町山智浩 ホーキング博士映画『博士と彼女のセオリー』を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』でスティーブン・ホーキング博士の夫婦生活を描いた伝記映画『セオリー・オブ・エブリシング(邦題:博士と彼女のセオリー)』を紹介していました。
※町山さんの紹介時はまだ邦題が決定していなかったため、以下全て『セオリー・オブ・エブリシング』というタイトルでお話されています。

町山智浩 ホーキング博士映画セオリー・オブ・エブリシングを語る

(山里亮太)町山さん、本題に行ってください。

(町山智浩)あ、今日はですね、またアカデミー主演男優賞にからみそうな映画です。ホーキング博士の夫婦生活を描く映画『セオリー・オブ・エブリシング(The Theory of Everything)』という映画を紹介します。これはですね、ホーキング博士はご存知ですよね?

(赤江珠緒)はい。『ホーキング 宇宙を語る』なんていう、ベストセラーありましたもんね。

(山里亮太)いろんなね、ブラックホールとかのことを言う人。

(町山智浩)そうそうそう。あの、ブラックホール理論とかの先駆者でですね。ただ、体がね、21才の時から筋肉が萎縮していく病気にかかってしまって。筋肉萎縮性硬化症という病気なんですけど。で、どんどんどんどん体が動かなくなっていくと。で、最初はまあ、車いすで。その次は、声が出なくなってしまって。まあ、ちょっと喉を切ったんですけどね。肺炎になって。で、今度しゃべれなくなってから、コンピュータを使った人口音声でしゃべるようになってますけども。で、日本で講演会までやってね。まあすごく、世界的に有名な天才物理学者ですね。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)ただ、今日紹介する映画はその人の学者としての部分ではなくて、奥さんとの関係を描いた映画なんですよ。で、奥さんとの25年間の生活を描いた映画がセオリー・オブ・エブリシングという映画です。はい。

(赤江珠緒)そのプライベートな部分ってぜんぜん知らないですもんね。

(町山智浩)知らないですよね。すごく面白かったんですけど。このセオリー・オブ・エブリシングっていうタイトルがね、すごく難しいんですけど。これ、『全てについての理論』っていう意味ですね。これはね、一般的には『統一理論』と言われていることなんですよ。で、これすっごく難しいですけど、これがわからないとね、全体がわからなくなるんで。パッと説明しますと・・・

(山里亮太)はい。

(町山智浩)世の中には物質に関して適応される、いわゆる物理学理論っていうのがあって。ニュートンのころの力学からアインシュタインの相対性理論まであるわけですね。で、重力とかものの重さとの関係とか、そういったものは全てある式によって全部統一されて考えているわけですよ。ところがそれと矛盾する理論が物理学ではもうひとつあるんですね。

(赤江珠緒)ええ。

(町山智浩)一般的なその物理の法則と矛盾するのは量子力学っていうものなんですよ。で、量子というものはすごく小さいもので。物質っていちばん小さいものって原子っていうものですけど。原子よりもさらに小さくて、原子を作っている電子とか中性子とかですね、そういったものがあるんですね。いわゆる素粒子にどんどんなっていくんですけど。それを分解していくと。で、それらのものは原子まではものであって粒なんですけども。それよりもちっちゃく割っていくと、物質じゃなくなっていくんですよ。

(赤江珠緒)ふんふんふん。

(町山智浩)原子は物質ですけども、原子を構成しているものは物質じゃなくて、量子と言われる物質のような物質でないものなんですよ。

(山里亮太)ほー。

(町山智浩)で、いちばんわかりやすいのは、光ですね。光って見えないじゃないですか。重さもないじゃないですか。でも光はものを押す力があるんですよ。

(赤江珠緒)ものを押す力が。えっ?

(町山智浩)あるんですよ。だから、物質のような性質を持っているんだけど、物質じゃないんですよ。重さがないからね。そういったものっていっぱいあるんですよ。で、そういうものを量子と呼ぶんですね。ちっちゃくて。それはいわゆる普通の物質の法則とまったく違う理論で動いてるんですね。

(赤江珠緒)へー。

(町山智浩)で、この2つは全く理論が矛盾してるわけですよ。この相対性理論とかニュートン力学の、いわゆる普通の物質の理論と、重力とかの理論と、量子力学っていうすごくちっちゃいものは矛盾してるんです。互いに。でも、この世の中にあるものだからおかしいじゃないですか。矛盾してるのって。だからその2つを統一して、結びつける理論があるはずだって言われてるんですね。

(赤江珠緒)はー!ええ、ええ。

(町山智浩)それを『統一理論』っていうんですよ。

(赤江珠緒)あー、わかった!

(町山智浩)わかりました?(笑)。すっごく難しいんですけど。

(赤江珠緒)いや、町山さんの説明でそこまではわかりました。はい。

(町山智浩)で、これをホーキング博士は見つけようとしてるんですよ。だからこの映画のタイトルはセオリー・オブ・エブリシングっていう、統一理論っていうタイトルなんですけども。ただ、中身はそれについての映画じゃないんですよ(笑)。

(赤江珠緒)あ、違うんですか。

(町山智浩)そこが面白いんですよ。この映画の。夫婦の話なんです。はい。で、まずホーキング博士はですね、まず病気になる前は本当にもう元気な若者だったんですね。で、キャピキャピとですね、自転車乗ったり、学生友達とみんなでお酒飲んではね、女の子を引っかけたりしてたんですよ。そういうところから描かれるんですけども。で、ホーキングが恋に落ちるんですね。大学院に行ってる時に。ケンブリッジの。で、その相手が将来の奥さんになるジェーンさんっていう人なんですけども。で、ジェーンさんもホーキング博士を見て、まだ博士じゃないですけど。学生なんですけど。もう一発で恋に落ちちゃうんですよ。

(山里亮太)ほー!

(町山智浩)で、そのホーキング博士っていうのは車いすに乗っている状態しか日本ではあまり知られてないんですけども。若いころ、かわいいんですよ。写真、そっちにないかな?これね、映画の中の写真で、メガネかけた若者が女の人と写っている写真、そちらにあると思うんですけど。これ、この映画の中でですね、ホーキング博士を演じるエディ・レッドメインという俳優さんと奥さん役のフェリシティ・ジョーンズさんなんですけど。これ、この写真は本物のホーキング博士そっくりですよ。

(赤江珠緒)あ、そうですか。

(町山智浩)まったくこういう顔です。この人、若いころ。

(赤江珠緒)なんか今どきの理系メガネくんみたいな感じで。

(町山智浩)そうそう。メガネかけてニコニコしてて。笑顔がすごくチャーミングなんですよ。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)で、これで奥さんがコロッと一発で参っちゃうんですよ。かわいい!みたいな感じで。で、そこからいろいろ大変なことになっていくっていう話なんですけども。これ、主演のエディ・レッドメインっていう俳優さん葉ですね、この人、『レ・ミゼラブル』で少女コゼットの恋人役だった人ですよ。

(赤江珠緒)はー!はいはい。

(町山智浩)歌、すっごい上手かった。はい。

(赤江珠緒)なんかちょっと革命家のね。

(町山智浩)そうそうそう。ちょっと痩せた、なよっとしてるんですけど。

(赤江珠緒)あ、ぜんぜん違いませんか?イメージがね。はー。

(町山智浩)これ、ホーキング博士になりきってて。この映画はホーキング博士の奥さんが原作者なんですけど。ホーキング博士自身も内容をチェックしててですね。現場にも行ってて。夫婦の両方からお墨付きをもらってるんですね。この映画は。

(赤江・山里)へー。

(町山智浩)で、『まるで僕自身のようだ』とまで言ってるんですよ。博士が。で、あまりにも完璧になるために、要するにだんだん体が硬直していくわけですから。で、後半はほとんどしゃべらないで、口も動かせない状態になるんですけども。このレッドメインくんはもう演じきったんで、『体中ボロボロになった』って言ってますね。インタビューで。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)これはアカデミー賞だろうと言う風に言われてるんですよ。もう後半は本当に目だけの演技とかになってくるわけですからね。

(赤江珠緒)難病ですもんね。

(町山智浩)難病だから。ただね、これいわゆる難病ものってあるじゃないですか。難病ものっていうのはアカデミー賞とりやすいんですけど(笑)。ちなみにダニエル・デイ・ルイスが『マイ・レフトフット』っていう映画で左足しか動かないのに喧嘩っ早い画家を演じてアカデミー賞をとったりしててですね。まあ、難病を演じた人はアカデミー賞をとりやすいっていうジンクスはあるんですけども。ただ、お涙頂戴のそういった感動ものにはなってないんですよ。この映画。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)っていうのはこのホーキングっていう人がそういういわゆる偉人みたいな人とちょっと違う人なんですね。非常に軽い人なんですよ。ホーキング博士っていうのは。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)もう見た感じのままですよ。いたずらっ子なんですよ。で、ホーキング博士っていうのは元々ジョークをいっぱい言ったり、いたずらするんで有名なんですけども。この映画の中で出てくるのはお酒をすっごい飲むんですね。この人ね。

(赤江珠緒)お酒をすごく飲む。はい。

(町山智浩)ほとんどのシーンで酒飲んでますよ。

(赤江・山里)ええっ!?

(町山智浩)車いすで体が動けなくなっても、ストローでビール飲んでいるような人なんで(笑)。お酒好きなんですね。やっぱりイギリス人だから。それと、なにがあってもね、冗談ばっかり言ってるんですよ。明るい人で。

(赤江珠緒)根っから明るいんですね。

(町山智浩)根っから明るいんです。だから、車いすなんかで動けなくなっても、電動車いすで動くようになったら今度ロボットの真似して遊んだりですね。声が出なくなって、喉を切ってですね、手術して。で、あの電子声ですね。有名なホーキング博士の。『ワタシハ、ホーキング、デス』ってあれ、コンピューターの声になるじゃないですか。そういう風になると今度はですね、2001年宇宙の旅っていう映画に出てくるコンピューターHALの真似をしたりですね、して。どんなに大変な状況になっても、常にふざけてるんですよ。この人。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)だから、『俺はがんばるぜ!』みたいな感じじゃないんですよ。『なんか困っちゃったけど、まあ行ってみようか!』みたいな感じの人なんですよ。明るくて。

(赤江珠緒)すごい魅力的な人ですね。

(町山智浩)でね、あとね、お酒が好きだけどあと、ギャンブルも好きなんですよ。この人は。

(赤江珠緒)(笑)。ほうほうほう。

(町山智浩)この人はね、ギャンブルをすごくたくさんしてるんで有名なんですよ。

(赤江珠緒)あ、そうだったんですか。ホーキング博士。

(町山智浩)この人のギャンブルっていうのは宇宙理論ギャンブルなんですよ。

(赤江・山里)えっ?

(町山智浩)新しい宇宙理論を定義する時に、それと反対する意見の人と賭けをするんですよ。で、この人の賭けで結構有名なのは、この間、『インターステラー』っていう映画を僕、紹介しましたね。

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(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)宇宙の彼方に行ってブラックホールに行く話ですけども。宇宙飛行士が。

(赤江珠緒)親子のお父さんが。

(町山智浩)お父さんがね。で、あれの制作者、プロデューサーっていうのはキップ・ソーンっていう宇宙物理学者で。そのホーキング博士の学生時代からの友達なんですよ。研究者仲間なんですよ。で、この映画にキップ・ソーン、出てきます。若い頃の。インターステラーのプロデューサーのキップ・ソーンっていう宇宙物理学者が、インターステラーの中でブラックホールに関しての考証をした人でもあるんですけど。その人が学生時代にホーキング博士と一緒にブラックホールについて研究してるっていうシーンがあるんですよ。

(赤江・山里)へー。

(町山智浩)研究仲間だったんですね。で、この2人がギャンブルをしてるんですよ。すごく有名なギャンブルで。白鳥座っていう星座のところにですね、X-1っていう星があって。その星がものすごく重いから、ブラックホールじゃないか?って言われてたんですよ。当時。要するにブラックホールっていうのは星がどんどん重くなると、自分の重さでもって内側に向かって潰れてって。で、限界まで潰れてブラックホールになるんですね。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)で、これはブラックホールじゃないか?っていう風にキップ・ソーンは言ったんですね。インターステラーのプロデューサーは。したら、『違うよ』って言ったんですね。ホーキングは。『ちげーよ!』と。で、『もしこれが本当にブラックホールだったら、僕はキップ・ソーン、君に1年分ペントハウスを定期購読してやるよ』って言ったんですよ。

(赤江珠緒)ペントハウス?

(町山智浩)ペントハウスっていうのは、アメリカのエロ雑誌です。エロ雑誌のエロ雑誌で、いわゆる丸見えエロ雑誌です。

(赤江・山里)あー!

(町山智浩)丸出しになっているやつを、君に定期購読してやるよっていう風に賭けしたんです。

(山里亮太)すげーな、ギャンブル(笑)。

(赤江珠緒)そういうこと?

(町山智浩)そういうことを言う人なんです。この人。

(赤江珠緒)なんだ。ペントハウスって別荘を1年貸すとか言ってるのかと思ったら。じゃなくて。

(町山智浩)本物のペントハウスじゃないんです。エロ本です。しかも非常に下品なエロ本です。それで、負けました。その星はやっぱりブラックホールだったらしいんですよ。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)あっ、っていうことは?

(町山智浩)だからエロ本を定期購読してあげたんですよ。彼のために。そのシーンも出てくるんですよ。で、なんかね、上手く届かなくて。自分のところに送り返されちゃってきちゃって、大恥をかくってシーンがありますよ(笑)。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)『ホーキング博士、エロ本届いてますよ』みたいなシーンがあって。

(山里亮太)イメージないわー。すっごい真面目なもう、学者さんっていうイメージがありました。

(赤江珠緒)なんかね、雲の上っていうか。手の届かない人っていうイメージでしたけど。すごく人間味あふれる人なんですね。

(町山智浩)この人、ストリップバーに行くところを何回か目撃されたりしてる人ですからね。

(山里亮太)へー!あら、結構・・・

(町山智浩)結構、奥さんとの間にも子ども3人もいるんですよ。で、体がほとんど完全に動かなくなってからも、子どもが2人生まれてて。最初の子どもは、病気の進行中だったんですけど。2人目から先はもうほとんど動かない状態ですけどね。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)で、『えっ!?』って思うじゃないですか。するとこの映画の中でちゃんとそのことも聞くんですよ。本人に。『いや、ちょっと疑問なんだけど、君、体中筋肉が萎縮しちゃって動かないんだよね?』って学者仲間に言われるんですよ。『ちょっと疑問なんだけど、あっちの方はどうなの?』って聞かれるんですよ。するとホーキング博士が『いや、これが不思議でね、あっちは別物なんだよね』って言うんですよ(笑)。

(赤江珠緒)(笑)。へー!

(山里亮太)すごいね。

(町山智浩)そういうところまでちゃんとやってるんですよ。で、きれいきれいな話にぜんぜんしてないんですよ。だからすごく面白かったですよ。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)で、最初ね、出会うところもすごく良くてですね。ホーキング博士、やっぱりこういう人だから、身だしなみとかめちゃくちゃなんですよ。体が不自由になる前なんですけどね。で、ジェーンさんとデートした時にジェーンさんがメガネを取ってくれるんですよ。こうやって。で、もうメガネをかけてない彼の顔を見ながら、すごい至近距離ですよ。メガネ取ってくれるっていうことは。で、『あなた、いつもメガネ汚れてるわね』って言いながら、メガネを拭いてくれるんですね。で、そのままキスをするんですよ。

(赤江・山里)あー!

(山里亮太)そういう話も中に入ってくるんだ。

(町山智浩)そう。これがね、ツボだ!と思ったんですよ。

(赤江珠緒)えっ?ツボ?

(町山智浩)あのね、僕の師匠はみうらじゅんさんなんですけども。みうらじゅんさんと初めて会った時に意気投合したのっていうのは、『ジェレミー』っていう昔の青春映画があってですね。それが主人公がド近眼のメガネっ子なんですよ。男の子で。ジェレミーっていう。で、それが好きになった彼女からメガネを取ってもらって、『あなた、メガネ汚れてるわね』って言われながらキスしてもらうっていうシーンがあって。それをみうらじゅんさんは高校時代に見て、恋に恋しながらですね、もだえ苦しんだらしいんですよ(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(町山智浩)こんなことしてみたい!って(笑)。

(山里亮太)それを町山さんと2人でしゃべってたんですか、ずっと(笑)。

(町山智浩)そうそう。2人で、『そうだよね!逆ロッキーだよね!』とかって言ってて。ロッキーとかほら、たいていメガネをかけてる子って女の子で。『君、メガネを取るとキレイだよね』って言いながらキスされるじゃないですか。少女マンガとかね。逆なの、だから。逆ロッキー。

(赤江珠緒)えっ、山ちゃんもそういうもんですか?メガネ・・・

(山里亮太)ドキドキしてる。

(赤江珠緒)ドキドキする。このシチュエーションは。

(山里亮太)でもこのシチュエーションにドキドキしてるのが、みうらじゅんさんと町山さんと僕っていうね。

(町山智浩)そうそう(笑)。

(赤江珠緒)(笑)

(山里亮太)このメガネ男子たち。

(町山智浩)そういうね、胸キュンなところから始まっていくんですけども。ただね、やっぱりね、結婚生活が大変なんですよね。最初貧乏だから寝室が2階にあるんだけど、2階に上がれないわけですよ。体が動けなくて。で、自分はもう立つこともできないのに、赤ちゃんがスッと立って歩いてたりするんですよ。自分の子どもが。

(赤江珠緒)うーん・・・

(町山智浩)でもね、最初にああいう病気になってしまって、筋肉萎縮が始まって、医者に『君の命はあと2年で終わるよ』って言われるんですよ。ホーキング博士は。でも、要するにジェーンさんが好きなんですよね。で、『僕、こう言われたんだ。2年で死ぬって言われたんだけど』っていう風に彼女に言うんですよ。『だから僕と付き合わない方がいいよ』って言うんですよ。すると彼女が、『いえ、だからこそあなたと結婚するわ』って結婚するんですよ。

(赤江珠緒)そこからの結婚。へー!

(町山智浩)そうなんです。『2年で死ぬよ。死ななくても体が動かなくなるよ』って言われた時に『あなたの妻になるわ』っていう風に決意したんで。もう別れられないわけですよ。どんどん大変になっていくんだけども。だからこれがね、やっぱりね、本当の話だから、だんだん上手くいかなくもなってもくるんですよ。

(赤江・山里)あー・・・

(町山智浩)もう奥さん、どんどん大変になってくんですけど。旦那を運んで、子ども2人の世話をして、しかもあんまり金もないんで。結構苦しんでるんですけれども。ホーキング博士は自分の研究しかしないですからね。こういう男ですから。そこで、行き違いになっていくっていうね、結構怖い話になっていくんですよ。

(赤江珠緒)えー・・・じゃあその大恋愛でせっかく結ばれた2人なのに、じゃあ上手くいかなくなっていくんですか?

(町山智浩)そうなんですよ。まあこれはね、ホーキング博士のことを詳しい人だったらどういう風になったかは知っていると思うんですけども。本当にただのきれいな恋愛の話じゃなくて、2人は互いに互いを裏切ったりですね、それを償おうとしたりとかですね。まあそういう、非常にまあシリアスなことになっていくんですけども。いちばんおかしいのは、要するに奥さん、神経をだんだんやられていくんですよ。大変だから。生活が。それで『本当、私は大変なのよ!』とかキレるんですけど。キレるとまたホーキング博士はいつもの通りにですね、子どもたちに向かって『あっ、ママがなんかキレちゃったよー』とか言うんですよ。

(赤江珠緒)うわっ、なんか腹立つ。それは。それは腹立つと思う!

(町山智浩)『それ、最悪だからやめろ!』って思いましたけど。見てて。『こいつ、バカだなー!』って思いましたよ。

(赤江・山里)(笑)

(山里亮太)地雷だ(笑)。

(町山智浩)それはもう、よくやりがちなんですよ。子どもに向かって『ママ怖いねー』とか言うんですよ。お母さんが怒ってる時に。それ、火に油を注ぎまくりだから!みたいな。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)そう。そういうね、話しでね。なんかね、天才。本当神のようなね、要するに神のような理論を研究してるわけですよ。宇宙の秘密がわかるわけですよ。それで。で、時間さえ元に戻せるかもしれないわけですよ。これがわかれば。でも、奥さんとの生活においてはただの男なんですよ。

(赤江・山里)はー!

(町山智浩)『宇宙の秘密がわかったら神にもなれる』ってことを言うんですね。彼自身が。でも、奥さんとの間ではただの男なんですよ。

(山里亮太)はー。いちばん難しいのはそっちの方だと。

(町山智浩)そこなんですよ。

(赤江珠緒)そこなんですね。うわー、面白そうですね。

(山里亮太)そんなアプローチだとはね、思ってないから。これは。

(町山智浩)そうなんですよ。でね、それがね、このセオリー・オブ・エブリシングっていう映画で。非常に面白かったですね。はい。『こんな人も、同じだな』って思いましたよ。

(赤江・山里)(笑)

(山里亮太)すごい大天才はね、普段から天才らしい生活をしてるのかな?って思ったら。

(町山智浩)そう。そんな仏様みたいな人じゃないですよ、そんなの。

(山里亮太)エロ本読んでんだよ。

(町山智浩)エロ本読んでますよ。エロ本読んで、酒飲んでますよ。

(山里亮太)酒飲んで、エロ本読んで、メガネ外されてキスして、ドキドキして。

(町山智浩)で、奥さんに怒られてますよ。『あんた!』とか言われてますよ。

(赤江・山里)(笑)

(町山智浩)みんなおんなじですから。

(赤江珠緒)グッとまとめちゃいましたけど。

(山里亮太)結構いま町山さん、ホーキング博士に自分を重ねちゃってる感じが(笑)。

(町山智浩)みんなおんなじです。はい。というね。で、あの、このホーキング博士っていうのはね、前ね、あのベネディクト・カンバーバッチも演じたことがあるんですよ。でね、面白いのはね、カンバーバッチが今度主演した映画がですね、もうひとりの天才科学者のですね、これコンピューターを作った男ですね。アラン・チューリングを演じた映画の『イミテーションゲーム』で、たぶんこのホーキング役のエディ・レッドメインとベネディクト・カンバーバッチはアカデミー主演男優賞で対決することになると思います。

(赤江・山里)へー!

(町山智浩)天才学者同士の対決っていう形になるでしょうね。

(赤江珠緒)面白いですね。そこもね。

(町山智浩)はい。イミテーションゲームはまた、再来週に紹介したいと思います。

(赤江珠緒)再来週。はい。スペシャルウィークにね、町山さんにご紹介いただきましょう。じゃあ今日はね、ホーキング博士の伝記映画『セオリー・オブ・エブリシング』をご紹介いただきました。日本での公開は来年を予定しているということです。町山さん、ありがとうございました。

(山里亮太)ありがとうございました。

(町山智浩)どもでした。

<書き起こしおわり>

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