石山蓮華とでか美ちゃん『ヨーロッパ新世紀』を語る

町山智浩 映画『ヨーロッパ新世紀』を語る こねくと

石山蓮華さんとでか美ちゃんさんが2023年10月17日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『ヨーロッパ新世紀』について、町山智浩さんと話していました。

(石山蓮華)そしてでか美ちゃんと私、石山も『ヨーロッパ新世紀』、見てまいりました。

(町山智浩)びっくりしたでしょう? ラストで。

(石山蓮華)びっくりしましたよ!

(町山智浩)「なんだ、これ?」って。

(でか美ちゃん)ちょっと、どういう風に噛み砕いていいのか、私はまだモヤッと、ぼやっとしている感じですね。

衝撃的なラスト

(町山智浩)そうですね。まだ見てない人のためにネタバレができないんですけど。ずっとリアリズムで、ほとんどドキュメンタリーのように続くんですね。この映画はね。特に、これはルーマニアの田舎、トランシルヴァニアってところで、パン工場がスリランカの労働者を雇ったっていうことで、地元の人たちがものすごい反対運動を起こすんですけど。その反対集会のところとか、もう延々と長回しでドキュメンタリーみたいなんですよね。17分間のものすごい長回しでね。

で、主人公はそこに住んでいる非常に暴力的な男でね。そのパン工場の経営をやってる女性に片思いしてて、なんかまとわりついてるんですね。元彼女でね。ところが、彼自身の結婚はめちゃくちゃだし、彼の私生活もめちゃくちゃになっていくんですね。で、この主人公……ここから先は言わないですが。ラストで、そのリアリズムを……これ、実際にあった事件なんすけど。その現実から突然、逸脱するんですね。この映画は。

(でか美ちゃん)ねえ。どう受け止めれば……という気もしたんですけども。実は私が見に行った回が、オンラインで監督の舞台挨拶、オンライン登壇がある回だったんですよ。それで、一緒に見られてた一般客の方の質問にも答えますよっていうのがあって。それで「すごい面白いな」と思ったのが「原題の『R.M.N.』とはどういう意味ですか?」って質問をされた方がいて。「ルーマニアだから『R.M.N.』ですか?」っていう風に聞かれた方がいたんですけど。「これは実はMRIのことで。健康状態のことであるとか、心理的な描写のことなんです」っていう風に言っていて。「ああ、R.M.N.ってMRIのことだったんだ!」って思って。

(町山智浩)そうですね。脳の中をね見るやつですね。機械に入れてね。

(でか美ちゃん)「ただの脳のことだけじゃなくて、その脳の中での話なんです」って言われて、「おおーっ!」ってなったりしました。

(石山蓮華)たしかに。今、聞くと改めてこのシーンとかこの設定とか、いろいろ通じるところはありますね。思い浮かびます。

(町山智浩)そのシーンもありましたね。実際に父親がね、検査を受けるところがあるんですけれども。あれはそういう差別とか、移民排斥とかの心理構造は一体どういうものなのか?っていうことを描こうとしてるんですね。それで、脳内検査っていうタイトルになってるんですよね。で、あの主人公がいつも息子に銃の撃ち方を教えてね。「クマがいるから撃つんだ!」とか言ってるんですね。で、これ以上言うとネタバレになるんですけれども。

「クマ」が意味するもの

(町山智浩)その彼が息子に言うその「クマ」とは一体何なのか?っていうことなんですよ。それは非常に象徴的な、それこそ差別をしたり、移民排斥をしたりする人の心の中に住んでいるケダモノですね。本当のクマはね、そんなことはないと思うんですけど。この映画の中におけるクマっていうのは、そういう差別的な心みたいなものを意味してるんですね。

(でか美ちゃん)なるほど。そういうことか。

(石山蓮華)なるほど。そうすると、あのお祭りのシーンとかいろんなものが……もう1回見たい! 映画として素晴らしかったです。

(町山智浩)ねえ。見た後に「な、なんだこれ?」って思うっていう。

(でか美ちゃん)あともう1個、大事なのが監督さんが「あと、これを伝えたいです」っておっしゃってたんですけど。映画に犬も登場したりとか、豚が登場したりとかがあるんですけど。「動物には一切、危害を加えてませんから」って。ものすごい安心しました。

(石山蓮華)安心した!

(でか美ちゃん)これは大事な情報だとおっしゃってました。

(町山智浩)最後のあれですけど……ああ、言いそうになった(笑)。

(でか美ちゃん)皆さん、『ヨーロッパ新世紀』、見てください!

<書き起こしおわり>

町山智浩 映画『ヨーロッパ新世紀』を語る
町山智浩さんが2023年10月10日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『ヨーロッパ新世紀』について話していました。
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