プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で、おじさんをテーマにした本が売れている件についてトーク。その中で『パリのすてきなおじさん』という作品を紹介していました。
(プチ鹿島)そう。僕、オープニングで「昨日、本屋さんに行った」っていうのはこの記事を確認するためだったんです。日本経済新聞に「本の主人公はおじさん」っていう。まあ、「最近、おじさんの豊かな人生経験を描いたエッセイや悪戦苦闘する日常を描いた漫画が人気となっている。主な購買層は最もおじさんと距離があるはずの20代から30代の女性だ」というんですよ。
(塩澤未佳子)へー!
(プチ鹿島)これがね、丸善丸の内本店。だから東京駅ですよね。そこでそういうおじさん本が並べて売られているっていうんで、「本当か、これ?」って行ったんですよ。スタッフ、ディレクターと一緒に。そしたら、大きい本屋さんだったんですけど、並べてありましたね。
(塩澤未佳子)ありましたか。
(プチ鹿島)ここで紹介されている人気のおじさん関連の本として、『パリのすてきなおじさん』っていう本。柏書房さん。
(塩澤未佳子)ふーん。
(プチ鹿島)あと、『おじさん酒場』っていう亜紀書房さん。
(プチ鹿島)あと、これは漫画で『1日外出録ハンチョウ』。講談社。
(プチ鹿島)『最強伝説 黒沢』。小学館。これも漫画。
(塩澤未佳子)へー!
(プチ鹿島)まあ、漫画はこれ、もともと普通に売れていた。スタッフもこれを読んでいた。だけどこの『パリのすてきなおじさん』とか『おじさん酒場』ってこれ、どちらも女性が書いてらっしゃるんです。
(塩澤未佳子)ええっ?
(プチ鹿島)で、現地に行って確認をしようと思って。要は、結局おじさんって人生経験があるじゃないですか。そんなおじさんから何かヒントを得られればという積極的な女性がこういう本を買っているっていうんですよね。
(塩澤未佳子)ええ。
『パリのすてきなおじさん』
(プチ鹿島)実際にね、この『パリのすてきなおじさん』っていうのを買ったんです。ここで紹介されている本は全部買ったんですけど、紹介するとしたらこれが面白いなと思って本番直前まで読んでいたんですけども。面白いんですよ。要はこれ、パリ在住のジャーナリストの方とイラストレーターの金井さんがタッグを組んで「パリについての本を出そう」と。「何にしようか。グルメ? ファッション?」「いや、おじさんでいいんじゃないか?」と。で、この作者の方は女性なんですけど、もともと若い頃からおじさんの話を聞いていろいろと人生のヒントを得てきたという。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)「おじさんをいろいろとコンプリートしてきた」っていう、そういう表現なんですよね。「だったらパリに行って、有名人じゃない、競馬場とかレストラン経営しているとか街を歩いているおじさんに話を聞いていこう」っていう。で、この方は本業がイラストレーターなんですよ。だからそのおじさんのかわいいイラストも載っていて、それも受けているんですって。
(塩澤未佳子)ええーっ。ちょっと見てみたいな。
(プチ鹿島)たとえば、昔『フランス人は10着しか服を持たない』っていう本、あったでしょう?
(塩澤未佳子)売れましたね。
(プチ鹿島)実際にそういう人がいたんだって。10着しか。安い、でも機能性のいい服を着ているおじさんが街を歩いていて。聞いてみたら画家だった。でね、「みんないろいろと人生のことを考えすぎだ」って言うですよ。「服なんか、そんな悩まなくていいんだ。機能性が優れている服が10着もあれば。そんなことに悩むより、人生の本質的なことを考えるべきだ」っていう。いいこと言うじゃない。
今読んでいる本。『パリのすてきなおじさん』特にこのページが好き? pic.twitter.com/47X5b9VML7
— えーこ (@akoh32) 2018年2月9日
(塩澤未佳子)そうですか!
(プチ鹿島)だからこの本の本質っていうのも見えてきて、ざっくばらんにいろいろとお話を聞いて。ファッションとかグルメとか遊びとか、項目立てて聞くんだけど、最終的にはそのおじさんが人生で培ってきた名言みたいなのを引き出しているんですよ。で、2015年にパリで同時多発テロがあったでしょう? それが起きてから、このおじさんはさらに、「もっと本質的なことを考えよう。服とかはもう、気に入ったのが10着もあればいいんだ。悩まなくていいんだ」って。
(塩澤未佳子)ほう!
(プチ鹿島)あと、パリに移民してきて食堂をやっているオヤジとかも。その人はイスラム圏から来た人なんですけども、「だいたいみんなモメているのはお互いの話を聞かない。尊重しないからだよね」みたいな。いいこと言ってるじゃない。で、面白かったのは92才で競馬場にいつも行っている、もうおじいちゃんですよね。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)その人の話を聞いていて。「まあ、もっと人間を好きになればいいんだよ」みたいな。「テロとか差別は昔からあったよ」って。92才だから。
(塩澤未佳子)知っているよね。いろいろと。
(プチ鹿島)で、競馬をやりつつ、「でもみんな、もっと人間を好きになればいいんだよ」みたいな。これ、読後感がいいんですよね。イラストレーターの金井真紀さんのイラストがあって、いま女性にもこの本が受けている。
(塩澤未佳子)そうですか。
(プチ鹿島)丸善さんだけじゃなくて、スタッフと「日経に書いてあることは本当かな?」って他の本屋さんも大きいところを3店、4店電話したんですけども。そしたらこの『パリのすてきなおじさん』っていうのがどこの本屋さんでもすごい売れている。だって去年の10月に出して、2万5000部売っているんですよ。
(塩澤未佳子)すごいですね! じゃあ、そんなにいつの間にか……。
(プチ鹿島)で、まあ記事はこう言うんですよ。「なんでいままではウザい、汚いっておじさんのことを言っていた女性がおじさんの話を聞いているのか? それは働く女性が増える中、バリバリとおじさんと肩を並べている証拠だ」と。で、「自分が壁にぶつかった時、このおじさんに聞けばいいじゃないか。このおじさん、無駄に人生経験を積んできてないだろうし……自分からは言わないけど、いろいろ相談をしたらヒントをくれるんじゃないか?」みたいな。いい意味でおじさんを利用しようっていう人が増えてきたという。
(塩澤未佳子)女性の感覚が出てきたんだ。
男女のジェンダー・フリーの浸透
(プチ鹿島)言ってみれば男女のジェンダー・フリーが浸透している証拠でもあるし、もっと言うと女性のおじさん化。っていうことはもうみんなバリバリ仕事をしているっていうことですよね。
(塩澤未佳子)みんな一緒っていう。
(プチ鹿島)だからじゃあ、使えるものはおじさんでも使おうっていう。いいことですよね。
(塩澤未佳子)フフフ(笑)。いいですよね。どっちにとってもいいじゃないですかね。
(プチ鹿島)そうそう。いちばんいい手本があるんだから。仕事に行き詰まった時、おじさんは何をしているのかな? とか。だからいいんじゃないですか。どんどん競馬場とかに行ってウサを晴らすとか。最近は安い立ち飲み屋とかに行ってね、そこに女子が進出しているとか。だからおじさんの遊び場にどんどん進出していけばいいんじゃないですかね。
(塩澤未佳子)いま、そうなっていますよね。
(プチ鹿島)なってますよね。で、「1000円でこんなに飲めるの?」って気づいちゃうから。
(塩澤未佳子)そこが面白いんですよ。
(プチ鹿島)というわけで、主人公のおじさんの本が売れているという話でした。
<書き起こしおわり>