宇多丸が語る MAKI THE MAGIC追悼イベントで起きた『マジック』

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ライムスター宇多丸さんがTBSラジオ『ウィークエンド・シャッフル』で、MAKI THE MAGICさんの追悼イベントで起きたマジックについて語っていました。


MAGIC FOREVER

(宇多丸)で、ですね、いろいろお話したいオープニングトークね。今週どんなことがあったみたいな話、いろいろあったんですけど。なにしろちょっとお話したかったのがね、今週木曜にあったこと。前にこの番組、オープニングトークでちょろっとだけね、話させていただきましたけど。キエるマキュウというグループ、この番組も出ていただきましたが、キエるマキュウというグループでも活躍していたMAKI THE MAGICさん。ライムスターのアルバムにも参加していただきましたMAKI THE MAGIC。僕らの友達であり仲間でありというね、この人がちょっと夏に死んじゃってですね。って話しましたね。で、お葬式行って来ましたなんて。って話をしたと思うんですが。
ライムスター宇多丸 MAKI THE MAGICへの追悼コメント
ライムスター宇多丸さんがTBSラジオ『ウィークエンド・シャッフル』で、急逝されたキエるマキュウのMC、そしてDJのMAKI THE MAGICさんへの追悼コメントを語っていまし...
(宇多丸)その追悼イベントが10月17日に開かれて。で、どんな追悼イベントかというと、渋谷のCLUB Asiaというところでやって。まあ、ライブとDJイベントなんですけど。マキくんにゆかりのあるHIPHOPラップアーティストとかDJとかが一堂に会する。どんぐらい一堂に会するかっていうと、ライムスター、非常にマキくんに関わり深かったので必ず出る。あと、KOUHEI JAPAN。もう、幡ヶ谷の飲み友達として一緒に青春を過ごした人。DJで言えばDJ TAIKIさん。MAKI & TAIKIっていうユニットで一緒にやってたりとか。まあ、そういうモロにゆかりがあるところとか、一緒に曲を作っていたようなね人たちというのもあるけど。

あと、スチャダラパーが出たりとかね。だからスチャダラパーと僕らと、あとK DUB SHINE、ZEEBRAとかね。で、キングギドラの曲をやったりして特別感がある夜だったんですね。あ、あとDABOのコーナーでSUIKENが出てきて、NITROの曲をやったりとか。NITRO、いまね、曲聞けるってなかなかないですから。そういうね、なかなか聞けないようなメンツが集まると。ただでさえ豪華なイベントだったわけですよ。で、収益は全部ご遺族の方に、っていうような。

ちなみにこの日はいろんな、MAKI THE MAGICだけにいろんなマジックが起こったんですけど。まずこの日、一報が駆け巡りまして。とんだマジックが。この追悼イベントのよりによってその当日にですね、マキさんの第三子。三人目の息子さんが、この日に生まれたっていうね、ことなんですよ。で、しかもその息子さんがマキくんに顔そっくりだっていう(笑)。ねえ、さすが・・・『幡ヶ谷20号 夜の帝王 生まれ出ずる獣』ってね。あの、すいません。マキくんの歌詞を引用するとどんどん不謹慎になっていくっていう(笑)。不謹慎なリリックしかない人なんですけど。

でね、そのマジックもあったし。いろんな豪華メンツが集まって、普段見れないようなメンツで普段見れないような曲をやるというマジック。数々のマジックの中でもですね、その日かな?前日って言ってたかな?とにかくK DUB SHINE、僕の友達というかね、一緒に曲もやってますし。キングギドラ K DUB SHINEが、DEV LARGEというね、BUDDHA BRANDのDEV LARGEと代々木上原でばったり会った。HIPHOPの歴史をちょっと説明しておきますと、この2人はですね、10年前かな?2004年だったと思いますけど。元々、両方共ね、BUDDHA BRAND、キングギドラ、そしてソロとしてK DUB SHINEとしてずっと活躍。第一線でね、HIPHOP界のスーパースターとして活躍してきた2人なんだけど、この2人がいわゆるBEEF(ビーフ)。まあ、諍いですよね。が、起こったんです。

HIPHOPではこの諍い自体もエンターテイメントになるっていうのがHIPHOPなんですけど。要は曲でワーッと言い合い。要するに、その場限りのフリースタイルで言い合い、バトルみたいなことはそこら中であったし、あと実際に拳が出ちゃうバトルとかもそこら中であったけど、曲をお互い往復書簡のように、曲をやり取りしてのバトルっていうのは、意外と日本ではなくて。成り立ってなくて。要は、曲を通したバトルであり、ケンカであり、対話であるというような、初めてのね、K DUB SHINEとDEV LARGEのBEEF、バトルというのが10年ぐらい前にあったんですね。正式リリースはされてない曲なんですけど。これ。まあ、よく探せばあるんじゃないですかね?ネット上とかにね。

で、早い話がそれ以来、もう犬猿の仲として知られるという2人だったわけですね。なんだけど、やっぱりマキくんが取り結ぶって言っても僕は過言じゃないなと思うのはですね、K DUB SHINEと一緒に。あと、MICROPHONE PAGERというグループにいたP.H.FRONという男と、3人で電車に乗ってですね、マキくんのお葬式、葬儀に出かけたんです。3人で喪服着て電車に乗って。で、なんか湿っぽくするのもアレだからっつって、バカ話しながら行って。その時に、ちょっとK DUBがポロッと『やっぱりいつまでもみんないる、なにがあるかわからないし、心残りのことをちゃんとしておかないとな』みたいな。『そうだよ!だからさ、コンちゃん(DEV LARGE)のこととかさ』って言ったら、『そうなんだよね』みたいなことを言ってて。こっちゃん(K DUB SHINE)が。こっちゃんも思うところがあったみたい。

で、代々木上原でばったり。そのイベントの前日かな?当日かな?ばったり会ったんだって。で、やっぱりそこでマキくんを通じてそういう気持ちにもなっていたから、こっちゃんが『いや、いろいろあったけど、もう水に流そうぜ』って。で、コンちゃんも『そんな昔のことだし・・・』みたいな。で、そこで握手して。で、『マキくんのイベント出るからさ、おいでよ』って。コンちゃんは一時期体調を崩されてたりして、クラブ遊びとかあんまり来てなかったんだけど、だいぶ今、よくなって。本当はあまり行くつもりじゃなかったんだけど、こっちゃんに誘われて来たんですよ。

で、MAKI THE MAGICが組んでいたCQというラッパーは元々BUDDHA BRANDというDEV LARGEが元いたグループで。要するに日本のHIPHOPシーンを90年代、代表するトップですよ。の、メンバーだったんだけど、ほぼ解散状態なまま続いていたんだけど。で、要はDEV LARGEが会場に来て、クリちゃん当然いますから。CQは。『じゃあ、あの曲やっちゃう?』みたいな感じで、予定になかった飛び入りで、CQとDEV LARGEによる日本のHIPHOP史上、たぶんいちばん有名な・・・これか、俺らの『B-BOYイズム』かって言っていいでしょ?要は、僕らB-BOYイズムやる予定なかったのに、この曲をやられちゃって会場があんまり・・・そりゃそうですよ。2度と見れないと思っていたものが見れたから。

会場はもう、ウワーーッ!っていままで、最近のHIPHOPシーンじゃなかなかないような大騒ぎになってるし。こっち側、バックステージも、おおおーーっ!後ろに窪塚洋介くん、日本のHIPHOPシーン大好きな洋介くんもいて。洋介くん、全部歌詞合唱してましたからね。そういう世代ですけど。こっちもワーッ!ってなる。俺も俺でワーッ!って大盛り上がりして、歌詞とかも一緒に歌ったりして。で、ドタドタッて楽屋走っていって、『おい!やばいぞ!これ、B-BOYイズムぐらいやらないと、やべーぞ!』っつって(笑)。で、まあJINがね、『持ってる持ってる』みたいなね。で、実際やるみたいなのありましたけど。

ということで、まさかこの曲が再び生で、ライブで聞けるとは。こんなマジックが起こっちゃった。やっぱりマキくんマジック。ということで、こんな曲で大騒ぎした木曜でございました。お聞きください。BUDDHA BRANDで『人間発電所』。


※当日のライブの模様


(宇多丸)はい、お聞きいただいているのは日本語ラップ史上のクラシック中のクラシック。BUDDHA BRANDの『人間発電所』でございました。まあ、もうぶっちゃけB-BOYイズムは後からやったところでね、これは後の祭りというやつで。いやー、正直そりゃブッダがいきなり人間発電所やった爆発は、そりゃあもうあの夜の盛り上がり的にはハイライトだったんじゃないでしょうか。

でもね、その後もずっと楽屋も表も大にぎわいだし。なんて言うんですかね?そういう派閥っていうか、そういうファミリーの色を越えて、もう本当みんないるし。で、90年代後半にCAVEっていう渋谷にクラブがありまして、そのCAVE、マキくんとかも回していて。CAVEのいちばんひでえ夜、僕ら喜んでるんだけど、いちばんひでえ夜みたいだよな!みたいな。でもあの頃と違うのは、すげえみんなこんなにワーッて酒飲んで、ひでえ盛り上がりしてるのに、なんにもネガティブなことが起きない。誰もネガティブな気持ちにならない。

だいたい俺、そのころはウワーッ!ってなって、最後みんな死ね!とか死にてえ!とか連発してたころなんでね。そうだよね、本当夢でも見てるような日だね、みたいな感じの日でございました。これも全て、MAKI THE MAGICの人徳であり、マキくんの残したマジックじゃないでしょうか。その後、渋谷のね、朝方ダメ人間が集う店としてお馴染み、山家でね。山家まで行っちゃって。で、そこでいわゆる気の置けない連中と、表のマイクでは言えなかったマキくんのしょうもない話しようぜ!っつって。話しながら、これは追悼イベントでは言えねえな、みたいな(笑)。ダメでしょ!みたいな話して、ゲラゲラって。本当楽しかったです。ということで改めてね、マキくん。本当すごいですよ。本当。第三子もすくすくと育ってくれるといいですな。ということでございました。

<書き起こしおわり>
キングギドラ ライブ動画(一部)

スチャダラパー ライブ動画(一部)

ライムスター ライブ動画(一部)