宇多丸 日大アメフト部危険タックル問題 選手記者会見と『Cobra Kai』を語る

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宇多丸さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で日大アメフト部の危険タックル問題についてトーク。選手の記者会見を見ながら連想した映画『ベスト・キッド』と『Cobra Kai』について話していました。


(宇多丸)ということでね、一応僕の誕生日がどうこうっていう話は後ほどもしますけども……。

(宇垣美里)いっけなーい!……まあ、覚えてましたけど。おめでとうございますー!

(宇多丸)ありがとうございます。まあ、そういう話はいいんです。後ほどしますよ。

(宇垣美里)おいくつになられました?

(宇多丸)49の話はいいんです。

(宇垣美里)あちゃー!(笑)。

(宇多丸)「あちゃー!」ですよね。俺的にも、自分的にも「あちゃー!」って思っていますけども。

(宇垣美里)宇多丸さん、いくつか全然わからないですから。

(宇多丸)年齢不詳のところあるかもしれませんけども。自意識的には49っていうのはちょっとね、「あちゃー」なんですよね。

(宇垣美里)びっくりっていう感じですか?

(宇多丸)やっぱりね、中身的には30代後半ぐらいで止まっちゃっているし。自分の部屋とかのフィギュアとか置いてある様子を見回すと、完全に10才なんですよ(笑)。

(宇垣美里)フフフ(笑)。

(宇多丸)10才の頃に俺がしたかった部屋に住んでいるっていう感じなんで。ちょっと、ねえ。だからその意味で言うとね、49にもなって言うのもあれですけども。ハタチそこそこでさ、このアメリカンフットボールの危険行為のあれで記者会見をやられていたじゃないですか。問題の選手が。で、これを見ながらね、話をしていて。なかなかね、顔を晒してこうだっていうのはさ……。

(宇垣美里)相当勇気がいることですし、果たして必要だったのか?っていう気持ちにもなりますし。彼をここまで追い詰める必要もなかった気もするけれども……。

(宇多丸)もうちょっと対応がよければ、こんなことをする必要はなかったのかもしれないけど。でも、少なくとも言えるのはハタチにして、まあ立派な対応をしていますよ。しっかりした受け答えですよ。僕、だっていま49でもこんな会見に出ろって言われたら、まず出た途端にガタガタガタッてして、ベソをかいたりとか。水をガブガブ飲みながら、二言目には人のせいですよね。「俺じゃねえんだ! あいつが!」みたいな。

(宇垣美里)「みんなのために!」ってやりますよね。

(宇多丸)そうそう。「俺がやらなきゃいけねえんだ!」みたいな。まあ、言っていることとしてはそうかもしれないけれども。だから、この選手もね、被害者のご家族の方もね、もちろんそうだけども。同時にこの会見をされた選手の親御さんの気持ちとかさ、そこも想像するともう胸が痛くなるなっていう。

(宇垣美里)彼もまた大好きだったものを好きでなくなるってどんな気持ちだろう?って……。

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会見を見ていて宇多丸が連想したもの

(宇多丸)そう。「アメリカンフットボールももうあまり好きじゃなくなっちゃったかも……」とかね。「もうやりません」とかね。正直、見ながら僕、ちょっと泣いちゃったぐらいなんだけど。で、この事件を見ていて私が連想したのは来週の月曜日にやるこの番組の特集に通じるという話なんですけど。宇垣さん、『ベスト・キッド』という映画はご存知ですか? 1984年の作品。

(宇垣美里)はい。知っています。ただ、見たことはないんですよね。

(宇多丸)なんとなくイメージで、日系アメリカ人のおじいさんがいじめられっ子の子供に空手を教えて。で、しかも空手の教え方が独特で。たとえば「車にワックスがけをしろ! ワックス、オン! ワックス、オフ!」っていう。こういう動きでワックスがけをする。そうすると「こんなの、空手の訓練じゃねえよ!」みたいに言っているんだけど、実はそれが(空手の)動きになっているっていう。

(宇垣美里)ああー、後から気づくんですね。

(宇多丸)そうそうそう。そんな感じの場面がある。あと、クライマックスの場面で鶴のポーズを取って。片足をケガしているんですけど、鶴のポーズを取ってバン!って。ラルフ・マッチオっていう当時のめちゃめちゃかわいらしい美少年が、いじめられっ子だったんだけどいじめっ子をやっつけるっていうね。そういう話なんですよ。監督は『ロッキー』っていうスタローンの映画と同じジョン・G・アヴィルドセン。

(宇垣美里)はい。

鶴のポーズのキック



(宇多丸)で、普通に難しいことなく楽しめる痛快青春映画なんだけど。原題は『The Karate Kid』といううタイトルで。なんだけど、クライマックスでいじめっ子だった男はコブラ会というまた別の……。

(宇垣美里)コブラ会……まあまあ、空手会みたいなものですか?

(宇多丸)まあ、アメリカの白人の人が師範をやっている道場。で、そこの道場はすごく冷酷な教えなんですよ。「相手に情けをかけるな!」みたいな。で、クライマックスの試合で主人公が片足をちょっとケガしちゃって引きずっている状態。そしたら、試合の途中でコブラ会の師範が主人公の対戦相手のいじめっ子に「お前、ちょっとこっちに来い!」って……まさに今回の事件を僕は連想したんだけど。「お前、あのケガをしている足を狙え!」って言うわけです。で、そのいじめっ子だった、すごくワルに見えたその男の子が「えっ!」っていう。もう完全に「僕、ひょっとしたら間違った師についちゃったのかな?」っていう。

(宇垣美里)そこで気づくんですね。

(宇多丸)気づくんですよ。で、実際に彼は命令通りに足を狙ったり、卑怯なことをした挙げ句にやられちゃうんだけど。で、月曜日にやる特集というのはこの1984年の『ベスト・キッド』の実は続編。34年ぶりの続編がYouTubeのオリジナルドラマでいま、配信になってやっていて。日本でもアカウントを持っていれば日本語の字幕がついた状態で全話見れるんですよ。

(宇垣美里)へー!

(宇多丸)で、これがすごいのが、その師の教えに従ってやった挙げ句に負けちゃった男がバーン!って倒されて……前作のクライマックスのその場面から始まるわけ。ドーン!って倒されたその姿が「34年後……」っつって、すっかりもうくたびれたおじさんになったその倒された男。いじめっ子だったやつ。で、要は結局卑怯なやり方をした挙げ句、試合に負けてしまった。それを引きずったまま34年間、負け犬人生を歩んでいて。

(宇垣美里)ちょっと歯車が狂っちゃったんですね。

(宇多丸)一方、ラルフ・マッチオ演じる主人公は成功体験を生かしてか、車のディーラーみたいなのをやっていて、すごく成功しているわけ。テレビコマーシャルとかも空手のポーズを取って「値引きします! ドーン、ヤーッ!」みたいなことをやって調子こいているわけ。方や、こっちはものすごい何でも屋さんっていうかビルの用務員みたいなことをやって食いつないでいて……という。まあ、負け犬人生。つまり、まさに悪いことを命令されてやっちゃって、それで負けちゃった側。負けた悪役のその後の人生に焦点を当てて。

(宇垣美里)ああーっ!

(宇多丸)で、そいつが一念発起して新たなコブラ会を作って。

(宇垣美里)新しいっていうことですか?

(宇多丸)新しいコブラ会を作って。要するに、自分は負け犬人生を歩んでいるのでふてくされていたんだけど、かつてのライバルと出会って。向こうは成功しているわけですよ。会話でカチーンと来て。で、かつての主人公のようにいじれられっ子の少年をコブラ会で鍛えて。

(宇垣美里)逆にね。

(宇多丸)という話になっていて。これはまあ、めちゃめちゃおもしろい。なので、月曜日にそれを特集しようと思ったんだけど。なので、そういう悪いコーチっていうか悪い師匠についてしまって、図らずもそういういけないことをしてしまった選手っていうのを見た時、「ああ、これは『ベスト・キッド』のあいつみたいじゃん」って連想して。しかもこれ、別に……要する子供というか、スポーツに限った話じゃないじゃん。

(宇垣美里)まあよく、やっぱり自分の心で「なんかおかしいな」っていうのをフタして、わからないふりして、知らないふりして生きていくことってできると思うんですよ。そういう風なことをして、意地悪なとかズルい手をしている人っていっぱいいると思うけど。でも、それって絶対に死なないから。心の奥底でずーっと残って、いつか心を腐らせるっていう風に私は思うんですよね。

(宇多丸)時限爆弾のようにここにあって。

(宇垣美里)そう。知らないふりしちゃダメだよ、そこの違和感は……っていうことですよね?

(宇多丸)そうそう。だから会社員だってなんだってありうるじゃん? それこそ、いろいろと公文書偽造のあの方だって、図らずもやって苦しんじゃって亡くなられてしまって……とか、あったじゃないですか。全然だから学生とかここに限った話じゃないし。

(宇垣美里)そうですね。

(宇多丸)だから僕、この会見を見ていて唯一、ここから先にせめて救いがあるとすれば、そういう時に上が言うことだろうとなんだろうと、間違っていることをちゃんとそこで拒絶したり。「間違っている!」ってしていかないと、後々よりひどいことになりうるし。

(宇垣美里)そう。

(宇多丸)っていう機運? 長い物に巻かれるっていう……まあ、しょうがないんだけど。俺もこれから、絶対に巻かれていくと思いますよ。それは橋Pにね、橋本吉史プロデューサーにいろいろと黒い命令をされながら。「おかしいんじゃないか? 天気のことを悪く言うなんて、おかしいんじゃないか? 僕はおかしいと思います!」って(笑)。

(宇垣美里)フフフ(笑)。

(宇多丸)ねえ。やりながらもやっていますけども。

(宇垣美里)でもやっぱり、自分に正直にね。

(宇多丸)そう。良心に正直にという機運が出ればいいかなという。真面目な話になってしまいました。49なりの。

(宇垣美里)そうですね。彼の人生に幸あれと思うばかりです。

(宇多丸)思うばかりでございます。あと、その月曜日のドラマ。『ベスト・キッド』の続編のズバリ、『Cobra Kai』というね。こちらの特集も楽しみにしていただければと。

Cobra Kai (Score from the Original Series)
Posted at 2018.5.22
Zach Robinson & Leo Birenberg
Madison Gate Records

(宇垣美里)予習して聞いたらさらに楽しいかもしれませんね。

(宇多丸)ぜひ『ベスト・キッド』を見て、『Cobra Kai』も。『Cobra Kai』は2話まではYouTubeで無料で見れますから。ぜひぜひご覧いただきたいと思います。

『Cobra Kai』第一話


(宇垣美里)いいですね。見ましょう。

<書き起こしおわり>



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