宮野真守 メソッド演技法に出会って救われた話

宮野真守 学生時代の自分を語る 星野源のオールナイトニッポン

宮野真守さんが2022年11月1日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で「自分を救ってくれたもの」についてトーク。声優を始めて、再び劇団に通い出した頃にメソッド演技法に出会って救われたという話をしていました。

(星野源)続いて、青森県の方。「先週のテーマは『私を救ってくれたもの』だったんですが、宮野さんの自分を救ってくれたものを教えてください」。なんかいろいろ先週ね、自分を救ってくれたものっていうテーマでいろいろメールを募集したんですよ。なんか、あるかい?

(宮野真守)なんだろう?

(星野源)なんかいろんなターニングポイントだったりとか、ちっちゃい頃もあったりとか。仕事を始めてからとか、お世話になった人の一言とか。何でもいいんだけど。

(宮野真守)でも、さっき言ったようにやっぱり18歳の時、声優の仕事を始めたっていうのはすごい救ってもらって。その毎週、お仕事があるっていうのが……レギュラーだったから。それは初めてのことで、すごいそれが嬉しくて。「ああ、なんかまだやっていけるかもしれない」っていうのを思って。で、一生懸命それをやっていたら、いろんな話が……オーディションもしかりですけど。いろいろ来るようになって。で、「じゃあまたミュージカルをやってみよう」ってなって。それで『テニスの王子様』のミュージカルを……。

(星野源)ああ、なるほど! そういうことなんだ。

(宮野真守)そのオーディションを受けたら、それも決まって。で、それが終わった後に、なんかまた「ダメだ」と思って。それでまた、劇団に通い直したんです。1年間。

(星野源)そうなんだ。へー! それはなにがダメだって思ったの?

再び劇団に通い始める

(宮野真守)なんか、埋まっちゃうと思って。ミュージカル『テニスの王子様』をやったけど、そこでも人気がある人たち、いっぱいいて。なんか僕はうまくいかないなっていうのもまたあったから。「また勉強をし直さないと。技術とかをもう1回、磨かないと」って思って。それでまた、もう劇団のレッスンとしては卒業に近いところにいたんだけど。もう20を超えていたから。でも、そこからまた1年間、全日制のクラスに入って。それで勉強をし直して。そこで出会った演劇の先生が結構救ってくれたんですよ。声優とか、また考え方が違うものを……海外のやり方を取り入れてくれて。それが結構ターニングポイントでしたね。お芝居をする上での。

(星野源)ああ、そうなんだ。

(宮野真守)メソッド的なもの……結構、気持ちの内面をえぐるようなレッスンをたくさんやって。きつかったんだけど。でも、そこで自分にどんな感情があるのかとか、そういうものをできたので。それで「ああ、こういう感情があるんだから、大丈夫だよ」って言ってくれるレッスンだったんですよ。でも、そこを掘るまでは大変だけど。「君はこういうものがあるから。『ある』っていうことは、それを使えるし。やる時にちゃんと出てくるから、自分を信じなさい」っていうことを教えてくれるレッスンだったので。それはだから今のお芝居にも通じるものはありますね。ちゃんと自分の中のものを信じてやるっていう。

(星野源)なるほどね。なんか、お芝居をする時に感情を出したりとか、自分の中に感情があるんだけど、それを出さないようにするっていう。まず、それをやる時に必要なのは自分がどういう感情なのかっていうのを知らなきゃいけなかったりとか。でも結構、みんなは自分で自分のことを知ってるって思ってるけど、だいたいみんな、自分のことはわかんないんだよね。

(宮野真守)そうそうそう! まさにそう。

(星野源)「自分が今、何を考えているのか?」とか。何に怒ってるのか? 何に嬉しいのか? 今、嬉しいと思ってることを自覚していないとか、そういうのがあって。でも僕は演劇の授業を基本的に受けたことはないんですよ。だから僕は日常生活で結構、自分の中で勝手に頭の中でずっとなんかしゃべってるの。ずっとなんか考えていて、自分と向き合うことが多いから。それは自分で勝手にやるっていうの。

自分が今、なんなのかとか。今、いくつの感情が自分の中にあって、「怒ってる」「楽しい」「しんどい」「悲しい」とか。それが今、どの割合であるのかとか。そういうのを勝手に考えてたんだけど。でも、そういうメソッドがあるっていうのは知っていて。で、それで学ぶ人もいるんだっていう話を知って「ああ、なるほどな」と思って。そういう、結構なんというか、詰められるっていうか。追い詰められるメソッドだよね?

(宮野真守)そうです。で、やっぱり自分のことを知ってるようで、自分を隠すじゃないですか。

(星野源)そうね。見えないように。まあ、わかんないけど強がったりとか。

自分の奥底にあるものを探る

(宮野真守)でも、その奥底にあるものをどんどん探られるんですよ。で、自分の中にこういう汚い感情もあるんだ、みたいなところ。出したくないものも出すことによって……だから、なんだろう? 感情が出すぎて、手がしびれちゃったりとかもするんですよ。でも、そういうのを経験して「ああ、自分はこういう人間なんだ」っていうのを知るとか。でも、星野さんはそれは若い頃から自分で……その自問自答が上手だったんですか? 上手っていうか、それはお仕事をしてから?

(星野源)いやいや、僕はもう、わかんなかったの。自分が何を考えてるのか、何になりたいのかもわかんなかったし。なんか高校生の時に作っていた自主テープがあるんだけど。自分の曲。そこでは歌詞に「わからない」ばっかりが出てくるの。「わからないー♪」みたいな(笑)。で、だから自分がわからなくて。でも、卒業して一人暮らし始めて、社会に触れていくじゃない? でも、しんどいことが多い中で、自分で見つけていくしかない状況になり。あと、それをそのまま放っておけるんだけど。でも「放っておいたら俺はダメになる気がする」ってなって。あと、時間もあったから。とにかく自分と向き合うみたいな。

それで「自分は今、何を考えてるのか?」とか。で、結構つらいことって漠然と「つらい」とか「しんどい」とかっていうのは自分が今、何に怒っていて、何がしんどくて。昔しんどかったことをどれぐらい、それに付随して思い出しちゃっいて、それのパーセンテージがどれぐらいだとか。そういう風に考えていくと、自分の頭が整理されてるの。で、「これは今、考えてもしょうがないから」って思うと、それがなくなっていったりとか。で、なんかその「演技のために」っていうよりかは、生きていくために自分が何を考えてるのかとか、今どんな状態なのかとか、そういうのを考えるようになったの。

(宮野真守)でも、だからその感性とかっていうものが自然と磨かれていくっていうのを僕は演技のためにやっていたんですね。でもそれを「生きていくために」っていう風に置き換えて、自然とできちゃってたのが……でもまさに、先生にそういうことを言われるんですよ。

(星野源)ああ、そうなんだ。

(宮野真守)そうそうそうそう。自分の大切な人をまず椅子に座らせて、その人と会話したりとか。そうすると、なんか自然と感情が出てきたりとかするんですけど。だからその対話の仕方って、若い頃だと全然わかんないから。僕らは先生に引き出してもらっていたんだけど。

(星野源)うんうん。なるほどね。

(宮野真守)面白いね。

(星野源)面白いね。じゃあ、その人に出会ったのが結構ターニングポイントだったと。

(宮野真守)大きかったですね。

(星野源)やっぱり真面目だね。だから、ちゃんとまた劇団に通い直そうっていうのは。素晴らしいね。

(宮野真守)ずっと危機感で生きてて。やっぱり、なまじ7歳から始めて。だから自分の中で「うまくいかない」って思っちゃっていて。長いこと「うまくいかないな」って思いすぎちゃっていたから。なにかあるごとに「なんかやんなきゃ、なんかやんなきゃ」ってすぐスイッチが入ってしまって。それが今に至るっていう。

(星野源)いや、素晴らしいですよ。だから……ええとね、これはちょっと言葉にするのは難しいんだけども。マモちゃんは明るいじゃない? いわゆる、メディアに出てる時は。で、明るくて面白くて、それが嘘じゃないんだけど。まあ、雅は「嘘」って言ってたけど(笑)。雅は「笑顔が嘘」って言ってたけど。でも、嘘じゃなくて、それは自分が培ってきたいろんなものの上に成り立つ楽しさや面白さなんであるっていうのを会って知ったから。僕はより好きになったかもしれない。

(宮野真守)ああ、嬉しい(笑)。

<書き起こしおわり>

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