山下達郎さんが2022年7月15日放送のMBSラジオ『福島のぶひろの金曜でいいんじゃない?』にインタビューで出演。インタビュアーの福島暢啓アナを「面白い人ですね、この人」と言い、興味を示していました。
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(福島暢啓)あと、大阪のお客さんがすごく好きだっておっしゃってたのが印象的で。
(山下達郎)僕、1979年に大阪で『Bomber』っていう曲がすごくディスコで流行って。それで、やっぱり運命が変わったっていうか。あれがなかったら、たぶんそんなに長くミュージシャンを続けてなかったですよ。
大阪っていう土地は逆に反東京みたいな空気がすごく強くてね。74、5年に初めてバンドで大阪に行った時なんかはやっぱり、そういう空気がすごく大きくて。なんか京都で野次られたとかね、そういう結構トラウマもあるんですよ。それが79年になって、アメリカ村のああいう人たちがライブに来てくれて。新しい……やっぱり時代が変わったんだなっていう、すごくそういう実感があってね。
(福島暢啓)大阪が変わったんですかね?
(山下達郎)いや、大阪のお客さんっていうのは元々そういう、なんていうか、気質なんですよ。大阪っていうのは非常に自分のところの文化を大事にしてるところなんで。東京っていうのはね、70%が地方流入者なんですよ。だから「3代続けば江戸っ子だ」って言ってるのはそういう意味でね。だから東京のお客さんっていうのはね、周りを気にしつつ。ライブでも何でも。周りが拍手したら自分もするっていうね。大阪はそういうことは全くない。行っただけのものは取って帰るっていう、そういう根性があるんで。だから非常に直接的な反応があるんで。大阪のお客は……僕だけじゃなくて、誰に言っても「大阪のお客さんが一番いい」って言いますよ。
(福島暢啓)これ、いろんなアーティストの方がそうおっしゃっていて。これだけの人がそう言うんだったら、たぶんそうなんだろうなという気がする一方で、私は出身は宮崎県なんですけども。
(山下達郎)ああ、なるほど(笑)。
(福島暢啓)それは何の笑いですか?(笑)。
(山下達郎)いや、アナウンサーの方にしては最近珍しく、カタギだなっていう。こう、佇まいがカタギだなっていう(笑)。
(福島暢啓)「佇まいがカタギ」っていうのはそれ、どういうところで?
(山下達郎)いやいや、いい意味ですよ。称賛しているんですよ。
「佇まいがカタギ」
(福島暢啓)ああ、そうですか? 今まで、あんまりこういうのじゃなかったですかね? アナウンサーっていうのは?
(山下達郎)だってアナウンサーの人っていうのはだいたい、いろいろとちょっとオタクな感じとかね。いろいろなキャラクターの方がいますけど、すごくマチュアなね、素直な感じで。
(福島暢啓)ああ、そうですか(笑)。
(山下達郎)そうですか。宮崎ですか。宮崎の、どこなんですか?
(福島暢啓)宮崎市なんですけれども。市内で、商店街の近所で育ったような者なんですけども。まあ、関西しか知らないんですね。宮崎県からすぐ関西に来ちゃったんで。関西しか知らないんで。この雰囲気っていうのがだいたい、都市部の感じなんだろうと思っていたんですけど(笑)。
(山下達郎)フフフ(笑)。何年になるんですか?
(福島暢啓)私は京都に大学生の時に来ましたんで。33から18を引いた分ですね(笑)。
(山下達郎)15年(笑)。
(福島暢啓)に、なりますが……。
(山下達郎)MBSっていう環境もまた、ありますからね。昔の千里の方じゃないでしょう? 今は。
(福島暢啓)はい。そうですね。
(山下達郎)あっちの方だとまた、独特だね。
(福島暢啓)ああ、そうですか? 千里はそんな独特だったんですか?
(山下達郎)独特ですよ。
(福島暢啓)どんな感じですか?
(山下達郎)だって遠いんですもん。MBSに行くの、一苦労ですからね。
(福島暢啓)ああ、それはそうですけど(笑)。MBSでの思い出って、何かありますか?
(山下達郎)やっぱりあそこはレコード室が充実してるんですよ。
(福島暢啓)ああ、そうですか。へー!
(山下達郎)関西は結構、ABCもMBSもラジオ関西も。みんな、レコードをすごい大事にしているんで。もうゴソゴソやって。そういう時代でした。AMラジオはね、本当に。
充実しているMBSのレコード室
(福島暢啓)ああ、そうですか。もう今、ラジオ局はどこもね、データになっちゃって。パソコンを叩いたら出てくるっていう感じですけど。MBSはいまだにレコード室っていうのがありますんでね。
(山下達郎)それは重要なんですよ。
(福島暢啓)あわ、そうですか。何が重要なんですか?
(山下達郎)「何が重要」って(笑)。いい質問だな(笑)。
(福島暢啓)これ、「重要なんです」って言われると、なにが重要なんだろうって。
(山下達郎)それは文化遺産ですよ。その溝の中にしか入ってない文化があるんですよ(笑)。
(福島暢啓)これが電気信号になっちゃうとつまらないというか?
(山下達郎)いやいや、だって電気信号は消えますからね。これは物理的なメディアですから。
(福島暢啓)ああ、そこに意味がある?
(山下達郎)いや、そこに意味あるわけじゃないんですけども。
(福島暢啓)そこに意味があるわけじゃない……じゃあ、今は何の回答だったんですか?
(山下達郎)いいんです(笑)。
(福島暢啓)フフフ(笑)。
(山下達郎)面白い人ですね、この人(笑)。
(福島暢啓)ああ、そうですか(笑)。今の一言が一生の宝になりました(笑)。
(山下達郎)珍しく、曲がってないっていうか。素直な人ですね。落語家になろうとは思わなかったんですか?
(福島暢啓)私は落語家にはたぶん無理だろうなと思いましたですね。
(山下達郎)ああ、そうですか? でも落研で。落語は好きだったんでしょう? だって、落研に入るぐらいだから。
(福島暢啓)そうなんですけど……でも、なんか落語は覚えなきゃいけないのがなんか大変そうで。
(山下達郎)アハハハハハハハハッ!
(福島暢啓)結局、1人でコントみたいなことをずっとやってたんですけど。ええ。話を書いてやっていたんですけども。
(山下達郎)じゃあ、構成作家とか放送作家とか、そういう道もあったじゃないですか?
(福島暢啓)でも、真面目ですからね。
(山下達郎)フハハハハハハハハッ!
(福島暢啓)構成作家とか、ああいうのはちょっと曲がってなきゃダメですもんね。ひねくれてないとできないお仕事でしょう? たぶん、音楽する方もある程度、ひねくれてないとできないのかもしれないですけども。
(山下達郎)九州男児にしては珍しくストレートですね。この人は。
(福島暢啓)ああ、そうですか? 九州男児ってひねくれてるんですか?
(山下達郎)いや、九州男児はやっぱり頑固者が多いじゃないですか。頑なな人が多いですよ。隠してるのかな、それを?(笑)。
(福島暢啓)ちょっと困るところもありますけど。なんか逆にインタビューされるという。竹内まりやさんの時もそうだったんですよ(笑)。
(山下達郎)アハハハハハハハハッ! 質問されやすい体質ですよ。なぜかというと、だから珍しいから。
質問されやすい体質
(福島暢啓)そんなイリオモテヤマネコみたいな言い方をされてますけど(笑)。ああ、そうですか。それだから私はあんまりこうね、自分がラジオでしゃべったりするってよりは、聞く方がやっぱり好きだったもんですから。ずっとこう、聞く側だったんですけども。でも達郎さん、お話されるのはやっぱりお好きなんだろうなっていう。
(山下達郎)嫌いじゃないですよ、それは(笑)。だって人間は言語でしかコミュニケーションできない動物ですからね。以心伝心とか、ないですから。より具体的に、やっぱり相手にわかるように説明できないと。特にこういうプロモーション、キャンペーン。そういう時はわかりやすく説明しないと。ねえ。「なんでですか?」と聞かれて、ちゃんと噛んで含むようにやらないとダメじゃないですか。
(福島暢啓)でも、それはやっぱり嫌なところもあるでしょう? なんていうか、面倒だなと言いますか。
(山下達郎)まあ、しょうがない。それをもう47年もやってきましたからね。もう、慣れちゃいました。
(福島暢啓)「そこまで考えてないよ」という時、ないですか?
(山下達郎)いや、そんなのばっかりですよ。そんなもんじゃないですか。
(福島暢啓)でも、それでも何とか理屈つけて……?
(山下達郎)フフフ(笑)。よくおわかりで(笑)。
(福島暢啓)時々、説明してっていうようなことをなさってという感じでしょうか?
(山下達郎)そうですね。うん。
(福島暢啓)達郎さんは結局、どういう人なんだろうな?っていうのがわかんないなと思いながら……。
(山下達郎)「どういう人なんだろうな」って(笑)。ツチノコ対イリオモテヤマネコ?(笑)。
(福島暢啓)どこに尻尾が生えてるのか、どこに頭があるのかなっていうのを……(笑)。
(山下達郎)よく「動いてる」とか言われますよ(笑)。「あ、しゃべった」とかね(笑)。
(福島暢啓)姿を見たことがない人が多いですからね。やっぱりね。
(山下達郎)そうそう(笑)。
(中略)
山下達郎さんインタビューを振り返って……
(福島暢啓)これね、この後もずっとまた別の話もして。もちろん、音楽の話もしているんですけども。その録音した音声もあるんですけども。全部、録り終わった後。帰り際ですよ。私の名前を今のこの会話で「ちょっと変な人だな」と思って。だんだん途中から、達郎さんの私に対するインタビューになっていたでしょう?
(関岡香)そうなのよ。福ちゃんが逆に逆インタビューされていて。
(福島暢啓)これはいいパターンですよ。このパターンもあるんですよ。時々、大物のインタビューっていうのはね。失敗することもあるんですけども。ちょっといいパターン。で、向こうがちょっと興味を持っているからそこでしばらくね、だんだんと話をしていって。で、全部録音をし終わって、スイッチを切った後ですよ。達郎さんの手元に今日、インタビューに来る人たちのリストがどうやら、あるんですね。それをメガネを……たぶん老眼鏡だと思うんですけども。ずらしながら見て。「お名前、下の名前はなんて読むんですか?」って聞かれて。「ああ、のぶひろと申します」「ああ、福島暢啓さんのこれは、なに? ええと、『金曜でいいんじゃない?』。Radikoで聞きます」って言って。それで私たちは帰っていったんですよ。
(関岡香)えっ、じゃあ、Radikoで聞いてくださっている?
(福島暢啓)だからひょっとすると今日、山下達郎さんが聞いている可能性があるという(笑)。
(関岡香)えっ、なんか私たち、しくじってない?
(福島暢啓)まあ、リップサービスの可能性、ありますよ? リップサービスの可能性は大いにあるけども。下手すると、聞いている可能性があるっていう。
(関岡香)でもきっちり、だって下の名前までちゃんとチェックして帰られたって、すごいことよ?
(福島暢啓)いや、私たちが帰ったんですけどね。その後も他の人たちがインタビューするから。だけど、その最後の一言を言ってくれた。そして、その時に(録音を)回してないっていうね。村田さん、普段来ないくせに! こういう時に回しておかなきゃ。どこで止めているのよ!っていうことなんですけどもね。まあまあ、そうやって言っていただけたのが、我々としては箔がつくじゃないですか。この事実は私がこの耳でしっかりと聞きましたので、リスナーの皆さんとも共有をしておこうということですけども。
<書き起こしおわり>