宇多丸映画紹介 チリ大地震映画『Aftershock』

宇多丸映画紹介 チリ大地震映画『Aftershock』 宇多丸のウィークエンド・シャッフル

宇多丸さんがTBSラジオ タマフルでチリ大地震を描いたイーライ・ロス主演映画『Aftershock』を紹介していました。高橋ヨシキさんから推薦されて見て、『生涯ベスト級』と熱く語っています。

(宇多丸)えっと、生放送開始のほんの直前までコンバットRECに『あまちゃん』を見ていない件で情弱呼ばわりされるという、非常にデジャヴ感のある光景。ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル!

あんただって見たの、つい最近だろ!?っていうね。これがまあ、デジャヴ感を誘うくだりでございます。ということで、東京赤坂TBSラジオ第6スタジオから生放送でお送りしておりますライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル、パーソナリティの宇多丸です。思い出すのは、このやり取りが一番デジャヴ感があるのはあれですね。2005年?2004年?ぐらいの『mixiやる・やらない』の押し問答を思い出しますよね(笑)。『なに?知らねーの?おっせーよ!』と。昨日だって。前日だったって(笑)。コンバットRECがmixiはじめたの。っていうのがありますけどね。

でも、あまちゃんは、これ言え!って言われたんであれですけど、あまちゃんをまだ見れてない人は、何日かに『朝まで”あま”テレビ』っつって、短縮版みたいなのをまとめて何日かに・・・これ、情報来ちゃったよ。なんで俺があまちゃんの宣伝をわざわざ、いま後追いしなきゃ・・・みんなほっといたって見てんだから!まあ、いいや。8月16日金曜から3日間、深夜にダイジェスト版をやるから、追いつくなら今だよ!ってこう、言われて。まあ、たしかにね。見るならね。あとコンバットREC、テメーも後追いのくせに偉そうだと言いつつ、ちゃんと見て。追いついて。『2周めだ』と言ってるから偉いですけどね。そういうところはね。

で、そのほら、震災のあれが最後の方に来るから、その前までに追いついとかないとどうなる?分かんないでしょ?見たってと。まあ、そうかもしんないよということなんですけど。ただね、いろいろ僕も・・・あまちゃん、そりゃ面白いんだろうと思うんだけど。テレビでやってる時は毎回毎回見て、なるほど、これは面白いなと思って見てますけど、なかなかいろいろ・・・見てさ、わーい!楽しい!みたいなのさ、他にもいろいろあって、なかなかちょっとね。みんなが見てるものに手が回らない。たとえば先週、高橋ヨシキさん、出ていただいて。『映画が残酷・野蛮で何が悪い?』特集、あの非常に反響も好評で。いま非常に大事なことが言っていただけたんではないかな?と思うんですけど。

あの後、ヨシキさんと飲みに行きまして。で、まあいつものことながらヨシキさんからですね、まだ僕がチェック出来てなかった面白い映画の話・情報なんかをもらって。その中で、『あっ、それ!それ俺、絶対好きじゃん!それ俺、生涯ベストじゃん!』みたいな(笑)。ぐらいの映画を聞いてですね。それがまた、結構ニュアンスは違いますけど、地震の話とか出てきたりとかして。ちょっと正直、先週の特集の話にてらしてい言うならば、そんなこと言ってるのはあんまりいい傾向じゃないんだけど、正直日本じゃあ劇場公開は少なくとも難しいかな?この内容では、いまはって感じの作品だったんで、ちょっといま話しようと思うんだけどね。

耳が早い人はね、輸入盤屋なんかでチェックしてると思うんですけど。『Aftershock』っていうね。これはですね、イーライ・ロスという男、みなさんご存知ですかね?ここでパッと顔が・・・おっ、あの信頼できる男、イーライ・ロス。映画監督であり、特に『ホステル』シリーズが本当に有名ですよね。ホステルシリーズで有名な、イーライ・ロス。

非常にまあ、何て言うんですかね?それこそ残酷描写みたいなもので、非常に悪趣味な映画を撮る人扱いされがちですけど、非常にたしかな手腕と描写と、すごく立派な映画を撮る人だと僕は思っております。と、同時に俳優としてもね、タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』なんかにも出てきましたよね。

とにかく、顔つき1つ取ってみても信頼できる男。このイーライ・ロスがプロデュースかな?イーライ・ロス・プレゼンツってデカデカと。要するに、自分では監督してないんですけど、脚本を共同で書いて。監督をしてるのは、ニコラス・ロペスさんという要するにチリの方なんですよ。チリの監督。で、イーライ・ロスはプロデュースと共同脚本と、あと主演もしてるんですよ。出てる。ここに、Aftershockってドン!と出てますよ。

で、どんな話かっていうと、チリの映画で。まあ前半は、チリ版のホステルっていうか。最初にイーライ・ロスがアメリカ人で、チリの親しい友だち男2人と調子こいてるところがずっとあるわけ。女の子ナンパしたりして。その女の子も、わがまま娘がいたりとかみたいな感じで、いろんなキャラがいて、前半は浮かれた、浮ついたあーでもないこーでもないがあって。ちなみにそのうちの1人の、チリの大金持ちの、ちょっと変人っぽい男がいて。これが見た目が完全に『ハングオーバー!』のザック・ガリフィアナキスみたいな見た目だし、金持ちでボンボンでどうしようもなくてってそこのキャラまでそっくりで。

みたいな感じで前半は、ホステルの前半ミーツ・ハングオーバー!みたいな感じで進んでるわけですよ。で、そこにですね、チリだからチリって日本に匹敵するぐらい地震国なわけですよ。火山とかもあったりして。で、まさにそこで大地震が・・・ちょうど彼らがクラブで遊んでいる時に、しかも元々最初に旅行していた地域じゃないところに、そのチリの友達がもっとディープなチリのところ行こうぜ!って連れてかれて。で、要するに全く土地勘とかもないところで、外国のクラブで大地震にあってしまうと。当然その中でディザスタームービー的な展開がおこる。

ここの地震描写が日本人にはちょっと刺激的すぎではあるので。ただね、さすがイーライ・ロスの薫陶を受けた男っていうか。ニコラス・ロペスさんもね。何て言うのかな?すごいちゃんとしてるんですよ。キャラクターをちゃんときっちりその前に、ちょろっと出るキャラクターとかも、ちゃんと血の通ったキャラクターなんですよ。だからその、もちろんジャンル映画、ホラー映画・ディザスター映画と呼ばれるジャンル映画なんだけど、すごく血の通ったキャラクター。だから怖い!っていう。だから恐ろしいっていうのがある。

で、地震が起こる。知らない土地でワーッ!ってなって。それだけでも結構怖いんですけど、やっぱりここは日本で震災があった時と違うところは、要はちょっと貧しい地域に来ちゃっていたせいで、ファベーラ(貧民街)みたいなのがすぐ近くにあるわけですよ。なので、暴動が起こるっていうか、略奪が起こりまくってるわけですね。警察とかも来るんだけど、警察にも火炎瓶とか投げて。警察も血だらけ、火だるまになっちゃったりして。そうこうしているうちに、その暴徒のギャング団みたいなのが、『おい、あそこにいい女連れた奴らがいるぞ!おーい!』っつって。ヤバイ!ってこう、逃げる。

そのうち1人が大怪我。手に大怪我を負ってて・・・みたいな逃走劇がはじまって。その途中にもアフターショックですから、余震があったりして。そうこうしてるうちに、大地震で近所の刑務所が壊れちゃって、刑務所から大量の凶悪犯が脱走してしまったと。それも危険です!みたいな。で、逃げようとしてたとえば一般の家にかくまってもらおうとしても、さっきも賊が来て酷い目にあったと。だから銃かまえて、全然こっちは善人、お互い善人同士なのに銃かまえて、そこでまた悲劇が起きたりとかですね。極限状態のあれが起きて。さらにちょっと、ひねりが二転三転、もうちょっと読めない感じであって。いわゆるジャンル映画として、新しいアイデアとサービス精神。

メイキングなんか見ると決して予算が高いわけでもないのに、やっぱりアイデアもこらしてるし、でもここはCGじゃない!と。ちゃんとセットで、ものを落とすことで怖い感じが起きるんだってことをちゃんと作ってですね。立派な映画だったんですよ。Aftershock、いまだったら輸入ビデオ屋さんね、新宿のマーケットとか売ってると思いますんで、興味ある方ね、見ていただきたい。こういうのは本当は、劇場でみんなで見てね、ワーッ!なんつってやるのが一番いいんでしょうけどね、という。あっ、10月公開予定?あ、そうですか。やるんだ!そうですか、それはよかった。

これですよ。先週の問題。勝手に、これヤバイんじゃないの?と内面化。この問題。あのね、先週した話は『規制が厳しい』っていう問題だって思ってる人が多いみたいだけど、もちろん規制が厳しい・・・厳しくないんですよ、日本は。日本は厳しくないの。いろんな国と比べても。でも、規制が厳しいんでしょ?っていう件を自分の内面に内面化してしまう、自分の中にビッグブラザーを持ってしまうというのが問題の特集なんですよ。ちょっとそのへん、誤解してる人もいるかな?と思ったんで、改めて。だからまさに今の俺(笑)。はいはい、Aftershock、むちゃむちゃ面白い映画なんで是非見ていただきたい。ということで、あまちゃんも見れたらいいけどねって、並べて語っていいのかな?

<書き起こしおわり>

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