吉田豪 2018年に活動休止したアイドルグループ3組を語る

吉田豪 2018年に活動休止したアイドルグループ3組を語る ニッポン放送

吉田豪さんがニッポン放送『金曜ブラボー。』の中で2018年に活動休止となったアイドルグループ3組(バニラビーンズ、アイドルネッサンス、チャオベッラチンクエッティ)を紹介。楽曲を聞きながら振り返りをしていました。

(望月理恵)さあ、このコーナーではアイドルイベントに出演のギャラをほとんどアイドル音源購入で還元しているという吉田豪さんにおすすめ楽曲3曲を持参していただき解説していただくというコーナーです。そうなんです。吉田さんが選ぶ曲ってここになかったりとかね(笑)。いろいろとね。

(吉田豪)発売されてないものを持ってきたりとかそういうことをやってきたんですけど。今日は結構ベタです。番組がちょっと9月でお二人がいなくなり、僕もいなくなるということで。そういう切ない感じっていうか、要は今年で活動休止したようなグループの曲を聞いてしんみりしようっていう……(笑)。

(望月理恵)ちょっと! しんみりじゃないですか、それ(笑)。

(吉田豪)しんみりしたいんですよ(笑)。

(上柳昌彦)そう来ましたか。そんなに解散しています?

(吉田豪)いや、今年は相当ですね。

(望月理恵)「今年は」なんですか? 数が多いんで、もうなんか解散しているの、知らないうちにたくさんあるんじゃないかって思いますよ。

(吉田豪)この2年ぐらいで明らかに中堅どころ、震災前ぐらいから活動していたようなグループが力尽きたのがすごい多くて。同じような中で妹分のグループとかが出ると、やっぱり若い方に流れたりっていうのもあるし。ちょっと夢が見えなくなる時期でもあるんですよ。ハタチをすぎて周りが就職をして、私たちはいつまでこれをやっていくんだ?っていう。で、売上的にもちょっと頭打ちになってきて、収益も落ちてきたりとかで。で、1人、2人と欠けていったりとかした時、残りのメンバーはさあどうするか? みたいな。

(上柳昌彦)それがかならず、壁としてありますよね。

(吉田豪)モーニング娘。とかAKBみたいに完全入れ替え制とかに切り替えられればいいんですけど、なかなかそうもいかないじゃないですか。難しいんですよ。

(上柳昌彦)それを考えると、結構切なくなるのよね。がんばれ! と思うんですよね。

(望月理恵)思いますよね。

(吉田豪)なにかできないかと思いながらも、僕らもちょっと力不足で……っていう。

(望月理恵)PANTAさんのさっきのアイドルの話でも、「自分でアイドルって言っちゃいけない」って。

(上柳昌彦)「アイドルは自分で『アイドル』って言っちゃいけないんだよ」っていう、なかなかいいことをおっしゃってましたよね。「人に言われてアイドルってなるんだよ」っていうね。なるほどなと思いました。

(吉田豪)アイドルはどんどん自称する時代になりましたからね。自分で言えばアイドルっていう。

(上柳昌彦)本当、そうですよね。

(望月理恵)さあ、おすすめの楽曲ということで。まず1曲目、お願いします。

バニラビーンズ『Going My Way』

going my way
Posted at 2018.9.8
バニラビーンズ
T-Palette Records

(望月理恵)吉田豪さんにおすすめの楽曲を3曲ということで。まず1曲目は?

(吉田豪)バニラビーンズで『Going My Way』という、こちらが9月18日発売のラストシングルですね。バニラビーンズは2007年デビューで2018年10月7日に解散が決定という。僕は本当にたぶん最初に彼女たちをインタビューしたんですよ。最初、まだメンバーが違った時期があって。

(望月理恵)ふーん!

(上柳昌彦)ゲストにいらっしゃった時、そのことを聞いていいのかどうなのか、みたいな話をしましたね。

(吉田豪)最初のシングルだけ別のメンバーだったんですよ。で、実はその別のメンバーを売り出すための企画だったんですよ、これって。ところがその子がシングル1枚出しただけでアイドリング!!!というグループに移籍しまして(笑)。で、どうしよう?ってなって急遽モデル志望の女の子を騙して入れたのがいまのバニラビーンズですね(笑)。

(望月理恵)すごい結構企画というか。カツラをかぶっていて。

(吉田豪)そうなんですよ。まあカツラって言っちゃいけないんですけど。まあカツラなんですけど。

(望月理恵)おかっぱのをかぶって。

(吉田豪)だからファーストシングルのインタビューの時に僕が印象深いのが、「こういうコンセプトでやっていると、中が入れ替わってもわからないでいいですよね」って言っていたら、その辞めたメンバーに抗議されたんですよ。「ひどいことを言わないでください! 私たちは続けていくつもりなんです!」みたいなことを言われて。見事にその子の髪型が別の人に継承されたという(笑)。

(望月理恵)ええーっ? ああ、それも切ない。

(吉田豪)切ないです。でもまあ11年? 12年? 相当がんばった方ですよ。

(上柳昌彦)11年やっているいまの気持ちって、次の展開どう思っているのかな?ってちょっと思っていましたよ。

(望月理恵)でも11年は長いですね。アイドルとして。

(吉田豪)もちろん、もちろん。最初のシングルの時から一応スウェーディッシュポップ路線っていう、北欧でデビューしていたりするんで。

(望月理恵)曲がすごいおしゃれなんですよね。

(吉田豪)そんなの、当時なかったんですぐに絶賛して。で、セカンドシングルの『ニコラ』で超名曲が来て。その後、T-Palette Recordsっていうタワーレコードのレーベルに移籍して。

(望月理恵)うん。

(吉田豪)で、そこの最初の記者会見の司会を僕がやったりとか、本当につながりがずっと深くて。

(望月理恵)でも、たくさん見送ってきているわけですよね。

(吉田豪)結構な関わり方をしたから、かなり僕の力不足感を……申し訳なさがありますよ。ものすごいいい曲が来るタイミングがあるんですよ。で、騒ぐんですよ。騒いでも、それほど売れるわけでもなく。で、その曲がそんなに売れないと、方向性が変わっちゃうんですよ。こういうグループって。「北欧路線のすごいいい曲が来た!」って思って大騒ぎしても、ダメだとちょっと歌謡曲っぽい曲をやったりとか、ダンスミュージックをやったりとか。どうしても迷っちゃうんですよ。それが……申し訳ないじゃないですか。ラストシングルでようやく本来の方向に戻って終わるという着地になるんですけどね。

(望月理恵)わかりました……。

(吉田豪)ちなみにその解散の10月7日のライブには僕も出ます。

(望月理恵)そうですか。さすがです。

(上柳昌彦)年齢的にもいろいろと考える年齢なんだなって思った時はありましたね。

(吉田豪)公式には年齢は発表していないですけど、まあ大台には……っていうぐらいの年齢なんで。

(上柳昌彦)そう。音楽の方向性で迷うんだよね。よくあることだね。この業界ね。

(吉田豪)売れて結果が出ないとダメなんですよね。結局。プラス、やっぱりメンバーにとって夢を見せないと辞めちゃうんですよ。ちょっとずつ上がっているとかなにかがないと。地道にやるだけだと続かないんですよね。

(望月理恵)いろいろいまの時代、反応も早い時代で。そんなに来ないと……。

(吉田豪)わかりやすくファンが流れているのとか、Twitterとかで見えちゃうじゃないですか。心、折れますよ。いろんな人が言うんですよ。いろんな人が「いま、ファンが眉村ちあきに流れて辛い」みたいなことを(笑)。Twitter上でわかるじゃないですか。いままで自分にがっついていた子が……みたいな。大変なんですよ。

(望月理恵)なんか……切なくなってきた。

(上柳昌彦)切ないね(笑)。

(吉田豪)携帯を投げたみたいな話を聞いたりするんですよ。切ないんですよ(笑)。

(上柳昌彦)パッとそれを見てね。ええっ!っていうね。

(望月理恵)「私のファンだったのに……」って。さあ、おすすめ楽曲3曲ということで、解散するグループの。

(吉田豪)解散した、だったりね。

(望月理恵)続いてはこちらです。

アイドルネッサンス『前髪』

(望月理恵)さあ、続いての曲は……。

(吉田豪)アイドルネッサンスで『前髪』という超名曲ですね。もともとは名曲ルネッサンスっていう、これまでの名曲をカバーするユニットだったのがはじめてオリジナルをやったのがこの曲なんですよね。Base Ball Bearの小出祐介さんが作った……「この曲を作っただけでも小出さんはアイドルの歴史に名を残していい」って僕は公言しているんですけども。

(上柳昌彦)豪さんのそのアイドルの辞めていくという話を聞いて、いきなりイントロで前髪のあの言葉が流れてくると、ちょっとグッときちゃうよね。

(望月理恵)ちょっとね。なんか切ない感じが、もうあふれすぎてしまって。

(吉田豪)PVとかも泣けるんですよ。メンバーが合宿してみんなでカレーを作る様をすごいノスタルジックな感じの映像で映していて。これ、何年かたった後に見たら泣くよねっていうね。2014年デビューで2018年2月14日解散っていう。ちょっと期間は短かったんですけども。

(望月理恵)短いですね。本当ですね。

(吉田豪)名曲ルネッサンスの方向性もかなり面白かったんですよ。ゴダイゴとか村下孝蔵とか原田真二とか、そういうのまでカバーして。『ホーリー&ブライト』とかをカバーしていて。

(望月理恵)へー!

(吉田豪)原田真二とセッションしたりとか。不思議な方向だったんですよ。

(望月理恵)それはそれで他にいない存在だから。

(吉田豪)全然いないですよ(笑)。

(上柳昌彦)狙い所としてはその世代の人とかがまた応援するっていうのはあり得る世界だから。

(吉田豪)で、歌唱力のレベルが高かったんですよね。他のアイドルグループだったら十分に歌唱メンバーとして入れるような子が何人も揃っていて。その中でセンターを張っていた石野理子っていう子がかわいい、とんでもなく歌がうまいっていうので。その子がいま、バンド活動の方に流れて。僕、1回だけアイドルネッサンスとトークイベントをやったことがあるんですよ。面白かったのが、他のメンバーの子は普通にアイドルっぽいんですよ。「アイドルで大変で忙しいから学校の行事とかに出れないのが寂しい」みたいなに言っている時に1人だけ「学校の行事って楽しいんですかね?」みたいな(笑)。いい中二病感がすごい出ているんですよ(笑)。

(望月理恵)フフフ(笑)。

(吉田豪)で、ファンの子が「かわいい!」とか言うたびに、「かわいいって、なんなんですかね? そんな気軽に人のことをかわいいとか言うのって、どうかと思います。私は人のことをかわいいって言う人のことは信用できません」みたいな。すごくいいんですよ(笑)。「罠だと思う」とか言っていて(笑)。

(上柳昌彦)それ、豪さんじゃないとインタビューしにくい感じですね(笑)。

(吉田豪)喜んで会いに行ってそういう話だけを掘り下げるっていうのをやって。「人を褒めるのは罠にはめるような行為です」みたいなことをずーっと(笑)。いいんですよ。なんか思春期!っていう(笑)。

(望月理恵)でもこんな歌が上手くてもやっぱり解散に行ってしまうっていう?

(吉田豪)歌が上手くても、人気があっても。それだけじゃないんですよ。

(望月理恵)いろんなものが合わさらないと……っていうことなんですかね。

(吉田豪)ちょうど数年前にTIFの野外ステージのトリをアイドルネッサンスがやってこの『前髪』を歌って、すごくよかったんですよ。で、帰り際。電車で僕が帰ろうとしたら別のオタがこの『前髪』の冒頭を歌いながら「あれ、いい曲だね……」とか言いながら帰るのを見て「ああ、いい光景!」っていう。

(望月理恵)へー! それでもなんだ……っていう気がしちゃいますけどね。

(吉田豪)残念です。でも、それぞれにソロ活動を始めたりとか、いろいろとやっているんで。がんばっていただきたいです。

(望月理恵)さあ、おすすめの楽曲3曲目はこの曲です。

THE ポッシボー『ヤングDAYS!!』

(望月理恵)3曲目はどんな曲なんでしょうか。

(吉田豪)はい。THE ポッシボーの『ヤングDAYS!!』というね。いいですよね。

(上柳昌彦)はじめて聞いたんですけど、いきなり明るい曲なんですよ。すっごい切なく聞こえますね。

(望月理恵)「夢にホップ・ステップ・ジャンプ」っていう言葉から始まるんですね。

(吉田豪)デビュー曲だから本当に前向きな未来しか歌っていないんですけど、解散した後に聞くと本当に泣けるんですよ(笑)。

(望月理恵)すごい切ない感じがしてきますよね。

(吉田豪)健気に一生懸命に歌っているわけじゃないですか。それがなかなか上手くいかなかったっていう現実がこの後に待っているのかと思うと、ねえ。

(望月理恵)ねえ。

(吉田豪)2006年デビューでもともとはハロプロエッグのメンバーが集って。こうやってつんくさんの曲でデビューしたんですけども、紆余曲折がすごいあったグループなんですよ。もともとハロープロジェクトのメンバーだったのが他の事務所のNICE GIRL プロジェクト!っていうところに入れられたりとか。メジャーデビューもしたものの、結構いろいろと苦労をしていて。僕、その時期にあるレコード会社の人から「本当にいま、解散の危機で……」っていうような話を聞かされたりとか。

(望月理恵)うんうん。

(吉田豪)つんくさんも作曲から離れてとか。結構苦戦していたんですよ。それがチャオベッラチンクエッティっていう風に改名して勢いを取り戻して中野サンプラザがまたできるぐらいになって。「おおっ!」って思った時にメンバーが1人辞め、そしてもうやり尽くしたみたいな感じで2018年8月20日解散ですね。

(望月理恵)そうですか……。

(上柳昌彦)もう次の人生、どうか幸せになってほしいと思いますよね。本当になんか知らないですけど。親戚の叔父みたいになってきましたけども。

(吉田豪)フフフ(笑)。

(望月理恵)本当に。でも、いい経験としてね、この活動を。

(吉田豪)つい最近、だから僕も中野サンプラザでハロコン、ハロープロジェクトのコンサートに。それこそ後藤真希さんとか加護亜依さんとか市井紗耶香さんとかいろんな人たちが復活して。で、その後藤・加護の回を見に行ったりとかしたんですよ。まあね、いろいろあっても戻ってこれるし……みたいな感じはありますよ。何年もかかったりするけども。でもなんかね、ちょうどポッシボーの後輩のキャナァーリ倶楽部っていうのがいるんですけど。それが今度、限定で1回再結成ライブをやるとか、なんかいろいろとあるんでね。オタも長生きしていればあ、またなにか見れる機会がありますよ、ぐらいの気持ちでいますよ。それが10年後か20年後か、あなたが生きていられるかどうかはわかりませんが……っていう。

(望月理恵)「あのグループが!」みたいなことがこの先、起こるかもしれない。

(吉田豪)そうそう。全然ありますからね。

(望月理恵)さあ、半年間に渡って吉田豪さんには様々な楽曲を教えてもらいました。本当にありがとうございます。知らない曲がいっぱいあったんで、ありがとうございます。私たちは卒業ということで。いったん吉田さんも……。

(吉田豪)卒業でーす!

(望月理恵)吉田さん、でもずっと動いていますからね。スケジュールなど詳しくは吉田豪さんのTwitterをぜひご覧ください。本当に半年間、ありがとうございました!

(吉田豪)ありがとうございました。

(上柳昌彦)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

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