宇多丸映画評論 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語 書き起こし

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宇多丸さんがTBSラジオ『ウィークエンド・シャッフル』の映画評論コーナーで『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語』を評論した際の書き起こしです。

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(宇多丸)ここから夜11時直前までは映画評論コーナー、週刊映画時評ムービーウォッチメンをお届けいたします。いま劇場で公開されている最新映画を、映画ウォッチ超人ことシネマンディアス宇多丸がウキウキウォッチング。その監視結果を報告するコーナーです。この映画ウォッチ超人っていうのを、なんとか魔法少女に置きかえできないかな?って一瞬考えて、『映画時評おじさん』。って、普通じゃねーか!そのまんまでしかないということに気づいて止めました。今夜扱うのは、先週ムービーガチャマシーンを回して決めたこの映画。『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』。

2011年、深夜アニメとして放映され、アニメファン以外からも熱狂的な支持を得たダークファンタジー、魔法少女まどか☆マギカの劇場版第三弾。TVシリーズの総集編的だった前2作と違い、脚本、作画も新たに書き起こされた完全新作。まどかとキュゥべえの契約によって訪れた新世界の中、戦いを続ける魔法少女暁美ほむらたちの姿を描く。総監督は新房昭之さん。監督は宮本幸裕さんということでございます。ということで、非常に人も入っておりますが。このまどか☆マギカの最新版というか、新編見ましたよというリスナーのみなさん、またの名をウォッチメンからの監視報告をいただいております。

メールの量、とても多いです。みなさん、ありがとうございます。やっぱりね、本当やれ!やれ!ね。あれでしょ?先週、(ガチャで)外したり、1000円払って逃げたりしたら、ハゲだの何だのって。だから、魔法を行使しても、どっちにしろ不幸になるみたいな。ソウルジェム的には大変なね・・・まあいいや(笑)。話が混乱してきてるじゃねーか!興行的にも初登場1位を飾り、都内の劇場ではいまだに満席になるところもあるほどの人気。僕も深夜の回見ても、結構人、いましたからね。その分、量も多いんでしょう。行く人は、当然まどマギのそれなりのファンでしょうからね。なんにも関係ない人、行かないでしょうから。そういう意味では熱量多いっていうの、あると思います。

評価は高評価が多めと。『なんだかよくわからないが、とにかくすごかった』。わかるよ!その感じ、わかる!『作画のクオリティーの高さに驚愕』『予想できないストーリー展開ながら、納得行く展開』などの意見が多かった。ただし、否定的な意見もございまして。『TVシリーズが台なしになった』。これもわかる気がします。後ほど言いますけどね。『肝心な部分は難しい説明で煙にまかれた印象』『完全にあと付け&蛇足の作品』という厳しい意見もあったりする。『良くも悪くも言えない』と評価する人、要するに保留っていうか、これも後ほど言いますけど、要するにまだ終わってないっぽいじゃん?みたいなとこも含めてですよね、保留にする人も全体の1/4ほどいたということでございます。代表的なところをご紹介しましょう。

(中略)

(宇多丸)さあ、といったあたりでさっそく行きますかね。まどマギね。バルト9をはじめ、僕は今週3回行きましたからね。3回行ったし、去年のいまぐらいの時期に劇場版の前後編、要するにTVシリーズの一応、話上はダイジェストというやつが公開されて。そん時に、『まどマギやれよ!』っていう声があったんですけど。このコーナーでね。見たら、続きがまだあるじゃん!って。今回の新編の予告が最後についていたからということで、じゃあそのタイミングまで待とうよというような言い訳の下にこのタイミングということなんですけど。ただ、その意味ではさっきから言ってますけど、今回の作品でもまだ完全には終わっていないムードもありますけどね。正直ね。

まあそれは置いておこう。ともあれ、僕以上にこの作品に門外漢の方に言っておきます。最低限、劇場版の前後編、TV版のダイジェスト版というか、そこまでのストーリーは最低限把握しておかないと、この番組のアドバイザーせのちんさんのように、完全に丸腰で見に行ったり・・・それは無いって、わかるだろ!?それは、わかんないでしょ。さすがに(笑)。絶対によくわかんないと思うんですよね。完全に続編です。続きの作りになってるんでね、最低限劇場版、見ておいてください。

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(宇多丸)逆に言えば、劇場版2本を見ておけば、とりあえずはまどマギの話に関しては誰でもついてこれるという。比較的手軽についてこれる段階ではあるかな?という風に思うんですよね。実際、新房昭之さん、総監督もインタビューで、『今回の新編はあくまで劇場版の前後編からの流れで見てほしい。TVシリーズはTVシリーズで完結したものだと僕は考えていて、劇場版でちょいちょい演出が変わってたりとか、そういうのを踏まえて流れで見てほしい』と言ってるので。だから劇場版2本見ればいいという意味では、手軽なんじゃないですかね。

で、僕もリアルタイムのTVシリーズ放映時には間に合ってないんですね。すごい盛り上がってるらしいっていうのは伝わってきてたんですけど。これは詳しくは後で言いますけど、やっぱりTVシリーズに関して言えば、今回ブルーレイで後追いで見てもね、これはやっぱりリアルタイムで盛り上がりたかったな!っていう。リアルタイムで見たら、さぞかしハマってたろうなっていうのはありますけどね。悔しいなっていうのはありますけど。もう放送も終わって、後になってから、この番組でも、TBSラジオ『ザ・トップ5』でもお馴染みコンバットRECさんから、『まどマギってどうなの?』って飲んでいる時に話してて。『あれはたとえば俺たちアイドル好き、BUBKAチームから見ると、アイドルというものの構造、言ってみれば残酷な構造のメタファーとして読めるはずだから、宇多丸さんが見れば絶対面白いはずだよ』っていう風にすすめてくれたのね。

そこで後追いで追っかけて。TVシリーズも後追いで見て、劇場版見てっていうことで、なるほどなるほど、これは超面白い!という。プラス、今回のタイミングで例によって1週間、仕事しながら出来る範囲内ではありますけど、主要スタッフの関連作品みたいなものも見まくったりとかして。これをいちいち挙げてると、長くなるからやめようか。とりあえず、最近ブルーレイが出直した新房さんの10年以上前に撮った『コゼットの肖像』っていうね。

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(宇多丸)これが割と原型だ、なんていうんでこれを見てみたりとか。『ひだまりスケッチ』も『化物語』も何話か見ましたし。あと、脚本の虚淵玄さんの、エロゲーとかまでやってる時間なくてね。せめてと思って小説をね、読んだりして。『鬼哭街』なんてやつとか、『Fate/Zero』も読みましたよ。

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(宇多丸)あと、アニメ作品だとこれが良かったな。板野一郎さん、マクロスの板野サーカスでお馴染み、の『ブラスレイター』って。これ、虚淵さんが初めてアニメに関わったやつですけど。ブラスレイターはすげー面白かった。普通に俺はこれは超好みのやつ。まあ、仮面ライダーですからね。言っちゃえば。

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(宇多丸)そして虚淵さん。いまの仮面ライダー『鎧武』もやってますから。鎧武も見てますよー。あとで鎧武の話もしようかな?とかね。あと、できるだけ作品が全部見れない分、インタビューとか、インタビュー本とか雑誌とか入手できるものは読んでという状態で臨みましたよと。これが僕、面倒くさいって言ってるんで。別にまどマギが嫌いとか言ってんじゃねーよ!ってことですよ。ということで、その程度のビギナーではございますが、僭越ながらね・・・TVシリーズから始まって、なにがそんな面白くなっちゃったのか?っていうのを、僕なりに整理させていただくなら。詳しい方から見たら、あれ言ってない、これ言ってないっていうのあると思いますけど。僕なりに整理してみるなら・・・

まず身も蓋もないことを言っちゃえば、いわゆる座組が超ハマったっていうことなわけですよね。1個1個の要素は、それぞれの作り手のみなさんのこれまでやって来たことの延長線上。発展形だったりするんだけど、それが絶妙なバランスで、しかもこのタイミングで組み合わされることで生まれたマジックみたいなところが大きいっぽいじゃないですか。その意味では新房さんもインタビューで何度かおっしゃってますけど、プロデューサーのアニプレックスの岩上さん。この人が偉いっていう。この人が虚淵さんに脚本を書かせて、キャラクターデザインは蒼樹うめさんで。で、シャフトというか新房さんで作るという座組を考えた。だからそこの手柄がまず大きい。

もちろん新房さん・シャフトのアニメで蒼樹うめさんっていうのは、僕も何話か見ましたけど『ひだまりスケッチ』なんてのでも。あれは4コマ漫画がベースで、ほんわかしたいわゆる日常系みたいなやつです。ただ描写はやっぱりシャフトの特徴なんですね。すごく実験的なデザイン。すごいグラフィカルな画面構成だったりとか。僕、全部見てるわけじゃないですけど。第一期だけですけど。あの風邪引く回とかの、日常が異世界っぽく見えるすごい変わった演出なんかもあったりして。

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(宇多丸)まあ、そういう前振りはあったんだけど、そこに虚淵さんの脚本。虚淵さんは、元はエロゲーの作家でらっしゃって。割とハードなストーリー・世界観。グロかったりとかね。『超エロゲー ハードコア』っていう、僕前から持っていた本なんですけど。太田出版から出てる。これの表現を引用するなら、『どの作品も血の宴に、銃火器の放つ硝煙の匂い』っていうね。非常にハードで、登場人物の多くが悲惨な運命をたどるという作風。故に、『バッドエンドの虚淵』という異名をとるぐらい。そういう話が乗っかると。

だって、『ひだまりスケッチ』的なほんわかした日常、蒼樹うめさんのキャラにどうやってそれが乗るの?っていう感じじゃないですか。で、実際に虚淵さん自身もインタビューで、最初は、『えっ?俺に何しろっていうんだ?その座組で』ってちょっと悩んだっていうね。そこでさっき挙げました『コゼットの肖像』っていう新房さんが昔やっていた、ゴシックロマンというのかな?ヴァンパイアものというか。それに蒼樹うめさんのキャラが迷い込んだような世界を想像すればいいんだな、みたいなことを書かれたということですね。

ちなみに、虚淵さんが書かれる話の、テーマ性自体は今回のまどマギとか、言っちゃえばいままでやってきた路線なんですよね。だいたい奇跡とか能力の引き換えに、なにか非情な、残酷な代償があるだとか。あるいは肉体という入れ物と、精神という中身の齟齬の話なんかもよく出てくるし。最終的には、良くも悪くも永遠に続いてしまう円環構造の中に、地獄的であれなんであれ、主人公たちが閉じ込められる、とかグッとそこに収まるみたいなね。ちょっと後味としては、不思議に嫌な感じが残るみたいなものとか。あるいはバトルロワイヤル構造というかね。

ちなみに、平成仮面ライダーを語る本、『語ろう!クウガ・アギト・龍騎』で私宇多丸と虚淵さん、僭越ながら同じところに並ばせて載せていただいたりなんかしてますけど。

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(宇多丸)で、そういう虚淵さんの、本来ちょっと異なる世界観の話の人なんだけど、それが合わさって。結果として、そういうバランスが、特にTVシリーズとしてのストーリー構成にバチッと合ったってことじゃないですかね?たとえば最初に2話までは、要するにマミさんですよ。マミさんが活躍している間は、昔ながらの魔法少女もののフォーマットに、あえて則ってるわけですね。巴マミさんは、技の名前を叫んだりするわけですよね。という、割と昔ながらの魔法少女フォーマットにあえてのってて。あるいは、ほんわかした蒼樹うめさんのキャラクター的な日常系の空気っていうのに、2話目まではミスリードしつつ・・・っていうか、3話目の終わりの方まではミスリードしつつ、3話目終わりでドーン!実はものすごいハードコアな世界観ですよっていうのを、一気に牙をむくという。そのストーリーの構成にハマってるということですね。

で、そっからエンドクレジットもね。TVシリーズ最初に放映した時、2話はついてなかったエンドクレジット。鈴木博文さんっていう、さっきから言っている『コゼットの肖像』とかから参加している。音楽も梶浦さんっていう『コゼットの肖像』に音楽をつけてる方。それがちょっとゴシック的というか、ちょっと怖い荘厳な世界というか。エンドクレジットも超不気味な世界観になって。えっ?これ、こういう話だったんだ!?もちろん勘の良いアニメファンは座組でわかるんだけど、『あ、やっぱり牙むいてきた』みたいなそういう風になるっていうね。



(宇多丸)こういうのはやっぱりリアルタイムで毎回見てたら、3話目でキター!なるでしょうしね。8話目でキター!なるでしょうしね。うらやましい!リアルタイムでこれ、盛り上がってたの、うらやましいなと思います。TVシリーズの醍醐味。たとえて言うなら、『涼宮ハルヒの憂鬱』。最初にTVシリーズで放映順の、だんだん見ているうちに『あ、こういう話。えっ?そんなスケールの話!?』みたいな。だんだんわかっていくあの醍醐味みたいなのをすごく思い出しますね。ハルヒをね。

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(宇多丸)で、見てる側も回を重ねるごとに『来週どうなるんだ?どうなっちゃうんだ!?』。おそらく作り手側もテンションがどんどんどんどんドライブしていく感じっていうんですかね?これは今回のはおもろいぞ!っていう。これ、TVシリーズの醍醐味なんじゃないかと思いますし。あとはもちろんね、いままで挙げてきた名前の方以外も、異空間表現、魔女表現。劇団イヌカレーの異空間表現。言っちゃえばコラージュを使ったね、テリー・ギリアム的というか、あるいはヤン・シュワンクマイエル的というか。カレル・ゼマン的というか。そういうアートアニメーションね。東欧あたりのアートアニメーションみたいな感じ。

要はメインの主要キャラクターとか背景の美術は日本のザ・萌えアニメ的な、言っちゃえば商業アニメ最前線みたいな感じの絵柄と、東欧のアートアニメーション、前衛的アートアニメーションみたいなのが世界観として共存する、絵面として共存してるわけで。はっきり言って異常ですよ(笑)。こんなもん、テレビでパッとつけてやってたら、ええーっ?なんじゃこりゃ!?ってなる。このインパクトを生み出したっていうのも、ある意味最大の貢献なんじゃないでしょうかね。

もちろんね、シャフトっていうこの会社の、僕が見た範囲でも過去作はすごく実験的な手法を使っているわけですね。それこそイヌカレーさんなんか起用してやったりしてるんだけど。もちろん文脈があればこそなんだけど、それが今回のまどか☆マギカのTVシリーズとしてのストーリー構成・流れに合ってるというね。あるいは、シャフトさんのあれで言うと、文字演出っていうのがありますよね。今回も魔女の魔女文字でバーッと出る、文字が画面の中に出てくる違和感でありなんでありっていうのも、そういう流れはあるんだけどっていうことですね。

それ以外にも細かいことを言うと当然ね、たとえば絵コンテの佐々木さんっていうのがジブリから呼んできていい仕事したとか、そういう1個1個の細かい座組が全部うまくいって、個々の要素はこれまでの延長線上、発展形。それこそシャフトっぽい演出、ケレン味といいますかね。グラフィカルな演出とか、あるいは動きと止め絵のメリハリ。これ、日本アニメの伝統とも言えますけどね。そういうシャフトっぽい演出とか、諸々いままでの要素の延長線上なんだけど、それが最高のバランス、最高のタイミングで合わさったマジック!ということじゃないですか。

だから作り手のみなさんも、こういうのはなかなか作ろうと思って作れるものじゃないよねっていうのは口々におっしゃってますよね。で、言うまでもなくキャラクターの魅力。これ、キャラクターの魅力の話、飛ばしていい?これしてると2時間とかたっちゃうんでね。あとはストーリーの奥深さというか。特に、それこそさっきのコンバットRECの僕におすすめする時の、たとえば俺らが見るならば・・・じゃないけど。要は様々な現実の事柄みたいなののメタファーとして読み取り可能っていうのが、各所での『語り』をヒートアップさせやすい要素だってことは大きいと思います。

それこそさっきのアイドルという構造の残酷さ。アイドルっていうのは年を経るということが一種の呪い。成熟が呪いであるジャンルじゃないですか。という残酷な構造のメタファーとして読み取れる。そういう問い。我々BUBKAチームがAKB総選挙とかを見て、残酷だ!最高だ!残酷だ!最高だ!ってやってる時の問いを重ねあわせることも出来るし。あるいはもっと普遍的に。いろんなたとえ方、できますよ。たとえば、普通に仕事論みたいなところでもいいですよね。最初は良かれと思って、人様のためにと思って始めたんだけど、次第に現実によって理想をなくしてって、絶望していってしまい、いちばん自分が憎んでいたタイプの大人になってしまいました、みたいなことは普遍的に重ねられるじゃないですか。

あるいは、何のために人はがんばって生きるのか?みたいな普遍的な話も重ねられる。ちなみに虚淵さん。いま仮面ライダー鎧武というね、新シリーズやってらっしゃって。いままだ序盤で、いろんなライダーがバトルロワイヤル的に出てきてる最中なんですけど。3話目かな?主人公が仮面ライダーシリーズ稀に見る軽薄な男なんですよ。現状は。なんだけど、ライダーやってチヤホヤされて、お金稼いじゃったぜー!って持ってきたら、主人公のお姉さんとちょっと会話があって。そこで仕事とは?みたいなね。『あなたの稼いだお金は仕事で稼いだお金とは言えない。仕事っていうのは・・・』みたいなのをお姉さんが言う会話とか、これ、俺はグッと来たんですよね。

なので、そういう重ねあわせ方もできるっていうのも大きいでしょうし。あと、登場人物は、もちろん少女キャラね。いわゆる萌えっぽい少女キャラなんだけど、これは虚淵さんがインタビューなどでたとえば新房さんとの対談で、『新房語』っていう対談本みたいなのがあって。ここで虚淵さんが言ってるんですけど。

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(宇多丸)要するにまどか☆マギカのキャラクターを全部男にして、広東語をしゃべらせたら完全に香港映画。ジョン・ウーの世界そのものだろ、みたいな。そういう意味で、登場人物はかわいらしい少女だけど、やっていることは男泣きアクション。そういう意味でも、僕みたいな連中は普通に熱く盛り上がりやすい。こういうのも当然あるでしょうし。

ここで僕、すごい思うのは、先ほどちょこっと言いましたAKBドキュメンタリー。特に2作目、3作目。スゴい!っていつもこの番組で言ってますけど、AKBドキュメンタリーの監督、高橋栄樹さん。1回お会いした時にちょっと高橋さんがおっしゃってたのは、『自分が本当にいちばん好きなものはハードボイルドものなんだ。だけど、いまの日本でハードボイルドものをやろとすると、ひょっとすると主人公は女の子になっちゃうのかもしれない。だからAKBドキュメンタリー2・3は、あれは高橋さんなりのハードボイルドものでもある』というようなことをお話したんですね。ちょっとそのことを思い出しました。

で、同じくハードな現実のメタファーとしての戦闘少女ものでもある、アメリカ映画でザック・スナイダー『エンジェルウォーズ』とかね。あれとまどマギを比較して。問題意識のあり方みたいなのを比較してみるのも面白いかな?なんて思ったりもしましたね。

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(宇多丸)あるいはですね、ラストが話題沸騰というか、賛否両論みたいなね、ラストがあるって。これはどの程度ネタバレしていいのかな?あの結末も、神というか概念に成り果てて。存在は消えて宇宙全体に普遍的に遍在する概念になってしまいましたって、筒井康隆の『エディプスの恋人』みたいだな、なんつって。僕は、SFっぽい!面白い!って素直に思いますし。あとやっぱりさっき言ったように、虚淵玄さんの作品・物語とかにしばしば出てくる感じの結末でもあるかなって僕は思ったんですけど。あるいはすごくわかりやすいところで言えば、要はまどかさんはみんなの魔法少女の運命を背負って、本人は姿は消えてしまうけど、神のごとき概念として・・・って、要はみんなの原罪を一身に背負ってってことでしょ?つまり、ものすごい露骨にキリスト教の話をしてるっていう。キリスト教的な話をしてるって言えるっていう。

一方では、さっきの仕事論じゃないですけど、僕はもうちょっと自分に引き寄せて、たとえば仕事論的な流れで言うとね。いま我々が安穏と暮らしているこの世界も、名も無き、自分の名も知らぬ誰かのいろんなののお陰で成り立っているんだ、というような想像力を働かせろよっていう話とも取れたりとかね。いろいろな取り方ができるという意味で、優れた物語であるということだと思います。

あと、すごーく表面的な話をしてしまいますけど、やっぱりずーっと話を見ていていちばんダメだと思われていた子、自分でダメだダメだって言っていた子が、結果として誰も成し遂げられなかったようなことを、能力もさることながら、その人の勇気で成し遂げるみたいな展開。たとえばスターウォーズで言う『ジェダイの復讐』のルーク・スカイウォーカー。ダメジェダイですよ。おちこぼれジェダイがライトセイバーを投げ捨てる瞬間に、史上最高のジェダイだったアナキン、お父さんを乗り越える。彼は能力というよりは勇気で乗り越えるわけじゃないですか。あのダメだったヤツが!えーん!(泣)。っていう表面的なレベルで私のツボでございますということもあると思います。

ちなみにですね、ここで最終回で、まどかさんがついに『わたし、魔法少女になるよ』と。12話見てきて、最後の最後に変身するところ。あと、TVシリーズだと最後にホワーンとした宇宙空間で、ほむらちゃんとお別れの話をするところ、あそこで流れる梶浦さんの音楽がですね、ひょっとすると大林宣彦版『時をかける少女』の音楽の、ちょっとオマージュ。ちょっと似てるんですよ。しかも、時をかける少女の、ここで別れたら、もうあなたの記憶は私の中に残ってないのっていう別れのシーンの音楽と似てるので。どうでしょう?梶浦さん、そこらへんっていう。これは僕の勝手な思い込みかもしれませんが、話的に似てると思うんですけどね。

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(宇多丸)ということで私は非常にこの話、たいへん楽しみました。ただ、この結末に関してですけどね、要はまどかさんの非常な献身性によって話は解決した、ハッピーエンドなんだけど・・・ただ、ほむらっていう残された、見てる人じゃないとわからない話するかもしれませんけど、ほむらちゃんにとっては、結局ほむらちゃん、記憶は残っているわけじゃないですか。まどかが犠牲を果たしてくれたと。まどかの犠牲の記憶が残っちゃってるってことは、やっぱりちょっとほむらちゃん個人にとっては重い・・・

それで、私は戦い続けるって、ちょっと煉獄っていうか。終わりのない苦しみっていうか。ちょっと残酷な結末じゃないか?ともとれる。で、もちろん作り手もそのバランスのことがわかっているから、実際最後の最後にほむらちゃんが荒野みたいなところで、魔獣っていう新たに出てきたバケモノに立ち向かう時、ほむらちゃんの背中にバーッと羽根がはえるんだけど、その羽根が黒い。耳元でまどかが囁いたように聞こえるのも、なんか不吉な感じが。軽くバッドエンド感、ちょっと漂わせてる。という、前の終わりであったわけですね。

で、今回の新編。続きだって言いましたけど、まさにこのバッドエンド感っていうのを受けての続編ということになっているわけですね。なかなか本編の話、できないな。ちなみにTVシリーズのダイジェストとして作られた劇場版ですけど、画的にも、とかいろんなものがブラッシュアップされてるんですけど。僕、今回ブルーレイのオーディオコメンタリー聞いて、『あ、なるほど!』って思った。声優のみなさんが指摘してたんだけど。たとえばまどかがクライマックスで『わたし、魔法少女になるよ』ってなる時に、ほむらちゃんが倒れてますよね。そこで、『わたし、魔法少女になるよ』って場面ですよ。

あそこでほむらの額に、戦った後ですから血が流れている。ここで、この劇場版はTVシリーズでは無い演出。ほむらちゃんの血を拭ってあげるんですよね。まどかがね。そういう細やかなキャラクターへの愛情あふれるブラッシュアップもしてるというところに、私あとでオーディオコメンタリー聞いて気づいて、『ああ、それは感動するな』というね。あとは、さやかちゃんの髪飾りが加わって。これはさやかちゃんのキャラクター的なあれを踏まえてということです。

それを踏まえて今回の新編へということでございますけど。今回の新編。続編、私がどう見たか?ということなんですけどね。非常に大雑把に大きく分けて2つの要素が今回の売りというか魅力というか。今回のポイントだと思う2つ。1つは、ファンサービスの面ですよね。みんなが見たかったものを見せる。要はキャラが復活して、愛すべきあのキャラクターたちが復活して勢ぞろいする絵面。それをファンにもう一回見せてあげる。言っちゃえばこれ、『アベンジャーズ』。アベンジャーズです。今回は。アベンジャーズでもあります。アベンジャーズ的なオールスター揃い踏み興行。そういう側面があるわけですよ。そういうサービス的な側面。

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(宇多丸)そしてもう1つ。これはやっぱりここまでの話がある意味、キレイすぎるほど完璧に終わってるわけですよね。そのキレイすぎるほど完璧に終わってしまっているこの話に対するセルフ回答という面ですよね。言ってみれば、TVシリーズ、劇場版前後編までの話を普通の映画で言う『1』だとしましょう。そしてこの1が、いわゆる名作と言われている1だとしましょう。いろんな世の中には続編があるけど、その続編の中には名作とされている1の結末とか結論を、全部ひっくり返す『2』っていうのがあるわけですよ。

たとえば『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』ですよね。1作目は全部オールオッケーなラストに見えるけど、そうじゃない。お前がやったことで世界は致命的に悪くなったんだ!ってことを、しかもパート1のストーリーをなぞりながらもう1回やるダークな2。僕の好きなタイプの2ですよ。そういうダークなタイプの2。あるいは『帝国の逆襲』ですよね。1作目は何の悩みもない感じで終わったら、そうじゃねーと。お前がやっつけたつもりになっていたそいつは、お父さんだよ!っていうのとか。えっ?俺って呪われた存在!?みたいな。帝国の逆襲がまさにそうでした。

ちなみに新房総監督は今回、『キュゥべえの逆襲』にしたかったみたいなことを言ってるぐらいですから。そういう、いわゆるダークな2路線ということですよね。この2つ。ファン向けのサービスである『揃い踏み興行』、そしてもう1つは『名作の1をひっくり返すダークな2』。この2つだと思うんですよ。まず序盤。ここまでの話を知っている我々観客にすると、明らかにこれはおかしいよね。これは絶対おかしいっていう。みなさん非常に楽しそうに振舞っているけど、これは絶対におかしい。なにかの罠だっていう不自然な世界設定で。魔法少女たちがまどマギのここまでの話からすると考えられないほど、比較的ストレートに活躍するという序盤の話があるわけですよ。

とはいえ今回はですね、言ってみれば全編が完全なリアル世界じゃないですよね。どこかしら偽装された世界じゃないですか。だから、初っ端から最後まで、まどマギという作品世界以外ではあり得ない、ぶっ飛んだバランスの映像表現が、今回は初っ端から全開です。初っ端から最後まで。っていうか、ドラッグ映画です(笑)。おかしくなります。特に今回は日常とされる描写の中にも、劇団イヌカレーさんのキャラだったりとか演出とかを侵食してるわけですよ。日常描写ですよって言ってるのに、あれ?これ全開の超怖くなっちゃった魔女のキャラが、しかもそのままのデザインで?しかも、魔女文字をゴニョゴニョと。しゃべり方もかわいい怖いみたいな感じでいるから、なんかある意味どの画面にも不安というか、不安定感というか。言っちゃえば不吉さがみなぎっている感じの作りになっている。

とはいえ、魔法少女たちはファンサービスも込みで活躍するわけですよ。圧巻の変身シーンですよね。前のシリーズとかも変身シーン、すごかったですけど、今回の変身シーン、すごくね?いままで見たことのない映像表現の組み合わせ。それぞれのキャラクターが異なるダンスとか動きをしながら。でも非常に・・・口では表現できないな。いろんな実験的な映像表現をやりながらなんで、動きとかはキレイだし、華やかだし、ノリノリなんだけど同時にどこか不気味っていう。この後さ、魔女をみんなでやっつけて、クラスメイトの仁美ちゃんのさ、丸い首みたいなのが降ってくるじゃないですか。その首みたいなのを受けとめるとか、あのくだりの線がちょっと色っぽい感じも含めて、僕はいちばんイッちゃってる時の手塚治虫感を感じる描写だったんですけど。

あと、あれですよね。序盤の倒す敵であるナイトメアっていうのを、とどめを刺す時の、お茶会のお遊戯的な歌の表現。『ケーキは◯◯でー♪』とかやってるじゃないですか。あれ、何の説明もなくいきなり始まるから、たしかにかわいいっちゃかわいいけど、まあ狂ってるよね?っていう。そういうバランス。ちなみに僕、いままでの狂っているとか、異常だとか、不吉だとか、キモいとか、頭おかしいとか、全部超褒めてますから!僕が映画に求める条件なんで。すんごい褒めてますから。で、当然おかしいバランスっていうのは意図されたもので。その世界っていうのは何者かによって偽装されたものであるらしいと。その偽装されたものであるらしいということがだんだん明るみに出てくるミステリー仕立てのところは、モロに『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』。押井守さんの名作中の名作ですよ。

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(宇多丸)特に、バスが同じ所に着いちゃうみたいな。あの描写は非常にビューティフル・ドリーマー。全く同じような描写、ありますし。あとは『ダークシティ』とかね。アメリカ映画。アレックス・プロヤスの。最終的には観察者たる宇宙人よりも・・・?みたいなあの展開、ダークシティをちょっと思わせたりもしますけど。

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(宇多丸)ダークシティとかビューティフル・ドリーマーみたいな、要は仮想現実でした、みたいなのがあると。あるいは、すごく幸せな世界が本当は実現してるのに、あまりにもうまく行き過ぎてて変だって感じ始める感じ。これは藤子不二雄のFさんの異色SF短篇集の中の、『どことなくなんとなく』だっけ?あまりに全てが日常過ぎて逆におかしい。それは実は宇宙人による・・・っていう話であるとか。そのSF短篇集で言えば、キュゥべえ自体が『ヒョンヒョロ』っていう話があって。あれに出てくるウサギ的な、かわい怖い宇宙人みたいな、そんな感じであったりとか。

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(宇多丸)あとは仮想の世界にいる町の人々のフィロソフィカル・ゾンビっぷり。『リアル 完全なる首長竜の日』のあそこで出てきたゾンビ表現の気持ち悪さみたいなところも、まどマギ真骨頂っていうね。TVシリーズよりもさらにおっかなく気持ち悪いあたりが進んだ表現になってるんじゃないかと。そのあたりも本当に素晴らしい。

とにかく、今回はそういう絶妙にリアル、現実感から数メートル、絶妙に乖離したアニメ表現のドライブっぷりがハンパなく。これは一言で言えばぶっ飛んでるし、気持ちいいってことだと思います。グイグイグイグイそれがエスカレートしていく感じが。で、一方では、これも挙げてる人が多かったですけどね。ほむらちゃんとマミちゃんが途中、対立して。元々あんまり仲がいい人じゃないから対立して。言っちゃえば『リベリオン』っていうクリスチャン・ベールの映画のガン=カタ風。要は銃を使った格闘というかね。

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(宇多丸)ガン=カタ風の格闘&銃撃。あそこなんか脚本とかよりもずいぶん膨らましちゃってるみたいですね。あれがもう、気持ちいいし、エスカレートしてく。描写が気持よくエスカレートしていくみたいなのは、まどマギの、作り手の乗っちゃっている感じが出てて魅力のうちだと思うんですけど。

あと、もちろん揃い踏み公演ですからね。アベンジャーズ的な。当然、このキャラクターとこのキャラクターの、こういうやり取りが見たかった!っていう。これは萌えの方じゃなくて、燃えるぜ!の方の燃え描写。たとえば、さやかちゃんと杏子ちゃんが。結局、あの2人はコンビを組んで戦うことも本編ではなかったわけだけど、ああこの2人が背中合わせで戦っているよ!みたいな。ここはやっぱり燃えるバディ感だったりしますし。あとはやっぱり前作では最終的にいちばん憎らしいアイツが特に裁かれなかったんだけど、アイツに逆襲っていう意味でも、いわゆる燃えるぜ!展開ではあったということ。そういう意味ではファンサービス部分としては成り立っている。

あと、さっき言った戦いの描写のエスカレート感で言うと、マミさんの『ティロ・フィナーレ!』って言う今回の時の、乗っている乗り物の頭おかしいっぷりってないよね。あれ。なんちゅう乗り物に乗ってるんだ!?っていう(笑)。で、そこら中にイヌカレーさんのキャラクターとか演出が毒っ気たっぷりで振りまかれているという。とにかく、冷静に考えると、特にクライマックスとか絵面のアヴァンギャルドさっぷり。さっき言った日本的な萌えアニメ的な絵面と、東欧アートアニメ感で言うと、東欧アートアニメ感が8割ぐらい占めることになっているっていう。

ただ、ここまではまだ『1』の要素じゃないですか。その後、どんでん返し的にさっき言った『2』の要素。つまり名作とされている『1』的な結末のひっくり返し要素としての『2』が来るわけだけど。前の結末が非常に完璧だしキレイだから、前の結末が好きだなっていう人ほど、『なんでそんな嫌なひっくり返し方するの?蛇足じゃないの?』っていう意見があるのも、わかるんです。だた、僕がさっき言ったように、前の結末も、これじゃあほむらちゃんがあまりにもちょっと救われない、彼女の負担が多すぎない?って引っ掛かりを僕は感じていたので、そういう意味では、『ほむらちゃん、やっぱりそうだよね』っていう展開にもなってるし。

これはですね、まどか☆マギカに関していろんな文章、すでにいろいろ出回ってますけど、TVシリーズ終わって直後。いちばん早い段階で出た評論本で、 山川賢一さんという方の『成熟という檻』という、TVシリーズが終わってすぐに出た本なんですけど。ここに書かれている、僕、この本すごく面白くて。実際みなさん、これを読めばいいんじゃないか?っていうぐらい本当に素晴らしい考察が繰り広げられてるんですけど。

成熟という檻 『魔法少女まどか☆マギカ』論

(宇多丸)その中に、言っちゃえば今回の劇場版の新編の展開を予言するようなことが書いてあってですね。こんなこと言ってます。山川さん。ちょっと抜粋して言いますけど。『ほむらは愛の人だが、彼女が愛するまどかは正義の人であり、2人の考え方は常に噛み合わない』。ほむらちゃんは要するに、前の話シリーズを通して1回も、全体の正義であるとか全体の正しさを目指すようなことは言っていないんです。一見それを目指すようなことを言っても、それこそさやかに『それ、嘘だろ?』って言われて、『はい、嘘です。アンタのことなんかどうでもいい。私はまどかのことしか考えてない』。とにかく、まどかへの愛という動機しかないと。一方まどかは、自分の中には確たる動機も勇気もないんだけど、最終的にはより大きな正義のために。人のためになら動くっていう人ですよね。要するに、大きな正義対自分の愛。世界か愛か?この対立なわけじゃないですか。これ、まさに今回の話に出てくる。

この山川さん、この成熟という檻の中でこんなこと言ってます。『まどか☆マギカはまどかの成長物語というより、むしろまどかを救うためにその成長を必死で食い止めようとするほむらの壮絶な片思いの物語なのだ』。これは、TVシリーズまでの話を言ってるんですけど。今回の新編、最後まで見ると、まさにその側面っていうか。ああ、まどか☆マギカはたしかにそういう話だった!って。山川さんの指摘の本質が、いちばん濃い形で抽出された続編になってるわけですよ。なので、そう思って終盤のほむらの、言っちゃえば悪役化してしまってるんだけど、そのほむらを見てると、この見方で見るとものすごい切ないわけですよ。

山川さんの眼力の鋭さに、僕は後からこの本を読んだんで、ちょっとここの部分を読んで鳥肌が立ってしまいました。すげえ!この人!みたいになって。で、もちろんさっき言ったまどかっていうのは、いままでいた他の人たちの原罪を背負って神になったキリストとするならば、それに対応する概念として、『悪魔』っていうのが出てくるのも必然というか。そういう意味でも、構造として今回のどんでん返し展開の筋は非常に、通りすぎているぐらい通っているっていうことですよね。前の結末があまりにもキレイに完結しすぎという風に見るならば、僕は少なくとも今回のラストの世界は、一見バッドエンディング風だけど、全開が一見ハッピーエンディング風だけどちょっとバッドな匂いというか、そうじゃないのかな?っていうのと逆で。今回はバッドエンディング風だけど、世界がある意味、悪魔の登場によって、神だけがいる世界じゃなくて、悪魔もいる世界になったことで、世界が健全な不完全さを取り戻したという風にも僕はとれるなという風に思って見てました。

で、話がなんとなくまだ終わってない風なんですよね。なのでこの先、まだ話を続けるならば、これはもう勢い『デビルマン』になっていくしか・・・永井豪原作のデビルマンの漫画の終盤的な展開になって行かざるをえないだろうっていう風に思うわけですよ。実際、新房昭之総監督は『デビルマンが自分の中の原点である。なにをやってもデビルマンになってきちゃう』って言ってるんで、意外とこれ・・・要は裏切り展開、ダークな2ならではの裏切り展開も、ちゃんと筋は通ってるという風に思うわけでございます。

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ということで、僕は顔見世興行、まどか☆マギカ版アベンジャーズとしてもサービス満点だと思いますし、ダークな2としても全然ありっていうか。ダークな2として100点の結論が出てるなという風に思って見ました。すっかりまどマギ脳になった上でなのかもしれませんけど、むちゃくちゃ面白かったし、ちゃんとまどマギという話を理解して、終わりの方を見るならば、思い入れて見るほどに最後の方のほむらちゃんが切なくて切なくて。素晴らしく楽しんだということでございます。TVシリーズはね、リアルタイムでドライブしていくの、僕見逃しちゃって悔しいなんて言ってますけど。これ、やっぱりいまこの祭りに、ドライブに乗って行かないと。なかなかこの高揚感みたいなのを後からは味わいづらいと思いますので、是非是非いますぐ劇場で。みなさんと見るのがよろしいんじゃないでしょうか。劇場で是非、ウォッチメン!

<書き起こしおわり>