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吉田豪 あヴぁんだんど・avandonedを語る

吉田豪 あヴぁんだんど・avandonedを語る アフター6ジャンクション
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吉田豪さんが2020年2月3日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。宇多丸さんに解散を発表したアイドルグループavandoned(あヴぁんだんど)のこれまでの活動を紹介していました。

(宇多丸)ということで、今日の本題は僕がまだ分かってないようなアイドルソングをいろいろとご紹介いただきますが。今日はその見捨てられたアイドルグループの活動終了。どういうことでしょうか?

(吉田豪)そうですね。今年2月24日に活動終了、解散が決定したアイドルグループ、あヴぁんだんど・avandonedの話をしたいと思います。これがちょっと説明をするためには原点から辿らなくてはならなくて、ちょっと話が長くなるんですけども。社会学者の濱野智史さんという人がいまして。ちょうど宇野常寛さん、小林よしのりさん、中森明菜さんなどとの共著『AKB48白熱論争』や『前田敦子はキリストを超えた: 〈宗教〉としてのAKB48』などで有名な、要は突然AKBでアイドルに目覚めて、かなりガチ恋こじらせて、AKB関連の本をいっぱい出しておかしくなった時期があったんですね、濱野さん。

(宇多丸)「おかしくなった」(笑)。

(吉田豪)完全におかしくなっていて。で、その人がおかしさをこじらせた挙げ句、2014年6月にアイドルプロデュース業も始めたんですよ。それがPIPっていうグループなんですけども。

(宇多丸)これは何の略ですか? ああ、「Platonics Idol Platform」?

(吉田豪)で、これが「アイドルを作るアイドル」がコンセプトで、「大人に搾取されないように自分でプロデュースしていけるアイドルを育てる」っていうテーマだったんですけど、全然その高い理想に現実が追いつかなかったんですよ。給料未払いもあったりとか。「あなたが搾取してるんじゃないですか?」みたいになって。それでメンバー離脱が相次いで。相次いだのに「グループアイドルは嫉妬にいじめに管理できたもんじゃない」「アイドルってクソだなって分かったんで」とか、「辞めていったメンバーは本当にバカだと思う」とか暴言を連発して。さらにメンバーが離脱するという。さらには作詞とかもやってたんですけど、その歌詞っていうのが「わかっていたんだ、入る前から。ブスにクズにメンヘラ。闇の支配する舞台裏」とか。ダメでしょ、それ?っていうことをやっていて。

(宇多丸)えええーっ!

(吉田豪)それでわずか2年で崩壊というのがあったんですけど。そんなPIPのオーディションから漏れた6人のメンバーを集めて濱野さんのプロデュース第二弾アイドルとして結成されたのがあヴぁんだんどなんですよ。

(宇多丸)なるほど。あヴぁんだんどって今、最終的にはアルファベット表記「avandoned」になるけども、当時は「あヴぁんだんど」という。1回ぐらい、原稿内で触れたことないかな?って感じだけど。

(吉田豪)で、これが最初のBiSが横浜アリーナで解散ライブをやった2014年7月8日にそのすぐ隣な会場でデビューライブとか。

(宇多丸)なんだ、その因縁?

(吉田豪)そう(笑)。因縁というか、寄せていった。

(宇多丸)ああ、寄せていったんだ。

(吉田豪)ただ、濱野さんはPIPにかかりきりで、この今かかっている最初のオリジナル曲『あヴぁんだんど』を作詞したくらいでほぼ関わっていなかったんですよ。そういう意味で「見捨てられた」の英語訳である「avandoned」というのが相応しいグループという。

(宇多丸)本当に最初から見捨てられていたっていう。

見捨てられたアイドルグループ

(吉田豪)そう。PIPっていうのが歌の先生もダンスの先生も付いてちゃんとレッスンできるんですけど、その隣で先生も何もなく放置されてたのがあヴぁんだんどで。

(宇多丸)なるほどね。でも往々にしてね、モーニング娘。もそうですけど。そのあぶれ組の方が面白くなったりするもんだから。

(吉田豪)そして、あぶれた結果、PIPの理想通りになっていくというか。

(宇多丸)そうか。あぶれているから、自分たちでやるしかない?

(吉田豪)そうなんですよ! 

(宇多丸)なるほど。皮肉にも。

(吉田豪)で、最後まで残った唯一のオリジナルメンバーでもある宇佐蔵べにさんが当時、「現在、アイドルグループがたくさんある中でなぜPIPを選んだんですか?」ってオーディションで聞かれた時に「濱野智史という人は社会学者で名前も知られているから安全だろうなと思ったのが一番の理由でした」っていうね。この選択の理由が完全に間違えているという(笑)。

(宇多丸)そうか。でもそんなそっちはこじれちゃってたんだ。

(吉田豪)こじれちゃっていたんですよ。ただ、本当にそれがプラスになったんですよね。ほぼ関わらなかったということが。PIPは正直、AKBっぽかったんですよ。あとカバーがすごい多かったりとか、あんまり音楽的に力を入れてなかった。ただ濱野さんが関わらなかったことで、オルタナ色の強い音楽的にかなり攻めたグループになっていって。非常階段とのコラボユニット「あヴぁ階段」っていうのをやったりとか、詩人の最果タヒさんが作詞したりとか、結構面白いことをやっていたんですよ。ちょっとじゃあ、聞いてみましょうかね。あヴぁんだんどで最果タヒさんが作詞の曲です。『点滅ばいばい』。

あヴぁんだんど『点滅ばいばい』

(宇多丸)はい。あヴぁんだんど『点滅ばいばい』をお聞きいただいております。これ、いいじゃないですか。すげえいい。いいし、歌い出しのところですいません。先日、ポロリと言ってしまいましたけども。「素っ頓狂ロリボイスが吉田豪さんのツボ」っていうね。

(吉田豪)その通りの(笑)。星なゆたさんというメンバーの素っ頓狂ロリボイス感がよかったんですよ。

(宇多丸)でも曲、すごいです。これ、2015年に出たやつなんですね。

(吉田豪)これがプロデューサーの佐々木二郎さんという人が当時の曲をほぼ作っていて。

(宇多丸)ああ、じゃあ佐々木さんが優秀なんだな。

(吉田豪)ところが、これで結構大きな会場でワンマンとかやって。メンバーの名前がデザインされた衣装とかも作って、「ああ、これからだ!」っていう時にメンバーが大量に抜けたりとか。あヴぁんだんどってそういうことがすごい多いグループで。

(宇多丸)次々とavandondeされていくっていう。

(吉田豪)そうなんですよ。で、第一期あヴぁんだんどがそれで終わっちゃうんですね。楽曲を担当してたこのプロデューサーとも決裂。

(宇多丸)えっ、そうなんだ?

(吉田豪)で、新メンバーに小鳥こたおさんっていう友沢ミミヨ先生の娘さん。彼女が加入して旧運営を離れて第二期あヴぁんだんどになって。で、この時期に僕がやっていたイベントにゲストで来てもらって。そのイベントで30分、持ち時間があって。トークとライブなんですよ。で、彼女たちが出た時に要は持ち歌が2曲しかない。なぜかというと昔の歌を歌いたくないという。

(宇多丸)そうか。決裂したから。本当に嫌な思い出しかないんだ。

(吉田豪)本当に決裂したからもう過去の曲は歌いたくないんで、今の歌だけで2曲。で、「残りの20何分をトークにしたい」って言われたんですけども、「そのゴタゴタについては話せないことが多すぎるので……」っていう、すごい過酷なイベントになったんですよ(笑)。

(宇多丸)その、話すとしたらそこなんだけど、そこも話せないし。へー! えっ、それどうやって持たせたんですか?

(吉田豪)まあ、でもなんとか周辺を掘りながらやりましたけど。それぐらいのややこしいことがあるんだなっていうことだけは伝わるという。

(宇多丸)外側を掘ることで形を浮き上がらせる、浮き彫りにするという。

(吉田豪)で、3人組の第二期になったんですが、すぐに1人抜けちゃうんですよ。ちなみに抜けたのが小日向夏季さん。現在はNaNoMoRaLという名前で活動していて、こっちも素晴らしいんですけども。それで宇佐蔵べにさんと小鳥こたおさんの2人組体制になります。これもこれでいいんですよ。二期も。つるうちはなさんの楽曲を中心とした全く違うグループになったんですけども。これも素晴らしいので聞いてみましょう。じゃあ、あヴぁんだんどで『Hello!!』。

あヴぁんだんど『Hello!!』

(宇多丸)はい。あヴぁんだんどのこれが第二期。『Hello!!』という曲。これはこれでロック路線で。でもすごい作っている。

(吉田豪)うんうん。いいピアノロックでっていう。

(宇多丸)すごくいい。

(吉田豪)で、このね、こたおさんもかなり個性が強い人だったので面白いグループになったなと思ってたんですけど、これも2019年にこたおさん卒業というね。

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(宇多丸)なかなか定着がしないですね。

(吉田豪)そうなんですよ。この時期はね、LEARNERSとかね、Magic, Drums & Loveとかも楽曲提供したりとかで音楽的にもすごい良かったんですけど、そうなっちゃって。それでグループ名を英語表記の「avandoned」に変えて、ミスiD出身の女の子とかも複数含めて6人組の第三期になったんですよ。で、その宇佐蔵べにさんというオリジナルメンバーがプレイイングプロデューサーを名乗るんですけども。つまり、結果的に自分でプロデュースしてるアイドルというPIPが目指したものにたどり着いたというよくできた話なんですけど。じゃあ、ちょっと聞いてみましょうか。第三期avandonedで『マーガレット』。

avandoned『マーガレット』

(宇多丸)はい。第三期avandonedで『マーガレット』。やっぱりちゃんと……。

(吉田豪)最高なんですよ。ただ、なぜこうやって解散になっちゃうかっていうのは、やっぱりあれなんですよ。僕が周りで見ている限り、プレイングプロデューサー的な、メンバー間にプロデューサーがいるとなかなかうまくいかないというのは正直、見ていて思っていて。たぶん運営とかが力を持ってて圧をかけるぐらいの方がメンバーって団結しやすいじゃないですか。

(宇多丸)ああ、要するに共通の……。

(吉田豪)共通の敵になるけど、メンバー間だとちょっとバランスが狂っちゃうんですよね。メンバーが圧を……みたいになっちゃうと。だから結果、僕の知っているグループとかでも金払いとかすごくいいのにメンバーがやけに辞めるなとか。セルフプロデュースでメンバーが1人プロデューサーという形だと。周りから見てる限りはいいグループのはずなのに、なぜこうなるんだろうみたいなのは、やっぱりそういうグループに多い気がしますね。

(宇多丸)「あなた、どっちの味方なのよ?」みたいなね。まあ、本人は本人で中間的な立場で大変かもしれないけど。へー、そうか。まあでもちょっと、その要するに当初の「自分でプロデュースもできる」っていうところには行ったけど、それ自体の……。

(吉田豪)そうですね。PIPの目標自体がそもそも果たしてアイドルに向いていたのか?っていう。

(宇多丸)とか、人数がもうちょっと減らして1人、2人って……そういうコントロールできる範囲のあれにしていくとかしかないのかな?

(吉田豪)で第三期も良かったんですけども。本当にそうなんですよ。やけにメンバーが休業みたいなのが多かったりとか、何か綻びが見えて部分があったんで。

(宇多丸)なるほどね。なかなかそのグループを続けていくってことの難しさもね。だから逆に言うと続いているグループ、ありがたいねっていうね。「いつまでも、あると思うな」じゃないですけどね。ということで、しんみりしちゃいましたが、でも見捨てられた中からも可能性を見つけてなかなか頑張って……でも頑張った方ですよね? 5年間やったって……。

(吉田豪)頑張りましたよ。だってPIPが早々に倒れた中、これだけちゃんと続いて、いい曲を残して。

(宇多丸)5年間、やり続けたわけですから。その意味では宇佐蔵べにさんとかはご自分でもいろいろとできるんでしょうから。

(吉田豪)ソロでもやっていますしね。だからその濱野智史さんがね、自分が子供が生まれた瞬間に「アイドルより子供の方がかわいい」って言い出したのとかを思うと……。

(宇多丸)アハハハハハハハハッ!

(熊崎風斗)なんということだ……。

(宇多丸)もう全員、ずっこけますよね(笑)。

(吉田豪)人様の子供を預かっている人間が言う言葉ではないっていう。

(宇多丸)おもしろいっちゃおもしろいですけどね。まあ……。

(吉田豪)距離を置いていればね。

(宇多丸)短い時間んでしたけど、なんかその数奇な運命をたどったグループがわかって、勉強になりました。

(吉田豪)ただ、そのラストライブはもうチケットもソールドアウトだそうです。

(宇多丸)愛されてはいたんですね。まあ、ちょっとお疲れ様でしたっていう感じですね。特に宇佐蔵さんはね、ずっとやってきて。お疲れ様でございました。ということで吉田さん、お知らせごとなどありますでしょうか?

(吉田豪)新刊が。『ゴング格闘技』という雑誌で連載をしていた書評をまとめた本が出ます。

(宇多丸)これはプロレス本なんですか?

(吉田豪)プロレスネタも多いですが、基本は格闘技ですね。ただ格闘技と言いながら、かなり物騒なネタを毎回のように扱い。まあ格闘技本ってリリースが少ないんですよ。だからヤクザ関係のノンフィクション本とかに出ている格闘技のエピソードを書いたりとか。本来だったら格闘技雑誌に載せちゃいけないような話を「書評」ということを言い訳にいっぱい載せているという……。

(宇多丸)立体的に(笑)。

(吉田豪)かなり危険な本です。ぜひとも。

(宇多丸)実はね(笑)。タイトルは?

(吉田豪)ええと、『書評の星座 吉田豪の格闘技本メッタ斬り 2005-2019』ですね。これ、次回紹介します。

書評の星座 吉田豪の格闘技本メッタ斬り 2005-2019』

(宇多丸)了解です。ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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