菊地成孔 京都とパリを語る

菊地成孔 京都とパリを語る α-STATION

菊地成孔さんが2022年11月8日放送のα-STATION SPECIAL PROGRAM『Lunar Eclipse Vibes』の中で京都とパリについて話していました。

(菊地成孔)ということで、今日は京都のラジオ局αStationからお送りしているのですが……そうですね。これもね、なんか懐かしい感じだな。地方のラジオ局で番組やらせていただくとこの街……この場合は京都ですね。「この街にまつわる思い出など、お願いします」って。これ、たぶん京都に関して……僕は千葉県の銚子ですから。池井戸的に言うと、我が国で一番東にあるんですよ。極東ですね。東京よりずっと東にあります。

地図を見るとわかりますけど、銚子市っていうのは太平洋に向かって東に飛び出してる街なので。一番東の人間なんですよね。で、「京都にまつわるエピソードトークをお願いします」と言われて、おそらく一番ダメなのが「修学旅行で」っていうやつだと思うんですよね(笑)。もちろん京都に修学旅行で来ました。来ましたが、「修学旅行で初めて京都に来ました」はたぶん、なんていうか、バカとは言いませんけど。相当な野暮天でしょうね。ラジオでわざわざ「修学旅行で来ました」っていうのは。

でも、わかんない。そのぐらい気が利かない人の方がなんか「音楽に打ち込んでいるんだな」っていう感じがするのかもしれませんね。修学旅行で来ました! それで、京都を一番感じる場所、風景。僕、パリ……なんか、ものすごいスノッブに聞こえるかもしれないですけど。パリも好きで。「パリが好き」っていうとね、花の都(笑)。「パリが好き」っていうと、ものすごいスノッブじゃないか?っていう。

なんだっけ? あのヤバいデカい掲示板……2ちゃんねるを作った、ゆきひろ? あ、今、「ゆきひろ」って言いかけましたけど、それは高橋幸宏さんですけども。ひろゆきさんでしたっけ? ごめんなさい。そんなに存じ上げないんですけど。彼がパリに今、移住されてるのかな? それによってパリのイメージっていうのをこう、ちゃんと……あの方、大変に頭がいい方だとは思うんですよ。なので、サンフランシスコでもニューヨークでもなくて、あの方がパリにいらっしゃるっていうのがね、そこそこ意味があることじゃないかなとは思いますけど。

まあ、僕がパリが好きなのは、もちろん料理やお洋服が好きだっていうのもあります。パリコレに日本のファッションマガジンの取材スタッフとして、ジャーナリストとしてパリコレを一通り見た年もあったんですよね。昔は。なんですけど、僕、パリが好きなのは、もうめちゃめちゃ綺麗なところと、このすごい薄汚いところが同居してるんですよ。これはイタリアやスペインと全然違います。フランス、パリはもう、すごいですから。水回りも悪いし。

パリと京都がちょっとかぶる

(菊地成孔)でね、パリがすごく好きなんですよ。で、京都とちょっとかぶるんですよね。パリと京都が。京都は水回り、いいですよね。なんだっけ? 一番うまい手水が飲めるところ。梨木神社だっけ? なんかありますよね? 水をわざわざそこまで汲みに来るっていうね。僕は京都はすごい近代的なね、いわゆるモダンですよね。モダン。清華大学周りの建築物とか。それだけじゃないんですけど。京都タワーですら、もうモダンもレトロモダンも踏み越えて、もうなんか一番新しい考え方でリニューアルしたり、してなかったりっていうようなハイセンスのところと、ものすごい古いお寺や神社がこう、しましまに入ってるっていうところが他にないので。そういう街が。それは京都だけですよね。奈良ともまた違うんで。

なので、好きな街ですね。友達のミュージシャンっていうかね、京都はね、実はクラウドっていうか、ネーションみたいのがあって。もうなくなっちゃったんですけど。吉田屋さんっていうお料理屋さんがあって。そこが音楽家だけじゃなくて、サブカル文化人の方々の梁山泊というか。梁山泊っつって今、通じるのかな? ひとつのメッカみたいになっていて。京都に来たら必ずそこへ寄るっていうな店がずっとあったんですよね。最近でもないけど、なくなって。旅館に宗旨変えされたみたいですけど。

通っていた料理屋・吉田屋

(菊地成孔)なので友達っていうかね、そこに行くといろんな方がいるっていう思い出がありますね。浅田彰先生が……僕、違うバンドで浅田先生の本のお名前である『構造と力』っていうのを自分のバンドのアルバム名にしたことあって。まあ、無断でですよ。で、浅田彰ってもう見るだに怖そうじゃないすか。「怖い」っつってもぶん殴るとか、そういう怖さじゃないんですけど。

なにか恐ろしいものがあるので「怖いな」と思っていたら、ある日、「ああ、腹減った。吉田屋に行こう」っつって行ったら、柄谷行人先生と浅田彰先生が2人で食事されているところにばったり遭遇したことがあって。あの時はなんか、緊張しましたね。「これが京都か」って。銀座とかでそういうことがあるってことは、もう東京にはないので。とまあ、だいぶ長くしゃべっちゃってあれですけども。次に私が今、気になってる若手ミュージシャンを……。

<書き起こしおわり>

菊地成孔 今、一番気になる若手ミュージシャンを語る
菊地成孔さんが2022年11月8日放送のα-STATION SPECIAL PROGRAM『Lunar Eclipse Vibes』の中で今、一番気になる若手ミュージシャンについて話していました。
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