菊地成孔 PUNPEE『MODERN TIMES』を語る

宇多丸 PUNPEE『MODERN TIMES』と『Hero』を語る 菊地成孔の粋な夜電波

菊地成孔さんがTBSラジオ『粋な夜電波』の中でPUNPEEのアルバム『MODERN TIMES』について話していました。

(菊地成孔)はい。近年ここまで待たれたアルバムはなかったと思います。祝賀と言っていいムードが日本の音楽界全体を包んでいますね。PUNPEEで初アルバム『MODERN TIMES』より『Happy Meal』。

PUNPEE『Happy Meal』

はい。1曲目からこんなポップな曲のどこがドープなの? とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、これはドープですね。ポップなのにドープだっていうところがこのアルバムの偉大なところじゃないでしょうか。ポスト・オッド・フューチャー派というのはどの音楽誌でも使う言葉ですけども。モヤモヤした言葉ですが、これこそポスト・オッド・フューチャーと言っていい作品だと思います。この番組でもプレイしておりますFKJ、ディグス・デューク、ブルーノ・ペルナーダスなどなどの非常にエッジなポップミュージックからの影響を色濃く受けているヒップホップ作品と言うこともできるでしょう。

長い間、「アルバムを出す、出す」と言っていても出さない。もう出す出す詐欺というのがネタになりかけていたPUNPEEのファーストアルバム『MODERN TIMES』より『Happy Meal』をお届けしました。もう全曲……とにかくこのアルバムがクラシック、時代の画期となるアルバムだと思います。まあ、だいぶ待たされたわけですね。「キャプテン(Captain)はマイペース(My Pace)」。CMです(笑)。

(中略)

さっそくもう聞いてみましょうかね。PUNPEEさんの……いま、ラップのスキルは下手をすると、日本一とは言わないけども相当上手い。かなり上手い。そして、ビート。いわゆるバックトラックのセンスが素晴らしいというPUNPEEさんの後に、呼ばれて名乗るもおこがましいが、次のMIXの食材はJAZZ DOMMUNISTERS(笑)。この間、北野天満宮でライブがありまして。ヒップホップのクルーっていうのはだいたい汚い言葉を使うのが仕事と言ってもいいものなわけですが。その点、PUNPEEさんはすごいですね。Fワードはあんまり使ってないですもんね。やっぱりポップですよね。

っていうかね、あんまりライミングもしていないんだよね。あんまり韻を踏まないの。それはね、J-POPみたいに売れたポップスのだいたい……たとえばそうですね。『今夜はブギー・バック』ってありますね。あれ、ほとんどあのリリックは韻を踏んでないですよね。ちょっとだけ踏んでいるだけ。ガンガンは踏んでないよね。あとは、なんでしょうね。RIP SLYMEさんとかもそんなにガンガン踏まないですよね。そこらへんの感じですよね。まあ、それはともかくとして、なんの話をしていたんだっけ? 北野天満宮に行ったら、ヒップホップユニットとして行ったのに、「ここは神聖な場所なので、汚い言葉は使わないでくれ」と言われて四苦八苦して帰ってきたJAZZ DOMMUNISTERSと……。

<書き起こしおわり>

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