渡辺志保 Rollin Loud Festival 2019詳細レポート

渡辺志保 Rollin Loud Festival 2019詳細レポート INSIDE OUT

渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でマイアミで行われたヒップホップのフェスティバル、Rollin Loud Festival 2019についてレポート。実際に現地で見たパフォーマンスを中心に紹介していました。

(渡辺志保)先週の放送、私はお休みを頂戴しておりまして。で、電話でのコメントをオンエアーしていただいたんですけれども。マイアミの方にですね約1週間程度行っておりまして。で、『INSIDE OUT』を聞いているみなさんならもうご存知だと思うんですけど。『Rolling Loud』という世界でいちばんデカいヒップホップのフェス、一体どんなもんだ?って思って。まあ『Rolling Loud』5周年というタイミングでしたので、ちょっと行ってみた感じ。もう超疲れたよ、本当!

で、全部で100組以上のアーティストが出る。私はたぶんね、3日間で50組ぐらいは見てる。

(DJ YANATAKE)すげえ!

(渡辺志保)しかもさ、やっぱりステージがかぶるから。で、ステージは全部で3つあるんですけど。それで公式の数字はまだディグってないんですけど、7万人ぐらいが来たそうで。日本で言うとスペシャのやっているフェス、スイートラブシャワー。あれがだいたい7万人ぐらいの来場者数なんですって。なのでまあ、そんな感じ。で、場所もサマソニとかフジロックみたいに広大な敷地にいくつもステージがあるってわけではなくて、ひとつの敷地内に3つの大きなステージがある。

で、たまんないんだけど。本当にどれも見たいわけよ。で、いちばんたまんねー!って思ったのはメインで21・サヴェージ。隣でワカ・フロッカ・フレイム。その隣のヤング・サグっていうすごい、なんかアトランタ数珠つなぎステージみたいな感じになっちゃってて。なので私もそのアーティスト1人、持ち時間がいちばん短い人はもう15分。いちばん長くても60分なんですけど。

なので最初から最後までステージパフォーマンスを見たアーティストっていうのは結構少なくて。ちょっと2曲ずつとか1曲ずつ聞いて、スイッチ、スイッチ……みたいな感じで移動しまくりながら見たっていう感じですね。でもやっぱりね、日本のフェスはすごいと思いました。やっぱり超オーガナイズされてる。きれいだし、ゴミも出ないし。で、『Rolling Loud』はやっぱり若いお客さんが多いからか知らないですけど、随所随所にプラスチックのでっかいゴミ箱が置いてあるんだけど。夜になるとみんなそれのゴミをバッシャーッ!ってひっくり返しで、その上に乗っかって見るとかね。

それぐらいやっぱりちょっとヤンチャだった。そんなにデカいファイト、喧嘩とかはちょっとなかったように見受けられますし。まあ細かい、ちょっと全裸の男性が騒いでいたとかそういうニュースとかは見るんですけど。お客さんは、おしなべて結構いい感じだったな。あと、さすがアメリカとか思ったんですけど、やっぱりマイアミ、暑いんですよね。最高気温は30度とか31度ぐらい。それで熱射病みたいな感じで倒れる女の子が何人かいたんですよ。

で、私も目の前で女の子がフワッて倒れちゃって。「うわっ、どうしよう、どうしよう?」って思って「セキュリティー!」みたいな感じだったんだけど。もう周りにいた男の子、見ず知らずの男の子が女の子を抱きかかえて、それであのステージの端っこの方に小走りで走ってセキュリティーのところに女の子を運んで行ったりとか。そういうところを見るにつけ、やっぱりみんなで助け合う精神みたいなところをですね、目の当たりにして、すげえ!って思いましたし。

あと無料の給水所とかがあって。あと、アーティストのステージの幕間にもスタッフの人がステージの上から500ミリリットルの水をですね、よく投げていて。なんでそういった水対策はすごい万全になされていたようなイメージでした。ただ、その給水場もすごい混乱しすぎて、あんまり意味がなかったんじゃないかみたいな意見もあったんですけども。まあ、それはそれっていう感じで。あとやっぱりちょっとセキュリティー面だよね。で、コダック・ブラックも出てこないと思っていたら、逮捕されていましたしね。

セキュリティー面での問題

笑い事ではないんですけど。で、実際にフェスが3日間あったうち、私が巻き込まれたというか実際に目の当たりにした誰かしらが発砲したんじゃないか騒ぎっていうのが二度、三度ありまして。その度にやっぱりショーが中断するし。で、やっぱり皆さん、パニックになるわけですよね。私もですね、そのパニックのど真ん中にいたりもしたんですけども。やっぱり隣にいる女の子とかも「本当に怖すぎて一刻も早く帰りたい!」とかっていうようなシーンもありまして。ちょっと笑い事ではないなと思ったし。

で、実際にやっぱりアーティストもね、たとえばヤング・サグも自分のクルーが乗ったバンが銃撃されたっていうこともありましたし。NBA・ヤングボーイも自分の出番の前に自分のガールフレンドが撃たれて。あと自分の取り巻きも撃たれてしまって。NBA・ヤングボーイ自身もライブパフォーマンスの後に逮捕されてしまったということもありましたし。あとはリル・ウェインも警察の捜査の対象になるということで、それを拒んで自分の出番をヘッドライナーだったけどもキャンセルしたりとか。

あと、すげー怖いと思ったのはその『Rolling Loud』中にたくさんアフターパーティーがね、市内のクラブで催されるわけですけれども。そこでもシカゴのラッパーが1人、銃殺されて。実際に命を落としたってこともありましたし。やっぱりそういう物騒なニュースっていうのを私もちょこちょこアメリカには行っていますけども、いちばんよく聞いた滞在でしたね。なので私も大きいアフターパーティーに行きたいなと思ったけど、まずはちょっと疲れてたっていうのもありますし。実際にそういうニュースを聞いたっていうのもありますので、ちょっとそのへんは自粛して、もうちょっと離れたところにあるちっちゃめのクラブに行くに止まったんですけれども。

マイアミってやっぱりちょっと他のエリアとはまた違うなっていうのを感じました。で、実際にもそういう苦情と言いますか、警告。そしてちょっと脅迫めいたことがですね、実際にその『Rolling Loud』のオーガナイザーのもとにもたくさん届いているみたいなんですね。お客さんの中からもやっぱりちょっと「いろんなアンオーガナイズドされた出来事がたくさんあったから返金してほしい」っていうような声もたくさん届いているみたいで。

(DJ YANATAKE)へー!

(渡辺志保)そう。だってコダック・ブラックも出なくて、ヘッドライナーのリル・ウェインも出なくて。かつ、そうやって銃撃騒ぎがあって。それこそトラヴィス・スコットのショーも途中で中断されたんですよね。ということがあったので、やっぱり返金してほしいっていう声もたくさんある。実際にですね、そういった意見を受けて、私ももしかして当事者だったら苦情とかは言っちゃうだろうなって思いますよね。わざわざ日本から行って、私は十分に元が取れたなって思いますけども……まあ、もっと若くて「このためにわざわざ日本から来たんだよ!」っていうようなヘッズだったら、ちょっとね、苦情を言っているかもしれないが。

まあでも、その主催者のタリークさんという方も、いちばん最後。3日目の大トリのキッド・カディのライブの前にご自身がステージに出てきて。「みんな楽しんでるか? 俺らは絶対またマイアミに戻ってくるからな! 誰が何と言おうと関係ねえぜ!」みたいな感じで。ちょっと逆ギレって言ったら言葉はすごい悪いかもしれないですけれども、そういう感じで逆に「なにくそ!」っていうような感じでご自身の意見を表明しておりました。

だし、やっぱりそのマイアミで開催することにちょっとね、重きを置いているんだなっていうのはひとつ、感じましたね。で、この後はニューヨークでも『Rolling Loud』をやるっていうのと、ベイエリアとLAという風にね、アメリカ国内だけでもあと3回の開催が予定されてるっていうことなんですけれども。どうなるんでしょうか? ただLAとかベイエリアの方がもっとシュッとしてて。で、ローカルの人も多いっていう風に聞くので。また全然違う雰囲気なんだろうなと思いますね。なので『Rolling Loud』、マイアミでぜひぜひいろんな人に見に行ってほしいと思うが……やっぱりそこはある種、自己責任に任せてところもありますので。

(DJ YANATAKE)いままで、いろんなところに行かれてるけども、やっぱりより「Protect Ya Neck」な感じですか?

(渡辺志保)ああ、そんな感じしましたね。で、やっぱりかつ、ここ数年はアメリカやヨーロッパでもテロって多いじゃないですか。で、去年も私、ちょうどいまぐらいの時期にフィラデルフィアで行われたザ・ルーツのミュージックフェスに行ったんですけど。やっぱりそれはザ・ルーツのフェスだからお客さんもすごい大人の人が多くて。フェス全体もすごいかっちりかっちりとしてたんですよ。いい意味で。なんだけど、やっぱりね、今回その「Messy」な感じ? オーガナイズドされていない感じが……。

(DJ YANATAKE)まあ、よくも悪くもね。

(渡辺志保)そういうのを肌で感じて。「ヒップホップのワンダーランドや!」みたいな、そういう夢みたいな側面がありつつ、それと同じぐらいちょっとね、面食らうことも多かったなっていう感じですね。まあまあでも1回、行ってみたらいいかもね。面白いかもね、みたいなね。

(DJ YANATAKE)そんだけでまとめて、もう10年ぐらいのライブを一度に見たわけでしょう?

(渡辺志保)もう本当に見た! それこそカーディ・Bも初めてね、やっと拝見することができましたし。

(渡辺志保)グッチ・メインだとか……あと、リル・ウェインの代わりになんとスペシャルゲストが決定しましたっていうのが超ギリギリのタイミングでオフィシャルのTwitterで発表されて。「誰かな?」と思ったらミーク・ミルだったんですよ!

(DJ YANATAKE)それ、会場にいたってことなのかな?

(渡辺志保)もともと、なんかスペシャルゲストが決まりましたってのは言っていて。たぶんそれがミーク・ミルっていうのもその時点では決まってたんだと思うけどで、そこで急遽ウィージーの代わりにね、ミークが出るということで。で、ミークさんもニプシー・ハッスルへの哀悼の意を示したてから代表曲を歌うというようなシーンもありましてね。泣けた!っていう感じ。

(DJ YANATAKE)でも行けるチャンスがある人はね……俺もすごい昔だけど。94年にそれこそマイアミでめちゃくちゃデカいヒップホップのコンベンションをやっている時に10年分ぐらいのライブを一度に見た時、やっぱりすごかったけどね。面白かったけどね。

(渡辺志保)いや、すごい。だから本当に面白いし。でもやっぱり本当にね、NBA・ヤングボーイのライブはね、「マジでこいつ、ちょっと前に彼女が撃たれて仲間が死んでるのにこのライブ……いろんな意味ですげえ!」とか思ったし。ワカ・フロッカ・フレイムもちょっと前にアトランタのスタジオで銃撃された、襲撃されたというニュースを聞いて。やっぱりなんか本当にガチの人ってすげーなっていうのを思いました。

というような感じで、これまたお祭り騒ぎなアルバムがいろいろとね、先週の金曜日に出ましたので。まずは1曲、DJ・キャレドさんのね、『Father of Asahd』というアルバムが出まして。ヤナタケさんもどうですか? こういうタイトルでちょっと息子さんとね、引っ掛けて。そういったツアーとかを今後、組んでみたらどうでしょう? と思いますが。

(DJ YANATAKE)フフフ(笑)。

(渡辺志保)その中でも、私がいちばん気に入った曲は言わずもがなこれって感じ。カーディ・Bと21・サヴェージが再びタッグを組んだっていう感じですよね。『Bartier Cardi』でかつて、一緒にやっていますからね。

で、21・サヴェージのステージも本当に素敵だったし、このカーディ・Bちゃんのフックのリリックも最高なのでまずはこの曲を聞いてください。DJ・キャレドで『Wish Wish ft. Cardi B, 21 Savage』。

DJ Khaled『Wish Wish ft. Cardi B, 21 Savage』

(渡辺志保)はい。いまお届けしましたのはDJ・キャレドの最新アルバム『Father of Asahd』から『Wish Wish ft. Cardi B, 21 Savage』でした。

(中略)

(渡辺志保)(コメントを読む)「……キッド・カディ、どうでしたか? 笑っている写真を見ましたが楽しそうでしたね」ということで、キッド・カディ、本当に素晴らしかった。3日目の大トリがキッド・カディだったんですけど。やっぱりキッド・カディってね、いまの流れ……たとえばね、XXX・テンタシオンとかリル・ウージー・ヴァートとかリル・ピープとかジュース・ワールドとかのね、エモラップっていうジャンルがありますけども。そのエモラップの先駆者としても若いラッパーには非常に人気があるということで。

本当にね、だから今日もゲストに来てくれているOZworld a.k.a R’kumaとかの世代だと思いますけども。そういう「ジェネレーションZ」っていうんですかね? 90年代後半生まれからのヘッズにとっては本当にね、キッド・カディってもうすでにOGと言うか。ある意味ちょっと神格化されたような存在だと思うんですけれども。そういったヴァイブスを非常に強く感じましたし。『Father Stretch My Hands Pt.1』、カニエとやっている曲のカニエのバースのところも「みんな、カニエのところを歌ってくれ!」って言って、みんなでカニエちゃんバースを合唱するというすごいエモーショナルなステージでした。っていう感じです。

で、ここでちょっと私からもう1曲、お届けしたいのがアルバム『Fever』をリリースしたミーガン・ジー・スタリオンの曲です。で、ミーガンちゃんのステージも『Rolling Loud』のメインステージに立ってらっしゃったから見たんだけど。途中でマネーバッグ・YOがね、彼女は前作『Tina Snow』で一緒に曲をやっていますけども、マネーバッグ・YOが一緒に出てきて胸アツでしたね。一緒に曲やっていたし。マネーバッグ・YOも自分の曲をやっていた。

あと、YBN・コーディくんの時にはYK Osirisくんも出てきたりして。そういう若いアーティスト同士のコラボステージも生で見れたっていうのはすごい『Rolling Loud』の醍醐味でした。ちなみにキッド・カディの時にはクエヴォが参加して1曲、新曲をコラボしてやってくれまして。めちゃめちゃ興奮しました。というわけで、ダベイビーのステージもすごかったみたいですけど。私はちょっと見れていないんですけども。このミーガン・ジー・スタリオンのアルバム『Fever』から1曲、お届けしたいと思います。『Cash Shit』。

Megan Thee Stallion – Cash Shit ft. Da Baby

<書き起こしおわり>

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