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町山智浩『ジュディ 虹の彼方に』を語る

町山智浩『ジュディ 虹の彼方に』を語る たまむすび
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町山智浩さんが2020年1月7日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中でジュディ・ガーランドの生涯を描いた映画『ジュディ 虹の彼方に』を紹介していました。

(赤江珠緒)この時間は映画評論家、町山智浩さんのアメリカ流れ者。今日はカリフォルニア州バークレーのご自宅からです。もしもし、町山さん?

(町山智浩)あの、選曲がいいですね!

(赤江珠緒)うん?

(町山智浩)選曲が素晴らしいですね。先ほどの……。

(山里亮太)あ、ブルーハーツ?

(町山智浩)ザ・ブルーハーツの『英雄にあこがれて』を流したじゃないですか。フルで。すごいですよ!

(赤江珠緒)ああ、そこから聞いていただいていたんですね。はい。

(町山智浩)今、あれを流す……すごい!

(山里亮太)えっ、我々が知らない間にそんなメッセージを?

(町山智浩)ちゃんと曲、聞いて!(笑)。

(赤江珠緒)これはね、うちの松重くんが。音楽大好きな松の重ちゃんがわかってかけていたんですね。

(町山智浩)松重豊さんのご子息の。素晴らしい!

(赤江珠緒)おっ、よかったー!

(町山智浩)「もっとやれ!」って言ってください(笑)。

(山里亮太)おっ、両手を上げてますよ!

(赤江珠緒)ガッツポーズだ。ちゃんと町山さんに届いていたみたいになってますよ。ああ、よかった。

(町山智浩)最高でした!

(赤江珠緒)ああ、そうですか。ありがとうございます。

(町山智浩)ということで今日はですね、また最高な音楽の話をさせてください。それでは曲です。

(町山智浩)はい。これはご存知ですよね? これはジュディ・ガーランドさんの歌、『虹の彼方に(Over the Rainbow)』ですけれども。これは『オズの魔法使い』という映画で歌われるんですね。昔はね、『オズの魔法使い』は日本ではね、かならず大晦日ぐらいに昼のテレビでやってたんですよ。毎年やってましたね。だからもう何十回も見ましたけども。お年の方はみんな覚えてると思います。年末はこれと『スヌーピー』なんですよ。

(赤江珠緒)へー! ああ、そうですか。

(町山智浩)受けてる人、覚えている人もいると思いますけど。で、今日紹介する映画はこの歌を歌っている、その『オズの魔法使い』でドロシーを演じたジュディ・ガーランドの晩年というか、死の直前のイギリス・ロンドン公演を描いた映画『ジュディ 虹の彼方に』という映画を紹介します。

(赤江珠緒)じゃあ、実話ってことですね。

ジュディ・ガーランドの晩年を描く

(町山智浩)実話に近いものですね。実話を元にしたフィクションですけども。これは昨日、発表されたゴールデングローブ賞というハリウッドの外国人記者が選ぶ映画賞で主演のレネー・ゼルウィガーさんが主演女優賞を獲得しました。ジュディ・ガーランドを演じました。で、ジュディ・ガーランドという人がどのくらいすごい人だったのか?っていうのはもう世代的にかなり昔の人なので、あんまり分からない人も多いと思うんですね。なにしろその『オズの魔法使い』は1939年の映画ですから。戦前にこれだけの極彩色の超大作をハリウッドは作ってたんで、戦争に日本が勝てるわけがないですが(笑)。だってもう今のSFXとほとんど変わらない規模っていうか、その何百倍もの規模の映画だったんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)だからそんな国に戦争で挑むなよと思いますけど。で、この方はですね、実は非常に不幸な人生を歩んでいて。1969年に47歳で亡くなったんですよ。

(赤江珠緒)えっ、でもそんな……大スターなんじゃないですか?

(町山智浩)大スターだったんですけど、非常に不幸だったんですね。で、この人がどれだけすごい歌手と言われているかは実際にその歌を聞いてもらうのが一番だと思いますんで。彼女の一番すごかった、脂が乗っていた1961年のカーネギーホール公演での『Come Rain Or Come Shine』をお聞きください。どうぞ。

Judy Garland『Come Rain Or Come Shine (Live At Carnegie Hall/1961)』

(赤江珠緒)うわあ!

(山里亮太)かっこいい!

(町山智浩)ものすごいんですよ。この声のパワーが。

(赤江珠緒)伸びがすごい。

(町山智浩)この人ね、身長が149センチしかなかったんですよ。だからSuperflyみたいな感じで。そのちっちゃい体からものすごい声が出るんですよ。で、しかもこのスイング感というか、ロックとかジャズとかそういうジャンルを超えたものすごい歌い手だったんですね。で、日本では美空ひばりさんがよく比較対象になるんですよ。美空ひばりさんって演歌っぽい歌の歌手だと思っている人は多いと思うんですけど、もともと彼女はジャズでロックでファンキーなんですよ。

だから、すごく似ているんですね。そのソウルフルな歌声とかが。それと非常に子役……まあ幼い頃から出てきて、天才と言われて。でもまあ実人生があんまり幸福ではなかった点とかも非常によく似てて。美空ひばりとジュディ・ガーランドは非常によく似てると言われます。まあ声がとにかく太いんですよ。で、すごいパワーなんですけれども。でもね、人生は不幸になっていくんですよ。ジュディ・ガーランドは。

(赤江珠緒)何があったんだ?

(町山智浩)この人はね、子役で出てきたんですね。で、まあ高校生のミュージカルみたいなのに出ていたんですけれども。で、すごい量でその頃は映画を作ってたんですよ。テレビがなかった時代なので、もう毎日映画の撮影があるっていう状態なんですよ。毎週毎週映画が変わるっていう時代があったんですよ、昔は。

(赤江珠緒)そんなに!

(町山智浩)で、MGMというミュージカルの会社と契約してて、こき使われていたんですけども。そうするとやっぱり疲れてくるじゃないですか。そうすると「この疲れが取れるお薬がありますよ」ってお薬を飲まされてたんですよ。

(山里亮太)えっ、「飲まされていた」?

(町山智浩)いわゆる覚醒剤です。

(山里亮太)ええっ!

(町山智浩)この当時は日本でもアメリカでも覚醒剤は合法だったんですよ。普通に薬屋で売っていました。

(赤江珠緒)ああ、そうか。じゃあもう事務所が渡していた?

(町山智浩)そうです。事務所が出していたんですよ。覚醒剤を飲ませていて。で、初期のサザエさんとかを見ていると、普通に覚醒剤……ヒロポンとかが薬屋で売っているのが描かれていますよね。

(赤江珠緒)ヒロポンってね、そう言われていましたもんね。

(町山智浩)まあ、特攻隊の人に渡すためだったりもしたんですけども。働かせるために。で、ジュディ・ガーランドもその薬を子供の頃から飲まされてて、中毒だったんですよ。で、覚醒剤を飲んでるから眠れないじゃないですか。そうすると、今度は睡眠薬を渡されるんですよ。

(赤江珠緒)ええっ!

(町山智浩)もう完全に薬漬け。それでどんどんどんどんおかしくなっていったんですね。で、彼女は大スターだったにもかかわらず、体とか心がどんどんおかしくなって壊れてきちゃったんですよ。そのうちに撮影現場に来ない、遅刻する、欠席するを繰り返すようにになったんですよ。……他人事じゃないですよ、本当に! 僕は寝坊でしたが(笑)。僕の場合は誰のせいでもないですが(笑)。まあね、それでどうなったのかっていうと、契約を切られちゃうんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そんなにこき使ったのに?

(町山智浩)そう。自分は会社のため、事務所のために身を粉にして働いたのに。で、離婚もされて神経衰弱で精神病院に入る。手首を切って自殺を図る。そういうのを繰り返す。それでどうなったかというと、もう映画に出れない状態になっちゃうんですよ。

(赤江珠緒)あらららら……。

薬漬けで仕事を飛ばし続け、映画に出れない状態に

(町山智浩)ハリウッドから締め出されて。で、再起をかけて1954年に『スタア誕生』という映画を作るんですね。あの『スタア誕生』の元祖みたいなもんです。これ自体がリメイクなんですけども。二度目か三度目の映画化なんですけども。で、彼女が一介の歌手だった人が見出されてスターになるという物語で、まさに自分がスターとして再生をしようとしたんですよ。で、ハリウッドはお金を出してくれないからどうしたかというと、当時の夫がお金を出してくれて。プロデューサーをやって。で、夫婦で自費をつぎ込んでその『スタア誕生』を作るんですね。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、その内容がねまたね、「酒漬けになった夫が死んでいく」っていう話なんですよ。『スタア誕生』は。で、彼女自身もその頃、アル中だったんですよ。だからほとんど現実に近いギリギリのラインを狙ったところなんですね。で、痛々しい内容なんですが、リアルだから。すさまじい演技だったので、「これはアカデミー主演女優賞を取るだろう」って言われてたんですよ。ジュディ・ガーランドは。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)そしたら、ハリウッドはもう彼女に仕事をさせたくないっていうことで、彼女にアカデミー賞をあげなかったんですね。

(赤江珠緒)えっ、なんで? もうさせたくない?

(町山智浩)そう。締め出すためですね。で、アカデミー賞はやっぱりその業界の人たちが投票をするし、俳優とかプロデューサーが投票権を持ってるんで、そういうことになるわけですよ。これは業界の内輪の賞なんで。で、この夫婦はそのお金を全部、映画につぎ込んでますから、お金もなくなっちゃうんです。

で、この映画。今回の3月に公開される『ジュディ 虹の彼方に』という映画は、もうそうやってその『スタア誕生』が失敗して、旦那とも離婚して、ものすごい借金を抱えて。あれだけの大スターだったにもかかわらず、一銭もない状態で。車の中で暮らすみたいな状況になっていて。クレジットカードも使えないっていう、もうどん底のどん底から始まるんですよ。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、しかもこの人はこの頃は46、7歳なんですけども、その頃の写真を見ると60代みたいに見えるんですよ。

(赤江珠緒)ええっ、だってお若い時の写真がありますけども、めちゃくちゃ美人ですよ?

(町山智浩)やっぱり薬と酒ですね。もう見た目が完全に60代になっちゃんですよ。で、もう相変わらず中毒状態だから仕事……まあクラブとかに出て歌ってもちゃんと歌えないとか。で、お金が一銭もない。子供も取られちゃうかもしれないんですね。旦那に。まあヤク中で仕事もないわけですから。お金もないし。で、どうするか?っていうところからこの映画は始まるんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)もう超どん底。で、このジュディ・ガーランドを演じるのはレネー・ゼルウィガーという女優さんなんですけども。この人もずっとハリウッドから消えてた人ですよ。この人、『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズですごく有名ですよね?

(赤江珠緒)ああ、はいはい。人気でしたね。『ブリジット・ジョーンズの日記』。はい。

レネー・ゼルウィガーが主演

(町山智浩)あとは『シカゴ』にも出てますね。この人、一種の天才だったんですよ。というのは、このレネー・ゼルウィガーっていう人はアメリカ人でテキサス生まれなんですけど、『ブリジット・ジョーンズの日記』では完璧なロンドン訛りでしゃべってるんですよ。で、『シカゴ』では歌って踊ってるでしょう? 一種の天才なんですよ、この人。でも精神的に非常に弱いところがあって。しょっちゅうインタビューをすっぽかす……僕も1回、インタビューをすっぽかされてますよ。

(赤江珠緒)そうなんですか!

(町山智浩)で、いろんな人と恋をして、もう次々と別れるっていうのを繰り返してて、非常に精神の不安定な人なんですね。で、レネー・ゼルウィガーって顔を見ると、ちょっとアジア人っぽくないですか? 目が細くて。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)この人はね、サーミ人なんですよ。

(山里亮太)うん? サーミ人?

(町山智浩)『アナと雪の女王2』ってご覧になりました?

(赤江珠緒)ああ、はい!

(町山智浩)あれで最後にあの国の……ノルウェーのような国が舞台なんですけど。北方の少数民族が出てきますよね? あれ、サーミ人なんですよ。サーミ人っていうのはノルウェーとかスウェーデンとかの北欧の北極圏近くにいる少数民族なんですけども。彼らはモンゴロイドのDNAが入ってるらしくて、顔が平坦なんですよ。レネー・ゼルウィガーはこの人、サーミ系です。

(赤江珠緒)そうか。はいはい。そう言われると。

(町山智浩)独特の顔立ちをしてるんですけれども。この人、とにかく歌って踊れていろんな訛りを自由自在に操れるのに、まあ精神的に不安定で。結局、17年間ほとんど映画に出ないという状態になってたんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そうだったんですか。

(町山智浩)マスコミにも出ない。で、彼女自身が最近、インタビューで言ったのは「はっきり言って鬱になってた。それで休養をしてたんだ」と言ってますね。だからその点で非常にジュディ・ガーランドに近いんですよね。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)で、ジュディ・ガーランドはその時、どん底のところでロンドン公演という企画を持ち込まれて、ロンドン公演にかけるというのがこの映画の話になってるんですけど。そのレネー・ゼルウィガー自身もまあハリウッドからはほとんど忘れられていて。17年間にね、『ブリジット・ジョーンズの日記3』以外に何も出ていないし、マスコミにも一切出てなかったんですよ。

(赤江珠緒)ずいぶんなブランクですもんね。そうなるとね。

(町山智浩)すごいブランクなんですよ。だからその復帰にかける、カムバックにかけるという点で同じなんですよ。

(山里亮太)なるほど! そうか、ぴったりだ。

(町山智浩)ぴったりなんですよ。感情移入の仕方がね。で、ジュディ・ガーランドはそれでロンドンに行って、ナイトクラブで公演をして。ここでまた良い結果が出れば、そこからまたキャリアがカムバックするかもしれないということで最後のチャンスにかけるんですけども……全然ダメなんですよ。

(赤江珠緒)ダメか。うん。

ロンドン公演で再起を図るが……

(町山智浩)やっぱりね、もうほとんど眠れないんですよ。不眠症になっちゃっていて。で、薬は断ったんですけれども。リハビリをやって。でもやっぱり不眠症は治らないんですね。で、薬はやらなくても、お酒はあるじゃないですか。そこらへんに。だからやっぱりお酒を飲んじゃうんですよ。これはもう、ハリウッドの大問題で。今、ベン・アフレックがアルコールと戦って、それを映画にするって言ってますけども。ブラッド・ピットはそれで、アル中で離婚されましたからね。

(赤江珠緒)そうか……。

(町山智浩)これはもう大変なことで、お酒はそこらへんで買えますから。ヤクは売人に会わないと買えないですけども。で、もうコンサートが始まるっていうのに、舞台に現れないんですよ。もう大変なことですよ。他人事じゃないですよ。

(山里亮太)大丈夫。町山さんは大丈夫ですよ! あの1回だけですから(笑)。

(町山智浩)ねえ。「どこに行ったんだ!」ってことになるんですよ。それでこれ、どうするんだ?っていうハラハラの映画になっていますね。これは。「大丈夫なのか、おい?」みたいなね。でね、ジュディ・ガーランドという人は実は日本ではそんなに知られていないんですけども、アメリカではLGBTの人たちのシンボルになっているんですね。

(赤江珠緒)ああ、そうなんですね。

(町山智浩)LGBTの人たち……まあゲイとかレズビアンの人たちはレインボーフラッグというものをシンボルとして掲げているんですね。あれはね、あの『虹の彼方に(Over the Rainbow)』っていう歌が元になっているんですよ。

(赤江珠緒)えっ、そうなんですか!

(町山智浩)あの『Over the Rainbow』という歌は歌詞が実は悲しい歌なんですよ。あれはね、『オズの魔法使い』でドロシーが歌うんですけども。「虹の彼方に幸せの国があるというの。そこには青い鳥が飛んでいくけれども、なぜ私はあそこに行けないのかしら?」っていう歌なんですよ。

(赤江珠緒)えっ、そうなの? なんかちょっと子守唄的に、なんかいい歌みたいに聞いていましたけども。ああ、そう?

(町山智浩)歌詞は悲しい歌なんですよ。「私は幸せがつかめないの」っていう歌なんですよ。だからそれを彼女がすごくシンボルとして歌ってた、自分自身の一番の有名な歌として歌っていたのは、その彼女自身の人生とかぶるんですよね。どうしても幸せになれないんですよ。で、それを聞きながらその当時のゲイの人たち……1950年代、60年代のゲイの人たちは本当に人権がなかったですから。ゲイバーとかに行くと、警官に殴り込みをかけられて逮捕されちゃったり、殴られたりしてた時代なので。で、会社では絶対にそれは言えないし。そういう中で、その自分たちをジュディ・ガーランドに重ねていたらしいんですよ。

(赤江珠緒)へー!

LGBTのアイコン

(町山智浩)で、ジュディ・ガーランドが亡くなった時に、アメリカではそのゲイの人たちによる最初の暴動が起こってるんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そうなんだ。

(町山智浩)だからすごく重要な人なんですね。このジュディ・ガーランドという人は。この人自身はゲイではなかったんですけども、周りがゲイばっかりだったので。で、『オズの魔法使い』に出てくる人たちの中にもゲイがいるんですよ。で、すごくゲイの人たちに非常に理解を示してたんですけれどもね。でね、もう本当に歌えなくて、ロンドンに行って。レネー・ゼルウィガー扮するジュディ・ガーランドは大変なパニックになって。

それで舞台に出されちゃって、それでこの歌を歌うんですよ。『BY MYSELF』っていう歌を。でも、最初は歌えないんですよ。声が出ないんですよ。お客さんの顔も見れない。それが、この歌……『BY MYSELF』っていうのは「私はもう愛だの恋だのは興味がないの。そんなおままごとは終わったの。私はもう誰にも頼らないで1人で生きていくしかないのよ!」っていう歌なんですよ。

(赤江珠緒)おおーっ!

Judy Garland『BY MYSELF』

(町山智浩)「私はもうたった1人で、たった1人で自分の人生を背負っていくしかないし、誰にももう頼れないの」っていう歌をゆっくりと歌い始めるんですね。ジュディ・ガーランドが。で、そのうちにそれが彼女の心と歌と体が一体になっていって、だんだんだんだんと声が出てくるんですよ。このシーンでね、レネー・ゼルウィガーは実際に歌ってて。

(赤江珠緒)えっ、実際に?

(町山智浩)実際に歌ったっています。彼女が踊ってるシーンだけは口パクなんですけども、このシーンは本当に歌ってます。で、しかもこれね、ワンカットなんですよ。この1曲4分あまりをボロボロの状態からステージに立って「私、歌えるかしら?」って声が出ない状態から、だんだんだんだんと声が出ていって。声がだんだんだんだん大きく出ていって、最後は歌と心と彼女自身と観客が一体になるっていうところまでをワンカットで撮っています。

(赤江珠緒)うわあ、すごい! これは演じるの、大変だな!

(町山智浩)これはすごい。これ、もう本当に歌の力で涙が出るっていうのを実感したシーンですね。この歌がね、また歌詞が最後に「私はたった1人で生きていくけども、これが私で、誰にも何も言わせない。私自身のことを知っているのは私しかいないんだから!」っていう歌なんですよ。

(赤江珠緒)すごい! でもその境遇からそこの境地に行けるってすごいな。

(町山智浩)すごいなって思いましたけども。まあでも、ちょっと壮絶すぎるんですよね。軽く聞ける歌がないっていう問題もあるんですけども。まあね、『Get Happy』っていう歌があって、それは「なんでもいいから幸せになりましょう」っていう歌を歌ってるんですけども。これは「もう地獄に行くんだから、笑って地獄を迎えましょう。この世の終わりが来たってもういいじゃないの」っていうヤケクソな歌だったりして(笑)。

(赤江珠緒)本当ね(笑)。めちゃくちゃ開き直っている。

(町山智浩)だからある意味、パンクみたいなところがあるんですよ。ジュディ・ガーランドって。でね、この歌がで流れるところで、これは僕は「アカデミー賞に行くな!」と思ったんですよ。

(赤江珠緒)そうですか! そんなブランクがあったレネー・ゼルウィガーさんが取るかもしれない?

(町山智浩)で、もうゴールデングローブ賞も取ったので、これはアカデミー賞に行くかなと思ってますけども。

(町山智浩)でも対抗はね、前に話した『マリッジ・ストーリー』のスカーレット・ヨハンソンなので。

町山智浩『マリッジ・ストーリー』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でNetflixの『マリッジ・ストーリー』を紹介していました。

(赤江珠緒)ああ、見ましたよ!

(町山智浩)あれもすごかったでしょう?

(赤江珠緒)すごかった。もうリアル。

(町山智浩)優しく話しているところからボロボロに傷ついて泣くところまでをワンカットですからね。カットは切ってますけども、ワンショットで撮っていますからね。だからもう女優の戦いがものすごい厳しいレベルになっるなと思いますけども。今回のアカデミー賞は。まあ、楽しみですけどね。そういう点でね。『ジュディ 虹の彼方に』は3月6日から日本でも全国ロードショーです。

『ジュディ 虹の彼方に』予告

(赤江珠緒)これも本当にね、歌もいいですもんね。

(町山智浩)すごいいいですよ。

(山里亮太)その背景の壮絶さたるや……。

(赤江珠緒)本当よ。大スターでそのままかと思っちゃうところがね。『ジュディ 虹の彼方に』は3月6日から全国ロードショーということで。町山さん、ありがとうございました。

(町山智浩)どうもでした!

<書き起こしおわり>

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