町山智浩 映画『メッセージ』の難しさを語る

町山智浩 映画『メッセージ』を語る たまむすび

町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で日本公開された映画『メッセージ』についてトーク。この映画の難しさについて話していました。

メッセージ (字幕版)

(町山智浩)あとですね、たくさんあるんですが……(笑)。今週金曜日、5月19日に『メッセージ』という映画が公開されます。日本でやっと。

(山里亮太)ばかうけの(笑)。

(町山智浩)これ、半年ぐらいかかりましたね。公開までね。

(山里亮太)だいぶ前にご紹介いただいて。

町山智浩 映画『メッセージ』を語る
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(町山智浩)そうなんですよ。いま、「小屋」っていうんですけど。劇場を取るのが大変なんですよ。結構日本はね。日本映画がすごくいい劇場を取っちゃうから。アメリカ映画とかでスターがいないとなかなか取れなくて。

(海保知里)そうか。押さえられないのかー。

公開劇場を押さえるのが大変

(町山智浩)押さえられないんですよ。で、夏休みは絶対にダメだし。夏休みはスーパーヒーローものとかがガンガン来ちゃうから。お正月とかゴールデンウィークは。

(海保知里)そうですね。子供向けね。

(町山智浩)子供向けなんですよ。だからこの『メッセージ』みたいな映画ってなかなか取れないんですよ。その隙間しか取れないんですよ。この映画はまあ、大人向けのSF映画なんで。スーパーヒーローも出てこないし、大スターとかイケメンも出てこないですから。ジェレミー・レナーですからね。これ、出てくるの。

(海保知里)かわいいですよね。ちょっと、ジェレミー・レナーって顔がね。

(町山智浩)顔、かわいいですけど……(笑)。

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(海保知里)私、好きですけど。はい。

(町山智浩)ああ、好みの人もいるんですけど(笑)。

(山里亮太)世界中のみんながね、「よし、あれを見に行こう!」っていう感じじゃないですね?

(町山智浩)っていう感じじゃないんですよね。はい。そうそう。それはなかなかね、奇特な人ですから(笑)。だからね、なかなか隙間がなくて。こういう映画は上映できないです。これ、大スクリーンで見ないと意味がない映画なんですよ。『メッセージ』っていう映画は。巨大宇宙船の巨大感がすごいんで。撮影が。だからもう、ぜひ今回見ていただきたいんですが。ただ、見終わった後に「なんだかわからない」っていう人がいっぱいいる映画なんですよ。難しいんです。で、これは数学とか哲学とか言語学とか、いろんなものが混じり合った映画なので。で、非常に説明が面倒くさい映画なんですが。これ、5月19日の初日の18時15分からTOHOシネマズ六本木ヒルズでの上映の後、僕がQ&Aで質疑応答しますんで。

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(山里亮太)へー!

(町山智浩)僕、これトロント映画祭で監督とかの質疑応答もちゃんと見てますから。裏が取れてますんで。この映画のわからないところをお答えしたいと思います。はい。ただ、そこは生でやるんですけど、パンフレットに僕、原稿を書きましたんで。劇場でお買いいただけると一応、見終わった後でわかるこの映画のわからないところという説明をしておりますので。ぜひ、パンフレットをお買い求めください。はい。すいません。宣伝ばっかりで。

(海保知里)いやー、じゃあこちら19日(金)、今週ね。

(町山智浩)この『メッセージ』っていうのはSF映画なんですけど、本当にお父さんとかお母さんになっている人。お母さんになろうと思う人とか、結婚しようと思う人って言う、もう本当に大人になった人が見る映画なんですよ。なのでぜひ、見ていただきたいなと。

(山里亮太)これ、聞いたこともないようなSFの話だったもんな。

(町山智浩)とんでもない話で。宇宙人の言葉を通じて時空を超えていくという、「なにを言っているんだ? 大丈夫か、お前は?」っていうような内容なんで。

(山里亮太)難しい。けど、見たい。

(町山智浩)難しいんですよ。

(山里亮太)でも、宇宙船自体はばかうけみたいな。

(町山智浩)宇宙船はばかうけなんですけどね(笑)。でね、もうひとつ告知がありまして。今週の土曜日、5月20日。立川シネマシティということろで夕方の5時半から開演なんですけど、『町山智浩が語る 20世紀名作映画講座』という、ずっとやっているんですよ。僕、これ。あの、午前10時の映画祭というシリーズがありまして。で、もうすでに見られなくなった映画をスクリーンで上映するという企画をずっと続けているんですね。過去の映画ばっかりなんですけど。それで、1962年のフランス映画。フランソワ・トリュフォー監督の『突然炎のごとく』という映画を上映して、その後に僕が質疑応答をします。これはフランスを舞台に1人の女性と男2人の三角関係の話なんですが。

(海保知里)へー。

(町山智浩)これ、この女性はその男2人と性的関係を持ち続けながら、子供を作って。それで一緒に暮らすという話なんですよ。

(海保知里)すごい話ですね。

(町山智浩)はい。これ、実話なんですよ。で、実はものすごく裏にいろんな話があって。ただ、映画の中だけではわからないので、それを後で解説します。はい。この映画はその1960年当時、世界的に大センセーションを起こして。で、「新しい愛の形だ」ということで、まあそれを真似して日本でもアメリカでも世界中の映画でその女1人と男2人の恋愛ものっていうのが増えたんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)で、それが実際にフリーラブと言われるような、結婚を超えた恋愛っていうものの提唱に発展していったという、非常に社会的に革命を起こした映画なんですが……監督のフランソワ・トリュフォー自身はそんなことを狙っていなくて。実は彼がこの映画を作ったのには別の理由があったんですよ。その話をします。

(山里亮太)ああっ!

(海保知里)掴まれた! すごい気になる!

(町山智浩)はい。全然別の理由で作ったら、いつの間にか「革命」と言われてしまって困っているんですね。監督は。そういうのが『突然炎のごとく』で、5月20日(土)、立川シネマシティです。よろしくお願いします。告知、終わりました。はい。映画の話をしましょう!

(山里亮太)この時はこの映画1本の説明を?

(町山智浩)あ、そうです。見終わった後、説明します。

(山里亮太)『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の話は?

(町山智浩)あ、そう。『マンチェスター・バイ・ザ・シー』。先週から公開かな?

(海保知里)こちらも(解説を)なさったりしたんですか?

(町山智浩)あ、それはね、『たまむすび』で解説したんですけど。本当にね、内容を説明しにくい映画で困ったんですよ。これ、ケイシー・アフレックというハリウッドでちょっと居場所のなかった俳優がアカデミー賞をとりまして。主演男優賞を。で、1人のチャラチャラした、中年なのに子供みたいな男がですね、突然暗くて、全く人間を寄せ付けないような男に変貌してしまった。いったい彼に何があったのか? という話が『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で。まあ、これは本当にすごい映画なんですよ。

町山智浩『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を語る

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(海保知里)ええ。

(町山智浩)で、まあ普通の映画って救いを与えていくんですよね。いろんな人の心の傷とかに。でも、それって結局映画の中だけで終わっちゃうから嘘なんですよ。でも、そうじゃなくてそんなに簡単に人は救えないような傷を受けるんだけども、じゃあ映画はそれに対してなにができるんだ? というようなことをやっている映画なんですよね。

(山里亮太)はー!

(町山智浩)すごいなと思うんで。まあ、傷ついた人とか、傷ついた経験のある人とかは非常にこの映画を見ると……そばにただ黙って座ってくれるみたいな映画なんですね。

(海保知里)へー! なんかいまね、見たい映画がいっぱいで。

(町山智浩)そう!

(海保知里)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』は見てきたの。もう、面白かったんですけど。

(町山智浩)そうですか(笑)。

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(海保知里)ねえ。もう見たい映画がいっぱいですね。なんかね。

(山里亮太)『リミックス』は来週ぐらいには見に行こうと思っているんですけども。

(町山智浩)今週、来週にかけてすごいいいんですよ。もう見たい映画がいっぱいあるんで。いい時ですよね。

<書き起こしおわり>

メッセージ (字幕版)
Shawn Levy, Dan Levine, Aaron Ryder, David Linde
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