安住紳一郎さんがTBSラジオ『日曜天国』の中でジブリ映画についてトーク。日テレ系で金曜日夜に放送されることが多いジブリ映画。その影響をいつも裏番組で受け続けている安住さんが、ジブリ映画に対する思いを語っていました。
(安住紳一郎)横浜市港北区の34才男性の方。ありがとうございます。(メールを読む)「ちょっとした特技は1人ジブリができます。特に得意なのは1人『ラピュタ』です。飛行船に空賊が攻めてくるシーン。その後始まるオープニング。炭鉱の女の子が下りてくるシーン。1人で身振りを交えながらセリフに感情を込めて演じることができます。飲み会などで注目してほしい時などにやる常套手段です。場はほぼ間違いなく盛り上がります。1人『ナウシカ』も1人『紅の豚』も1人『もののけ姫』もなかなか間抜けで盛り上がります。シリアスならシリアスなほど盛り上がります」。ねえ。
(中澤有美子)すごーい。いいですね。
(安住紳一郎)1人『ナウシカ』、1人『ラピュタ』が得意というね。
(中澤有美子)へー。「バルス!」のところは結構できる人、多いかもしれないですけどね。
(安住紳一郎)ああ、そうですか。どういうところですか?
(中澤有美子)最後、飛行石を「バルス!」って言うんですよ。男の子が。そうすると、敵が「目が、目がーっ!」って言って、崩れ去っていくんですけど。そこが大好きで、結構みんなそれ、テレビで放送する時間帯になると連絡を取り合っちゃったりとかするらしいですよ。「来るよ、来るよ!」って。
(安住紳一郎)へー。ジブリの映画はたまに日本テレビが放映しますもんね。金曜日に放映する時が多いんですよね。スタジオジブリと日本テレビは関係が盤石なために、かならずテレビでジブリの映画を放映するのは日本テレビ放送網以外では放映した例がほとんどないんじゃないかなと思いますけども。
(中澤有美子)そうですねー。
(安住紳一郎)当然、人気がありますので。ドル箱ということになりますけども。だいたい私、テレビを担当しているのは金曜日が多いので、かならずジブリの裏で泥水をかぶっている場合がもうずっと、20年続いておりまして。
(中澤有美子)ええーっ、20年……。
(安住紳一郎)しかも……まあ、ここまで赤裸々に言う必要はないですけども、もうそういう時代だから言ってしまいましょうね。日本テレビ様がジブリの映画を放送するっていうのが事前にわかると、その時の裏を担当している番組の取材対象者が「私のオンエアーの時はジブリの裏じゃ嫌だ!」って言って、私たちが番組を放送する以上に放送内容にも支障をきたす。わかりますか? なんとなく。
(中澤有美子)ええーっ?
(安住紳一郎)たとえば誰かの特集を私が担当している番組でやるんだけども、「その日は安住さん、ジブリの裏になりますよね。その週じゃない週に私は出たいんです」っていうことになるわけですね。当然、数字がグンと下がりますんでね。そうしますと、放送内容がない、みたいなことになりまして。1回、なんだっけな? 本当に出てくれるゲストの方がいなくて、俺がゲストになっちゃって。
(中澤有美子)えっ? ええっ!?
(安住紳一郎)しかも、向こうが『おもひでぽろぽろ』をやるっていうので、こっち側の放送局が出すものがないから。「安住、悪いけど泣いてくれ」って言われて、俺のドキュメンタリーをやって、タイトルが『安住ぽろぽろ』で。
『おもひでぽろぽろ』VS『安住ぽろぽろ』
(中澤有美子)フハハハッ!
(安住紳一郎)何年前かな? 12年ぐらい前かな? あれはキツかったわ。
(中澤有美子)く、苦肉すぎる策ですね……(笑)。
(安住紳一郎)苦肉すぎるっていうか、もう要は出すものがないし、負け試合だから負け試合に突っ込めるものもない。「もったいないから突っ込めないんだ。だからもう、なにもないから安住1人で勝負してくれ」って言われて。俺も出すものがないから、「どうしたらいいんですか?」って。「裏が『おもひでぽろぽろ』だから、どうにかならないか?」って言われたから、「『安住ぽろぽろ』で行くしかないですね」って言って、『安住ぽろぽろ』っていう俺が自分の故郷を紹介したり、昔の友人かなんかが出てきて。で、俺が泣くみたなことになって。
(中澤有美子)へー!
(安住紳一郎)どんなこと? みたいな。
(中澤有美子)申し訳ない。見てないです。すいません(笑)。
(安住紳一郎)いいえ、いいんですけどね。
(中澤有美子)見たかったですー(笑)。
(安住紳一郎)いいえ。……恐ろしいのはそれで、『おもひでぽろぽろ』に『安住ぽろぽろ』、勝ったんだよ。
(中澤有美子)勝ったー!(拍手)。
(安住紳一郎)そこからですね。
(中澤有美子)「そこからです」(笑)。
(安住紳一郎)そこから、もう私はジブリは怖くありません! 1人ジブリ。
(中澤有美子)フハハハッ! まさに!
(安住紳一郎)いや、本当にすごかったの。こんなことね、赤裸々に話してもしょうがないけども、『おもひでぽろぽろ』がね、忘れもしない。14.8ぐらいで、『安住ぽろぽろ』は15.2だったんですよ。
(中澤有美子)すごーい!
(安住紳一郎)で、ものすごい僅差ね。分計グラフっていうんだけども。1分ごとに数字が出るんだけども、『おもひでぽろぽろ』と『安住ぽろぽろ』がもうこう、抜きつ抜かれつで、超デッドヒートね!
(中澤有美子)アハハハッ! どっちもぽろぽろで(笑)。
(安住紳一郎)あれはね、キツかった。本当にね。いや……ちょっとね、歳を取ってくると自慢話が多くなっちゃって申し訳ないけども、あれは私の放送人としての大きな転換期ね。もう、しびれちゃったもんね。本当にしびれた。びっくりした。「そんなこと、あるんだ?」なんて思いましたけども。
(中澤有美子)ねえ!
(安住紳一郎)あとは、まあ当然宮崎駿先生を含め、スタジオジブリのみなさんは社会に対するいろんなメッセージが当然、映画を通じて伝わってきますけども。
(中澤有美子)そうですね。
(安住紳一郎)ちょっとやっぱり、進みすぎた社会に対するアンチテーゼみたいなものがジブリの映画からはよく伝わってきますよね。
(中澤有美子)そうですね。
(安住紳一郎)なんて言うんですか? 経済至上主義じゃいけないとか、「お金が全て」みたいなのの反対の感じが当然、その映画からは出てきますよね。そうすると、金曜日の時間にだいたいジブリの映画が放送されますね。そうすると、それをたくさんの方が見ていますよね。そうするとちょっと、「あ、経済至上主義のこの進みすぎた社会というのは違う」みたいな感じをずっと週末、心の中で醸すんでしょうね。社会人の人が。すると、月曜日に日経平均が少し下がるんですよ。あまりね、株が動かなくなるんですよ。これ、ジブリ効果って言われて、金曜日にジブリの映画が放送されると、月曜日はあまり……いわゆる株の値動きの変動が下がるんですね。
(中澤有美子)ほええーっ!
(安住紳一郎)「取引の総量が減る」って言っていましたけどね。もう、いまとなってはね、それを見越しての逆張りになっちゃうので、ずいぶんと……下がるのを予想して買う人がいたりするので、ちょっとそんなにはっきりとは出ませんけども。一時期、そんなことが言われていましたね。
(中澤有美子)そうですかー。
(安住紳一郎)うん。あれ? 放送人って株の値動きのことを扇動するような発言をしていいんだっけ?
(中澤有美子)いまの発言は問題ないと思いますけどね。
(安住紳一郎)は、ないよね。ああ、よかった。うーん。いろいろなこと、ありますね。
(中澤有美子)へー、そうなんですねー。
(安住紳一郎)ジブリに対してのいろいろな思いがね。
(中澤有美子)本当ですね。すごく、あったんですね。
(安住紳一郎)へっへっへっへっ。へっへっへっ。
(中澤有美子)すごいすごい。
(安住紳一郎)みなさんからのメッセージ、お待ちしています。
<書き起こしおわり>