(町山智浩)そう。前にだから『アンリアル(UnREAL)』っていうドラマの話をして。それがそのリアリティー番組の内部告発をもとにしたドラマでね。その中で出てきたのは、「現場ではシナリオはないんだけれども、その現場で撮った映像を使ってシナリオを構成することができるんだ」っていう話だったんですよ。だからムッとしているところをすごくアップにして、すごく怒っている風にしたりね。それとかやっぱりヒール……だから悪役をね、演じちゃう人っていうのがかならずいるんですよ。
何人かいると、かならず……それこそ部活なんかでも、その「キツいことを言ってやろう」という時が起こるわけですよね。先輩・後輩の関係とか、飲み屋とかでも。で、それをすごく強調して出されると、一瞬にしてその人は悪役になってしまうという、その演出じゃないんだけれども、出来上がった映像を使って演出する怖さみたいなものが『アンリアル』っていう番組では描かれていて。その話を前にしたんですよね。
(山里亮太)はい。
編集は怖い
(町山智浩)だからそれをどこまでやるのか?っていうことなんですよね。簡単に人を憎ませることができるので。テレビって。だって、ひな壇番組ですら、それができるじゃないですか。
(山里亮太)そうか……だから嫌なトークのところだけ使って。それで人のところでムッとしているような顔を挟めば……っていうことか。
(町山智浩)そう。逆に泣いているところとかもね、目をいじっているだけなのにそのカットを入れるだけで泣いているようにも見せられるし。
(山里亮太)まあね。何がリアルで……。
(町山智浩)だから、編集って怖いんですよっていう話ですね。
(山里亮太)「リアリティーショー」っていうのもね……。
(町山智浩)そう。「リアリティー」と言いながらも「リアリティー」ではないというね。怖いところがありますが。はい。
<書き起こしおわり>