町山智浩さんが2022年4月19日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中でApple TV+『パチンコ』について話していました。
#tama954 町山さん紹介ドラマ
もう1本はApple TV+
『Pachinko パチンコ』4世代に渡る在日韓国人家族の物語
当時、身近にいたなあ pic.twitter.com/BUFaYMUFf3
— ?えぞっぽppo eezo?(^◑×◐^)? (@kaz2740) April 19, 2022
(町山智浩)で、今のはWOWOWでこれから放送になる『TOKYO VICE』ですが。どうなるかわかんないけど、面白いすよ。で、もう1本はですね、東京が舞台なんですが、東京で作成してない話で。これはもう既にApple TV+で配信中の『パチンコ』です。主題歌をお願いします。
(町山智浩)この歌は1960年代にGSで流行っていて。グループサウンズでカバーされていた歌なんですけども。まあ、全然それとは関係なく、1910年ぐらいから1989年までの在日韓国人の韓国、東京、ニューヨークを股にかけた大河ドラマなんです。『パチンコ』っていうのは。
(赤江珠緒)じゃあちょっと前の朝ドラみたいに?
(町山智浩)ああ、そうそう。すげえ似てる(笑)。
(赤江珠緒)世代をずっとまたいでね。
(町山智浩)『カムカムエヴリバディ』とすごく似てる。時代設定もほとんど同じじゃない? すげえ似てるんですけども。『パチンコ』ってのは韓国から日本に来て、戦後パチンコでお金をも稼いですごく財を成したから『パチンコ』っていうタイトルなんですけども。これ、主人公のは女性で。ソンジャという女の子で。釜山の貧しい島で生まれて、漁村で暮らしているんですけれども。そこにいる魚のブローカーをやってる白いスーツを着たイケメンの彼になんというか妊娠させられて。子供をはらむんですけども。
彼は実は奥さんが日本にいて。で、結婚はできないけど、男の子が生まれたらほしいって、子供だけ取ろうとするんで。それで彼から逃げていって、大阪に行くって話なんですね。「長男がほしい」とか言ってその彼が子供を奪おうとするんですよ。で、その彼はね、すごい超イケメンが演じてます。イ・ミンホさんです。『花より男子』の韓国版で、日本でも大人気で。いわゆる韓国系ドラマのプリンスみたいな人ですよ。
(赤江珠緒)ああ、道明寺役。それはもう……こっちのでは松本潤さんがされてますからね。
(町山智浩)そう。道明寺役。もうウルトラスーパーデラックスイケメンなんですけど、悪い奴で。彼女が産む息子を横取りしようとするヤクザなんですね。で、彼女はそれから逃げるために牧師の真面目な男性と結婚して大阪に住むんですよ。で、すごい貧乏の中で苦しむんですけれども。それと並行してですね、そのソンジャさんの孫の物語が同時に進みます。その孫はあのソロモンという名前で、大阪で育って、ニューヨークに留学して。金融会社に入って、地上げをしに東京に来るという話なんですね。
で、バブルの頃、1989年なんですよ。だからまだすごい日本が景気がよかった頃ですね。その頃にはソロモンさんはもうおばあちゃんになってるんですけれども。そのおばあちゃんのソンジャさんを演じるのはアカデミー賞女優です。『ミナリ』で去年のはアカデミー助演女優賞に輝いたユン・ヨジョンさんがちゃんと韓国語なまりの大阪弁でおばあちゃんをやってます。ハルモニさんを。で、ものすごく貧乏だった彼女の日本に来ていたすぐの頃の、朝鮮人ばっかり住んでる貧しいところで本当にもうドロドロになって働いているのと、超バブルで孫が「金はいくらでもある!」って感じで地上げをやってるのが同時に進行するんですよ。その間の何十年間に一体、何があったのかを見ていくというドラマなんですよ。
(赤江珠緒)面白そう。たしかに、何があったのか?
『ゴッドファーザー PART II』のような形式
(町山智浩)これはね、『ゴッドファーザー PART II』という映画がそういう形式で。イタリアのシチリアから来た貧しい少年がマフィアのドンになっていくまでと、その息子がもうマフィア帝国を築いて。でも、その中で家庭が崩壊していくのを同時に見せるっていう映画が『ゴッドファーザー PART II』だったんですけど。それの在日韓国人版っていう感じになってますね。はい。これもすごく面白いっていうか、もうどこへ話が進んでいくのか、わかんないので。もう本当に次の話が待ち遠しくてしょうがないんですけども。ただ、やっぱりちょっと東京で撮ってないんで。コロナのせいでバンクーバーで撮ってるんですよ。東京のシーンは。
でね、89年のスーツじゃないの。違う。89年はみんな、もっと肩幅が広いんですよ。本当は肩パッドが入っているの。で、ズボンはダブルタックだし。で、ズボンの丈ももっと長いんですよ。でも、わかんないと思うんだけども。もう20年以上前だから。その当時をリアルに知ってる老人としては「違う!」って思いながら見ていますよ(笑)。で、『TOKYO VICE』も『パチンコ』も共通するのは「日本が金があった頃」なんですよ。円高でね。かつてあった、今の若い人たちが見ても信じられない豊かな日本が見れるのがこの2本です。どっちも面白いですね。
(赤江珠緒)『TOKYO VICE』は4月24日からWOWOWで放送がスタート。『パチンコ』Apple TV+でもう配信中ということでございます。すごい、どちらも本当、日本が舞台になっていてね。
(町山智浩)今、すごい日本ブームですよ。『はじめてのおつかい』と(笑)。あれも古いんですよね。あれに出てる子が実はもう子供を持ったりしてるんですけどね。
(赤江珠緒)そうそう。我々が見てもちょっと懐かしい時代のね、「ああ、子供がこんな服、着てた」とかありますよね。
(町山智浩)俺ももう泣いちゃいますよ。娘のことを思い出して。ボロ泣きしながら見ています(笑)。
(赤江珠緒)町山さん、ありがとうございました!
(町山智浩)どうもでした。
Apple TV+『パチンコ』予告
<書き起こしおわり>