星野源 久しぶりに見た『風の谷のナウシカ』で号泣した話

星野源 久しぶりに見た『風の谷のナウシカ』で号泣した話 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2021年9月21日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で久しぶりに見た『風の谷のナウシカ』を見て号泣した話をしていました。

(星野源)深夜1時でございます。この1週間ね、いいことなかったー。あのね、嫌なこと、しんどいこと、悲しいこと。あと、つらいことがね、5日連続で。1日に2個ぐらいの密度で起こる日が続いたんですよ。で、それがね、結構きつくて。いやー、今週いいことないなと思って。それで、そういうことが続いて。でも、仕事をしなきゃいけないから頑張るじゃない? 仕事をしなきゃいけないから頑張って、その時は気を張ってるからいいんだけど。その次の日が何もなかったの。平和な日だったの。

で、その平和な日が来たら、やっぱりこれまで我慢してたものがゆるんで、結構体と精神的にちょっと来ちゃって。「うわっ、これはダメだ……いやー、厳しい。久しぶりにちょっと来たな」ってなって。ちょっと今月、先月も含めてちょっと怒涛な部分もあったので。そうそう。『Cube』という映画の主題歌をやらせていただくことになりまして。菅田将暉くん主演のね。で、それの制作とかもずっとガーッとやっていたり。あとはこの番組、オールナイトニッポンのイベント。それのためのいろいろ準備。そこでね、オリジナル曲をみんなで作ろうみたいなので、先に曲作ったりとか。

あとは『Pop Virus』をね、MC Waka、若林さんと一緒にやったりとか。それのトラックを作ったりとかっていうのを結構ガーッと突き詰めてやっていまして。そういうのもあって、結構ドーンと来て。1日、何もできなくて。「もうこれはダメだ。とにかくおいしいものを食べて、ゆっくりしなきゃ」ってなって。で、また制作しなきゃいけないんですよ。結構しばらく。で、もうなんか、「インプットしなきゃダメだわ」と。僕は結構、今までの人生でね、なにか作品を見たりとか、なにかに触れることで結構元気をもらってきたので。「見よう! なんか元気が出る感じのやつがいいな」って思って。

それで僕、ずっと前に買っていた宮崎駿さんのアニメボックスがあって。ブルーレイボックスがあって。それをそういえば買ってから1回も見てなかったなって思って。それぞれ作品はもちろん見てるんだけど。「ああ、そういえば見てなかったわ」と思って開けて。「ちょっと見てみようかな? 久しぶりに『ナウシカ』、見てみようかな?」と思って。『ナウシカ』をブルーレイ画質で見たことなかったから。ちっちゃい頃に見て。あとは金曜ロードショーとかでよくやってたからさ。それで見て。漫画は途中までしか読んでないんだけど。これを機に、漫画もちゃんと読もうとか思ったりしつつ、まずはちょっと映画を見ようと思って。

それでさ、再生して。部屋の電気とかを消してさ。集中しようと思って。もう開始5分ぐらいで涙が止まらないわけ。なんていうの? 今とさ、やっぱり作画っていうか、そのアニメの作り方もきっと違うんだろうと思うんだけど。僕がちっちゃい頃からなれ親しんできたアニメの感じがまずあって。で、今のアニメはもちろん大好きなんだけど、なんか、もうないんだろうなっていう色合いだったりとか、質感だったりとか。そういうのを再現したりするのはきっとできるんだろうけど。これをマックスとしてやっていた職人さんたちがいた頃っていうか。まあ、わからないですけどね。いろんな職人さんがいらっしゃるし、今もできるのかもしれないんだけど。

なんか、僕がちっちゃい頃からなれ親しんでたものとかも含めて、すごい異様な感動があって。もう涙が止まらないわけ。で、もうハラハラしてさ。見ながら。「巨神兵を復活させるだって? やめろっ!」みたいな(笑)。「危ない!」みたいな。すごいドキドキして。もう最後もビッチョビチョになるぐらい泣いちゃってさ。「なんでこんなに感動するんだろう?」と思ってよく考えたら……俺、『ナウシカ』を見たことがなかったんだよ(笑)。

実は『ナウシカ』を見ていなかった

(星野源)俺、見た気になってただけで。あと、テレビでよくやってたから端々は見たことがあったんだけど、最後まで見たことなかったことを俺、自分で自分を知らなかった。勘違いしてて、見たことがあると思っていた。漫画も途中まで読めてたし。で、あと、巨神兵だったりとか、いろいろな設定とか、名ゼリフとか。いろいろあるじゃない? で、それはなんかいろんなミームとして流行ったりとか、いろんな人が言っているのを聞いてるから。

『らき☆すた』っていうね、僕が大好きな漫画・アニメがあって。そのアニメでナウシカの声をやられている声優の方が……かなたっていう主人公のこなたのお母さん役で。そのお母さん役が出る回の予告編でそのお母さんがナウシカの名ゼリフをパロディで言ったりとか。そういうのを知っているし、『ナウシカ』だなって思っていて。だから俺、見ていると思っていたんだけど、やたらとドキドキして、「どうなっちゃうの?」ってすごい思っていたら、俺は見ていなかったっていう。「ヤベえ!」って思って。

「この調子で行くと、俺は見たつもりになっているけど、見ていないものが山ほどあるぞ。これはダメだ」ってすごい思いました。自分を勘違いしていた。だから、ちょっとこれを機に見てそうだけど、もしかしたら記憶がおぼろげなやつとか。結構、見たけど記憶がおぼろげなやつって途中まで見ると最後まで話が頭の中にバーン!って出てきたりするんだけども。そうじゃなくて、最後まで「どうなっちゃうの?」が持続してたので。「ナウシカ!」みたいな、最後の……まあ、みんなストーリー知っていると思うんですけども(笑)。あんな最後が訪れると思う? なんていうか、俺は40にしてものすごい新鮮な気持ちであのラストを迎えたんですよ。号泣みたいな。

あと、なんだっけ? 誰のネタだっけ? かまいたちさんだ。「『トトロ』、見たことないねん」っていうネタ、あるじゃない? で、俺よく考えたら『トトロ』最後までたぶん見た記憶がないの。俺、だから忘れているのか……ちょっとナチュラルボーンでそれの可能性があるので、危険だなと思って。でもそれを見て、「なんて面白いんだろう!」って。だから、そういうのをちゃんとディスカバリーじゃないけど。ちゃんと自分でもう1回、見た気になってるものをもう1回、見ていこうという発見ができました。

見た気になってるものをもう1回、見ていこう

(星野源)それで結構、シオシオにしおれていたんで。この1週間、つらくて。その分、なんかものすごいイノセントなものをガーッと吸収できたような気がして。しかも『ナウシカ』を今、見るとさ、そのね、菌を吸うと肺がやられてしまうとかがさ、コロナ禍にものすごい響くっていうか。で、その場所でマスクをまず取れないとか。そういうところの関連性もあって、非常に新鮮だったので。だからなんか、また改めて……『千と千尋の神隠し』は確実に最後まで見てるんです(笑)。確実にそれはもう、割と詳細に覚えてるんですけど(笑)。だけど、なんかそういうのを含めて、ちょっともう1回、見よと思える、なんか新鮮な気持ちになれました。よかったです(笑)。

<書き起こしおわり>

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