松尾潔 Chaka Khan『Hello Happiness』を語る

松尾潔 Chaka Khan『Hello Happiness』を語る 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でChaka Khan『Hello Happiness』とMichelle Lawson『Looking For Love』を紹介していました。

ハロー・ハピネス

(松尾潔)改めまして、こんばんは。『松尾潔のメロウな夜』、今日はレギュラープログラム、メロウな風まかせ、お楽しみいただきたいと思います。さてまず今日、ご紹介しますのは大御所ですよ。まあ、アメリカのR&B業界におけるユーミンのような存在と言ってもいいかもしれませんね。この人も人気が長い方です。チャカ・カーンです。

いまバックで流れておりますチャカ・カーン『Like Sugar』という曲はこれは昨年度のメロウトップ20にもランクインした曲。もう久々の快作といった印象がありました。

チャカ・カーンはね、昨年はこの曲もそうでしたし、クインシー・ジョーンズとマーク・ロンソンのコラボレーション『Keep Reachin’ 』にもリードボーカルという形で参加しておりました。ちょっとここに来て活動がまた賑やかになってきた印象がありますが。

なんと、12年ぶりとなるオリジナルアルバムが来月、控えております。アルバムタイトルが『Hello Happiness』。それでは、そのオリジナルアルバム『Hello Happiness』からタイトルトラックをご紹介いたしましょう。チャカ・カーンで『Hello Happiness』。

Chaka Khan『Hello Happiness』

Michelle Lawson『Looking For Love』

2曲続けて女性ボーカルをご堪能いただけましたでしょうか。まずはチャカ・カーンで『Hello Happiness』。そしてミッシェル・ローソン『Looking For Love』と続けてご紹介いたしました。チャカ・カーンについてお話しましょうか。12年ぶりとなるアルバム『Hello Happiness』という作品のタイトルを先ほど申し上げました。そのタイトルトラックを今日、ご紹介した次第です。

この曲は前作『Like Sugar』とほぼ同じ布陣で作られているようです。スウィッチというイギリスのサウンドクリエーターがいますね。メジャー・レイザーというユニットで大活躍しておりましたけども、そのスウィッチが『Like Sugar』に続いて今回もプロデュースを手掛けております。『Hello Happiness』、このタイトルは僕は個人的にはグッとくるんですよね。といのはこの歌詞に耳を傾けていますと、「Goodbye Sadness, Hello Happiness(悲しみにさよなら、幸せにこんにちは)」という簡単な直訳で申し訳ないんですけども(笑)。まあ、そういうことを歌っていて。

まあ、チャカ・カーンのこの晴れやかな、華やかな声には大変似合いますが。R&Bファンであればこのフレーズ、ちょっと懐かしいところを撫でてくれるかもしれません。ルーサー・ヴァンドロスの『So Amazing』という曲。まあルーサー本人のバージョンよりも、もしかしたら日本ではジャネット・ケイ、あるいはディオンヌ・ワーウィックのバージョンでも有名かもしれませんが。その中でルーサーが「Bye bye sadness, hello mellow」と歌っていましたね。

で、ほぼ同じことを歌っております。ルーサーとチャカの関係を考えますと、親交があった人たちですから。そういうところを踏まえて歌ってるんじゃないかなと……まあ、僕はそういう風に思いたいですね。で、まあちょっと個人的な話になりますけれども、その歌詞が大変気に入ってる僕は以前、自分がプロデュースしたSkoop On Somebodyのアルバムタイトルに『HELLO MELLOW』ってつけたことがあるんですね。

HELLO MELLOW
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で、そのアルバムというのは彼らにとって初めてのロンドンレコーディングのアルバムだったんですが。今回のチャカ・カーンがさっきも話しましたように、イギリスのクリエイター、スウィッチと一緒に組んでるということにも何かハッピーな……それこそハピネスと言っても差し支えないかなという偶然を感じます。はい。多少妄想気味に語りましたが。チャカ・カーン、本当いままでこの人、別に消えていたわけでもないし。いろんなところでライブをやってきてました。日本にもしょっちゅう来てましたけど。

今回に関しては「本格復帰」という言葉を使いたいぐらい、とにかく絶好調でございます。これはもしかしたら不謹慎かもしれませんけどね、アレサ・フランクリンが亡くなった後にチャカが出すっていうのは、女王の戴冠式と言うか、そういう気さえしますね。はい。いまの意見をね、メアリー・J.ブライジとかどんな気分で聞いているんでしょうね。けどね、

本当に去年、アレサ・フランクリンが亡くなりましたが、それと時を同じくしてね、アニタ・ベイカーが表舞台から「私、ちょっと長いバケーションに入る」っていうか、まあほぼ現実的には事実上の引退宣言と言われてますけども。そういうことが続きましたので、なおさらチャカカーンのこの歌い続ける感じ。Keep Singingっていうところが尊く目に映りますね。

で、続けてご紹介しましたのは、この人はもう本当にイギリス人シンガーですね。知名度はグッと落ちます。ミッシェル・ローソンさん。曲は『Looking For Love』。先月出たばかりのシングルです。まだご存知ない方も多いんじゃないかと思いますけどもね。ミッシェル・ローソンっていうのはどういう人かというと、もう30代も後半になって、40代が見えてきた頃にイギリスのテレビのオーディション番組……この番組でも何度かお話していますけども。『Xファクター』に出て注目された女性ですね。

その時点ですでに2人のお子さんがいるお母さんでもあったんですね。たぶん、もういまは40代に入ったぐらいじゃないかと思いますね。ミッシェル・ローソン。で、この『Looking For Love』という曲は僕はね、80年代の頃のメリッサ・モーガンの歌いっぷりとかを思い出すんですよね。『Fool’s Paradise』とかを歌ってた頃のね。

もう強引に押しまくる感じっていうのが「90年代R&Bブーム」って言いますけども、それを通り越してちょっと80年代のきらびやかさを身にまとった女性シンガーかなと思います。これ、サウンドの方はベニー・ゴルソンというジャズメンの『I’m Always Dancin’ To The Music』というヒップホップでよく引用されるネタ。

ノーティ・バイ・ネイチャーなんかが『Jamboree』で使ったりしていたネタ。あれを原型にしたと思しき、ホーンの音を一度取り込んでチョップして使ってるっていう感じで。こういう派手派手しい曲っていうのもたまにはいいんじゃないでしょうか。ミッシェル・ローソンの名前をみなさん、覚えておいてください。

<書き起こしおわり>

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