高橋芳朗 夏の終わりの洋楽ソング特集

高橋芳朗 夏の終わりの洋楽ソング特集 ジェーン・スー 生活は踊る

高橋芳朗さんがTBSラジオ『ジェーン・スー生活は踊る』の中で、夏の終わりを歌った洋楽ソングを3曲、紹介していました。

(高橋芳朗)じゃあ今日はですね、秋の風を感じながらこんな企画をお届けしたいと思います。夏の終わりソングをしみじみと味わおう。

(ジェーン・スー)はい。

(高橋芳朗)結構夏の終わりを歌った曲。夏の終わりを感じさせる曲っていうのは割と胸キュンないい曲が多いかなという印象があるんですけども。日本だとどんな曲を思い浮かべますか?

(堀井美香)『夏の終わりのハーモニー』。

(ジェーン・スー)私も同じことをいま言おうとした(笑)。「ハ~モニ~♪」って(笑)。

(高橋芳朗)うめえな!(笑)。

(ジェーン・スー)いろんなモノマネを。

(高橋芳朗)いや、井上陽水さんの『少年時代』とかね。

(ジェーン・スー)あ、そっかそっか。あれも夏の終わりか。

(高橋芳朗)山下達郎さんの『さよなら夏の日』。

(ジェーン・スー)あとやっぱりちょっと真夏なんだけど、夏の終わりを感じさせるっていう意味で『TSUNAMI』とかもそうですね。

(高橋芳朗)ああ、そうですね。あとZONEの『Secret Base』とか。

(ジェーン・スー)ああ、「君と夏の終わり 将来の夏……」。あれ? いつまで夏だかよくわかんなくなってきた……

(高橋芳朗)これで終わりそうですけどね(笑)。で、もちろん洋楽にも夏の終わりを歌った素敵な曲はたくさんあってですね。今週水曜日。8月31日の放送でオープニングでかけました、いま後ろでかかっているロッド・スチュワート(Rod Stewart)の『Maggie May』。これも夏の終わりとともに別れを迎えた年上の女性とのひと夏の恋を歌った甘酸っぱくも切ない恋の曲なんですけども。

Rod Stewart『Maggie May』

(ジェーン・スー)うん。

(高橋芳朗)本日はそんな洋楽の代表的な夏の終わりソングを3曲、紹介したいと思います。結構傾向としては『Maggie May』もそうであるように、夏の終わりと恋の終わりとか青春の終わりを重ねあわせたような曲が多いかな? という印象はあります。

(ジェーン・スー)たしかに。

(高橋芳朗)じゃあまず1曲目はビーチボーイズ(The Beach Boys)の『All Summer Long』。1964年の作品を紹介したいと思います。結構アメリカではロッド・スチュワートの『Maggie May』とともに夏の終わりソングと言えばビーチボーイズの『All Summer Long』だよね、みたいなところがあるんですけれども。

(ジェーン・スー)ふーん!

(高橋芳朗)結構曲調は明るいんですけど、歌詞は割とセンチメンタルで。「このまま夏が終わらなければいいのにね」っていう、過ぎゆく夏を惜しむ歌なんですけども。で、なんでこの曲が夏の終わりの曲として定番化していったか?っていうと、映画で『アメリカン・グラフィティ』ってあるじゃないですか。ジョージ・ルーカスの青春映画。1973年の作品なんですけども。あの映画のエンドロールで効果的に使われたことが大きいんですね。

(堀井美香)へー。

(高橋芳朗)『アメリカン・グラフィティ』って1962年の夏のカリフォルニアが舞台で、翌日から新たな旅立ちを控えた高校生の夏休み最後の1日を追ったお話なんですけども。だから要は、『アメリカン・グラフィティ』は夏の終わりと青春の終わりを重ねあわせてるんですけども。1962年っていう時代設定を考えると、アメリカの無邪気な時代の終わりっていうか。翌年からアメリカはベトナム戦争に介入するわけですから。だから映画の最後に流れるビーチボーイズの『All Summer Long』が単に夏の終わりを歌っているっていうだけじゃなく、青春の終わりだったり無邪気な時代の終わりとかも歌っているように響くから、ある世代のアメリカ人にとってはものすごく強烈にノスタルジーを喚起される曲なんじゃないかなと思います。じゃあさっそく、聞いていただきましょう。ビーチボーイズで『All Summer Long』です。

All Summer Long『Beach Boys』

(堀井美香)君が家の前に停めた僕の車に乗っている時、
コーラをこぼしてブラウスをビショビショにしちゃったのを覚えている?
Tシャツにカットオフジーンズにビーチサンダル
僕らは夏を思いっきり楽しんだ
夏の間、君と僕はずっと一緒だった
でもまだまだ君の全てはわからない
夏の間、ずっと僕らは自由だった
でも、そんな夏ももうすぐ終わってしまう
僕たちだけ、ずっとこのままにしておいてくれたらいいのに

(高橋芳朗)はい。というわけで堀井アナウンサーの素敵な朗読とともにお送りいたしましたビーチボーイズの『All Summer Long』。

(ジェーン・スー)甘酸っぱいですねー。

(高橋芳朗)いいですね。「コーラをこぼしてブラウスをビショビショにしちゃったのを覚えている?」。

(ジェーン・スー)覚えてるよ、忘れねえよ!っていう話ですけどね。

(高橋芳朗)(笑)

(ジェーン・スー)クリーニング代、出せ!

(高橋芳朗)ロマンチックの欠片もないですけどね(笑)。はい。2曲目はスティービー・ワンダー(Stevie Wonder)の『Never Dreamed You’d Leave In Summer』。1971年の作品を紹介したいと思います。

(ジェーン・スー)名曲ですねー!

(高橋芳朗)名曲です。

(ジェーン・スー)サンプリングでも使われていますよね。

(高橋芳朗)スーさんが好きなコモン(Common)というラッパーが引用していますけども。

(高橋芳朗)これ、日本語タイトルが『夏に消えた恋』なんですね。そこからもわかるように、夏とともに去っていった恋人への思いをつづった、もう胸をえぐるような悲痛なバラードですよ。で、この曲、実は2009年6月にマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)が亡くなった時に彼の追悼式でスティービーが歌ったんです。

(ジェーン・スー)そうよそうよ。覚えている。

(高橋芳朗)つまりスティービーはですね、「君が夏に去ってしまうとは思わなかった」っていう失恋の歌を突然亡くなったマイケルに置き換えて。「Michael, Why didn’t you stay…(マイケル、なんで逝っちゃったんだ?)」っていう風に歌詞も変えて歌っていましたけども。

(高橋芳朗)この一件でまたこの『Never Dreamed You’d Leave In Summer』っていう曲が一層ね、夏の終わりを感じさせる曲として強い印象を残すことになっているんじゃないかな? と思います。じゃあ、聞いていただきましょう。スティービー・ワンダーで『夏に消えた恋(Never Dreamed You’d Leave In Summer)』です。

Stevie Wonder『Never Dreamed You’d Leave In Summer』

(堀井美香)君が夏に去っていくなんて思いもしなかった
きっとここに戻ってきてくれると思っていた
この悲しい気持ちも夏までには消えていくと思っていたのに
僕はいまも1人で静かな夜をやり過ごしている
春が来ればうららかな愛が芽生えると君は言っていたけど
あの頃から君の気持ちは離れていってしまった
君が夏に去っていくなんて思いもしなかった
また僕は1人ぼっち
愛が過ぎ去っていったことにいま気づいたよ
なぜここにいてくれなかったの?

(高橋芳朗)はい。というスティービー・ワンダー『Never Dreamed You’d Leave In Summer』を聞いていただきました。この曲をバナナに聞かせた方がいいんじゃないか?っていう気がしますけどね。(※注 この日の放送で堀井美香さんがバナナにモーツァルト聞かせて甘くなるか? という実験を行っていました)

(ジェーン・スー)まあ、そしたらまた悲しいバナナになっちゃうかも……

(高橋芳朗)(笑)。はい。というわけでお知らせを挟んで私イチ押しの夏の終わりソングを紹介したいと思います。

(中略)

(ジェーン・スー)今日は、夏の終わりソングをしみじみ味わおうと題してお送りしております。

(高橋芳朗)はい。最後は私イチ押しの夏の終わりソングを紹介したいと思います。最後にお届けするのはイーグルス(Eagles)のボーカリスト、ドン・ヘンリー(Don Henley)の『The Boys Of Summer』。1984年の作品を聞いていただきたいと思うんですけども。ドン・ヘンリーはご存知ですよね? イーグルスの名曲『Hotel California』のリードボーカルを務めていた人でございます。で、『Hotel California』がまさにそうなんですけど、ドン・ヘンリーが歌うとなんか爽やかな青空のカリフォルニアというよりかは、ちょっと枯れた、灰色なカリフォルニアっていう感じですよね?

(ジェーン・スー)うん。

(高橋芳朗)を、連想させますよね。で、この『The Boys Of Summer』もまさにそんなドン・ヘンリーの持ち味が発揮された曲でですね、この夏とともに終わった恋を引きずりながらも前へ進もうとしている男の哀愁を歌ったちょっとノスタルジックな曲になっております。じゃあ、聞いてください。ドン・ヘンリーで『The Boys Of Summer』です。

Don Henley『The Boys Of Summer』

(堀井美香)道には誰の姿もない
浜辺にも人っ子1人いない
風の気配の中に もう届かないあの夏の日々を感じる
誰もいない湖
人気のない表通り
太陽も1人寂しく沈んでいく
君がもういないことはわかっているけど
君の家の前を車で通りすぎていく
だけど僕には君の姿が見える
太陽の光を浴びて輝く君の小麦色の肌
君は頭にサングラスを乗せて
髪の毛を風になびかせていた
はっきりと言える
僕の君への愛はいまも色あせない
あの夏の若者たちが去ってしまった後でも

(高橋芳朗)素敵ですね。

(ジェーン・スー)いやー……

(高橋芳朗)ドン・ヘンリーで『The Boys Of Summer』、聞いていただきました。みなさん、手拍子して聞く曲じゃないんで……(笑)。

(ジェーン・スー)私たち、(ノリノリの手拍子付きで)「But I can see you…♪」。

(ジェーン・堀井)「にゃーにゃーにゃ、にゃーにゃー♪」って(笑)。

(高橋芳朗)台無しだよ! せっかくいい雰囲気にしたのに。

(堀井美香)でも、聞いてくださっている方もそうなっていたらありがたいですね。

(ジェーン・スー)1984年。私が11才ですよ。ちょうど洋楽を聞き始めた頃ですね。

(高橋芳朗)僕もそんな感じですね。中学生ぐらいかな?

(堀井美香)いい曲ですね。

(高橋芳朗)これ、ちょっとなんか季節の変わり目ごとにこの企画、やりたいですね。堀井さんの朗読で。

(ジェーン・スー)入るやつね。いいね、いいね。クリスマスとか、いいんじゃない?

(高橋芳朗)ああ、いいですね!

(ジェーン・スー)堀井美香の朗読音楽っていうね。

(高橋芳朗)朗読音楽(笑)。もっといいタイトルつけましょう(笑)。

(ジェーン・スー)持ち帰りで。さあ、来週は?

(高橋芳朗)来週ね、ちょっと考えているんですけど、9.11にちなんだ曲とか紹介するのはどうかな?って。

(ジェーン・スー)9月11日。はい。ということは、ちょっとまた考えさせられるような?

(高橋芳朗)そういうモードに戻していかないといけないんで(笑)。

(ジェーン・スー)あ、そうか。またバナナとかじゃなくてね。すいませんでした、今日は。

(高橋芳朗)ご迷惑をおかけします。

(ジェーン・スー)というわけで、高橋さん、ありがとうございました。

(高橋芳朗)はい。ありがとうございました!

<書き起こしおわり>

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