プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で天皇陛下の退位や改元の日程に関する新聞各紙の報道の読み比べを披露していました。
(プチ鹿島)先週の金曜日、皇室会議という大きな会議があったじゃないですか。で、これは毎日新聞、読売新聞、産経新聞とか各紙、翌日に12月2日の見出し。大きく報じられていまして。毎日新聞。「退位 2019年4月30日。5月1日即位・改元。天皇陛下が退位される日程について安倍晋三首相が衆参両院議員議長や皇族から意見を聞く皇室会議が1日、宮内庁で開かれた」と。で、まあこういうことなんですよ。これ、12月1日の皇室会議をめぐってなんですけど、11月22日に結構各紙、いろんな見出しが飛んだんですよね。だから皇室会議が終わるまで僕はこの読み比べをためていたんですけども。今日はそのお話をしようと思うんですね。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)でも、新しい元号が決まる、発表されるというのもすごいですよね。
(塩澤未佳子)そうですね。
(プチ鹿島)どうですか? 僕は新しい元号は「文春」でいいんじゃないかと思っているんですけど。
(塩澤未佳子)フフフ、文春って……なんで?(笑)。
(プチ鹿島)だっていま、文春が発売されるたびに世の中が動いているでしょう? 世の中、変わるでしょう? そういう意味ではいま、文春4年ぐらいなんですよ。だから。
(塩澤未佳子)アハハハハッ!
(プチ鹿島)だから正式に「文春」でいいんじゃないですか?……っていうのはさておき、まあ「新潮」でもいいですけども。「文春」か「新潮」だったら下世話な世の中になりますね。
(塩澤未佳子)ですね。結構ね(笑)。
皇室会議後の各紙の報道
(プチ鹿島)というのはさておき、その11月22日。この読み比べが面白かったんですよ。っていうのはその皇室会議が12月1日に開かれることになったということで、各紙退位日程というのがブワーッと出たんです。これ、毎日新聞から行きますよ。「退位日程に2案。19年3月31日と4月30日」。これは東京新聞の一面。一面しか読んでませんよ。「天皇退位2019年3月31日か4月30日。皇室会議来月1日開催」と。まあ、毎日新聞と同じですね。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)朝日新聞。これも一面の左端の方にこう書いてあります。「退位日 19年3月末と4月末案検討」という。同じですね。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)ところが産経新聞になりますと、同じ22日の一面。「(平成)31年5月1日改元へ」という。
(塩澤未佳子)うん。ほうほうほう。
(プチ鹿島)だからいままで読み上げた3紙っていうのは「2案あるんだよ。3月末か4月末だよ」って言っていたんですけど、(産経は)「5月1日改元へ」と。読売新聞。「退位 19年4月末有力」。だからこれ、産経新聞と同じです。面白いでしょう?
(塩澤未佳子)ええーっ!
(プチ鹿島)だから、どちらかと言うと政権寄り……僕、言いますよね。新聞には特に政権側に対して一塁側と三塁側っていうのがあって。で、安倍政権に対する一塁側にいるのが読売新聞、産経新聞じゃないかっていう見立て。で、三塁側。ちょっと距離を置いてビジター的なところにいるのが朝日、毎日、東京っていうね。その図式を頭に入れておくと新聞を読むのが面白いですよっていう。だから三塁側にいるチームは一応2案書いているわけです。3月末と4月末。ところが、一塁側にいるところは、やっぱり政府筋の情報をもとに「4月末退位、5月1日改元」というので。産経新聞を読んでみると、「安倍首相は統一地方選を考慮して5月1日を推す意向を示している」というので、まあ首相がこういう風に言っているんだから、5月1日に改元だろうっていう。そういう報道の仕方なんですよね。面白いですよね。
(塩澤未佳子)へー! 違っていたんだ。
(プチ鹿島)これだけでも新聞の報道の仕方というのが違うんです。で、実際にご存知の通り、この間の1日の会議では4月30日に退位されて5月1日に即位・改元ということになりました。でね、これをめぐる読み比べというのも面白くて。11月22日に話は戻りますよ。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)これ、日経新聞を読みましょうか。「官邸 宮内庁と綱引き」というね。「19年4月末案、急浮上」。だから今回採用されたというか、まああくまでもこれは会議で決まったもので正式決定ではないのですが。これでほぼ決まりだろうとは言われていますが。この4月末退位・5月1日改元っていうのは急浮上したんだと。その理由っていうのは、官邸と宮内庁が綱引き。気になりますよね?
(塩澤未佳子)はい。
官邸 宮内庁と綱引き
(プチ鹿島)日経新聞を読んでみますと、「政府は当初、18年12月末退位・19年元日改元」という。そういうイメージ、ありましたよね。やっぱり大晦日に退位されて。
(塩澤未佳子)で、次の年から……。
(プチ鹿島)「……もしくは、19年3月末退位・同年4月1日改元の2案を検討した」というんですよ。当初はですよ。ところが、いろいろと報道で目にしたり耳にしたりしている人は多いと思いますけども。結構年末というのは皇室の行事が多いので、宮内庁側が「大晦日から元日にかけて退位、即位、改元というのはやめてほしい」っていうのがあって。で、それが消えたんです。だから、11月22日の時に、もう大晦日案ってなかったでしょう?
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)だからさっきご説明した通り、3月末か4月末の退位という、2つに絞られた。ところが4月っていうのは急浮上したんですよ。3月っていうのはたしかにわかりますよね。年度末で4月1日から新しい年が始まるよっていう。それで決まるかと思いきや、今回、もう1ヶ月ずらして4月末退位・5月1日改元っていうのは急浮上だったんですよ。その理由。気になりますよね?
(塩澤未佳子)気になりますよね。
(プチ鹿島)こういう時は塩ちゃん、新聞を読み比べるのもいいですけど、下世話なタブロイド紙とかスポーツ紙とか週刊誌でちょっと噂的なものを含む下世話情報をチェックするのもなかななオツなものでしてね。
(塩澤未佳子)ああ、そうですか!
(プチ鹿島)昨日の東京スポーツです。こちら、「新元号をスクープするのはNHKか? 安倍首相の甥っ子がいるフジテレビか?」。これ、見出しが下世話ですねえ。まあ、これはいいんです。報道合戦をメインにしているんですが、僕が気になったのは冒頭の方に書いてあるものです。東スポですよ。「10月に朝日新聞が19年3月末に退位、4月に新元号と報道。宮内庁からのリークと噂されており、官邸は不信感を募らせた。結果、今度は朝日のスクープ通りになるのと年度替わりが重なるのを嫌った官邸側がごね、4月末の退位に落ち着いた」という。ねえ。
(塩澤未佳子)はあ!
(プチ鹿島)これ、基本的に僕、最初にご紹介したのは朝刊紙ですから。基本的な事実、情報でいいと思うんですけど、ちょっと角度を変えてみると、やっぱりタブロイド紙とか東スポとか夕刊紙を読む楽しみというのはこういう一般紙は書かないような、半信半疑な、でも本当かもしれないという。これ、気になりますよね?
(塩澤未佳子)ええ、ええ!
(プチ鹿島)これ、僕も覚えているんですよ。朝日新聞の10月20日。「天皇陛下退位 19年3月末」っていうのをいわゆる白抜きでドーン!って出してきたんです。で、「即位 新元号4月1日」って。
(塩澤未佳子)そうですね。書いてありますね!
(プチ鹿島)で、これを見た時に「ああ、年末案は消えて、年度替わりの3月末で決まったんだ。朝日がスクープしたんだ」って僕は思ったんですけど、どうやらそこから、「3月末はやめておこう」っていう動きがあった模様なんですよ。
(塩澤未佳子)はー!
(プチ鹿島)じゃあ、11月27日の今度は毎日新聞。一般紙に戻りましょうか。今度はこれは特別編集員の山田さんという方のコラムですよ。毎日新聞、一般紙のコラム。「先月20日、朝日新聞が31年4月改元と特報(スクープ)した。他社も追随。宮内庁も官邸も否定せず、決まりかと思われた。そこへ5月改元説である」という。ねえ。このコラムが書いていることは、「急になんか変わっちゃったけど、どうしたの?」っていうので。たとえば、なぜ5月か、主な理由は次の2つらしい。3月と4月は転居が多く、役場の窓口が混む。31年春は統一地方選の季節。投票日が4月28日と見込まれ、それ以降なら問題がないというので。その時に野党と与党がガチャガチャやっているよりも、もっと静かな環境の方がいいんじゃないか? ということで、4月末。昭和の日、みどりの日があるので、5月1日が続くから……という理由を今回、それとなく聞かされましたけども……。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)結局、これって11月22日以降の情報なんですよ。10月20日時点では朝日がもう、3月末で決まりだよってスクープを出して。それ以来みんなジーッとしていて、なんの音沙汰もなかったから決まりだと思っていたんですが……急にこの4月案というのが出てきたんですよ。
(塩澤未佳子)うわーっ!
(プチ鹿島)だから、12月2日の、「5月1日に即位が決定した」という新聞を改めて読むと、結構一塁側、三塁側を問わず、官邸と宮内庁の綱引き、もしくはせめぎあいという解説記事がものすごく多いんです!
(塩澤未佳子)そうですか!
(プチ鹿島)12月2日の産経新聞を読みますと、「昨年7月のNHKスクープに官邸は衝撃を受けた」と。つまり、「今上天皇が退位をされたいという意向があるようだ」という。あれ、衝撃的でしたね。で、結果的にその後、8月8日に譲位をにじませるビデオメッセージが公表されたじゃないですか。だから今回、こういう動きになったじゃないですか。あれ、官邸は衝撃を受けた。つまり、宮内庁がNHKにリークしたかどうかは知りません。NHKが一生懸命取材をして、宮内庁から。それを官邸は知らなかったらしいんです。これ、産経新聞が書いているんだから、そうなんでしょうね。
(塩澤未佳子)ねえ。
(プチ鹿島)「寝耳に水だった」という。ところが塩ちゃん、これ、同じ12月2日。この「寝耳に水」というキーワードがもうひとつ出てきます。日本経済新聞。「皇室の事情、官邸の面子。退位時期めぐり溝浮き彫り。4月末案、寝耳に水」。今度は宮内庁が4月末案、寝耳に水。すごくないですか、これ?
(塩澤未佳子)ああ、そう!
(プチ鹿島)お互い寝耳に水なんです。やり合いなんですよ。
(塩澤未佳子)そうですか。へー!
(プチ鹿島)ねえ。これだけでもこの新聞を……もっと言うと、週刊誌とかを調べると、実は宮内庁の次長に、宮内庁がスクープとかリークを官邸が知らない間にどんどんどんどんと、世論を味方につけよう、動かそうというので情報を出しているらしいということをつかんだ官邸側が、「これはいけない」っていうんで、やっぱり安倍さんの息のかかった方を次長に送り込んだとか、結構この1年間に週刊誌とかそういう下世話ニュースを読むと出てくる。で、僕は週刊誌の読みどころってそこだと思うんですよ。裏付けを取れなかったりオフレコだったりするものを週刊誌は書けるからね。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)とどめを刺しましょうか? これは週刊新潮の11月30日号で「安倍官邸が蓋をしたい美智子皇后の乱」という。かなりこの……なかなか一般紙では書けないんですけど。その中に、今回の読み比べの中でひとつ頭に入れておくべき……下世話ですよ。半信半疑の情報として僕が「おっ、これは!」と思って赤線を引いたんですが。週刊新潮はこう書いているんです。「それは朝日新聞が10月20日付け朝刊で報じた内容と無縁ではない」という。「天皇陛下退位 19年3月末。即位・新元号 4月1日 政府最終調整」(朝日新聞10月20日)という見出しの記事があって、この後に官邸関係者のコメントとして、「……この報道の後に安倍さんは、『朝日の言っている内容とは逆にしたい』と漏らしていました。朝日嫌いの安倍さんと言ってしまえばそれまでです」っていう、朝日の報道とは逆にしたいという安倍さんのオフレコ発言というのが週刊新潮は載せて書いているんです。
(塩澤未佳子)へー!
(プチ鹿島)オフレコですから、これは僕はわからないです。だけど少なくとも週刊新潮という週刊誌の中では重鎮がこういう記事を書いている。これ、だからなにを言いたいかというと、一般紙というのは事実の裏付け。たとえば日馬富士報道でもそうじゃないですか。スポーツ新聞がワーッと「ビール瓶を持った!」「いや、ビール瓶は持っていない!」「アイスピックを持った!」って。でも結局そこから3、4日改めて一般紙が書いた内容は「日馬富士は暴行を認めた」という。ただ、それだけなんですよ。
(塩澤未佳子)はい。
(プチ鹿島)ちょっと刺激的な情報はすごく先行するんですが、朝刊紙でたしかめるという。でも、先行する情報はあとから考えると「あれはそうかもしれない」っていうのがたまに混じっているので。週刊誌とかも読み比べておくのも情報を楽しむ側としては。で、表に出ている情報だけでいいんですよ。これが僕、「誰かから聞いた」とかになったら、途端にあやふやな情報になるじゃないですか。僕らは読み手の側ですから。週刊誌にしろスポーツ紙にしろ、そうはいっても人の目を通ってゴーサインが出た情報ですから。表に出ている情報ですから。それだけでも、こうやって読み比べるだけで、「あれ? まさか、もしや?」っていうのがこの退位・改元報道問題だけで。少なくともいえるのは、宮内庁と官邸が綱引きをしているという。で、4月末退位・5月1日改元っていうのが急に出てきたというのはたしか。で、それにまとまったというのはたしかです。
(塩澤未佳子)うわーっ! 面白いですねー。
(プチ鹿島)面白いでしょう? これ、本邦初公開です。12月1日が終わるまでは、僕はどんな解説記事が出てくるかをちょっと。先週の時点でもこれは話せたんですよ。週刊新潮はこれ、先々週の記事ですから。
(塩澤未佳子)でも、ここまで待って。かーっ!
(プチ鹿島)いやー、新聞・週刊誌って面白いですね(笑)。
(塩澤未佳子)アハハハハッ! 面白いですね!
(プチ鹿島)『火曜キックス』、スタートでございます。
<書き起こしおわり>