玉袋筋太郎さんが2020年7月10日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で子供の頃に応援していたヤクルトスワローズの選手と再会した話をしていました。
(玉袋筋太郎)辛いこともあればね、いいこともありますから。この間、いいことがあっちゃって。
(外山惠理)えっ、なんですか?
(玉袋筋太郎)これ、びっくりするぐらい。ねえ。これ、いいかね、話してね。俺、小学生の時にものすごいね、プロ野球が好きだったんですよ。で、ヤクルトスワローズっていう球団がね、今でもありますけども。そのファンクラブに入ってたんですよ。会員ナンバー2番ですけどね。
(外山惠理)早い!
(玉袋筋太郎)早いですよ、それ。2番。徹夜で2番を取って。で、入るとあれなんですよ。1年間の神宮球場の野球を全部見れるわけですよ。だからあの時は60試合だったかな? 俺、全部見に行ったの。スタンプをもらって。
(外山惠理)ええーっ、かわいい!
(玉袋筋太郎)それでバッグまでもらってさ。記念品までもらって。そういうような少年だったんですよ。で、ほら。家が近いから。新宿から神宮球場だから。自転車で行ったりとかさ。電車でも3駅ぐらいなの。新宿、代々木、千駄ヶ谷、信濃町だから。近いからずっと通っていたでしょう。それで、行っているんだけど野球なんかほとんど見てないのよ。みんな友達同士で遊んでるから。野球なんか見てないんだから。神宮球場の外野で花火を打っちゃったりして怒られちゃって(笑)。怒られたりしたことがあったわけよ。
だけどさ、クラブハウスっていうさ、やっぱり当時のスーパースター。野球選手がそこで着替えたりするところで、終わって待ってるわけ。こうやって。それで選手が出てくると「サインください」なんつって。当時のヤクルトの選手。監督から何から、もうコーチから全部のサインをもらっちゃったですよ。
(外山惠理)でも毎日いるわけでしょう? ほとんどいるんだもんね?
試合後の選手を出待ち
(玉袋筋太郎)いますよ、私。いましたよ。それでサインをもらったりして。で、スーパースター……4番バッターとかエースのピッチャーとかっていうのはやっぱりベンツとかさ、外車で入ってきて。車で帰っちゃうのよ。でも外で待ってるとさ、「ああ、君たち」ってこう車を降りて、サインをくれたりとかね。大杉勝男さんとか。当時で言うと若松勉さんとか松岡弘さんなんていうのは車で来ているんだけど、俺たちを見るとこう、サインをくれて。でもやっぱりスーパースターは違うなって。車で帰っちゃうんだなって。
(外山惠理)うんうん。
(玉袋筋太郎)それで中にはまだ新人で、車じゃなくて電車で帰る人がいたの。電車で帰る選手がいるんだよ。そのクラブハウスから信濃町まで歩くんだ。試合終わった後に。で、その選手の方がやっぱり親近感が湧くじゃないですか。それで終って一緒に帰ってたんですよ。一緒にずっと。その選手と。新人で期待された人がいたんですよ。で、その人をさ、「じゃあ、ついていこう」っつって。電車で帰る選手なんか見れないからって。で、信濃町から総武線に乗って。それで同じ車両にいるとバレるから、一車両外して。
(外山惠理)ああ、一応気を使って?
(玉袋筋太郎)気を使って。で、電車がバーッと行ったら中野まで行ってさ。俺は家、新宿だからそこで降りなきゃいけないんだけども、中野まで行っちゃって。もうついていって。降りて。選手が降りたから俺たちも降りて。で、「気づかれてねえ、気づかれてねえな」って思っていたら「ダメだよ、君たち」って。もうその時点で夜の10時半だからね。小学生でも。「こんな時間までダメだよ」なんて怒られちゃって。「家はどこなんだ?」「新宿です」「じゃあ、もうすぐだな。わかった。試合終わり、俺はラーメンを食うから」って。そこでラーメンをご馳走になったのよ。
(外山惠理)えっ、その選手に?
(玉袋筋太郎)選手に。
(外山惠理)ええーっ!
(玉袋筋太郎)ねえ。もうそうしたらその選手はスターじゃないけど。期待された新人だったけど。もうずーっと応援していたんですよ。ねえ。だけどまあ、その後にトレードに出ちゃって。で、野球を辞めたっていう話があったんですよ。
(外山惠理)そうなんだ……。
(玉袋筋太郎)で、この間日曜日。ふっと仕事があって。たまプラーザっていうところで仕事があってね。対談で。それで車をパッと停めたら、なんか見覚えのある名前がバッと書いてあるけよ。それでは「ステーキハウス岩下正明」っていう。店名なの。ステーキハウス岩下正明。
(外山惠理)人の名前がついている?
(玉袋筋太郎)人の名前。で、その岩下正明っていう人が、同姓同名で考えると、俺が小学生の時にラーメンをおごってくれた人と同じ名前なわけ。
(外山惠理)えっ! うん、それで?
(玉袋筋太郎)で、俺は仕事があるから。「あれ?」って思って。で、仕事が終わってまた車に戻ってるんだけど、やっぱり岩下正明って気になるなってことで、行ったんですよ。俺。
(外山惠理)おっ!
(玉袋筋太郎)ただ、日曜日でステーキハウス。すげえ混んでいて。「もうダメだ」って思ったのよ。入ろうとしたら。「ああ、これはダメだな」って。気を使って。「すいません。じゃあ、帰ります」っつったら「ちょっと待ってよ! 久しぶりじゃねえか!」っつって。
(外山惠理)えっ、その選手だったの?
(玉袋筋太郎)そうなのよ! かーっ! で、ねえ。俺だよ?
(外山惠理)ええっ、感動!
(玉袋筋太郎)40年だよ。そう。「せっかくだから、食ってってよ!」なんって。それでそこでステーキを食べたんだけどさ。
(外山惠理)ええっ? その中野に住んでいた選手が?
(玉袋筋太郎)そう。中野に選手寮があったんだけども。辞めて、大洋に行って辞めて。それでそこから、でも話を聞いたらさ、ステーキハウスももう29年目だって。「4年間、ステーキの修行とかいろいろして、今、29年だけどさ。びっくりしちゃったよ。あのね、ラーメンおごった子供が君だってさ、思ったの」っていう。
(外山惠理)それはわかっていたの?
(玉袋筋太郎)わかっていたみたい。ヤクルトファンの人がそのステーキハウスに俺が昔、小説を書いたんだけど。その本を持っていったんだって。「それで……」って。
(玉袋筋太郎)でも、俺も40年会ってないわけだよ? マスクなんかもしちゃってるのにさ、目だけ見てバッて。「久しぶり!」って。そうしたらさ、もうステーキ。鉄板で焼いてくれてさ。目の前でさ。「いやーっ、あん時、いいことしてて良かったな。ラーメンおごっちゃって。こうやって会えるんだもんね」なんつって。このステーキをひと口食べた時には、私は涙がほろほろ出ましたね。
(外山惠理)いや、それは泣いちゃうわ!
(玉袋筋太郎)出ましたわよ。そんな話。
(外山惠理)いや、いい話!
(玉袋筋太郎)いや、俺もびっくりしちゃって。こんなことあるのか?って。
(外山惠理)岩下さんもずっとね。
40年ぶりの再会
(玉袋筋太郎)現役を引退したタレントさんもいるけども。引退後、なんかちゃんとやってれば、素晴らしいそういう再会があるんじゃないか?っていう。直近で引退した人にね、そういう思いを捧げたいと思いますよ。
(外山惠理)フフフ、そこにつながるのかい!
(玉袋筋太郎)フフフ(笑)。
(外山惠理)つなげんな、そこに!(笑)。
(玉袋筋太郎)タピオカを……(笑)。
(外山惠理)いや、いい話。今日はもうこれ以上はいい話は出ないのでここで番組を終わりたいと思います(笑)。嘘です。3時半までやるから皆さん、お付き合いくださいね。
<書き起こしおわり>