町山智浩 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の型破りな魅力を語る

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町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』についてトーク。その型破りな魅力について話していました。

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(海保知里)町山さん、『スター・ウォーズ』がいま、日本でも始まったんですけども。そちらではいかがですか?

(町山智浩)『最後のジェダイ』ですね。8作目になりますけども。アメリカでは、映画批評家の人たち……それこそ、何百人にもいるわけです。アメリカには300人ぐらい映画批評家がいるんですが。

(海保知里)そんなにいるんだ。

(町山智浩)あのね、地方紙ごとに違うんですよ。批評家の人が。アメリカは新聞が各市ごとに分かれていたりするんで。で、それごとに評論家がいるんですよ。各新聞ごとに。で、300人ぐらいいるんですけど、300人のほとんどが大絶賛。

(海保知里)ああー、そうなんだ。

(町山智浩)ところが、それを遥かに上回る、何万人もの『スター・ウォーズ』ファンがみんな怒っているんですね。

(山里亮太)えっ?

(海保知里)なんで怒っているの?

(町山智浩)だから、真っ二つですよ。

(山里亮太)賛否両論、真っ二つ。

(町山智浩)そう。賛否両論でも、特に映画評論家と『スター・ウォーズ』の熱心なファンの間で真っ二つです。

(山里亮太)へー! どこに怒っているんですか?

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批評家たちと熱心なファンで賛否が真っ二つに分かれる

(町山智浩)怒っているのはね、とにかく今回は型破りなんですよ。「型破り」っていうのはもともと歌舞伎とか芸事の言葉なんですね。つまり、歌舞伎とかそういう日本の芸事っていうのは全部「型」があるわけですよ。物語にもあるし、動きにも演技にも全て型があるんですね。で、その中でやるんですけども、それを全部壊していく、破っていくんですよ。今回の『スター・ウォーズ』は。で、やっぱり8作も作られているから、もう型ができちゃっているんですね。しかも、そのファンの間ではその8作が一種の「聖書」として扱われている形になっているんですよ。

(山里亮太)ほう。聖書。

(町山智浩)実際に『スター・ウォーズ』の中に出てくる「ジェダイ」という概念がありまして。ジェダイの騎士たちっていう、まあ超能力を持っている人たちみたいな感じなんですね。簡単に言うと。その彼らの思想を宗教として真面目に考えている人がいるぐらい、まあ一種の「スター・ウォーズ教」みたいなものになってしまっているんですよ。

(海保知里)うん。

(町山智浩)だから、「それは『スター・ウォーズ』としてはおかしい!」とか言ったりするんですね。

(山里亮太)はー、なるほど!

(町山智浩)ところが、今回の『最後のジェダイ』は、ここで話すと要するに型破りだから、みんなが予想している展開を次々と裏切っていく形なんで、説明できないんですけども。見ていない人がいるんで……。

(山里亮太)なるほど。ネタバレになっちゃうんですね。

(町山智浩)そうそうそう。ただ、はっきり言うのはいままでの、これも含めて8作品の『スター・ウォーズ』を聖書と考えると、その聖書を焼き捨てろ!っていう映画なんですよ。

(山里亮太)へー! それは古くからのファンの人たちは……。

(町山智浩)そうなんですよ。

(海保知里)それで怒っているんだ。

(町山智浩)はっきりと、もうセリフとかで「そんなもの、いまだに信じているのか?」とかですね。

(海保知里)へー!

(町山智浩)だから、「自分を乗り越えさせるのが師匠の役目なんだ」とか、そういうセリフがバンバン出てくるんですよ。特に、『スター・ウォーズ』の主人公はルーク・スカイウォーカーという少年だったわけですけども、彼の父とかそのスカイウォーカー一族の物語と次第になっていったんですね。『スター・ウォーズ』は、だんだん。彼らはすごい特殊な能力を持った、選ばれた人たちで。彼らの英雄伝というか、神話みたいなものになっていったんですけども、それ自体をもう、「そうじゃないよ」って――まあ見ていない人がいるんで説明しづらいんですけども――そういう風にしちゃう映画なんですよ。

(海保知里)ええ、ええ。

(山里亮太)なるほど……。

(町山智浩)だからまあ、映画批評家の人たちはアメリカでは大絶賛なんですけど、ずーっとそれを信じていたファンの人たちからすると、やっぱり「これは違うんじゃねえの!?」みたいな話になっていますね。

(海保知里)ふーん! それで賛否が分かれているんですね。

(町山智浩)そうですね。やっぱり、あと映画の作りとして時々ぎこちないところがたしかにあるんですけど……それはやっぱり型を壊すとそうなりますよね。型の中でやっていれば安定しているから。型というのはすごく重要で、歌舞伎とかそういうのでなぜ型があるか?っていうと、型をきっちりやると基本的には見られるものになるからなんですよ。そのための型なんですけど、それを壊すとやっぱり型はグズグズになりますよね。ないから。だからちょっと、過渡期的なところで苦しいところはあったりするんですけど、ただそれはやっぱり型を壊した時にはどうしてもそうなりますからね。

(海保知里)ふーん!

(町山智浩)ただ、『スター・ウォーズ』っていうのはもともと、いちばん最初の始まりは田舎の惑星に生まれた貧しい農家の少年が銀河を救う英雄になるっていうところが非常に感動的だったんですけど、だんだん高貴な血の人の話になっていっちゃったんで。ところが、今回はその『スター・ウォーズ』の原点に戻っているんですよ。

(山里亮太)ほう!

(町山智浩)なんでもない少年に希望を与えるということに戻っているので。型を壊すことで原点に戻ろうとしている、非常に志の高い映画ですね。まあでも、そういうのって昔から、全ての文化にあるんですよ。結構。たとえばロックンロールって最初に出てきて、だんだんだんだん演奏が高度になっていって、型にはまっていったんですよ。クラシック化していったんですよ。

(海保知里)ふんふん。

(町山智浩)で、その限界まで来て、「これだと違う」っていうことで1回めちゃめちゃに壊すこととしてパンクロックっていうのが出てきているんですね。だから、それは原点に戻ることなんですけど、実際は破壊行為なんですよ。原点に戻るための破壊行為なんで、そういったことは創造の世界では繰り返されていくんで。まあ、賛否両論にかならずなりますよ。そういうことをやった時には。

(海保知里)そうですよね。

<書き起こしおわり>


※もっと詳しい解説は町山智浩さんの有料コンテンツ「町山智浩の映画ムダ話」をどうぞ!



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