宇多丸さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で映画『新聞記者』について話していました。
(宇多丸)あとね、あ、宇垣さんはコーヒーのしみ抜き、ポンポンしながら聞いていてくださいね。私、ムービーウォッチメンをガチャで決めておりまして。スタジオにライブに来た人が「本当にガチャを回しているんですね」みたいなことを言うたびに私がね、「オイッ!」ってね。「何度言ったらわかるんじゃい、ボケ!」っていうね。
(宇垣美里)フフフ、本当に回してますよね、あれ。
(宇多丸)そうじゃなきゃ、こんなに苦労してねえだろ?っていう。そんなに1万円払った後に死んだ目でライブを聞いたりしてねえだろ?っていうのはあるんですけど。で、なかなか見たい映画を……もちろん、見てよくなかったっていう映画はないんだけども。「これが見たかったな」みたいなので見逃しちゃった映画なんてのもあって。で、ちょうどぽっかりと時間が空いたんで、この放送前。さっき行ってきたのが非常に話題の日本映画で『新聞記者』っていう。ちょっと風の噂で聞いているかもしれませんが。
8月16日(金)より当館にて『新聞記者』の上映が決定いたしました。
韓国映画界の至宝 #シム・ウンギョン×昨年度映画賞に輝く #松坂桃李
権力とメディアの“たった今”を描く、前代未聞のサスペンス・エンタテイメント!是非 #キノシネマ立川 でどうぞ‼️#新聞記者 pic.twitter.com/pOIWvkNhZO
— kino cinéma 立川髙島屋S.C.館(キノシネマ立川) (@kinocinema2) August 11, 2019
(宇垣美里)ああ、はいはい。
(宇多丸)本当に、最初に公開されてから口コミで広がって。実は今日、僕は新宿ピカデリーに見に行ったんですけども、満席でしたよ。
(宇垣美里)ええっ?
(宇多丸)お盆とはいえ。公開して結構たっているのに、やっぱり話題が話題を呼んで。どういう映画か?っていうと、一応元になったベストセラーのルポというか、作品があって。それを元にしたフィクションなんだけども。まあ明らかに現政権の諸々ね。モリカケ問題だとか……。
(宇垣美里)まあ、ちょっと現実とリンクしているような部分が。
(宇多丸)あとはね、たとえば伊藤詩織さんのレイプされたっていうのが結局起訴されなくて。どうなっているんだ?っていう誰もが憤ったあの件もあります。あとはたとえばね、大新聞がね。「あれ? これ、大新聞がなんで急に一面でこんなことを報じだすの?」みたいな。「これ、関係あるスキャンダル?」みたいなことを急に大新聞が報じだすみたいな。そんな、まあ現政権周りと言っていいんでしょうかね?
我々の感じている「なんだ、これ? ちょっとおかしくない?」とか、「あの件、どうなったんだ?」とか。でも、なんとなくみんな、物言えば唇寒し秋の風みたいな状態になっているようなこの時代を直接的に連想させるようなフィクションで。要は、いまこの時代に見るともうそれだけで全編、胃がキリキリするような……まあ怒りと居心地の悪さと情けなさと、みたいな。
(宇垣美里)まあ、身につまされると言いますか。
全編、胃がキリキリするような作品
(宇多丸)うん。そんな感じで。で、主演されているのがシム・ウンギョンさんっていう韓国の女優さんで。これはあの『サニー 永遠の仲間たち』っていうあの素晴らしい青春映画のあの主人公の女の子ですよ。
(宇垣美里)それが……そう聞くと全然雰囲気が違いますね。
(宇多丸)そう。すごいしっかりと主人公のジャーナリストを演じられていて。あとはやっぱり松坂桃李さんですよね。こちらは内閣情報調査室に勤めていて、本来は政府側の人間なんだけども「こんな風にしていていいのか?」っていう風に悩む側の人間で。そういう各役者陣の好演もそうですし。本当に、なんというかリアルタイムの……もちろん、こういうことを言うとなんかさ、ああだこうだと言う人はいますけども。いやいや、現行の政権を健全に批判するということはその国が健全に機能をしている証拠なんで。この映画がヒットしているということ自体が日本がまだまだ大丈夫というね。
(宇垣美里)これがそもそも映画として上映されていること自体がまだ救いがあるような。
(宇多丸)そうそう。それの証左なんだから、そんなことにいちいち怒らないでねっていう。フィクションですし……っていう。まあ、とにかくこれがすごく大ヒットしていて。僕も遅まきながら見て。ムービーウォッチメンでやれなかったのはあれですけども、めちゃめちゃおもしろかったですし。いま、この時期。2019年の夏になにかを見るという時に、本当に「面白さ」っていうのはいろいろとあるけどもさ。本当に胃がキリキリなるような痛さ……まさにいまの自分に「お前はどうなんだ?」って指を突きつけられているようなその痛さみたいなところも含めて、いまめちゃめちゃガツンと魂を掴む1本だと思いましたので。『新聞記者』、めちゃめちゃおすすめしたいですね。
(宇垣美里)見に行きます!
映画『新聞記者』予告編
(宇多丸)本当に宇垣さんにもおすすめです。こんな感じで見逃したやつもちょいちょいツアーの合間なんかにも見ていきたいと思っていますので。あ、シミは抜けましたか?
(宇垣美里)見て! きれい!
(宇多丸)もうすっかり隠蔽が(笑)。隠蔽工作が……っていう感じでね。
(宇垣美里)やっぱり現代ってすごいですよね。技術が本当に。ありがとう!
(宇多丸)しみ抜き……これはどこのメーカーの?
(宇垣美里)でも、いろんなところから出ていて。ペンタイプとかポンポンポンって……。
(宇多丸)ああ、これTideって本当にあれか。洗剤のやつなんだ。へー! 「to go」ってこんなのがあるんですね! なるほど。きれいさっぱり、なかったことのようにいろんなことができる! そんな時代を象徴するような……(笑)。
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(宇垣美里)なんのことかな?(笑)。
(宇多丸)でも本当に『新聞記者』、おすすめですよ。そういうことがございました。
<書き起こしおわり>
アフター6ジャンクション(1)【カルチャートーク】など | TBSラジオ | 2019/08/13/火 18:00-19:00 https://t.co/KexpKRS6Br #radiko
宇多丸 映画『新聞記者』を語る— みやーんZZ (@miyearnzz) August 13, 2019