SIMI LABのOMSBさんがTBSラジオ『粋な夜電波』の中でジャズピアニストの大西順子さんのアルバム『Tea Times』についてトーク。菊地成孔さんと『Malcolm Vibraphone X』という曲のレコーディングの話をしていました。
(菊地成孔)一方でですね、いまお話にも出していただきましたけど。大西順子さんのアルバムをいま私、プロデュース中で。っていうかもう、作品は完成しまして。大西順子さんのアルバムが6月22日にリリースされるんですけど。まあ、大西順子さんっていう方は、もうあのお歳で……って、私よりちょっと下ぐらいなんですけど。で、もうジャズ界のレジェンドなんですよね。
(OMSB)うん。
(菊地成孔)で、アコースティックジャズのピアノトリオでの売上の戦後の記録っていうのを持っているんですよ。第二次大戦後の。を、持っている人で。で、引退したり、出てきたり。いろいろやっぱり難しい人ではあるんですけど。で、ジャズしか聞かないの。とにかく。ジャズ以外、ほとんど何も聞かないから。
(OMSB)はい。
(菊地成孔)今回、復帰して「プロデュースしてください」っていう話が来た時にいろいろ聞かせたんですよね。そん時に、いろいろ物は試しでグラスパーとかね。物は試しでいろいろ聞かせていたら、「ああ、面白い。面白い」ってなって。それで、中でも、いろんなものを大西さんは「素晴らしい」って言ったんだけど。まあ、『To Pimp A Butterfly』ですよね。
(OMSB)ああー。
(菊地成孔)ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)。「この人、若いの?」っつってましたよ(笑)。
(OMSB)(笑)
(菊地成孔)そういうレベルですけど(笑)。「若いっすね」っつって(笑)。「ああ、若い人なんだー」っていう。で、ケンドリックのがあったんで。で、あれの2曲目(『For Free?』)にグラスパーが参加してるよね。
Kendrick Lamar『For Free? (Interlude)』
(OMSB)はい。
(菊地成孔)んで、普通にあれは、普通でもないんだけど、ちゃんとループをかけて。要するにヒップホップマナーでビートを作っているんだけど。素材が演奏じゃない?
(OMSB)そうですね。
(菊地成孔)ストレートアヘッドな演奏なので。で、まあこの際だから、編集もしないで、ストレートアヘッドなピアノトリオにオムスのラップが乗るってことでいいんじゃないの?っていう風に、だんだんプロデューサーの方が……菊地成孔さんっていう人ですけどね(笑)。
(OMSB)そうですね(笑)。
(菊地成孔)思い始めて。大西順子さんのトリオ。大西順子さん以外はね、すごいメンツですよ。ドラムはテリオン・ガリー(Terreon Gully)っつって、アメリカでは次のクリス・デイヴ(Chris Dave)って言われてるやつで。ベースはユニオール・テリー(Yunior Terry)っつって、亡命キューバ人ですけど。ヨスバニー・テリー(Yosvany Terry)っていう天才がいて、私ともよく一緒にやっているんですけど。それの弟ですね。その3人のトリオに、私は最初に出てくる、本当の昔で言うところの”MC”ですね。オムスを紹介するっていう。
(OMSB)はい。
(菊地成孔)で、オムスがそっから長いラップが入るんだけど。とりあえず、聞いていただきましょうか。私はこのアルバムではここのオムスを紹介する8バースしか登場しません。演奏なにもやってないです。その代わり、1、2曲を除いて全曲作曲をしてるんですよ。大西順子さんの復帰作『Tea Times』というアルバムから『Malcolm Vibraphone X feat. N/K OMSB』という曲を聞いてください。これはもう、、打って変わって普通の4拍子です。
大西順子『Malcolm Vibraphone X feat. N/K OMSB』
(曲おわり)
(菊地成孔)はい。演奏もすごいですね(笑)。
(OMSB)すごいっすね(笑)。
(菊地成孔)オムスもすごいですけど(笑)。
(MOE)超絶。
(OMSB)いや、俺、これを録る1週間前ぐらいに仮録りで。「これで」っていう風に来た時に、「できないよ!」って思って(笑)。
(菊地成孔)(笑)
(OMSB)「無理無理! 1週間、無理っすよ!」って思っちゃって(笑)。
(菊地成孔)そんなかわいいことになっちゃったの? 「できないよ!」って?
(OMSB)「できないよ!」って。ケンドリのあれがすごすぎて。
(菊地成孔)ああー。そうね。
(OMSB)でも、やってみたらどうにかなるもんだなって。
(菊地成孔)そうね。どうにかなるどころか、相当いいと思うよね。うん。かなりいいと思うけどね。
(MOE)いやー、聞いて脳が活性化しました。
(OMSB)脳活性化ラップ(笑)。
(菊地成孔)あの、ヒップホップでは絶対に起こらない、ラップに興奮して後ろのトラックが盛り上がるっていうのが(笑)。生演奏じゃないと。
(MOE)ああ、たしかに。生きてる者同士ですね。
(菊地成孔)大西さんの顔がキッとなりましたからね。なんかね。全員キッとなって、すごい火の出るような演奏になっています。こちらもアルバム『Tea Times』発売……これは6月22日にリリースされますので、ぜひ。オムスは実はもう1曲入っているんだけど。それはお楽しみっていうことにしましょうね。今日はね。
<書き起こしおわり>