町山智浩さんが2025年2月4日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『小学校~それは小さな社会~』を紹介していました。
※この記事は町山智浩さんの許可を得た上で、町山さんの発言のみを抜粋して構成、記事化しております。
(町山智浩)今日はですね、もうすぐアカデミー賞なんですよ。3月に。それで今回はアカデミー賞のドキュメンタリー部門のなんと長編と短編、両方の部門に日本人の監督による日本映画がノミネートされてるんです。これ、たぶん初めてじゃないかな? 同時っていうのは。日本時間3月3日にアカデミー賞の授賞式があるんですけど。しかもですね、これ、長編と短編は両方とも山崎エマさんっていう同じ人が関わってます。これ、前例がちょっとないんじゃないかな?
で、短編の方は山崎エマさんが監督をしている『小学校』というタイトルの短い映画なんですが。これは元々、世田谷かな? そこの小学校にずっと150日、4000時間撮影して作られた非常に長い元があって。それを短く、20分ぐらいにまとめたものが今回、短編でノミネートされてるんですけど。これね、もうYouTubeとかで配信されてるんで見ることはできるんですけども、めっちゃくちゃ泣いた。
「めっちゃくちゃ泣いた」(町山智浩)
(町山智浩)この短編はね、ものすごく話を絞っていて。小学校1年生がもうすぐ、新しい1年生が入ってきて2年生になるんですね。春に。で、演奏会をして新しい小学1年生を迎えようとするんです。それで大太鼓とかシンバルは1人だけが叩くんですよ。それのオーディションをやるっていう話だけなんですけど。
で、1人の女の子がなんとかそれに選ばれたくて、何度も挑戦して、それでオーディションに落ちたりして。で、また受かるんだけれども練習でうまくいかなくて、泣いて……という。もうちっちゃい子が一生懸命、なにかするだけでね、おじいちゃんは泣いちゃうの(笑)。
それで僕がとにかく泣いたのはね、その女の子がオーディションに落ちて泣いてるんですけど。すると全然関係ない、遠く離れたところに座ってる男の子も泣いてるんですよ。それで「どうしたの?」って聞くと「はるかちゃんが落ちた……」って泣いてるんですよ。この子、はるかちゃんのことが好きなんだと思うの。もう素直に……本当に子供が素直なだけでおじいちゃん、泣けてきちゃうんです。おじいちゃん、もうすぐ死ぬからね(笑)。
もうすぐ泣いちゃう。困っちゃうんですけど。もう年を取ると涙もろくてね。はい。それがね、『小学校』という映画で。すぐ見れるんすけど。短編で20分なんでね、ぜひ見ていただきたいんですが。同じ山崎エマさんがもう1本の長編の映画の方ではプロデュースと編集をしてるんですね。その映画が長編ドキュメンタリー賞にノミネートされていて、おそらく通るだろうと僕は思ってるんですけども。これが伊藤詩織監督の『ブラック・ボックス・ダイアリーズ』という映画なんです。