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町山智浩 アメリカを目指す中米移民キャラバンを語る

町山智浩 アメリカを目指す中米移民キャラバンを語る たまむすび
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(赤江珠緒)ファミリーで。

(町山智浩)ファミリーで来ている。それはどうしてか?っていうと、脱出する目的は子供を救うためだったから。それが目的で脱出するから、子連れしかいないんですよ。

(赤江珠緒)なんかニュースとかを見ても、その子供……女の子とかが「私ぐらいの年齢だともうレイプされたりするので、国では暮らせない」みたいなことを言っていたりして。どういう治安になっているんだろう?って。

(町山智浩)そうなんですよ。だから、非常に危険なのでまずキャラバンという形で集団を組んで行くことになったんですよ。というのは、業者に悪いやつらもいるし、彼らがお金を持っていることを知っているから、狙うんですよ。難民がメキシコを渡っていく間に、彼らはある程度のお金を持っていることが明らかだから、襲撃されるんですよ。で、あと子供とかは襲われて誘拐されて売られてしまう可能性もあるので、それを防ぐためにキャラバンという形で集団で集まって移動するんですよ。

(赤江珠緒)みんなで行って。

(町山智浩)集団で集まると、まず安全っていうのとマスコミもついてくるから、基本的には襲撃されない。それで彼らはキャラバンを組んだんですよ。

(赤江珠緒)でも、そこまでしなきゃいけなくなるぐらい国が治安が悪くなっているのはなんなんですか?

(町山智浩)ものすごく治安が悪いんですけど、それはホンジュラスとグアテマラ、エルサルバドルの三国には「MS-13」っていうギャング集団がいて、国境を越えてものすごい勢力を持っていて。で、このMS-13っていうのはアメリカ国内にも広がっていて、ロシアン・マフィアであるとかISISとか、そういうところまで勢力を広げている非常に国際的な犯罪組織で。それが政府軍と内戦状態になっている。縄張り争いをしているんですね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)で、まあ子供はそこに入れられてしまうから。ギャング団に入ってしまうし、女の子はかわいい子とかだとそれこそギャングの二号さんとかになったりするようなひどい世界で。だからそういう風にならないようにということで、子供を持っている人たちがなんとか脱出させるというような状態なんですよ。

(赤江珠緒)親とかが逃がそうとして。

(町山智浩)だからトランプ大統領は「彼らはみんなギャングなんだ! 犯罪者なんだ!」とか、テレビコマーシャルまでやっているんですけど、まあ実態を見るとそうではなくて。むしろギャングから逃げてきている人たちなんですね。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)あと、MS-13っていう、アメリカ国内でもすごく事件を起こしているギャング集団はトランプ大統領が選挙期間中から「彼らはみんな不法移民で、彼らを叩き出さなきゃいけないんだ!」って言っていたんですけど、実はちょっと違うんですよ。まず、MS-13の始まりは不法移民ではなかったんです。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)これがすごくややこしくて、MS-13とホンジュラスとグアテマラ、エルサルバドルのギャング状況というものはアメリカが作り出したものなんですよ。

(赤江珠緒)アメリカが?

(町山智浩)アメリカが犯人なんですよ。実際は。歴史的にはすごく長い話になるんですけども。まず、そこの地域の国々は「バナナ共和国」と呼ばれているんですよ。バナナ共和国っていうのはバナナやコーヒー、サトウキビなどの商品作物……そういう直接自分たちの食料にはできないで、海外に輸出するしかないような作物を作らせる農園がその土地のほとんどを占めるという状態になっていて。で、その農園の経営者は政府と結託している外国籍企業なんですよ。具体的にはアメリカです。ユナイテッド・フルーツとか、世界的なコングロマリットがそこに農園を作って、地元の人たちを働かせて。で、その収益を全部アメリカに吸い上げるっていうシステムを作っていて。それを擁護する軍事独裁政権の国をバナナ共和国と言うんですね。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)で、それはもう1900年代のはじめからずっと続いている状態で。地元の人たちは徹底的に奴隷化されて搾取されて。しかも、商品作物のために自分たちが食べる作物を作ることができないので、国内の農業も崩壊して。しかも、利益を全部搾取されてしまうので、国内経済は育たないという状態になってきて。ただ、それを政府は軍事政権だから、利益を受けているから許し続けるという完全なアメリカの奴隷国家になっていたんですよ。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)それがずっと続いたので、1950年代からそれに対して対抗する人たちが共産勢力の支援を受けてゲリラ戦を始めるんですよ。時には民主的な選挙とかそういった形で反アメリカの、バナナ共和国から脱出するための政権を握ろうとするんですけども、それに対してアメリカ政府はずーっと右翼政権の方に軍事援助をして、その三国を内戦に引きずり込みます。その内戦状態は激しい戦闘は10年以上とか、まあ一世代、二世代にわたるものすごい内戦状態で。まったく国内経済も育たないし、生活もできないような地獄の状態になります。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)それは映画『サルバドル/遥かなる日々』の中でも描かれていますが、すさまじい暗殺とか、そういうのが行われる状況になるんですね。で、そこでエルサルバドルがひどい内戦状態になったため、そこの人たちが正式な難民として1980年代にアメリカに入りました。かなりの人数が。だから、始まりは不法移民じゃありませんでした。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)で、ロサンゼルスを中心にそのサルバドル難民の人たちが住んだんですけども、その子供たち……一緒に連れてこられた子供たちはいきなりアメリカに住んで生活ができないため、ギャング集団に入っていくんです。で、彼らはその当時、すでにあったロサンゼルスのメキシコ系のギャングと黒人のギャングの対立の中に、メキシコ系の傭兵として吸い込まれていくんですよ。サルバドル系の人たちは。で、お父さんお母さんは一生懸命働いていて言葉もできなくて、子供がどうなっているのか全然わからない状態で。知らないうちに子供たちはメキシコ系ギャングの戦闘部隊になっていくんですよ。それがMS-13というグループで。

(赤江珠緒)ええ。

ギャング集団MS-13

(町山智浩)「M」っていうのは「Mara(集団)」。「S」は「Salvatrucha(サルバドル)」なんですよね。ところが「13」っていうのはアルファベットの13番目の文字が「M」なんでこれは「Mexico(メキシコ)」っていう意味なんですよ。だからこのMS-13っていうのは不思議なことにひとつのグループ名の中に「メキシコのために働くサルバドル人」みたいな意味があるという、非常にロサンゼルスでしか形成されない不思議なギャング団なんですね。

(赤江珠緒)ふーん!

(町山智浩)で、これがどんどん巨大化していくんですよ。先頭集団として。日本でも山口組がすごく全国制覇をする時、その先鋭部隊、暗殺部隊として活躍したのは在日朝鮮人の部隊だったんですね。つまり、居場所がないから殺し屋として先鋭化していくんですけども。そういう形になっていったんですよ、サルバドル系の人たちは。で、それが激しくなっていったんですけども、クリントン政権になった時、1990年代にエルサルバドルでなんとか内戦が終結するんですよ。で、クリントン政権がMS-13のメンバーをほとんど全員、強制送還します。サルバドルに。

(赤江珠緒)ああ、戻すんだ!

(町山智浩)1994年に。ところが彼らはすでに子供ではないんですよ。つまり、もうハタチをすぎて30近い、完全に武装化して組織としてきっちりとしたギャング集団になっている組織暴力団をそのまま丸ごとサルバドルに送っちゃったんですよ。

(赤江珠緒)それはまたすごくその場しのぎの政策ですね。

(町山智浩)まあ、でもアメリカにいられては困るっていうことなんですよね。で、ザーッと送ったんですよ。犯罪者だけ。ちゃんとしたサルバドルの人で難民として生活している人たちは送り返さないので。全員じゃないですよ。犯罪者として捕まったりした人たちだけ送り返したんですよ。強制送還で。それがサルバドルに帰ったら、まだ内戦から立ち直っていない状態で彼らが一気に勢力を広げて、サルバドル全土を制覇してホンジュラスに入っていったんですよ。

(赤江珠緒)ほー!

(町山智浩)ホンジュラス、グアテマラに入っていったんですよ。で、多国籍の巨大な犯罪組織になって。特にホンジュラスでは彼ら、ものすごく暴走して。で、内部をギャングと政府軍の間の内戦状態にしていったんですよ。

(赤江珠緒)なんという悪循環な……。

(町山智浩)ものすごい悪循環ですよ。ただ、トランプ大統領は一切その、原点にアメリカの長い間の何十年にも渡る中米政策の失敗というか、まあはっきり言って中米を搾取した結果ということに関して、まったく言及をしていないんですよ。

(赤江珠緒)うん……。

(町山智浩)だからこれはアメリカ自体が、僕が行った時にその修道士のシスター。ボランティアの人が「壁を作ることではまったく解決できない。ここに来る移民を蹴散らすということをトランプ政権はやろうとしているけど、それでも解決できないんだ。根本は何か? 中米3ヶ国に対して本当の平和をもたらす以外、なにも解決方法はないんだ。元を絶つしかないんだ」って言っていました。で、「それに対してはアメリカが実際に歴史的な責任があるんだから、やるしかないんだ」と。で、アメリカ政府はその三国に対してすごく武器援助をしたり、お金を送っているっていうんですよね。でも、「それじゃないんだ。やるべきことはそうじゃなくて、その地元に安全と経済を本当にアメリカ軍が、アメリカ政府が作り出すしかないんじゃないか?」って言っていましたね。

(赤江珠緒)うん。

(町山智浩)特にホンジュラスなんてニカラグアが社会主義政権になった時、その隣国なんで社会主義政権を倒すためにホンジュラスをアメリカ政府が軍事基地にしていたんでね。そういうことが全部いまになって返ってきているんですよ。

(赤江珠緒)はー! 元がちゃんと国として成立してくれないと、それは難民は次から次へとなりますもんね。

(町山智浩)そこをやるしかないんですけど、それをやるとアメリカにとってのたいへんな負担になるんで。そこについてはまったく語らないことにしているというのがいまのアメリカの状況です。

(赤江珠緒)現状なんですね。

(町山智浩)そう。国境を越える人にガス弾を撃つだけということでした。詳しいことはその番組でいつか放送しますんで。近々。僕が現場でいろいろと駆けずり回っています。

(赤江珠緒)町山さん、ありがとうございます。

<書き起こしおわり>

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