菊地成孔とヴィヴィアン BewhY『Forever』を語る

菊地成孔とヴィヴィアン BewhY『Forever』を語る 菊地成孔の粋な夜電波

菊地成孔さんとヴィヴィアンさんがTBSラジオ『菊地成孔の粋な夜電波』韓流最高会議の中でラッパーBewhYの『Forever』について話していました。

Hotness in coldness

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(菊地成孔)いま、もうぶっちゃけヴィヴィアンさん的に個人的一押しっていうのは誰ですか?

(ヴィヴィアン)そうなんですよ。なんか正直、いまヒップホップシーンで世代交代が行われていて。30代が元気なくて、ハタチそこそこのがどんどん出てきていて。で、みんなクオリティーがすっごい高いんですよ。もう、ハイクオリティーな上手いラッパーがどんどんどんどん出てくるんですけど、なんか「これ!」といったものすごく光っている人がなかなかいなくて。みんな同列に上手いっていう感じで。そういう意味で、個人的にはちょっと物足りない感じはしているんですが。

(菊地成孔)うん。

(ヴィヴィアン)中でもちょっと……先ほど韓国大衆音楽賞が出てきたから、その話につながるんですけど。何回か、韓流最高会議でもかけたBewhY(ビーワイ)っていうラッパーがいて。彼は若手の中でダントツに上手いんですね。で、ちょうど今週、アメリカのビッグ・クリットっていうB.B.キングとも一緒にやったことがある人らしいんですけど、その人とのコラボも発表されたりして、かなり国際的に活動しているんですが。そのBewhYの曲をちょっとかけたいんですけど。

(菊地成孔)音楽性が高いですよね。

(ヴィヴィアン)高いです。

(菊地成孔)要するにヒップホップ、ラッパーっていうのはどうしてもダンサーやスケーターとかと同じでね。まあ、同じカルチャー。ダンサー、DJ、グラフィティがヒップホップだからしょうがないんだけど。音楽性もあるなっていうのを振り切っちゃう人が多い中、この人は音楽性が高いですね。

(ヴィヴィアン)かなり高い。ラップも上手い、音楽性も高いし、インディペンデントで全部自分でやっちゃうんですよね。作って、マスタリングまで全部自分でやって、アートワークも自分でやって。完全にインディペンデントで。ある意味、韓国版チャンス・ザ・ラッパーではないですけど。インディペンデントでやりながら、この前に韓国に行ったら普通にCMで流れていましたからね。すごいなと思って。

(菊地成孔)すごいですよね。そこが。

(ヴィヴィアン)その彼が去年に出した『Forever』っていう曲が韓国大衆音楽賞で……。

(韓東賢)最優秀ラップ&ヒップホップの楽曲賞ですね。

(ヴィヴィアン)はい。それを授賞しました。それと同時に、コリアン・ヒップホップ・アワードっていう韓国でヒップホップ専門のアワードが立ち上がったんですよ。それでも同じ最優秀ヒップホップトラックを授賞したという曲で。

(菊地成孔)これを聞くと、やっぱり韓国のクリティックはわかっているなっていう感じがしますよね(笑)。

(ヴィヴィアン)この曲、なにがすごいって、4分ぐらいあるんですけどすごく曲構成がコロコロ変わるんですよ。で、最初の1分ぐらいがコード感のある重々しい感じで始まるんですけど、途中からサウス感が強い感じに。ミニマルなビートになって。

(菊地成孔)ちょっとタイラー・ザ・クリエイターみたいなね。組曲みたいな。

(ヴィヴィアン)そうそう。組曲なんです。まさに。で、最後の1分ぐらいが6/8拍子とかになって。まさに組曲かっていう感じが。ちょっといままで韓国のヒップホップでは聞いたことないなっていう。で、これだけビートが変化するのに、悠々とすべてのビートを乗りこなすっていうところがすごいなっていうところで。これの1曲目ですね。BewhYの『Forever』です。

BewhY『Forever』

(菊地成孔)はい。どうですか? ヒップホップ・ノンケの韓さん?

(韓東賢)かっこいいですね。

(菊地・ヴィヴィアン)(笑)

(ヴィヴィアン)以上?

(韓東賢)以上。なんか、組曲。映画みたい。

(菊地成孔)ああ、まあね。

(韓東賢)画が浮かぶっていうか。映画っぽいなと。

(ヴィヴィアン)まあ、ドラマチックな。

(菊地成孔)ヒップホップオリエンテッドな話をすると、やっぱり僕、どこの国の誰がタイラー・ザ・クリエイターの真似をするのか?ってずっと思っていて。まあ、俺がやるかなとか思っていた時期もあったんですけど。まあ、明らかに最後にきれいなソフトロックみたいな。拍子も変わって、突如として明るい、切ないコード進行が出てきましたけどね。相当タイラー・ザ・クリエイターの……やっぱり韓国から出たかっていう気がしますね。

<書き起こしおわり>

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