菊地成孔が深夜の大久保病院で見た 大ゴネする女性患者の話

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菊地成孔さんがTBSラジオ『粋な夜電波』の中で、10年以上前の深夜の大久保病院で見た、ゴネまくっている女性患者の話をしていました。


(菊地成孔)はい、菊地成孔の粋な夜電波。ジャズミュージシャンの、そして、まあ先ほどはですね、幼少期の話をチラッとしてしまいましたので。もうちょっと手前の、12、3年ぐらいか・・・歌舞伎町に越してきたばっかりぐらいの話なんですけど。大久保病院っていうのが、まあ歌舞伎町で夜中にケンカして怪我した人が担ぎ込まれる病院があるんですよ。で、大久保病院に行くと、とにかく血だるまの人とかが来て、携帯で自分のいろんなことの処理に関する命令を舎弟の方に出してるんでしょうけど。まずは自分の頭部の裂傷を処理した方がいいんじゃないの?っていう病院があったんですよ。

で、そこでね、熱を出して。インフルエンザかなんかなのかな?で、担ぎ込まれた女性がいて。おそらく水商売の方だと思うんですよ。イメージ、しっかり持って頂きたいんですけど。12、3年前ね。ほいで、私もその時ね、風邪引いて熱かなんか出して行ったんですよ。で、見てたの。そしたらその人がね、ゴネるゴネる。もう、30代後半の女性だったと思うんですよね。で、まあそんな別にね、変わった容姿とかじゃなくて、まあ一般的な水商売の方っていう感じだったんですよ。で、その人はとにかく薬をいっぱいもらうじゃない。インフルエンザって。

抗生剤もらいますし、消炎酵素とか、複数出ますよね。で、『これ、全部飲めないんだけど』って言ったんですよ(笑)。看護婦さんはすごい・・・まあ、看護婦さんはそういう病院で働いているわけですから。ねえ。夜勤の看護婦さんがお若い方から、婦長さんみたいな方まで、非常にしっかりされてるわけなんですけども。『これ、全部飲めないんで。私』『どうしてですか?あの、なにかアレルギーとか?』『いやいや、違うんです。私、粒が喉通んないんで』『ああ、そうですか』『喉が細いんだよね』。まあ、タメ口になって。結構早い時間から。

『喉、細いんだよね。あと、苦いのが全部ダメ』。まあ、ね(笑)。気持ちはわからいでもないというか。接客をやっているとね。私も実家が水商売。で、いまやっていることだってジャズだアートだっつったって、水商売ですから。気持ち、わからいでもないんですけど。水商売の方があれやっちゃいけないなと思うんですけど、なんかの場所に行っちゃうと急に偉くなっちゃうっていうね。で、ものすごい偉くなっちゃって。その方が。で、『苦いの飲めないから、とにかく甘いのないですか?』『いや、甘いのはちょっと・・・漢方薬に変えますか?ジェネリックに・・・』とかいろんな、すごい親切に対応してくれるんですけど。

すごい偉くなっちゃって。お偉くなってしまって。『苦いのがダメ。糖衣錠ですら喉通らない。私、喉細いんで』っつってるんですよ。で、『いやー、ちょっと・・・』ってさすがの看護婦さんも答えに窮してたら、『なんか、甘くてシロップみたいなやつなら飲めるんだけど』って言った時に、『お前、40近けーだろ?ババア!』って(笑)。さすがに口には出しませんでしたけど。『なに駄々こねてるんだよ、ババア!』って、そん時は心の中でちょっとね。このぐらいは毒づきますよ。私も。で、『シロップみたいなの、ないですか?』っつって、『ないです』って言われてるの。さすがの看護婦さんもキレてて(笑)。

『いまはそういう形状の薬は処方薬としてはないんですよね』って、ちょっとキツめに言われて。『じゃあ、いまある苦い薬とか粒の薬を、あたしがすんなり飲めるようなゼリーとか、ないの?なんかオブラートみたいなのに包んで、それが甘くて。それに入れてパクッて飲めばスッと飲めるようなやつとか、ないわけ?大きい病院でしょ?』っつったんですよ。もう、ぶん殴ろうかな?このババア!とか思って。

あの、『女房が失礼しました』っつって連れ帰って路上でボコボコにしてやろうかな?と思ったんですけど。10年後、製品になりましたからね(笑)。いま、ありますよね。うん。こんなやさぐれた、甘えくさった幼児退行の!薬ぐらいちゃんと飲みやがれ!と思っていたら、それが製品になったということは、彼女の勝ちだっていうことを確認してね(笑)。ええ。もうこんな国、どうにでもなれ!と思っている菊地成孔が(笑)、TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。長え!(笑)。すいませんでした。

<書き起こしおわり>

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