないみたいな感じに持って行こうとする、そのスタンスが気に食わない!』と。

(渡辺志保)はいはいはい。

(AKLO)もうこの曲、めちゃくちゃホームレスにブチ切れるんですよ。ずーっと。で、最後の最後に、本当キツいことをいうんですよね。『お前にはコインすら、やりたくねーよ!』みたいなことをケンドリックが言ったら、そのホームレスが『よし。じゃあいいことを教えてやろう』みたいな感じで、ついにオチなんですけど。

(渡辺志保)はい。

(AKLO)『1ドルの価値を教えてやる。1ドルの価値は、お前の天国行きの席の確保のための金だ。俺が、神だ』みたいな感じで。そいつが実は神様だったっていう、世にも奇妙な物語的な感じのオチで。

(HIPHOP HYPE!の中の人)笑ゥせぇるすまん的な。

(渡辺志保)『I am God』『Heaven Spot』とかね。予約のためにっていう。

(AKLO)そうそうそう。っていう感じのオチで。最終的にケンドリック、『うわっ、マジかよ?どうしよう?どうにか助けて下さい!』みたいになる。なんで、ちょっとその曲。いい感じなんで。『How Much a Dollar Cost』という曲、聞いて下さい。
(AKLO)っていうことで、いま聞いてもらった曲が『How Much a Dollar Cost』という曲でした。

(渡辺志保)ぜひね、ヴァース3と。あと、最後の最後にロナルド・アイズレーが出てきて、すごいいいことを歌うので。本当、最後まで聞いてほしいなって思いますけど。

(AKLO)そうですね。で、そんな感じで進んでいくんだけど。最終的に、お母さんにすげー怒られるんですよ。このストーリー展開の中で。そこで、『あんたね、無理してコンプトンだからタフぶったりとかしないで、自分らしくいなさい!』みたいなところがあって。それで、『よし、自分らしく行こう』ってことをやっと悟れるんですよ。

(渡辺志保)はいはいはい。

(AKLO)だから、いままでフェイクだったもの全てを取り除いて。音楽シーンが求めているものとか、そういったものを全部無視して、『俺は俺なんだし、俺ができることをやろう』みたいな感じになった時に、納得した上で、ようやく生まれたのが『i』。

(渡辺志保)なるほどね。最後じゃあ、『u』ですごく迷っていて、どうしよう、どうしようと思ったけど、アフリカにも行って、お母さんにも『あんた、嘘ついたりしなくていいのよ』みたいに言われて。やっと・・・

(AKLO)やっと、『i』。自分で『I love myself!』って言えるようになった。



(渡辺志保)自分のことが好きになったよっていうことなんですね。

(AKLO)自分のことが好きになった。そしたら、自分が完全にリアルな男になって。そして最後の曲。『Mortal Man』っていう曲があるんですけど。

(渡辺志保)はい。『i』でアルバムが終わりじゃないんですね。

(AKLO)そう。そこで終わりじゃなくて。この曲は、ま、ま、まさかの12分以上ある!ふざけんなよ!っていう長さなんですけど。
(渡辺志保)ねえ。最後、16曲目がね、めちゃくちゃ長いという。

(AKLO)そう。この曲のね、ヤバいところは、もう超自信満々になったケンドリックがファンに、『YO!お前らさ、ずっと俺のファンでい続けれる?本当にヤバい時でも応援し続けれる?約束できる?俺のファンになったら、マジだぜ?』みたいな。で、なんでかって言うと、いままでケンドリックは有名になった黒人とか、有名になった人ってみんな叩かれて、結局悪いところが見つかってダメになっていくとか。殺されるとか、そういうことばっかりだったけど、『俺のことを守ってくれない?これから俺、もっと上がっていくから、そうなった上で、またみんなで俺の悪いところ見つけて、ブログとかで悪口とか書いたりするの、やめてくれよ!』みたいな感じで。自分を守った上で・・・

(渡辺志保)はい。

(AKLO)でもまあ、なおかつ、自信満々なんですよ。それは。自分がリアルな男だってことを言えるからこそ、『俺のことをサポートしろよ。こんなリアルだぜ!』みたいなことが言えると。そんでまあ、実はこのアルバムを作っている上で、少しずつあるポエムが出来上がっていくんですけど。そのポエムがようやくこの曲で完成します。

(渡辺志保)なるほど。

(AKLO)毎曲、一行ずつ増えていくようなシステムで。このポエム、どうなっていくんだろう?って実はリスナーにずっと思わせておくんですよ。アルバムの中で。で、やっと完成するんですけど。やっと完成したポエムを、誰かに聞かせます。

(渡辺志保)はい。

(AKLO)で、その誰かっていうのは、2Pac。

(渡辺志保)ヤバいよねー!いや、でも2Pacに聞かせますって、ラップで言うだけじゃなくて、ケンドリックのすごい神がかっているところは、実際にね。

(AKLO)そうそう。実際に。誰も聞いたことないような、本当の2Pacの声で。で、どこで・・・

(渡辺志保)なんか、スウェーデンのラジオって言ってましたね。



(AKLO)あ、スウェーデンか。どっかでもらって。アンリリースのやつ。それをもらって、その答えているやつに合わせて、自分で質問を書いて。本当に自然に会話している感を。

(渡辺志保)擬似インタビュー、擬似会話を自分のアルバムのアウトロに持ってくる。

(AKLO)擬似インタビューを2Pacとしているみたいな。

(HIPHOP HYPE!の中の人)新しいよね。

(渡辺志保)ねえ。正気の沙汰じゃねー!と思いましたね。

(AKLO)そうそう。なんで、そのポエム言ったところから、2Pacとしゃべり出すところを聞いてもらいたいと思います。



(AKLO)はい。というわけでね、聞いてもらっていますけども。このしゃべっている感じが超ナチュラルだよね。

(渡辺志保)ヤバいよね。そうそう。2Pacの声がね、入ってきた瞬間、ワーッ!ってなりますけど。

(AKLO)そうなんですよ。まあ、でもね、言いたいことはまだいっぱいあるんだけど。俺が印象として、今回受けたものは、ケンドリック、弱いなっていう部分ね。自分はすごいネガティブな男なんだなってことがわかったし。で、自分の中にすげー納得のいかない部分がいっぱいあって。自分の中でフェイクだなと思っていた部分があって。それをお母さんに怒られたりとかするんだけど。そうすることによって、ケンドリックなんてラッパーの中でもチャラくないじゃないですか。ぜんぜん。

(渡辺志保)まあ、そうだね。グッドキッドっていうぐらいだから。

(AKLO)他のラッパーのチャラい感じが、余計なんか、むしろそっちの方が怒られているみたいな感じがするんですよ。聞いていて。で、最終的に本当に素直になれる奴って、本当に限られていて。そんな中でケンドリックはそれを上手くやって。だから、少しだけあったフェイクさを全くなくして、超リアルになった自分が、唯一2Pacとしゃべれる男、みたいなところまで辿り着くみたいなストーリーなんじゃないかな?って俺は思っていて。

(渡辺志保)素晴らしい。

(AKLO)本当に少ないフェイクさなんだけど、彼はそれをすっごいネガティブだから、膨らましすぎちゃっただけで。他のラッパーに比べたら、超硬派じゃん!みたいな。

(渡辺志保)そうだね。

(AKLO)ただそれによって、今回のアルバムで俺、ケンドリック最強になっちゃったんですよね。簡単に言うと。誰にも文句言われないじゃん、もう、みたいな境地に辿り着いたんじゃないかな?と思ってます。

(渡辺志保)リアルだし。結構このアルバムって本当、レイシャルな問題とか、コンシャスな、コンシャスなっていう、そういうところばっかりクローズアップ、最初はされがちだったんですけど。なんかその問題、人種問題とかって、このアルバムを彩る、ほんの一つのスパイスでしかなくって。本当、聞けば聞くほど、AKLOくんが言うように、もうケンドリックの本当、心のリアルな声っていうのがすごい伝わってきますし。サウンド的にも、前作をはるかにしのぐ、本当に素晴らしい・・・まあ、前作も本当、素晴らしいけど。ジョージ・クリントンまで引っ張りだして、ドクター・ドレーもスヌープ・ドッグも入ってきているようなぐらいですから。本当に次のフェイズに、三段飛ばしぐらいで行っちゃったなっていうね。

(AKLO)うん。本当にそんな感じ、しました。素晴らしいアルバムだったと思います!

(渡辺志保)はい。いやー、もう本当に超大作の解説でございました。ありがとうございました(拍手)。

(AKLO)ありがとうございました!

(渡辺志保)ということで、AKLOさんの『To Pimp A Butterfly』特集でございました。かなりボリュームあったし、みなさん、めちゃめちゃ勉強になったんじゃないでしょうか?

<書き起こしおわり>

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