町山智浩 トランプ大統領就任式 大麻配布運動を語る

町山智浩 トランプ大統領就任式 大麻配布運動を語る 町山智浩のアメリカのいまを知るTV

町山智浩さんがBS朝日『町山智浩のアメリカの”いま”を知るTV』の中でドナルド・トランプの大統領就任式を取材した際の模様を紹介。就任式に合わせてワシントンDCで8000本以上の大麻タバコを配布した団体を取材した際の模様を話していました。

(ナレーション)トランプ大統領の就任演説中、実は各所で様々なことが起っていた。

(町山智浩取材映像音声)はい。いまワシントンDCのホワイトハウスに非常に近いところなんですけども。マサチューセッツ・アベニューというところにいます。ここはずっと世界中の大使館が並んでいるところですね。もう全部各国の大使館です。全ての、世界中の大使館が集まっているこの一角に、マリファナを巻いている人たちがいるんですよ。(マリファナ支援)団体の基地に来ました。4200本(のマリファナタバコ)をみんなタダで配るという。で、まずはマリファナタバコを巻かなきゃならないと思うんですけども。大変だと思うんですが、行ってみます。(建物の中に入る)あ、もうすでになんか不思議な匂いがしますね。「Cannabis Campaign」……「Cannabis」っていうのはマリファナのことです。

(町山智浩)トランプの就任式になぜ、それをやるか?

(杉山セリナ)たしかに。なんでだろう?

(町山智浩)これ、「マリファナを広めよう」ということが目的ではなくて、これ、ジェフ・セッションズという司法長官が今回、トランプによって指名されたんですけども。その人が「マリファナを絶対に禁止する!」って言っているんですよ。

(杉山セリナ)なんでですか?

各州で解禁の動きが進む

(町山智浩)いま、アメリカ各地でマリファナは解禁され続けていて。特に持っているだけだったり、あげるだけだったり、自分個人でやったりするのに関しては罪に問わないっていう方向に各州がどんどん流れていっているんですね。

(杉山セリナ)はいはい。カリフォルニアもそうですよね。

(町山智浩)カリフォルニアもそうです。

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(ナレーション)昨年の大統領選挙と同じ投票日に全米9つの州ではマリファナの合法化を問う住民投票が行われ、カリフォルニア州など4つの州が新たに21才以上の娯楽目的の使用を賛成多数で承認しました。

(町山智浩)で、それに対してそのジェフ・セッションズというトランプ政権の司法長官はそれを全部連邦法で禁止して、また元のようにマリファナを持っているだけで逮捕できるようにしようとしているんですよ。で、それに対して彼らは戦うと。

(杉山セリナ)はい。なぜですか?

(町山智浩)マリファナで逮捕される人というのはアメリカでいちばん多いんですよ。持っているだけで逮捕される例がいちばん多いんですよ。で、マリファナで刑務所に入っている人の人数と、傷害とか殺人とかで刑務所に入っている人の人数は現在、アメリカは同じなんですよ。

(杉山セリナ)それほど多く!

(町山智浩)それほど多いんですよ。で、マリファナを解禁しようとしている人たちの理由のひとつが、そんなことで逮捕することで、まず税金をすごく使うでしょ? 彼らが刑務所に入っている間、面倒をみなきゃならない。あと、若い子たちがそれで前科者になってしまう。で、結局本当の犯罪の方に突き進んでしまうということと、あと、逮捕されている人の人種構成が圧倒的にメキシコ系と黒人なんですよ。

(杉山セリナ)が多いんですね。

(町山智浩)多いんですよ。道端でとにかく黒人やメキシコ系を見つけた時に、とりあえず「持っているものはなんだ? マリファナだ!」で逮捕するんですよ。

(杉山セリナ)ええっ!

(町山智浩)でも、それは白人に対しては行われていないんです!

(杉山セリナ)もう完全な差別のような……

(町山智浩)完全な差別法です。これは。

(杉山セリナ)そうですよね。でもなんでメキシコ系と黒人の人を集中して逮捕しているんですか?

(町山智浩)これはすごく大きな理由があって。アメリカはマリファナを厳しく取り締まるようになったのは1980年代からなんですよ。レーガン大統領の時に「とにかくマリファナを取り締まるんだ!」って。それまで、あんまり取り締まってなかったんですよ。

(杉山セリナ)結構ゆるかったんですね?

(町山智浩)ゆるかったんですよ。で、厳しくしたんですよ。どうしてか?っていうと、黒人とメキシコ系の人口が増えてきたからです。それと、その前に1965年に黒人が南部で投票権を持つことになったからです。

(杉山セリナ)ああっ!

(町山智浩)投票者を減らすためですよ。

(杉山セリナ)また先ほどの?

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(町山智浩)全く同じです。っていうのは、各州が投票できるかどうかを決定しているので、南部の方の州は前科があった場合に投票ができなくなるんです。

(杉山セリナ)だからどんどん……

(町山智浩)軽罪、非常に軽い罪で黒人やメキシコ系をとにかく刑務所にぶち込んでしまう。なぜならば、彼らは民主党に投票するから。

(杉山セリナ)じゃあその「マリファナを吸うから悪い」とかではなくて、全く関係のない理由で逮捕されるということですか? 選挙権のために。

(町山智浩)逮捕されるんです。で、運動していた人にお話を聞いた時に、僕は「マリファナ」っていう言葉を使って話をしていたんですけども、「マリファナという言葉は使わないでほしい」って言われたんですよ。で、どうしてか?っていうと「マリファナ(Marijuana)」っていうのは「J」っていう時を「ワ」って発音するんですね。

(杉山セリナ)そうですね。スペイン語だと「ジェイ」じゃなくて「ワ」って。

(町山智浩)「J」が「ワ」になるんですよね。で、「それはスペイン語的だから、マリファナというものとメキシコ人を結びつける印象がある。マリファナという言葉自体が非常に政治的だから、これはカナビス(Cannabis)っていう言い方に変えよう」という。

(杉山セリナ)へー! さっきもVTRで「Cannabis」って書いてありましたね。

(町山智浩)そうなんですよ。だから大麻解禁を求めている人たちは「マリファナ」っていう言葉は使わないという運動にいま進んでいるんです。

(杉山セリナ)へー!

<書き起こしおわり>

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