ハライチ岩井『男はつらいよ お帰り 寅さん』を語る

ハライチ岩井『男はつらいよ お帰り 寅さん』を語る ハライチのターン

ハライチの岩井さんが2020年1月23日放送のTBSラジオ『ハライチのターン!』の中で映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』について話していました。

(岩井勇気)いやー、今日さ、昼ですよ。TBSラジオで『アニニャン!』を録っていて。で、それが録り終わって14時半ぐらいに終わっちゃったんだよ。で、次がもうこれ(『ハライチのターン!』)だったからまあ5時間ぐらいは空いちゃう感じだったのね。で、「空いちゃうな」って思っていたらこの番組のディレクターの宗岡Dがいてさ。TBSラジオのところに。「いや、ちょっと空いちゃったんですよ」って言ったら……まあ、「空いちゃったんですよ」って俺が言う時はだいたい、「じゃあちょっと飯でも行きますか? お茶でも行きますか?」みたいのをちょっと引きたいというか(笑)。

(澤部佑)フフフ(笑)。

(岩井勇気)「空いちゃったんですよ」っていうのはそれで。「構ってくれ」の「空いちゃったんですよ」だったんだけど、宗岡Dは「ああ、そうなんですか? 映画でも行ったらいいんじゃないですか?」って(笑)。

(澤部佑)フハハハハハハハハッ! 突き放しD(笑)。

(岩井勇気)「冷たっ!」って思って。冷徹な口調で言ってさ。その口調のトーンにもなんか「こっちは忙しいんですよ」みたいな感じも多少は入っていて。パソコンをカタカタ叩きながらね。

(澤部佑)それは仕事があったんでしょう。

(岩井勇気)「なんだよ……わかってよ、寂しいんだから」とか思ったけども。じゃあ、言われた通り映画でも行きますかってなって。それで宗岡Dが「『パラサイト』とか面白いっすよ」みたいな。なんか今、『パラサイト』っていうやつがやってるらしいんだけども。「うーん、なるほど。何か聞いたことあるな」って。でも一応なんか、他の映画も何がやってるかを調べてみようって思って。それで『スター・ウォーズ』。それから『フォードvsフェラーリ』っていうのもあって。

(澤部佑)ああ! それこそアカデミー賞のね。

(岩井勇気)そう。それも面白いらしい。あとは『ペット・セメタリー』っていうやつも面白いって聞いたんだよね。あとは『ジョジョ・ラビット』っていうやつ。「ああ、今話題作、結構あるな」って思って。それでカフェに入って上映時間とかを照らし合わせて決めたわけ。「よし、じゃあこれにしよう!」って。それで『男はつらいよ』を見に行くことにしたのね(笑)。

(澤部佑)えっ何で? いや、なかったじゃん?

(岩井勇気)いや、『男はつらいよ』が気になっちゃって。

(澤部佑)じゃあ言って。候補に。出して。

(岩井勇気)『男はつらいよ』、今やってるからさ。候補に『男はつらいよ お帰り 寅さん』っていうやつね。『男はつらいよ』を1回も見たことないのに(笑)。一作も見たことないのに。

(澤部佑)あたたたた……いやー、見る資格はないよね(笑)。

『男はつらいよ』は全く見たことがなかった

(岩井勇気)一番最初に俺は復活版みたいなのを見に行っちゃってるんだよ。『お帰り 寅さん』っていうやつなんだよ。「行ってらっしゃい」の時に俺、いなかったのに(笑)。

(澤部佑)急に「お帰り」の時にはいるっていう(笑)。

(岩井勇気)迎え入れちゃっているの。寅さん的にも「あれ? こんなやつ、いたっけ?」っていう風に思うだろうね。で、渋谷のユーロライブの上のユーロスペースっていうところ。『デルタホース』をやっていたところの上なんだけども、小さい映画館でさ。行ったら「サービスデーです」っていうことで1200円で見れますみたいな。「ラッキー」と思ってさ。それで来ているのは本当におじいさん、おばあさんばっかりなのよね。結構入ってるんだよ、それでも。「ああ、結構入っているんだな」って思って。それで小さい映画館だからもうさ、一番後ろの席の真ん中を俺は取って。それで始まるわけですよ。

(澤部佑)うん。

(岩井勇気)「テー、テレテレテレテレ、テーレーレー♪ 私、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天でうぶ湯を使い、姓は車、名は寅次郎。人呼んでフーテンの寅と発します」。

(澤部佑)いや、いいよ。やらなくて。別に。

(岩井勇気)「俺がいたんじゃお嫁にゃ行けぬ♪」。

(澤部佑)ああ、歌っちゃった。いや、岩井……。

(岩井勇気)「わかっちゃいるんだ、妹よ♪ フーンフンフーフーンフフ、フフフーン♪」。

(澤部佑)今日見たのに、知らない……。

(岩井勇気)「ひがーおーちーるぅ~♪」。

(澤部佑)ああ、印象的なところしかわからない(笑)。

(岩井勇気)フフフ、そうやって始まるんだけども。とにかく、やっぱり寅さんのことは俺は何も知らないのよ(笑)。

(澤部佑)フフフ、コーナーをやってたけどね。

(岩井勇気)やってたんだけど、しゃべり方しか知らなかったから。その状態で俺もやっていたから。「クソ寅さん」っていうコーナーをやっていましたけども。で、寅さんのシーンが入ってくるんだけど、それはもう全部回想シーンで。昔の『男はつらいよ』のシリーズの映像が流れるよの。寅さんのシーンがね。それが結構あるんだよ。でも、それでも楽しめるんだけど。ちゃんと本編とリンクしてるから。

(澤部佑)うん。

(岩井勇気)それでもう、やっぱり寅さんっていうのはめちゃくちゃ喧嘩するの。だいたい寅さんが悪いんだけど。基本的にはね。で、さくらっていう妹を泣かせたりだとか、甥っ子の満男っていうのがいるんだけど。その子の恋にさ、なんか口出したりするのよ。割って入ってさ。「お前さん、接吻はしたのか?」「やめろよ、そういうの」とか言われてさ。「手ぐらいつないでねえのか?」とかって言ってさ。それでさ、「そいつはいけねえな……ちょっとぐらい、男を見せたらどうなんだい?」とかって言って。

そしたらその甥っ子の満男っていうやつが「なんだよ。おじさんは好きな女の人とかいるのかい? どうなんだよ、その人とは?」みたいな。そしたら寅さんが「それは、まあ……まだ大事にしてるからな、俺はな……」みたいな。「おじさんこそ男を見せろよ!」とか言われて。そしたら「なんだと? おじさんに向かって何ていう口の聞き方だ!」とかって言ってもうブチ切れて。「この野郎っ!」とかってもう羽交い締めにするのよ。その子供を。「めちゃくちゃなやつだな!」って思ってさ。

(澤部佑)フフフ、あま、それが寅さんの良さなんでしょう?(笑)。

「めちゃくちゃなやつだな!」

(岩井勇気)見ていたらだんだん、「何なの、このおじさん? 意味がもうめちゃくちゃじゃん?」って思って。

(澤部佑)やっぱりめちゃくちゃなんだよね。

(岩井勇気)「まずキレすぎだし。自分のことを棚に上げて人に説教をたれるのが多すぎるし。こういう親戚がさ、わかりもしねえのにお笑いのアドバイスとかしてくるようなやつなんだよな」とか思って。

(澤部佑)フフフ、まあ寅さんがいたら、たぶん言ってくるだろうな(笑)。

(岩井勇気)そう。「お前さんよ、もうちょっと明るくやった方がいいんじゃないのか?」とか。全然話したこともないような親戚のくせにさ。

(澤部佑)ああ、あるな(笑)。

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(岩井勇気)「がんばっているな。うちのところから有名人が出てくれて、うれしいねえ!」とか言ってさ。「いや、お前のおかげじゃないからね?」って思うタイプのやつじゃん。

(澤部佑)それが寅さんだから。

(岩井勇気)「ふざけんなよ!」ってなって。そのくせさ、妹のところに寅さんが来るとみんなさ、「寅さん、久しぶり。帰ってきたのかい?」みたいな感じでなんか喜んだりするんだよ。「あんたらも悪いよ」と俺は思って。「周りが寅さんを『あの人はああいう人だから』って放っておく。身内が放っておくから、ああなっちゃうんだから! それで身内が放っておくことによって他で迷惑かけていくんだよ。あんたらのせいだからね!」っていう。

(澤部佑)甘やかして。すごい見方をしているよ。寅さんを……。

(岩井勇気)「おかしいよ! もう親族全員、おかしいからね!」って思って。もうムカついてきちゃってさ。それでさ、またいい感じになった女の人に昔の映像で……まあリリーさんっていう女の人がいるわけよ。半さ、そのリリーさんがもうギリギリ、プロポーズみたいなことを寅さんに言うのよ。昔のシーンでね。で、その時も急になんか寅さんは恥ずかしくなっちゃってさ。「お前さん、それ冗談なんだろう? 冗談だよな?」みたいなことを言っちゃうわけ。

で、土壇場でさ、日和っちゃって。それでリリーさんも「あ、ああ、そうよ」みたいな感じになっちゃって、その話がなくなっちゃったんですよ。「何だ、この親父は? この歳でビビってんじゃねえよ。もう親父だろう?」って思って。「もうずっと独り身でさ、みんなが『結婚してほしい』と思っているの、わかっているじゃん? よくお前、甥っ子に説教をたれていたな、その口でよ……なんにもわかっていない。もうビビりのチキン野郎じゃねえかよ!」って思ってさ。

(澤部佑)おおう、だいぶ言うねえ。寅さんに。

寅さんを甘やかすのがよくない

(岩井勇気)「本当、おかしいわ」って思って。そんなのを見ていたらさ、そしたらまた妹の家の人たちでさ、なんかメロンを食っていたんだよ(笑)。メロン食っていたらそこに寅さんが来るの。「やあやあやあ、俺もメロン、いただいてもいいかな?」って。そしたらみんな、「ヤバい……」っていう空気になって。「寅さんの分がない」っていうことで。それでさ、妹がさ、「あの……私の分を、ほら。一口しか食べていないから。寅さん、これ食べてよ」みたいな。そしたら他の人もさ、「ああ、いや、俺のもあげるよ」みたいな感じで。ちょっと焦りながら言って。「ちょいと待ちな……なんだってお前らのツバキの付いたメロンを食べなくちゃいけないんだ? 俺のメロンがないって? 話を聞こうじゃないか……」ってなるわけ。

(澤部佑)フハハハハハハハハッ! やってたね(笑)。

(岩井勇気)「俺はこの家とは関係がない人だっていうのか? ふざけるんじゃないよ!」って。もうブチ切れですよ。それで殴り合いとかに発展してるの(笑)。

(澤部佑)フフフ、自分のメロンなかったから?

(岩井勇気)「メロンだよ? 本当、なんなんだよ、この人、大人げない。イカれてやがる……」って。

(澤部佑)そこだけ切り取ったら、たしかにヤバいな。

(岩井勇気)もうおかしいんだよ。「みんなこの親父を面倒くさい人として放っておいたから、こんなモンスターになっちゃったんじゃないか!」って思って。そんな風に思いながら見てたの。そしたら、甥っ子の満男がこれ、今回は中心の話なんですよ。大人になった甥っ子の満男がもう主人公みたいな感じなんだけど。満男が大人になってさ、つらいこととかあった時に寅さんを思い浮かべて、またシーンが流れたりするんだけども。そのシーンがだんだんと寅さんが満男にアドバイスをしてくれたシーンとか、感動的なシーンになってくるのね。その寅さんが怒っているシーンとか。「寅さんがいてくれたらな……」みたいな感じで。

(澤部佑)うんうん。まあ、そういうことか。

(岩井勇気)映画の話はこの満男の話でさ、寅さんを思い浮かべながらいい感じで終わっていくわけよ。で、最後ですよ。なんかもう、本当にいろんなシーンが流れる中で歴代のマドンナのシーンがバーッて、もう全員分ぐらい流れるわけ。その時には俺はもう、「グスッ……寅さん、帰ってきてくれ! 帰ってきてれよお!」って。もう号泣よ。

(澤部佑)えっ、なんで? 違う違う。その間のこの感情の動きがなにもなかったけど?

(岩井勇気)「グスッ……あんなめちゃくちゃな人だったけど、寅さん、帰ってきてれおくれよ!」って。俺はもう泣いたね!

(澤部佑)もうなっちゃっているじゃん。家族に。家族サイドになっちゃっている。

(岩井勇気)本当にそこにいたどのおじいさん、おばあさんよりも俺が一番泣いていたよ(笑)。

(澤部佑)フフフ、なんでだよ! 今までの一作も見てねえのに(笑)。

映画館にいた誰よりも号泣

(岩井勇気)「はあー! これが寅さんなんだ……このあったかいのが、寅さんなんだねえ!」って思ってさ。もうシリーズを何も見ずに来て、本当に申し訳ないと思っていたらスクリーンの寅さんがさ、俺にね、「なにを言ってるんだい? こうしてお前さんが見に来てくれて、会えたじゃないか。生きた時代は違ったかもしれねえけど、こうして会っちまったんならしょうがない。俺にとっちゃ、家族も同然よ……」って言ってくれて。

(澤部佑)えっ、岩井……?

(岩井勇気)俺はもう本当に「はあ、はあ……寅さぁ~ん!」「テー、テレテレテレテレ、テーレーレー、レーレレレレレー♪」って。

(澤部佑)えっ?

(岩井勇気)ねえ。『男はつらいよ』、おすすめですので皆さん、ぜひ見てください!

(澤部佑)なに言ってるんだよ! 最後、わかんない。何? 岩井に言ってきてたわけじゃないでしょ?

(岩井勇気)うん。寅さんが語りかけてきてくれたんだね。

(澤部佑)そのフレーズは、あったの? 言ったの、本当に?

(岩井勇気)言ってたね、これはね。

(澤部佑)嘘? どっち?

(岩井勇気)これは、言ってたね、うん。

(澤部佑)確認しに劇場に行かなきゃだな(笑)。

(岩井勇気)うん、行ってください。

(澤部佑)くそーっ!(笑)。

<書き起こしおわり>

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